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蜜を知った蜂  作者: 愛菜
4/7

蜜の舐め合い

 それからは何度も同じメンバーで集まっては酒を飲み、時には映画鑑賞なんかもした。

すっかり私達はその家に入り浸るようになり、みんなが寝静まった時の彼とのセックスも頻繁に行われた。

そんなある時、流石に学校をサボりすぎたせいか学校側が親に連絡し、私は酷く叱られ正当で真っ当で尚且つ清純な学校生活を送るよう強いられた。姉は私の事を鼻で笑い、うまくやらなきゃ〜とだけ言っていた。

確かに、話を聞く限りは姉は器用すぎる。是非ともその無駄に活かせる悪知恵を習得させて欲しいものだ。

そんな姉も今ではすっかり丸くなったという事を隣の中学校の、姉と同い年の兄貴がいるという友達が教えてくれた。更には、姉にイケメンの彼氏ができ落ち着いたのもそれが理由なのでは無いかと噂されているしい。

男で女なんてコロッと変わっちゃうからね、お姉ちゃんも女な所あったんだねと、友達は話していた。

イケメン、という所は少しばかり引っかかるが姉の恋愛事情なんてこれっぽっちも興味が湧かなかったしもはや妹としては聞きたく無いまでもあった。




確かに最近浮かれているなあ、と思いながらそんな姉のルンルンした背中を眺め、今ではすっかり行かなくなってしまったあの家とその中で行われていた湿らしい夜を思った。

私をすっかり女にさせたあの人は元気だろうか。


ピンポーンとチャイムが鳴り、姉が勢いよく玄関の方へと駆け寄る。

はーい。

ごめんね、あと着替えるだけだから、ちょっと玄関で待ってて!

あ、あとこれ妹のゆり、ゆり、この人がお姉ちゃんの彼氏、杉下君だよしっかり挨拶してね。


私は、見開いてしまった目のまま硬直してしまい、思わず「え」と声が出てしまった。


あまりにもイケメンでびっくりしたでしょっ、なんて自慢げで嬉しそうな姉に、苦笑いで返すことしかできず私はそのまま彼に視線を戻すことができなかった。


姉の新しい彼氏というのは、幾度となく私を慰めた、あの彼だったのだ。

彼は全く驚く素振りを見せず、もはや清々しい笑顔で「初めまして、ゆりちゃん?よろしくね」と笑ってみせた。

何か私が勘違いしているのだろうかとまで思わせる彼の無垢そうな笑顔に呆気を取られ、私もすかさず「よろしくお願いします」と返す。

 

私はその時、人生で初めてソシオパスの意味を知ったのである。また、そういう男、人間がこの世界には知らずとまみれているということも。

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