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08 やっと部として認められました

 あやかしクラブも6人になったので、今日も皆で遊んでいた。そこで、猫又がふと思い出したように言った。

「そういえば、ここの申請はもう終わったのかい?」

「「あっ!」」

 俺と座敷童は同時に声を上げた。すっかり忘れていた。順調に人数が集まったので、それでいいと思っていた。

「それなら、またあの生徒会長に会わないといけないのか……」

「大丈夫。今回は僕だけで行くよ」

 よかった。俺がほっとしていると、アナウンスが流れた。

「一部の生徒が教室を無断で使っています。その代表と人間はすぐに生徒会室に来なさい」

 一部の生徒って俺たちのことだよな。しかも人間って俺だけだから、一緒に行かないといけなくなった。

「たく坊、あたしも一緒に行ってあげるよ。それなら大丈夫だろ?」

「ありがとう……」

 それでもあまり俺は乗り気ではなかった。あの生徒会長に会いたくないのだ。なんか怖いし。

「ほら、たくや行くぞ。ご指名なのだからな」

「はーい……じゃぁ行ってくるよ」

 残りの3人に見送られながら、俺たちは生徒会室に向かった。

 生徒会室に着いてドアを開けると、生徒会長のタマモの他に3人の妖怪がいた。

「申請が遅れて申し訳なかった。これが申請書だ」

「ほぅ……一応人数は集まっておるな」

 タマモは申請書をじっくりと見ていた。

「しかし、部として認める訳にはいかぬな」

「どうしてですか?」

「どうして? こんな活動内容では認められないと言ったのだ」

 タマモは紙をバサッと机に置き、俺たちを見た。というか俺を見た。

「それになんだ? 人間などと遊ぶとは落ちたものだな。妖怪の誇りはないのか」

 タマモの言葉に猫又が怒った。

「さっきから聞いてれば、好き勝手言ってくれるじゃない! たく坊はあんたが思っているような人間じゃないわ!」

 そう言って猫又はタマモの長いしっぽを掴んだ。

「ひゃぅっ!」

「え?」

 すると、タマモから意外な声が発せられた。

「さ、さっさと手を離さぬか! 無礼者め! と、とにかくわかった。一応部としては認めよう」

「本当ですか!」

「まぁ、活動内容だけは考えておくように!」

 タマモはそれだけ言うと、すぐに俺たちを追い出した。

「一応認めてもらえてよかったですね」

「あぁ、しかし活動内容を改めろと言われてもなー……」

「まぁそれは戻ってから皆で考えましょう」

「それもそうだな」

 俺たちが帰った後、生徒会室では会議が行われていた。

「タマモ様! あんな部活、認めてはいけませんぞ!」と巨大なガイコツのガシャドクロ。

「そうです。ワシらで蹴散らしてやりましょう!」と、車輪の所に顔がある火の車、輪入道わにゅうどう

「輪入道よ、そんなに焦るでない。タマモ様の意見も聞こうではないか」と、翼の生えた鼻の長い天狗。

 そんな中、タマモは口を開いた。

「あやかしクラブなるものを、認める訳にはいかん。即刻部の停止を行うものとする!」

 タマモの言葉に3人の妖怪はひざまずいた。

 次の日、俺たちが部室に行くと、部屋の前で座敷童が呆然と立っていた。

「座敷童さん、どうしたんですか?」

「部室が……」

 俺が教室を見てみると、中は荒れ放題だった。

「な、なんだこれは! ぐちゃぐちゃじゃないか!」

 他の皆も覗いてみたら、すごく驚いていた。

「昨日はなんともなかったよな……?」

「とにかく皆で片付けよう」

 それから部室の片付けで1日が終わってしまった。

 そして次の日も、また次の日もそんなことが続いた。さすがにこれはおかしい。

「生徒会に認められてから、こんなことが起きだしたよな?」

「確かにそうだけど、証拠がない」

「ワシが殴りこみに行こうか!」

 やめてくれ。話がややこしくなる。赤鬼の暴走を止めて、俺は考える。

「もう一度生徒会長と話した方がよさそうだな」

「わらわを呼んだかい?」

 声のする方に全員が振り向くと、タマモが生徒会メンバーを連れてきていた。

「何やらお困りのようだけど?」

「何言ってやがる! お前らのせいで部室がぐちゃぐちゃじゃねぇか!」

「無礼だぞ、貴様! タマモ様に向かってなんたる無礼!」

 天狗が怒りを露わにしたが、タマモがそれを制した。

「わらわたちがやったという証拠はなかろう。言いがかりはやめてほしいのぅ?」

 タマモはそう言いながらにやにやしていた。あー、やっぱりこの人たちだったか。しかし、どうしよう。これではこちらが言いがかりをつけたということで、部がなくなってしまうかもしれない。

 俺が考えていると、座敷童がタマモに近づいた。あ、怒ってる。しかもすごく。

「それなら、あやかしクラブらしく僕たちと勝負をしよう」

「勝負だと?」

「そう、遊びの勝負だよ」

 座敷童の言葉にタマモは笑い出した。

「はははっ! 面白い。なら遊びと言わず真剣勝負といこうじゃないか。どちらかが倒れるまでの真剣勝負」

「なんだってーっ?!」

 これは予想外だ。俺は人間だし、他のメンバーも戦えそうなのは赤鬼ぐらいしかいない。

「わらわたちに勝てたなら、今までのことを謝罪しよう」

 あ、認めたなこの人。

「校庭で待っているから、せいぜい策を巡らせるんだな」

 タマモは高笑いをしながら、部室を後にした。


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