#51 博打
さて、機動艦隊を追っ払ったはいいが、我々は窮地に立たされていた。
すでに核融合弾全弾を撃ち尽くし、フックワイヤーを使った無理な重機隊回収で、強襲艦の外壁は傷だらけ。おまけに我々は、総司令部からお尋ね者ときた。
連合側の艦隊侵入と、それを追い返した我々の功績。恐怖と安堵を味わったこの星から、我々はどう扱われるのか、全く未知数だ。正直、ここからは運任せとなる。英雄か死か、の二択という、かつてない大博打だ。
が、そんな我々の元に通信が入る。意外にもそれは総司令部ではなく、地球三一五統合政府からだった。
「なんだと、政府からの帰投命令だって?」
「はっ! ヴォルゴビルスク宇宙港に入港するよう、統合政府首相の名で通信が入ってます!」
政府からの命令は、総司令部のそれより優先する。ヴォルゴビルスク宇宙港とは、統合政府本部のある街の宇宙港だ。つまり我々は、統合政府のおひざ元に来るよう告げられたことになる。
事情は分かっているのだろう。我々が連盟離脱を画策し、その結果として総司令部から追われる羽目になったことも。それを踏まえた上での今回の措置。しかし、我々には他に選択肢もなく、政府からの要請となれば断るわけにもいかない。
「ヴォルゴビルスク港に向かう。全艦、大気圏突入準備」
「はっ!」
ドルジエフ大佐が、全艦にヴォルゴビルスク宇宙港へ向かう旨を通達する。やがて我が艦隊五百隻は、その政府のおひざ元へと降り立つ。
「やあ、君があの連合艦隊を追っ払った英雄、スクリャロフ少将かね」
宇宙港に降り立つや否や、私はある初老の人物に出迎えられる。見るからに政府関係者のその人物に、私は敬礼する。
それは、ログネンコ官房審議官だ。ニュースなどで時々、そのお顔を拝見したことがある。首相の右腕と称される人物であり、実質的なこの星の支配者ともいわれている。
そんな人物からの直接の出迎えを受ける。そんな官房審議官に私は答える。
「閣下、私は英雄などではありません。たまたま、敵が私のいたところに飛び込んできてくれたおかげで、なんとか撃退できたのであります」
「うむ、それはそうかもしれないが、他の連中は敵の進撃を止めることすらできなかった。どちらが軍人としての責務を果たしていたか、子供でも分かることだろう?」
この官房審議官殿、なかなか厳しいことをおっしゃる。本当のことを言ってしまえば、我々はあそこにあの艦隊が現れることを知っていた。その有利な点があったからこそ、他の艦隊と違って対応できたという事情もある。
が、そうとばかりも言えないか。いきなり自身の三倍の敵を前にして逃亡したあの三百隻は、当然責められるべきだろう。いや、それ以前に、この星の周りには少なくとも三千隻の艦隊がいたはずだが、どこへ行っていたのだ?
「ですが閣下、今度の手は、次には通用しません。ヴォーロスの陰からの奇襲攻撃、今度やつらがここに来たら、間違いなくあの月を避けて通ることでしょう」
どちらかと言えば、私はあの機動艦隊のことを念頭にそう答えた。アルトマイヤー少将がもう一度ここへ攻めてきたなら、その時は絶対にあの月を避けるはずだ。
が、この政府高官は、私のこの言葉をこう解釈する。
「なるほど、つまり君はこの先、連盟を離脱し、強い連合に組みすべきだ、と」
やっぱり、私のことはすっかり調べ尽くされているようだ。それを踏まえて、私はこう答える。
「私は軍人です、それゆえにこの星を防衛することが第一の責務と考えます。ですが、連盟は我々を救うどころか、パザロフ大将閣下を始め多くの将兵の犠牲を強いたのです。それが、私が今の思想に至る原因なのです」
「そうか、いや、そうだろうな。パザロフ元帥のことは、惜しいことをしたと思う」
そう短く答える官房審議官殿。そして彼は続ける。
「しかしだ、そのような決定は我々がするわけにはいかない。あくまでもこの星の人々の民意によって決められるべき事柄だ。そのことを、君もわきまえてほしい」
「はっ、承知いたしました」
「しかしだな、その意思を問う投票がなされたならば、私も連盟離脱に一票を入れるだろう」
と、意外なことを言い出す政府高官。
「あの、なぜ閣下が離脱を支持なさるのですか?」
「簡単だ。我々も連盟本部に対し、救援要請を行っておる。が、一向に返事がない。見捨てられたのではないかと思い始めておるところじゃよ」
と答える官房審議官殿。意外にも、政府サイドでも不満が出始めているようだな。
「まあしかし、それだけ余裕がないということなのだろう。それほどまでに連盟側は今、弱体化し始めておる。少なくともこの星の周りではな。一方で、この星にはまだ慎重派も多いことは忘れんでくれ。そういうことで、君にはしばらくこの街に留まってもらう」
そう言い残すと、官房審議官殿は私に手を振りつつ、宇宙港ロビーの奥に消えていった。それを私は、見えなくなるまで敬礼しつつ見送る。
「あら、意外な支持者がいたものね」
その様子を後ろから見ていたエカチェリーナがこう呟く。
「あれは、支持者といえるのか?」
「あなたが出会った人の中で、一番強力な支持者でしょう。そこらの交易業者とはわけが違うわ」
そうエカチェリーナは言うが、政府の要人である以上、自身の意見を通すわけにはいかない立場だ。あくまでも民意の上で、自身の権力を広げてきた人物だ。多少の政府内工作はやってくれるだろうが、民意まで動かすのは至難の業だろう。
ということで、私とエカチェリーナは、初めて訪れるこの星の首都ともいえるヴォルゴビルスクの街に降り立った。
「やっぱり、こっちの方が栄えてるわねぇ」
しみじみと語るエカチェリーナだが、そんなこと、言われなくても分かる。三百メートルを超えるビルがこれほど密集する都市など、この惑星上のどこにもないだろう。
「ねえ、これからしばらくホテル住まいなのよね」
「そうだな、他の士官、下士官、兵士らは宿舎があてがわれるようだが、私はこれでも将官だからな」
「うーん、こういう時は、その将官の妻でいてよかったって思えるわ」
何を浮かれているんだか。ホテル住まいと言えば聞こえはいいが、要は緩い軟禁状態にされるってことだ。
「ねえ、せっかくだから、ビーフストロガノフ食べにいかない?」
「なんだお前、この街の店を知ってるのか?」
「当然じゃない。だってよくテレビやネットで紹介されてる有名な店がたくさんあるのよ、ここ」
「そうなのか?」
「そうなのよ。それじゃ、行きましょ!」
能天気な奴だ。政府がかくまってくれなければ、我々は今ごろホテルどころか、独房にぶち込まれていたかもしれないんだぞ。食事など楽しむ気にはなかなかなれないな。
頭上には、ちょうど二つ目の月であるヴォーロスが見える。沈む夕日を追うように、三日月のヴォーロスが西の空に見える。あの月のあたりで、私はあの艦隊とやり合ったのだな。
そしてその日の夕食は、エカチェリーナ推薦のビーフストロガノフが美味いという店で食べることとなった。うん、確かに美味いが、チェザレスクにもこの程度の味を出せる店ならあるだろう。あっちの方が慣れている分、気兼ねなく食べられる。だから私は、それほどこの店の料理が良いとは思わない。
で、それからホテルに向かい、そこでしばらく過ごすこととなった。翌日からは警護の者が数人付き、おいそれと外には出かけられなくなった。ということで、食事もすべてホテルで摂ることとなる。
その間に、どうしてあの時、地球三一五周辺には千三百隻しかいなかったのか、その理由を知ることとなる。
簡単に言えば、他の艦艇は逃げた我々強襲艦隊を追って、この星域外縁部および隣の暗黒星雲であるウーゴリ星域まで索敵の手を伸ばしていた。遠征艦隊はもちろん、防衛艦隊の一部も動員していた。
というのも、パザロフ大将が亡くなって、その代わりとして総司令官の席に収まるヴィボルノフ中将が、連盟離脱に慎重、というより反対の態度をとっていたからだ。
そんな人物からすれば、私のような者は危険極まりない。今すぐにでも消したいやつだと思ったのだろう。
そんな話を、警備の者からもたらされる。ゆえに彼らは私を監視し、護衛しているというわけだ。カナーエフ准将を始め、行動を共にしたアレクサシェンコ中将、チュラノフ少将も、別の部屋で同様の措置をとられている。ちなみに総司令部に捕まったとされるグザロフ准将だが、チェザレスク近郊の川岸で遺体となって発見されたとのことだ。
つまりは、政府は我々離脱派をかくまっていることになる。ということは、もしかするとそっちの方向に動き始めているということじゃないのか? などと勘繰るのだが、何の情報も得られない。
ということで、外にも自由に出られず、何の刺激もない日々、そんな日が三日ほど続く。
そして、三日目のその日の昼、ドアのベルが鳴る。
「誰かしら?」
部屋で退屈そうに過ごすエカチェリーナが、不審そうに話す。私は答える。
「あれだ、きっと警備の連中が何かの用で来たのだろう」
そこで私は軍服を正し、軍帽を被ってドアに向かう。そして、鍵を開けてドアを開いた。
次の瞬間、私に緊張が走る。
目の前に立っていたのはヴィボルノフ中将、すなわちパザロフ大将に代わって総司令官代理を務め、かつ連盟離脱慎重派の一人と言われる人物だったからだ。
◇◇◇
僕は、ぼーっとしている。ぼーっとするしかない。
地球三一五から戻り、もう三日たつ。で、僕は当然、地球三一五での戦闘について報告、あの星系周辺について得られた情報を、すべて報告した。
その結果、僕はここにいる。
なお、人はこういう場所のことを「独房」と呼ぶ。
つまりだ、連盟の艦隊司令と接触し、連携したことが軍規に触れてしまったらしい。
それはそうだが、その代わりに連盟を離脱するかもしれない星が一つ増えたんだ。感謝こそされど、独房に放り込まれるいわれはない。
などという言い訳は通用しなかった。現にその地球三一五という星は、連盟からの離脱を表明したわけでもなく、未だ我々の敵のままだ。
その敵と、手を結んだわけだ。控えめに言ってこれは、重大なる利敵行為だ。
となると、その処分もただでは済まないだろう。
僕は部屋の端に置かれた粗末なベッドの上に座る。ここには机も椅子も、そして窓すらもない。外の情報を得るための機器もないし、部屋の真ん中にはステンレス製の蓋のない便器がポンとあるだけだ。
仮にも僕は少将であり、この国の男爵だぞ。こんな粗末な独房に押し込むのはどうなのか? などと言いたくなるが、どうせバーナー中将がケチった結果なのだろう。あの丸顔の男がせせ笑う姿が目に浮かび、なんだか腹が立ってくる。しかし、その怒りをぶつける先などどこにもない。
にしても、カタリーナには悪いことをしたな。僕みたいなのと一緒になったばっかりに、犯罪者の妻とされてしまった。不憫でならない。いや、それだけではない、ヨーナスやヒンメル中佐、その他、第二遠征艦隊に関わる皆に、迷惑をかけているのだろうな。
それにしても、ここに放り込まれてかれこれ三日が経つ。そろそろなんらかの動きがあって然るべきだ。軍法会議や軍事裁判、いや、いきなり処分という可能性もある。その時は、僕はどう振る舞えばいいだろうか? 迫る最期の時に備え、僕はいろいろと考え込む。どうせ他に、することがない。
が、そんなことを考えていると、カツン、カツンと靴音が聞こえてくる。それは、こちらに向かってくる。
複数人の靴音が聞こえる。静かな場所だ、その靴の音が一人のものではないことくらい、簡単に聞き分けられる。しかも一人は、明らかに体重の重いやつの音だ。そこまで推測が可能なほど、よく聞き取れる。
で、その音はまさにこの扉の前で止まった。
鍵がガシャンと開けられ、扉が開く。実に三日ぶりに、あの扉が開くのを見た。僕はベッドの上に腰掛けたまま、その扉の方を見る。
眩い光の中に立つ人物を、僕は見上げる。そこにいるのは、僕が一番顔を見たくない人物、すなわちバーナー中将だ。
「アルトマイヤー少将!」
その男が、僕の名を呼ぶ。僕はゆるりと立ち上がり、扉のほうに向かう。
何せこの三日間、壁と便器しか話し相手のいない日々を過ごしていた。そんな殺伐とした日々を過ごした僕には、急に現れたこの将官と対峙する気力など湧くはずもない。
が、なんとかその嫌な男の前に僕は立つ。するとそいつは、なぜだか不機嫌な表情でこちらを見ている。うん、なんだろうな、僕を見てそういう表情をしているのだろうが、この場を見ればまともな人間がまともな精神を保てる場所でないことくらい分かるだろうと言いたい。そんな場所に僕は、三日も放り込まれていたんだぞ。少しはいたわる心はないものか。
で、その不愉快な顔のバーナー中将が口を開く。
「貴官に、総司令部からの決定を告げる!」
ああ、ついにくるべき時が来たか。僕は直立し、その決定とやらを聞く覚悟を決める。一瞬、カタリーナの顔が脳裏に浮かんだ。
が、しかし、僕が想定していたのとはまったく異なる言葉が、バーナー中将から飛び出す。
「アルトマイヤー少将、ディーステル大将の命により、貴官の原隊復帰を申し渡す!」
と、そういいながらバーナー中将は、僕に軍帽を差し出す。僕は思わず、聞き返す。
「あの……処分は?」
ところがバーナー中将はますます不機嫌そうな表情を見せながら、こう告げる。
「復唱はどうした!」
僕はバーナー中将からその軍帽を受け取ってそれを被り、こう答える。
「はっ! アルトマイヤー少将、直ちに原隊へ復帰いたします!」
◇◇◇
ホテルで軟禁されている間に、世間は大きく変わっていた。
そして私は強襲艦隊の発進準備を、ホテルの一室で総司令官代理から直々に言い渡される。
この三日間の間に起こったのは、次のようなことだ。
まず、世論調査で連盟離脱に賛成の意見が実に九割を超えた。理由は、言うに及ばないだろう。敵の艦隊一千隻が侵入したにもかかわらず、味方の艦隊は恐れをなして逃亡を始めた。
いや、それだけならば軍部への批判になるだけだ、離脱賛成を押し上げたのは、まさに連盟側の対応に不満を抱く人々が増えたからだ。
一番の決め手は、政府の救援要請に対する連盟側の返答だ。なんと、地球三三一から二千隻の援軍を寄越すというものだった。
が、この返答は、あまりにも誠意がない。たった二千隻。元々、地球三三一という星は人口が少なく、防衛艦隊を八千隻しか保有していない星だ。そんな星から、二千隻も派遣させるというのだ。
一方で、その周辺星からは一隻も来ない。このことが、この星の住人を失望させることとなる。
今から数十年前にも似たようなことが起きたというが、その時は慎重派が多数を占めたため離脱には至らなかった。が、今回はさすがに離脱すべきという意見が多数を占めた。
それはそうだろう、敵である連合側の艦隊が、この星のすぐそばまで迫ってきたのだから。
軍も不甲斐なく、連盟本部も頼りにならない。となればいっそ、連合に鞍替えした方が得策ではないか? そういう意見が大勢を占めて当然だろう。
ということで、緊急の住人投票が行われた。その結果を受けて、統合議会も開かれて審議される。たった一夜にして、連盟離脱の決議がなされた。
そして、離脱に慎重派だったヴィボルノフ中将が私の前に現れて、艦隊整備をせよと命令してきたのだ。
本日中に、連盟離脱の決定が連盟本部に伝えられる。これに先立ち連合側には、すでに統合政府の名で連盟離脱の意思が伝えられ、同時に救援要請が出されていた。
つまりだ、この決定と同時に我々は連合側となり、同時に連盟側を敵に回すことになる。
「中将閣下、つまり我々は連盟軍と戦うことになるのですか?」
「遅かれ早かれ、そうなる。連盟側は離脱した星に容赦はしない。必ずや大軍で報復してくるはずだ」
と、ヴィボルノフ中将はそういうが、おかしな話だ。そんな余裕があるのならどうして救援要請に応えてくれなかったのだろうか? その方が我々は離脱などせず、もっと楽に済ませられただろうに。
まさか我々が離脱するなどとは考えもしなかったのだろう。今ごろ連盟本部では大騒ぎをしている頃だ。多分、大慌てで報復のための大軍を組織しようとしている。そんなところだろうな。
というわけで、私は再び総司令部へと戻ることとなる。ホテルを出て、母港のチェザレスク宇宙港へと向かうため、ヴォルゴビルスク宇宙港へと向かった。
「あーあ、もっとこの街のお店に行きたかったなぁ」
などとぼやくエカチェリーナだが、それどころではないだろう。
「何を言っている、今は大変なことになってるんだぞ。店巡りなどしている場合ではない」
「そんなこと言ったって、援軍も寄越さない連盟が、そんなに早くここまでくるのかしら?」
「さあな、だけど迎え撃つにはあまりにも準備不足だ。特に強襲艦隊は先日の戦闘で武器を使い果たし、おまけに外装が傷だらけのままだ。応急措置でもいいから、早めに戦線復帰できるよう整備する必要がある」
「何よ、そんなことは駆逐艦の連中にやらせればいいじゃない。何でもかんでも強襲艦隊頼りなんて、不公平だわ」
せっかくこの星の総首都に来たというのに、美味しいものが食べられなくて不平たらたらのエカチェリーナと共にタクシーに飛び乗る。そのまま我々は、ヴォルゴビルスク宇宙港へと向かった。
◇◇◇
「フリッツ!」
宇宙港に着くや否や、カタリーナが現れて僕に飛びついてくる。大勢の兵士らの前であるにもかかわらず、この貴族令嬢は人目も気にせず僕に抱きついてきた。
「ああ、カタリーナ。心配かけたね」
「心配なんてものじゃありませんわ! この三日、私は何度自害し、旦那様のお供しようと考えたことか」
そこまで思い詰めてたんだ。悪いことしちゃったな。が、全てが無罪放免となり、さらに独房を出たばかりの僕に、新たなる任務が与えられる。
すなわち、新たに連合に加わった地球三一五を救援するため、出撃するというものだ。
あの星が連盟を離脱したことで、僕は無罪となった。正確には、僕があの強襲艦隊の指揮官スクリャロフ少将と結託して及んだ茶番、その事実が全て無かったことにされた。
それはそうだろう。それを認めたら、我々があの星の連盟離脱を画策したことになってしまう。当然、あの時のことは箝口令が敷かれ、そして僕が独房に放り込まれた事実すらも無かったことにされてしまった。
僕は地球三一五に強行偵察に出向き、そして無事に帰ってきた。それ以上でもそれ以下でもない。そういうことになっている。
で、僕は再び地球三一五に向かう。今度は味方として、だが。
複雑な心境だな。同じ場所にまったく真逆の立場で出向くことになるなんて。だけど僕はまさにあそこで大暴れした張本人、つまり「悪役」だ。そんな僕が乗り込んで、歓迎されるものなのか?
一抹の不安を抱えたまま、僕は指揮官として復帰し、宇宙へと飛び出すこととなる。




