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#31 怪物

「高度二千、全艦、停船しました」

「了解。では、手早く済ませよう。人型重機隊、全機発進せよ」

「はっ! 重機隊、全機発進!」

 僕の命令に応じて、各艦の格納庫ハッチが開かれて、そこから人型重機が次々と発進する。そして、やや白っぽい筋が走る茶色の大地に消えていく。

 ……のだが、そのうちの一機に、僕も乗り込んだ。

「おい、なんだって俺の機体に、おめえを乗せなきゃならないんだよ」

「いいだろう、別に。どうせこの『レモンサワー』の後席は空いてるんだろう」

「だからって、どうして指揮官がいちいちついてくるんだ?」

「まあ、なんだ。不測の事態に備えてだな」

「それならばなおのこと、駆逐艦内に引きこもってりゃいいだろう」

 うるさいやつだな、その指揮官が後ろに乗せろと命令してるんだ。黙って出撃しろ。

 そんなやりとりをした挙句、僕はヨーナスが操縦する重機の後席に乗り、惑星表面へと降下する。茶色の地表に混じる白っぽい筋は、ドライアイスによるものだと分かっている。この星の表面はマイナス九十度以下。そんな極寒の大地に、六千機もの重機が一斉に降り立つ。

 この中性子星域唯一の惑星だが、おそらくはこの星域外から迷い込んだ惑星だと考えられている。通常であれば、中性子星ができる際の超新星爆発により、元々あった惑星は全て吹き飛ばされるからだ。だから普通の中性子星は、惑星など持たない。

 そんな迷い星はというと、地球(アース)よりも二回りほど小さい岩石惑星だ。重力は地球(アース)の三分の一程度。どこから流れ着いた星なのかは全く見当がつかない。サンプルを採取すればある程度の素性が分かるだろうが、今回我々がここに訪れたのは、この星の素性調査が目的ではない。

「レモンサワーより〇〇〇一号艦、所定の位置に着陸した。これより探索を始める」

『〇〇〇一号艦よりレモンサワー、了解した。慎重に進められたし』

 ガシン、ガシンと音を立てて、この茶色の大地を歩く。ところどころ、まるで立像のように立ちはだかる岩がいくつも見える。その岩の一つに重機を進めるヨーナス。

「よくわかんねえけど、この辺りから削ってみるか」

 確かに、どこから手をつけていいか見当もつかないな。目の前になんとなく尖った岩があったから、それを削ってみよう。短絡的だが、この場合はいくら考えたところでなにか良い方法は見出せるとは思えない。

「削岩機作動、共振周波数解析!」

 で、ヨーナスはこの重機、コールサイン「レモンサワー」の左腕に付けられた削岩機を岩の表面に押し当てる。この人型重機というのは元々、建築、土木用として作られたものであったが、その汎用性の高さから軍でも近接戦闘や工作任務に利用されている機械だ。そんな人型重機がこうして削岩機を使うのは、本来のこの機械の使用法ともいえる。

「共振周波数、解析完了! 削岩、開始!」

 で、その重機に取り付けられた削岩機によってバラバラと崩れ出す岩。茶色の大地だから、その中もきっと茶色の岩が詰まっているだけだろう。そう思っていた。足元にはその茶色の岩の塊が、幾つも転がっている。

 が、その崩れた岩の破片を見て、僕は驚く。

「ちょっと待て、あれはなんだ?」

 その中には、明らかに結晶状の物体が見える。赤く、透明の石。人の拳ほどのものから、太ももくらいのおおきさの石がいくつも見える。

 まさかとは思うが、僕らは目的の魔石をあっさりと引き当てたというのか?


◇◇◇


「……何をしているんだ、あの艦隊は」

 哨戒任務として要塞に向かう途中、我々は機動艦隊らしき一千隻が建設中の要塞から離脱するのを探知する。このため進路を変えて、その一千隻の後を追いかける。で、たどり着いたのがこの惑星表面だ。

「どうやらやつら、人型重機を全機発進させて、この星の表面に降り立った模様です」

「いや、それは見れば分かる。が、なんのためにこんな星に降り立ったのだ?」

「さあ、そこまでは……」

 さすがに私も、今は奇襲をかけようという気にはならない。我々は五十隻の強襲艦隊で、あちらは一千隻の機動艦隊。これでは勝負にはならない。

 どのみち我々は今回、戦闘を仕掛けるつもりはなかった。とはいえ、あの艦隊が要塞宙域を飛び出した以上、なんらかの軍事的意図があると感じて追尾した。あの艦隊が動く時、何かをしでかす可能性が高い。

 が、今度ばかりは全く意図が分からない。どうしてこんな岩石だらけの星に降り立ったのだろうか?

「ドルジエフ大佐、この星には何かあるのか?」

 私は思わず参謀に尋ねる。が、しばらく考え込んだドルジエフ大佐は、手元のタブレットを見つつこの星に関する情報を検索している。で、こう答えた。

「資源的、戦略的な価値はないとの調査報告しかありませんね」

 だろうな。ここには我々が主戦場としているワームホール帯も存在せず、ましてや民間航路になりうるような場所でもない。おまけに、資源もないときた。中継基地にも資源採掘も望めないこの星に、やつらはなんのためにやってきたというのか。

「……降りてみるか」

「は? まさかこの星に、降りるというのですか」

「そうだ。ここから眺めていても、ただの惑星に過ぎない。我々が気づかない何かがあるのかもしれない」

「おっしゃる通りですね。ここから眺めても、ただの岩石惑星という事実しか確かめようがありませんから」

「よし、〇〇一番艦を降下させる。他の艦は上空にて待機、敵の艦隊に動きがあれば知らせよ」

「はっ!」

 私はそう指示を出すと、この艦のみでこの星に降り立つことにした。この極寒の星に、どんな秘密があるというのか? アルトマイヤー少将はここに、何を見出したのか? そういうことは、現地に降り立ってみると分かるかもしれない。そこで、あの機動艦隊が降り立った地点から二千キロほど離れた場所に狙いを定め、そこを調査することにした。

 とはいえ、ドルジエフ大佐が検索したこの岩石惑星に関する調査報告書を読むと、本当にただの岩しかないらしい。この星が生まれてすでに六十億年ほど経っており、どこかの星系から飛び出した星がこの中性子星に迷い込み、そのまま定着してしまった星だと分かっている。あと数万年ほど経てば、中性子星の重力に取り込まれて消滅するだろう、とのことだ。

 ただ、この報告書の最後に奇妙な但し書きがある。そこには「不用意にこの星へ降り立つこと無かれ」とだけ書かれている。どういうことだ?

「さあ……これ以外には特に調査報告がありません。この報告書が書かれたのも、今から百年以上前。以来、ここは連盟からも連合からも見捨てられた星なのです」

「とはいえ、気になるな。理由もなく、こんな一文を残す意図が読めない。安全上の問題なのか、単に無意味だから近寄るだけ無駄だという意味なのか」

「後者の可能性が高いと思われますが、前者の意図も考えられます」

「ならば、人型重機で降下すればいいだろう。あの機体に入れば、もし崩落事故など不測の事態が起きたとしても、シールドで対処できる」

 私はそう判断し、ここは重機のみで降り立つことにした。どのみち表面温度がマイナス九十度以下だから、船外服での活動は厳しい場所だ。

「私も重機に乗り発進する」

「はっ!」

 私はドルジエフ大佐にそう告げると、格納庫の方へと向かう。一番格納庫には、普段は使われない機体が置かれている。つまりそれは、私の専用機だ。

 こう見えても、私は人型重機パイロットだ。かつては重機隊隊長として活躍し、敵艦隊に肉薄し損害を与え続けていた。

 その時の経験があるからこそ、強襲艦隊の運用が可能なのだ。人型重機の扱いを知らない指揮官が、強襲艦を運用すればどのような悲劇が訪れるか、私はそれを身をもってよく知っている。

 だから私は直に戦場に出向いたことのない指揮官を信用しないし、自身は極力現地に出向くことを決めている。とはいえ、准将に昇進して以降は、なかなかその機会もない。だからこそ、機会を見つけてこの機体に乗り込まなければ、腕が鈍るばかりだ。

「スクリャロフ少将、ヴァレニキ、発進する」

『コントロール〇一よりヴァレニキ、発進許可了承、ハッチ開く』

 ヴァレニキとは、私の機体のコールサインだ。私の好物の食べ物のことだが、エカチェリーナはヴァレニキをあまり好まず、ここ最近は全く食べて……いや、そんなことはどうでもいい。

 すでに空気が抜かれた格納庫の上部のハッチが、勢いよく開く。音はほとんど伝わってこない。しかし直後にレールガン式射出装置に押し出された際は、あの装置特有のシャーッという音がコックピットまで響いてくる。そして私の機体は真っ暗な空の下に放り出される。

『閣下、前方に大型の岩石塊があり、その周辺はほぼ平地です』

「そうか、ならば一旦、そこに集結する」

 一隻には二十機の人型重機が搭載されている。この二十機を地上で一度、集結させる。その上でこの先、どう行動するかを決めることにした。集結地点にはちょうどいい平地があるとドルジエフ大佐から連絡が入り、私はそこを集結地点とした。

 そして、その平地の真ん中あたりに降り立つ。他の機体も次々に降りてくる。

「ヴァレニキより各機、周囲に目標を見つけ次第、そこを探索する」

『レッドサリャンカよりヴァレニキ、前方の岩石以外、特に目標とすべき物体は見当たりません』

 うん、そうだな。ここは真っ平らな平原で、唯一指標となるべきものはあの大きな岩だけだ。

「ならば、全機であの岩に向かう。落盤、落石があるかもしれない、各機、シールドを展開しつつ前進する」

 私は配下の重機に指示を出し、前進を開始する。もしかすると、この平地といえども真下に空洞があって、そこが崩れて崩落事故を起こす可能性もありうる。そう考えた私は、地上二、三メートルほどを浮上しつつ、ゆっくりと進むことにした。

 そんな私の予想があたったのか、突如、落盤らしき現象が目の前で発生する。岩が崩れ、破片を撒き散らしながら平らな地面から岩が突き出し始めたのだ。

 しかし、妙だな。我々は浮いている。地面に対し、ほとんど刺激を与えてはいない。にもかかわらず突如、岩が崩れ始めた。そんなにここは脆いのか?

 が、目の前で起きたのは、落盤ではなかった。舞い上がる岩の破片の中から、信じがたいものが姿を表す。

 それはどうみても、人型の物体だ。手足があり、頭部らしきものも見える。その身長は、体長九メートルの人型重機を上回る、ざっと十五メートルほど。そんな岩の化け物が、目の前に現れたのだ。

「し、シールド展開!」

 そんな岩の巨人が、その大きな腕を先頭に立つ重機に振り下ろしてきた。その腕を、シールドが受け止める。青白い閃光が、巨人の腕と接したシールド表面からあふれ出る。

 しかし、その現象は正面にとどまらない。左右、後方からも同様に、岩の破片が舞い上がる。と同時に巨大な岩が突き出し、それはみるみるうちに人型へと姿を変えていく。我々が唖然としている間に、そいつらは我々に容赦なくその太い腕を振り下ろしてくる。

 なんだ、何が起きている? 全く理解し難い事象が、目の前でリアルタイムに起きている。やがて足元からも、岩の破片が舞い上がり始めた。

 これは、ヤバい。とんでもない怪奇現象だ。背筋に寒気が走り、全身に汗が流れる。私は叫んだ。

「全機、全速離脱! 急げ!」


◇◇◇


「くそっ! どうなってやがる!」

 魔石と呼ばれる赤い石を見つけた途端、周囲が騒がしくなってきた。いや、騒がしいというレベルではないな、これは。何が起きているのだ?

 目の前で起きていることをそのまま言葉にすれば、いきなり岩の地面が隆起して、それが人の形に変わった。十五、六メートルほどの人型重機よりも大きな巨人が現れて、我々に向かって暴れ始める。

 で、当然、シールドやビーム兵器で対抗する。が、ビームで撃てば一時は崩れるものの、再び地面の岩が変解して復活してしまう。いや、撃てば撃つほど数が増える。気づけば僕の乗るレモンサワーとその配下の五機が、三十体ほどの岩の化け物に囲まれてしまった。

 何を言っているか分からないと思うが、僕にも分からない。夢でも見ているのか、そう思って頬をつねるが、痛い。つまりこれは、夢ではない。

「だめだ、このまま浮上して逃げるぞ!」

「いや、ヨーナス、あの赤い石を拾わないと、ここに来た意味がないだろう!」

「あんなおっかねえ化け物を前にして、どうやってそんなもの拾えっていうんだよぉ!」

 泣き言を言い出すヨーナスだが、気持ちは分かるものの、さすがに手ぶらで帰るわけにはいかない。なんとしても回収せねば。

「よしっ、仕方ねえ。この時のために考えていた例のアレ、やってみるか」

 ところがである、いきなりヨーナスのやつ、妙なことを口走り始めた。

「なんだ、例のアレって?」

「うるせぇ! 指揮官は黙って見てろ!」

 なぜか怒られてしまったぞ。一瞬ムッとしたが、こういう時のために何か策があるらしい。ならばこいつのその策に任せるとしよう。

「ブルーサワー、レッドサワー、グリーンサワー、そしてテキーラサワー! コンビネーションアタックだ!」

『ブルーサワー、了解!』『レッド、承知!』『グリーン、いつでも行けますぜ!』『テキーラ、やれます!』

 いきなり、変な点呼を取り始めるヨーナス。何が始まるんだ?

「モスコミュール! 俺たちが奴らを引きつけている間に、魔石を回収しろ!」

『了解です、隊長!』

「よーし、行くぞ! レッツ、コンビネーション!」

 まるで子供向けのアニメのような、妙な掛け声をかけ始めたぞ。一体、何をするつもりだ。するとヨーナスのやつ、いきなりビーム砲を乱射し始めた。周囲にいる岩の化け物は、次々に倒れていく。

 だが、あのままではすぐに復活してしまう。さっきからそれを何度も繰り返しているだろう……と言い返す間も無く、いきなりこのレモンサワーはジャンプした。

 すると、その足元に二体の重機が走り込んでくる。ガシンという音と共に、このレモンサワーは着地するが、明らかにさっきよりも目線が高い。つまりこれは、あの二体の上に立っているということか?

 などと考えている間も無く、今度は別の二体が左右に現れる。このレモンサワーはその両腕を広げると、その二体がそれぞれ腕にしがみつく。

「うおおおぉぉっ! 合体、超重機ロボ、ビッグサワーッ!」

 妙な雄叫びをあげて右腕、というか、右腕にしがみついた重機を振り上げ、何やら決めポーズっぽいものをキメる。目の前を見ると、すでにあの岩の巨人は復活しており、先ほどよりもその数を増やしている。

 しかし、だ。なぜかその巨人は動かない。まさかとは思うが、このイカサマの巨人に恐れをなしているのか?

 単なるコケ脅しで終わるかと思いきや、この茶番……いや、コンビネーションアタックだったか、それは次の展開を見せる。

「うおりゃあぁぁっ! ビッグサワーパーンチッ!」

 などと意味不明なことを口走ると、なんと右腕、というか右腕につかまっている人型重機を振り下ろした。どうやらシールドを展開しているらしく、振り下ろされた先に立っていた岩の巨人を粉砕してしまう。

 それにとどまらず、その腕を横に振り始める。その先に立つ岩の巨人は、次々に粉砕されていく。

 いや、ヨーナスよ、あれはパンチではなくて、チョップじゃないのか? などというツッコミをする余裕を与えないうちに、今度は左足を持ち上げる。

「ビッグサワーキィィィック!」

 一体、僕は何を見せられているのだろう。今度は足、いや、足にしがみついた重機をあの巨人どもにぶつける。これだけ破壊し続けているにもかかわらず、ますます恐れ慄いたのか、周囲を囲む岩の巨人らは動こうとしない。

 そうこうしているうちに、連絡が入る。

『モスコミュール、魔石回収完了!』

 この隙に、ようやく目的である魔石の回収が完了した。それを聞いたヨーナスのやつ、今度はこんなことを口走る。

「よしっ、とどめだ! ブルー、レッド、グリーン、テキーラ!」

『はっ!』

 この掛け声と共に、このにわか作りのイカサマ巨人はゆっくりと宙に浮かび始める。そして、両腕を開く。

 もう回収には成功した、この上、何をやらかすつもりだ? 僕は固唾を飲んで見守るしかない。

 が、ヨーナスはこう叫ぶ。

「三十六計、逃げるに如かず! 全機、離脱する!」

 そういうと、手足につかまっていた四体が分離する。で、そのまま上昇し、駆逐艦へと向かい始めた。

 どうして最後だけ、妙に現実的な戦術なのか。と突っ込みたいところだが、ともかく目的は果たされた。僕はこの場より、全機に撤収するよう命じる。

 艦に戻り、状況報告を受ける。ちょうどあの赤い石を掘り出した時点から、あちこちの場所であの岩の巨人が現れたという。いずれもビーム砲で撃てば一時は崩れるものの、数を増やして復活する。このため、シールドで凌ぐしかなかったという。

 何機かに損害は出たものの、幸いにも未帰還機はなかった。全機収容したのちに、我々はこの星を離れる。

「なんだったんでしょうか、あれは?」

 ヒンメル中佐は、人型重機に備え付けられたカメラ映像を眺めながら、そう呟く。しかし、この映像からは底知れぬ恐怖というものは伝わってこない。

 あれが現れた直後、僕は思わず背筋が凍った。汗があちこちから流れ落ちるのを感じた。

 この怪異との接触は、僕にとってトラウマになりつつある。もう二度とあの星に降り立とうとは思わない。

 いや、それよりもだ。あのヨーナスのとった戦術は、なんだったのか?

「おう、あれか。昔見たアニメに、ああいうのがあったんだよ」

「いや、それは分かるが……僕が分からないのは、どうしてあの岩の巨人があのインチキくさい人型重機の組み技を見て、その活動を止めてしまったのか、ということだが」

「自然界の動物ってのはよ、自分よりでっかいやつを見ると大抵、恐れちまうんだよ。だから、アレが効くんじゃないかと思って試したんだ」

 で、なんとかサワーと名のついた五機を集めたから、それで一体化後のコールサインが「ビッグサワー」なんだとか。なんでも、敵を威嚇する目的でアレを考案し、密かに訓練していたという。暇なやつだな。

 しかし、岩の巨人にはアレは通用したが、おそらく人間相手にはやっちゃダメだろう。間違いなく格好の的になる。

 ともかくこの悪夢のような出来事を超えて、なんとか例の魔石を回収することに成功した。しかしだ、苦労に見合うだけの何かが、あったのだろうか?


◇◇◇


 結局、怪奇現象に遭遇しただけで、特に得られるものはなかった。あの機動艦隊もこの地表を離れ、要塞方面に帰っていった。

 我々もそれを追いながら、あの星に降り立った理由をいろいろと考えてみた。が、納得のいく理由が見当たらない。

「えっ、理由? 分かるわよ、私には」

 ところがだ、任務を終えて帰投する途中、自室でエカチェリーナになんとなく尋ねてみると、こいつには分かると言い出したのだ。

「なんだって? それじゃあ聞くが、奴らの目的はなんだというんだ」

「簡単よ。だってあの星、変な岩の巨人が出てきたんでしょ? あれを調べにきたんじゃないかなぁ」

 なんとも拍子抜けな答えが返ってきた。あの岩の巨人を調べていただと? そんなわけあるか。と私はそう考えたが、ふと考え直す。

 いや、そういう非常識なものを、あのアルトマイヤー少将という男は好む。まさかとは思うが、あの奇妙な岩の巨人を動かすメカニズムを調査し、兵器に転用しようと考えたのではあるまいか?

 だとすれば合点がいく。確かにあれは、恐ろしい兵器だ。ビームで撃てど、すぐに復活する。もしあれが要塞表面に配置されたなら、我々の人型重機隊が接近しても阻止されることになるだろう。ある意味で強固な防御兵器だ。

 しかし、あの仕組みはとても我々の科学では解明できない気がする。あんな仕掛け、見たことも聞いたこともない。おそらくそれは、敵も同じではないか。

 あれが兵器に転用される未来がこないことを、願うしかない。

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― 新着の感想 ―
[良い点] ヨーナスさん、超電磁、五身合体、超獣機神、どれを観たのだろう…www [気になる点] 旦那様、勘違いでどんどん巨大な敵になっていって草生える
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