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#28 玉手箱

『要塞表面にて爆発探知!』

 後方のハリボテ要塞にて反応があったと、旗艦〇〇〇一号艦の観測員が戦闘指揮所に知らせてきた。それが意味することは、たったひとつだ。

「ついに来たな」

「ええ、来ましたね」

 ヒンメル中佐も、やや興奮気味だ。それはそうだろう、つまりあれは「敵襲」の合図だからだ。そして同時に、敵が罠にかかったことを示している。

 我々に気づくことなく接近する敵といえば、あの強襲艦隊しかない。というか、最初からあのハリボテ要塞は強襲艦隊を迎え撃つために築いた。当然、やつらはあの奥に仕掛けた罠の存在に気づいている頃だろう。

「よし、転舵、反転! 敵強襲艦隊を迎え撃つ!」

 あの要塞もどきの外殻は、小惑星の破片をかき集め、それをアンカーで取り付けただけの代物だ。だが、そのアンカーの一つが衝撃を感知すると、一斉に爆破するようになっている。

 で、その殻に隠された部分が顔を出すのだが、そこにあるのは大型商船だ。

 全長五十キロ、船歴は二百年を超えており、すでに寿命を迎えて廃船が決定している。そこでこの中性子星域に持ち込まれ、あの中性子星めがけて廃棄処分される予定だった船だが、それをタダで引き取った。それがあの要塞もどきの中心に鎮座している。

 もちろん、ただの商船ではない。強襲艦隊、そして人型重機隊を迎え撃つためにとある仕掛けを施してある。それはまさに「開けてびっくり玉手箱」だ。

 さて、敵の指揮官はその玉手箱を目の当たりにして、どう動くか?


◇◇◇


 無数の青白い閃光が襲い掛かる。人型重機隊だけではない、少し離れたこの強襲艦隊にもそれは放たれる。数百、数千、いや数万丁はあるであろう対空機銃による攻撃であることはすぐに察した。

 そして、それは岩の奥にある物体から放たれている。

「重機隊、全機速やかに後退! 核融合弾は投棄、撤退を優先せよ!」

 もはや攻撃どころではない。直ちに撤退しなければ、シールドが尽きた重機から順にあの対空機銃のビームに食われてしまう。もはや足手まといとなりつつある円筒形の核融合弾を投げ捨てて、後退を始める九千機の重機。無数の青白い光の雨にのまれ、爆発四散する核融合弾。

 くそっ、てっきり艦隊戦用の兵器が隠されているかと思っていたら、狙いは最初から強襲艦隊だったということか。まったく油断ならない相手だ。この私が、またしてもはめられてしまった。

「スクリャロフ閣下! 敵艦隊一千、動き出しました!」

「しまったな、やはり感づかれたか」

 こうなることは想定済みだったのだろう。三万キロほど離れた位置にいるあの一千隻の艦隊が、こちらに向けて動き出した。

「急ぎ回収だ。敵艦隊が来るぞ」

 もはや破壊工作どころではない。大急ぎで逃げなければ、今度はあの一千隻の艦隊に喰われてしまう。そこで撤退命令を示す発光信号を送るが、それが実行困難であることはすぐに分かる。

 少なくとも五百キロは離れないと、あの対空機銃の雨からは逃れられない。こちらが人型重機のいる宙域に入り込み救い出そうにも、あの十字砲火の中に飛び込んではこちらもシールドを解くことができず、重機隊を回収できない。

 となれば、一刻も早く重機隊を偽装要塞表面から離れさせるしかないが、それを阻むべく、あの艦隊が接近し始めた。

「くそっ、電波管制だ! 無線を封鎖し、こちらの位置を悟られるな!」

 こうなったら、味方が安全圏に脱するまでの間、強襲艦の持つステルス性を最大限に活かして隠れ続けるしかない。


◇◇◇


「敵艦隊はまだ捉えられないのか?」

「はっ、再び電波管制を敷いた模様です。通常のレーダーでは捉えられません」

 なんてことだ。大体の場所はわかるのだが、いくら狭い宙域とはいえ、半径五百キロの範囲に散らばる全長百メートル程度の艦艇を、三万キロも離れたこの場所から見つけ出すなど至難の業だ。

「指向性レーダーは?」

「何発か放ってますが、未だ反応なし」

 ある程度、敵の位置が分かれば指向性レーダーで捉えられるのだが、何のヒントもなければ無理だ。大きな湖の岸から、湖底の小石を探すようなものだ。

「やむを得ない。もう少し接近し、敵艦隊を捕捉する。全艦、前進せよ」

 仕方なく僕は艦隊を進める。距離数百キロまで近づけば、いくらステルス性の高い強襲艦といえども、こちらの近距離レーダーで捉えることができる。この間の戦いの決着を今、着けてやろう。

「で、敵の人型重機隊はどうなっている?」

「全機、外殻から離脱した模様、ただしあの廃船に取り付けた短距離レーダーが捉え続けているため、対空機銃による攻撃は続いています」

 おそらくは離脱命令を受けたのだろう。少なくとも五百キロほどは離れないと、あのハリネズミのように対空機銃を生やしたオンボロ船の攻撃から逃れることはできない。

 しかし、我ながらうまく考えたものだ。戦艦よりも大きな船をベースにした四万丁もの対空機銃基地をこしらえて、強襲艦隊と人型重機隊を翻弄する。予定通り、奴らは引っ掛かってくれた。上手く行き過ぎだろう。こんなに嬉しいことはない。

「単横陣へ転換しつつ微速前進、おそらくは人型重機隊が集結する場所に強襲艦隊が現れる。そこを捉えて、一気に叩くぞ」

 この戦闘指揮所にて僕は、次の行動を指示する。敵の人型重機隊はすでにロックオンされており、どれだけ離れようが指向性レーダーが追尾し続ける。遅かれ早かれ、あれと強襲艦隊が合流するはず。それを追い続ければ、かならず強襲艦隊を捉えることができる。その後に一斉砲撃、あの忌々しい艦隊をついに葬ることができる。

「敵重機隊、距離五百まで離れました。全機、エンジンを停止しつつ、慣性航行にて要塞を離脱しております」

 逐一入るレーダー手の報告から、敵の重機隊が我が対空機銃基地の射程外に離れ、集結しつつあることを知る。いよいよ強襲艦隊と合流するつもりのようだ。僕はさらに下令する。

「そろそろ出てくるはずだ。短距離レーダーにて、何としても敵の強襲艦隊を捉えよ」

「はっ!」

 すでに敵重機隊までの距離は七百キロ。その近傍に、確実に強襲艦隊は潜んでいる。あれを回収しなければ帰投できない以上、どうしたって我々の前に姿を現さざるを得ない。その瞬間を狙う。まさに緊張の時だ。

 ところがである。まさに敵を捉えようとしたこの時、異変が起きる。

「レーダーに異常! ノイズ発生、探知不能!」

「なんだと!? 他艦のレーダー情報を、データリンクにて映せ!」

「ダメです、全艦にてノイズ発生! 索敵できません!」

 いきなりの異常事態だ。モニターからは、我が艦隊がすっぽりとノイズの海に飲まれていると分かる。しかし、なぜ?

「まるで眩光弾の只中にいるような状態だな。しかし、光はないぞ?」

「はい、何が起きているのか、さっぱり……」

「ともかく、分析を急げ! なんとしても敵を逃すな!」

 油断した。まさかこんな手で来るとは……そういえばユルゲルス中将が建設中の要塞を破壊された戦いの折、やつらがノイズを発生する仕掛けを使ったという報告をしていた。まさか、それを使われているのか?

 ということはだ、強襲艦隊は今、あの人型重機隊には向かっていない。いるとすれば、まさにこの辺りということになる。

「全速後退、このノイズから離脱する、急げ!」

 敵を追い詰めていたつもりが、まさかこんな手を使ってくるとは思わなかった。僕は急いでこの宙域からの離脱を指示する。ゆっくりと動き出す駆逐艦。

 しかしこの時、煙に巻かれたとは思っていたものの、まさか敵に追い詰められていようとは、考えもしなかった。


◇◇◇


「敵艦隊まで七十!」

 光学観測員が、あの一千隻の機動艦隊までの距離を伝える。当然、今は雑電波弾を使っているから、こちらもレーダーは使えない。原始的な目視のみが頼りだ。

「よし、重機隊発進!」

 ここで私は下令する。一斉にハッチが開き、次々に重機が飛び出していく。

 そう。偽装要塞に送り込んだ重機隊は全てではない。総数一万機のうち、九千機。残りの一千機をここぞというときのために残しておいた。それを全て、あの艦隊に叩き込む。

「この隙に、別働隊の四百五十隻で我が重機隊九千を回収。しかるのちにこの宙域にて合流し、あの機動艦隊に総攻撃を仕掛けるぞ」

「はっ!」

 やつのことだ、どうせ何か仕掛けてくるだろうと思っていた。しかしあちらがステルス性の高い我々を捉えるためには、少なくとも数百キロ以内まで接近する必要がある。人型重機隊の行き先を追いかけていれば、その先に我々が現れると踏んで近づいてくることは当然分かっている。だから敢えて我々のうち五十隻は味方の重機隊へは接近せず、敵艦隊に近づいていた。

 そして今、一千機の重機隊を叩き込む。一千隻の艦隊相手には足りないが、増援がくるまでの間、やつらを足止めすることくらいはできる。

「重機隊、すべて発艦しました! 敵艦隊まであと三分!」

「そうか……で、別働隊の動きは?」

「はっ! すでに九千機の重機隊と接触、これを回収中とのことです」

 面白いほど上手くいっている。今度ばかりは上手く行きそうだ。あちらはまさか人型重機が迫っているなどとは夢にも思うまい。急襲し、損害を与える。そこに上手く別働隊の九千機が加われば、あの一千隻の大部分を沈めることができるかもしれない。

 ピンチをチャンスに変える。今回の作戦は最初からあの機動艦隊が狙いだ。正直言って、偽装要塞の破壊はついでだ。あの艦隊を倒す方が、今後のことを考慮すれば最優先だ。

「まだ、敵の艦隊にたどり着けないのか?」

「スクリャロフ少将閣下、まだ一分しか経過しておりませんよ」

「そ、そうか」

 私の発言に、ドルジエフ大佐が不機嫌そうに答える。確かにまだ一分しか経っていない。勝利の瞬間が迫っていると思うと、たかが三分がとてつもなく長く感じられる。

 いや、勝利を確信したからではないな。何となくだが、不安の方が優っている気がする。

 考えてみれば、あのアルトマイヤー少将がすんなりと負けるなどということがあろうか?


◇◇◇


「おいフリッツ、じゃねえ、アルトマイヤー少将!」

 いきなり戦闘指揮所に怒鳴り込んできたのは、我が悪友だ。

「なんだヨーナス、じゃない、エーベルス少佐」

 少佐に昇進したばかりのこの人型重機パイロットを、僕はやや不機嫌な顔で出迎える。本来なら結構な階級差の間柄だというのに、こいつは遠慮もなしにこう言い放つ。

「敵の艦隊を撃つ絶好のチャンスじゃねえか!」

「は?」

「は、じゃない! あの妨害電波を出している場所に出向けば、敵強襲艦隊がいるってことだろうが!」

「それはそうだろうな。でも、それがどうした?」

「どうしたじゃない! こっちから人型重機隊を全機、発進させれば、それを撃てるじゃないか! これを千載一遇のチャンスと言わず、なんというんだ!」

 僕はこの発言に、ハッとする。言われてみればそうだな。向こうからわざわざこちらに出向いてくれているというのに、どうして何もせず離脱することだけを考えていたのだろうか?

「つまり今、こちらの人型重機隊六千機を全機発進させて、強襲艦隊を強襲しろと?」

「そういうことだ。あちらもまさか襲ってくるとは思ってねえだろう。向こうが意表をついたんだから、こっちも仕返してやれ」

 なるほど、面白いことを言うやつだな。昔から、そういうことだけは頭が回る。僕はその策に乗った。

「ヒンメル中佐」

「はっ!」

「聞いての通りだ。人型重機隊、全機発進だ」

「ですが提督、それでは駆逐艦が身動き取れませんが」

「元々、我々は強襲艦隊を撃つために出撃した。その手段が艦砲ではなく重機隊に変わっただけだ」

「なるほど、了解です。では全艦に重機隊発進を伝達します」

 ヒンメル中佐は敬礼し、すぐに通信士の元へ向かう。といっても、ノイズの真っ只中にあって無線もデータリンクも使えない。使えるのは発光信号のみだ。

 我が艦隊は後退を中止し、急ぎ重機隊を発進させる。敵の艦隊の位置は不明だが、ノイズの発生中心を辿ればだいたいの位置が分かる。そこを六千機で襲い掛かり、あちらを撃滅する。

 まさか駆逐艦隊から人型重機隊が発進するとは思っていないだろうな。いや、そんなことはないか。考えてみればこの間の大会戦ではまさに重機隊を使って敵を翻弄したばかりだったな。

 しかし、強襲艦隊相手に人型重機隊で挑むとは思っていないはずだ。だから、この戦術には十分に意味がある。そう考えた僕は、発進を命じた。

 だが、この発進命令が思わぬ形で我々を救うことになる。

 ハッチが開き、ちょうど重機隊が発進を開始した、その時だった。いきなりエーベルス少佐からレーザー通信で、思わぬ知らせが入る。

『敵の重機隊、我が艦隊下方より多数接近!』

 なんだと? 敵の重機隊だって? いや待て、いくらなんでもこんな短時間のうちに、五百キロ離れた重機隊がやってこられるわけがないだろう。

 だが、発進した味方の重機隊が一斉に発砲する。するとその反撃が、下方から押し寄せてくる。無数のビーム閃光がすぐ脇を掠めるのが見える。

『シールド展開! 急げ!』

 艦内放送から艦長の指令が響く。直後、バリバリとシールドの反応音が鳴り響く。どうやら敵の重機隊からの攻撃を、展開したシールドが弾き返したらしい。

 間一髪だった。もしもエーベルス少佐の進言を聞かずに後退を続けていたら、我々はこの奇襲によって沈められていたかもしれない。背筋がゾッとするのを感じる。

「重力子反応の数、およそ一千。敵の重機隊によるものと思われます」

 重力子観測員からの報告によれば、接近する敵重機隊の数はおよそ一千。どうやらあのハリボテ要塞に取りついた九千機ではないようだ。そういえば強襲艦隊には人型重機が全部で一万機あるはずだ。そのうちの九千機しか発進していないと言うことは、残りの一千機が温存されていたことになる。

 その一千機を全て、こちらに振り向けてきたということか。

「しまったな、まさか予備兵力を保有していたとは……」

「提督、現在我が重機隊六千が、その敵の一千機と交戦中です」

「そうか。対空機銃の方はどうか?」

「機銃でも迎撃しておりますが、味方との乱戦状態にあるため、なかなか撃てません」

 ヒンメル中佐から戦況を聞くが、どうやら乱戦時のジレンマに陥ってるようだな。こうなると、味方の重機隊の奮戦に期待するしかない。

 だが、不意に敵が現れてくれたおかげで、本来の強襲艦隊への攻撃ができなくなっている。これでは何のために出撃させたかが分からなくなってしまう。

 外部を映すモニターからは、その乱戦ぶりが見える。あちこちで発砲、青白い光が縦横無尽に飛び交う。対空機銃も時折放たれるものの、このノイズ下の戦闘ではレーダー誘導が効かず、目視または画像認識による攻撃しかできないため、命中率が異様に悪い。

『敵機、接近! 三機編隊! 撃てーっ!』

『外れ! また来るぞ! 今度こそ当てろ! 撃てーっ!』

『おい、当たらないぞ! 貴様、有視界訓練で何やってたんだ!』

 悲痛とも愚痴ともいえる戦闘員らの叫び声が、この戦闘指揮所にまで流れてくる。銃座からの映像も見えるが、この艦を狙い撃つ赤褐色の重機が接近して一撃、すぐに離脱を繰り返す。あの動きを見る限り、かなりの手練れだ。やはりあの強襲艦隊にいる人型重機のパイロットは熟練揃いなのだろうな。それを思わせる巧みな動きで、こちらの目視攻撃を軽やかにかわしつつ攻撃を繰り返す。

 時折、その敵のビームが着弾して爆音が響く。その度にこの旗艦のバルリング艦長の声で艦内放送が入る。

『被弾箇所を点検、損害報告!』

『艦左舷に着弾! 損害軽微! 気密性に支障なし!』

 幸い、船体表面にのみ被弾しているが、これが噴出口に当たっていたらと思うと冷や汗が出る。毎回、爆音が響くたびに僕は、心臓がキュッと締まるような想いを繰り返す。

「なあ、中佐よ」

「何でしょう、提督」

 僕は参謀長であるヒンメル中佐に、ふと話しかける。

「ふと思ったのだが、これはまずいのではないか?」

「いい状況ではありませんが、敵は一千、味方は六千機です。数の上で優っているため、今のところは優勢のようです」

「いや、それは『今のところ』だろう。敵にはまだ、九千機の重機がいるんだぞ」

「あ……」

 そう、僕はふと思った。このまま時間を稼がれては、敵の主力がここに押し寄せてくる。距離は五百キロ、あれを回収し、ここまで運んでくるまでに十分程度あれば可能だ。そしてすでに戦闘が始まって、まさに十分が経とうとしていた。

 何か、打開策はないのか?

「全艦に伝達、砲撃戦用意!」

「は?」

 僕のこの指令に、ヒンメル中佐が不可解そうな返事をする。

「提督、砲撃と言っても、どこを狙うのですか?」

「あのノイズ発生源の中心位置はだいたい分かっているだろう。そこを目掛けて砲撃する」

「いや、しかし……」

「威嚇砲撃だ、まぐれでも当たるかもしれない。復唱はどうした!?」

「はっ! 砲撃戦用意を伝達します!」

 こうなったらやぶれかぶれだ。こっちは砲艦隊なんだ、その砲艦が主砲を撃たずして沈むなど、名折れも甚だしいではないか。そう思った僕は、ともかく砲撃戦開始を命じる。

『主砲装填、目標、ノイズ源中心! 撃ちーかた始め!』

 この旗艦の艦長が、砲撃戦開始の号令を発する。と同時に、キィーンという主砲装填音が数秒間響いたかと思うと、人型重機らが放つビーム光とは比べ物にならないほど極太の光の柱が、漆黒の闇を貫く。

 ガガーンという発射音が鳴り響く。敵味方の重機は、この突如始まった砲撃に驚き、一時攻撃が止む。軸線上にいた機体は慌てて回避運動を行い、辛うじて難を逃れる様子がこちらのモニターからも見える。

 しかし、正直言えばなんの展望もない砲撃戦だ。これで何かがひっくり返せるとは思えない。まぐれ当たりでも起こってくれれば反転攻勢のチャンスをつなげられるのだろうが、そんなラッキーがそうそう起こりうるとは考えられない。

 ……はずだったのだが、そんなラッキーが、起きてしまった。

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