#13 激突
「敵艦隊左翼側面まで、距離七百!」
我が強襲艦隊は、敵を目前に捉えていた。敵もまさか、艦隊側面に我々がすでにこれほど近くまで取りついているとは考えてもいないはずだ。
「まもなく、砲撃戦が開始されます。あと三分」
「よし、砲撃戦開始と同時に、重機隊全機発進、敵左翼を強襲する!」
「はっ!」
おそらくだが、あの一千隻の機動艦隊は右翼か左翼のどちらかにいる。それは間違いない。あの機動力を活かした戦術を使って我が艦隊の側面に回り込むとすれば、中央にいては飛び出しづらい。
だが、どっちにいるかまでは分かるはずもない。一千隻の特殊艦隊といえど、通常の艦隊とは見分けがつかないからだ。確率は五十パーセント。仮にこれが外れたとしても、我々強襲艦隊の目的は敵の一角を混乱状態に陥れ、戦闘継続を困難にすること。ただそれだけだ。その相手が、あの一千隻である必然性はない。
そもそもこの戦いに、あの特殊な戦術を用いる必要があるかと言われると、甚だ疑問だ。いくら一千隻といえど、大口径砲が主力の駆逐艦ばかりで構成された集団。どのみち駆逐艦が砲撃戦を行うためには、相対速度をゼロ近くまで落とさなければならない。ステルス性も小型の強襲艦よりも劣るから、隠密行動からの奇襲にも向かない。
移動しながら砲撃する「移動砲撃」という手もあるにはあるが、あれはあまりにも命中率が低過ぎる。この広い宇宙でそれを行うのは、例えるなら走る馬の上から細い針を投げて、宙を舞う蝶を落とすようなものだ。まず当たらないと思った方がいい。
だから、砲撃戦重視の駆逐艦だけで構成されたあの艦隊が活躍する場などあり得ないと考えるのが普通であるが、それでも私はあれが投入される可能性が大きいと考える。それは今も、この艦隊のどこかに潜んでいる。
そして、確実に何か仕掛けてくる。
「両陣営、砲撃戦を開始、艦隊戦が始まりました!」
と考えている間に、ついに戦闘が始まった。私は号令する。
「重機、全機発進!」
十基の格納庫のハッチが一斉に開くと、中から全長九メートルの人型重機が飛び出す。全部で二十機。四百二十隻の強襲艦から無数の人型重機が、まるで風に吹かれたタンポポの綿毛のように飛び出していく。
「全機発進完了、到達予定時間はおよそ十分後!」
「向こうからも、重機による反撃があるかもしれない。念のため、こちらも対空戦闘用意だ」
「はっ! 対空戦闘用意!」
実はこの人型重機は、我々も敵もほぼ同じものを持っている。それどころか駆逐艦も強襲艦も、敵も味方もほとんど同じ構造だ。
というのも、これらは元々、地球〇〇一がもたらしたものだからだ。その地球〇〇一と敵対する我々でさえ、やつらの技術を使って戦っている。違いといえば、我々が赤褐色に染めているのに対し、向こうは明灰白色という明るい灰色で統一していることぐらいだ。
地球〇〇一というのは特別な星だ。それを味方に持つ連合側はそれだけでも有利だ。が、そのわりに我々の持つ技術とさほど大きな違いはない。昨今はあまり、技術的進歩がないようだ。
とはいえ、やつらにはアドバンテージがある。その一つが、機関だ。
三十分限定ながら、我々の持つ重力子エンジンよりも大出力を出すことができるようだ。その威力はすさまじく、重い駆逐艦を光速の十パーセントほどまで増速できる。軽量化して機動性を増した強襲艦でも追い付けない加速、これはかなりの恐怖だ。
その大出力を活かして、例の一千隻は機動戦術を仕掛けてくる。
が、艦隊戦をする限りでは、この加速はほとんど意味がない。動きながら狙い撃ちはできないため、結局は相対速度を合わせての撃ち合いとなる。それゆえに機動力を活かした戦術は、少数精鋭が基本となる。
一万を超える艦隊相手に、どうやって少数の艦隊による奇襲で効果を出すか? その答えの一つが、我が強襲艦隊だ。
だが、あの一千隻の艦隊も、もしかしたらもう一つの答えとなりうるかもしれない何かを持っている可能性がある。
それを阻止するのが、我が艦隊の使命でもある。
◇◇◇
「敵強襲艦隊、出現! 左翼側に被害が出始めてます!」
「そうか。で、敵の勢力は?」
「はっ! 人型重機、およそ八千!」
以前よりも少ないな。僕が指揮官代理をした際に与えたダメージが、まだ回復していないということか。
「左翼側の地球二一五はかなり苦戦中の模様。対空戦闘で対抗しているようですが、すでにニ十隻以上が撃沈、または航行不能に陥っている模様です」
ついに動き出したか。だが、まさか戦闘前に我々の艦隊側面に潜んでいたとは。予想以上に早い強襲艦隊の投入に、僕は出遅れを感じる。
「こうなったら、対抗してこちらも動くとするか。総司令部に打電、第二遠征艦隊、直ちに出撃する、と」
「はっ!」
強襲艦隊動くの報に、僕も作戦実行を決意する。いくら数が多いとはいえ、こちらが一方的にやられっぱなしというのはこの先の士気にも関わる。
「第二艦隊、全艦、最大戦速!」
僕は号令をかける。右翼側の一千隻は砲撃を停止し、一斉に前進を始める。
「作戦命令書通りの手段で、敵艦隊右翼を攻撃する。総員、攻撃準備」
一度、我が艦隊は大きく外側に膨らむ。やや弧を描きつつ、敵艦隊の左側面に突入を開始する。
「艦隊突入と同時に、人型重機隊を発進するのですね」
「そのタイミングはヒンメル中佐、貴官に任せる」
「その直前に、あれを撃ち込むのですね」
「そうだ。あれがなければ、とても駆逐艦が敵艦隊に肉薄などできないからな」
駆逐艦はステルス性が低い。強襲艦隊のように隠密行動がとれない。それゆえに、人型重機を突入させるにはあまりに不向きな艦艇だ。
が、あえて駆逐艦隊により人型重機を突入、ちょうど今、敵の強襲艦隊がやっているような「切り崩し」を行う。もっとも、そのままでは反撃を受けてしまうため、二つの仕掛けを準備した。
が、果たして上手くいくのだろうか? なにせ、ぶっつけ本番だからな。
「敵艦隊まで、あと三万キロ!」
「減速を開始! 雷撃戦用意! 全艦、眩光弾発射準備、レールガン発射口に装填!」
逆噴射音と同時に、僕はその一つ目の仕掛けの準備を命じる。
眩光弾とは、まばゆい光を出す実体弾だ。炸裂すれば、直径百キロの強烈な光と雑電波をまき散らし、一種の光の壁を作り出す。
もっとも、その正体はただの光だから、中心部付近を除けば攻撃力はない。元々は撤退支援用に考え出された防御兵器であるため、攻撃を目的とはしない。
今回はこれを、まさに敵の目を眩ませるために使う。
「眩光弾、発射! 撃てーっ!」
その防御兵器を、このタイミングで打ち込む。バスッ、バスッと左右のレールガン発射口から放出される実体弾は、あっという間に虚空の闇に吸い込まれていく。
「全弾、発射を確認! 炸裂まで一分三十秒!」
「続いて、人型重機隊を発進させる! 重機隊全機、発進!」
「ハッチ開け、重機隊、全機発進!」
駆逐艦に搭載された人型重機が全機、発進する。通常、駆逐艦には航空機二機か、あるいは航空機一機と人型重機を二、三機備えるというのが普通だ。
だが、この艦隊では航空機を積まず、二つある格納庫にそれぞれ人型重機を三機づつ収納する。全部で六機。これが一千隻あるから、六千機の人型重機が搭載されている。
それが全機、発艦した。迫りつつある敵艦隊左翼に、一斉に向かっていく。
「一撃離脱の作戦となります。すれ違いつつ攻撃、しかる後に回収、という流れです」
「ディーステル大将に連絡、眩光弾を合図に右翼側の地球五四一艦隊に、敵艦隊左翼への攻撃を集中してもらうよう打電せよ」
「はっ!」
人型重機による攻撃では、ほとんど被害を与えることはできないだろう。だからむしろ我々は混乱することに専念し、それに乗じて味方の艦隊が撃つ。そういう作戦だ。
『おい、めちゃくちゃ速いぞ! これじゃ当てられないだろう、何とかしろ!』
ところが、直接通信で早速泣き言を入れてくるやつがいる。僕は答える。
「当たらなくてもいい、とにかく、敵をかく乱することに集中しろ! あとは味方の艦隊の砲撃が、何とかしてくれる」
『それってつまり、味方の砲撃をも避けながら攻撃しろってことだろう! 無茶苦茶だぞ!』
「当たらなければ、どうということはない! 第一、狙ってもいない相手ならばそうそう当たるものでもない! つべこべ言わずに、作戦に専念しろ!」
悪友、エーベルス大尉からの文句が、この司令部のある艦橋に直接入ってきた。だが、元々この作戦では人型重機の命中率にはそれほど期待してはいない。あくまでも主力は砲撃だ。
などとしているうちに、眩光弾の炸裂時間が迫っていた。
「炸裂まであと三、二、一、今! 弾着!」
オペレーターの声と共に、猛烈な数の光の玉が一斉に炸裂する。それはちょうど敵の艦隊のやや中央寄り。その光の玉を受けて、その周囲の砲撃が一斉に止む。
この光の壁が光っている数十秒間は、一部の艦隊の砲撃ができない。これは逆に言えば味方もこの光の壁の向こうにある敵の艦艇を撃つことができない。だが、その分の攻撃力を一時、我々が急襲している艦隊に振り向けてくれればいい。
敵のかく乱、攻撃の集中、この二つを狙って、あの光の壁を作り出す兵器を使ったというわけだ。
「重機隊、攻撃を開始します! 敵、対空機銃による攻撃あり!」
「こちらも援護する。砲撃戦、用意!」
「はっ、砲撃戦用意!」
「敵艦隊側面、移動砲撃をかける! 撃ち方、始め!」
ほぼ同速度で進入する人型重機が敵の艦隊内に突入する前に、まずこちらから砲撃を加える。といっても、移動しながらの砲撃だ、当たるわけがない。
だが当たらずとも敵は混乱する。まぐれ当たりでも大変なことになるから、気を遣わざるを得ない。その混乱に乗じて、我々の放った人型重機が突入する。
この駆逐艦の窓からも、敵の艦艇の艦橋、およびその中の乗員まで見えそうなほど接近している。放たれる対空機銃のビーム弾が、こちらのシールドにもビシビシと当たる。
時折、爆発光が見える。どうやら、重機からの攻撃が何隻かに当たったようだ。期待していないとはいえ、損害を与えられるならそれに越したことはない。が、それ以上の戦果が、正に砲撃によって生み出されようとしている。
ものすごい密度の砲撃が、こちらに向かって放たれる。あれは味方の砲撃、おそらくは地球五四一艦隊によるものだ。当然、こちらの脇をその無数のビーム光がかすめる。当たらないとは思うが、さすがにここまで近いと生きた心地がしない。
「このまま、艦隊を離脱する! 進路そのまま、両舷前進いっぱーい!」
その味方のビームのシャワーをかわしつつ、増速して通り過ぎる。敵の反撃があるだろうから、このまま勢いよく逃げ切るつもりだ。
そうそう、我々は発進させた人型重機隊をまだ回収していない。見捨てるつもりか? いやいや、そこにはもう一つの「仕掛け」が活かされる。
◇◇◇
「なんだと!? 一千隻の艦隊が、艦隊左翼を急襲しただと!」
「はっ! 地球五七六の被害は甚大、少なくとも三百隻以上が失われたとの報告が入っております」
いきなり、まばゆい光の玉が光ったかと思うと、短時間の内に甚大な被害が出ている。援軍として駆け付けた艦隊が、まさに壊滅的な被害を受けたところだ。
それをなしたのが、一千隻の艦隊から放たれた人型重機隊だという。しかもやつら、一撃離脱で通り過ぎてしまった。今回の被害は人型重機やその一千隻というより、正面からの砲撃によるものが大多数とのことだ。とはいえ、その原因を作ったのはその一千隻の艦隊による人型重機隊による混乱と、あの光の玉だ。
してやられた。まさか、そういう攻撃を仕掛けてくるなど予想すらしていなかった。よりにもよって、あの機動艦隊が我々の攻撃した相手とは反対側にいたとは。二分の一の確率を外してしまったことに、少し後悔する。
「で、その艦隊は今、どこに?」
「はっ! 我が艦隊後方を大きく迂回しつつ、右翼側に向かいつつあります」
「ちょっと待て、そういえばやつら、人型重機隊を回収したのか?」
「いえ、その兆候は見られません」
「人型重機隊を回収するためには一度、停船せなばならない。動いたままでは、重機のエンジンでは追い付けないだろう。まさかやつら、味方を見捨てたのか?」
「いえ、それが不思議なことに、重機隊もあの駆逐艦隊と共に増速し、そのまま迂回しつつ回収されているようなのです」
「どういうことだ。まさか、高速な人型重機のエンジンでも開発したというのか?」
「分かりかねます。ただ、これまでにそのような報告は受けてはおりません」
我々、強襲艦隊は人型重機を使った戦術を展開している。
が、その重機隊を回収するために、我々は一旦停船して、各機が格納庫内に収まるのをひたすら待たなくてはならない。その間に船が動いてしまえば、重機は振り落とされてしまう。この回収のタイミングが我々にとっては一番無防備な、まさに「死の時間」だ。可能な限り、この死の時間を縮める訓練をしてはいるが、ゼロにはできない。
その死の時間を狙われたのが、前回のあの百隻の損害だ。逆に言えば、あの一千隻の艦隊が人型重機を回収するその隙を突けば、我々はあの艦隊に損害を与えることができる。
と思いきや、あの艦隊は止まることなく、そのまま離れてしまった。しかも移動しながら人型重機を回収しているという。どうやったらそんなことが可能なのだ?
「確実に言えることが、一つあるな」
「なんでしょうか?」
「簡単だ。あの艦隊は迂回しつつ、我々のいるこちら側に向かってきているということだ」
「おっしゃる通りです、閣下」
「よし、人型重機隊を呼び戻す! あの艦隊との決戦に備えよ!」
すでに百隻以上に損害を与えつつある我が重機隊だが、あの特殊な機動艦隊との決戦に備えて呼び戻すことにした。どのみち、あれが出てきたら攻撃する算段になっていた。元々の狙い通りに、我々は行動することを決意する。
◇◇◇
「どうやら『犬のお散歩』作戦、上手くいっているようですねぇ」
満足げにそう語るのは、ヴァルター中尉だ。
この一撃離脱戦法で最大の難関は、人型重機隊の回収だ。あれのためにいちいち止まっていたら、狙い撃ちされてしまう。
このため、強襲艦は小型でステルス性を上げて見つかりにくくしているのだが、駆逐艦はその図体が大きすぎるため、隠れることができない。そんな艦が立ち止まって重機隊を回収するなど、無謀極まりない。このため、立ち止まらずにどうやって人型重機を回収するか? という点に頭を悩ませていた。
が、そこでヴァルター中尉からとある提案があった。
簡単に言えば、カーボンナノチューブ製の細くて丈夫なワイヤーでくくり付けてしまえばいい、というものだ。
格納庫ひとつあたり三機の人型重機がいるが、そのうちの一機にこのワイヤーを取り付ける。
で、発進し、一撃離脱した後に、フリーの二機はワイヤーのついた一機にしがみつく。その後、加速し離脱した後、安全な宙域にてそのワイヤーを巻き上げつつ回収する。
三分の一の重機の行動に制約がかかるが、それでも駆逐艦をとどめることなく作戦行動が可能なこのアイデアは、我々にとって画期的なものだった。
しかし、だ。その「犬のお散歩」作戦というネーミングはなんとかならなかったのか? その見た目からつけた名前だというのは分かるが、おしゃれなカフェに出入りできる中尉とは思えないほどのセンスのなさだ。
「報告。現在、回収作業は完了し、全艦、次の作戦行動に移せる状態になりました。なお、未帰還機は十五機とのことです」
「十五機か……」
「つまり、五本のワイヤーが切断されて、その先の三機すべてが未回収ということです」
それは撃墜されたのか、あるいは負荷がかかり過ぎてちぎれただけなのか。それは分からないが、ともかく撃墜されていないのなら、戦闘終了後にそれを回収するという手段がまだある。
「ともかく、まだ戦闘は終わってはいない。我々の次のターゲットは、あの艦隊だ」
「例の強襲艦隊ですね」
「そうだ。このまま大きく敵の艦隊を迂回し、我が艦隊左翼に取りついたあの強襲艦隊を撃滅する」
「はっ! では、このまま大きく反時計回りに回りつつ、敵強襲艦隊に向けて進撃します!」
ヒンメル中佐は早速、次の作戦に向けての指示を我が第二艦隊全艦に向けて伝える。僕はその間、司令官席にて正面のモニターを見る。
敵艦隊は元々、数が少ない。その上で我々が左翼を崩し、さらに眩光弾が生み出した混乱も重なり、後退を始めつつある。
わが軍の左翼も強襲艦隊の襲撃を受けて崩れかかったが、敵の人型重機隊が早々に引き上げたため、被害は思ったよりも少ない。体制を立て直し、再び秩序ある砲撃を行うまでに回復した。
が、そのおかげで強襲艦隊が今、どのあたりにいるのかがまったく分からない。この艦隊の動き次第では、せっかく敵艦隊を追い込みかけたこの流れを止めかねない。このため、我々は全力であの強襲艦隊を捜索する。
いっそ、この艦隊に強襲をかけてくれれば探す手間が省けるんだけどなぁ。もっとも、その時は我が艦隊のピンチだ。こっちも人型重機を持っているとはいえ、あちらよりも少なく、かつ練度や経験値が低い。正面からぶつかり合えば、勝ち目はない。
さて、どうするか。もっとも、あの強襲艦隊に襲撃されたときの策は一応考えてある。だから襲われても何とかなるだろう、多分。
◇◇◇
「スクリャロフ少将、敵の機動艦隊一千が、距離七百まで接近!」
「きたか」
例の艦隊が接近してきた。こちらにはまだ気づいていないようだ。
「相対速度を合わせ、人型重機隊を発進、突入させる」
「はっ!」
あの機動艦隊が、目前に現れた。となれば、こちらはいつもの戦術をもって迎え撃つ。こちらの八千機の重機隊をもって、やつらを殲滅する。
すでにこの艦隊戦の行方は怪しくなりつつある。元々の数の差もさることながら、それに加えてあの一千隻の艦隊が作り出した混乱で、味方の士気が大いに下がってしまった。すでに艦隊の半分以上が後退を始めている。
認めたくはないが、敗け戦は確定だろう。ならば一矢報いてやらねば気が済まない。今後のことも考えて、あの艦隊を完膚なきまで叩きのめす。それを果たさねば意味がない。
差し違える覚悟で、我が艦隊はあの艦隊に接近する。いつもより近い距離三百キロで重機隊を発進、逃げる隙も与えないつもりだ。
そして、ついに三百まで迫る。
「重機隊全機、発進せよ! 目標、敵機動艦隊!」




