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1話 出家、私お坊さんになります

 桜が咲く頃に一人の女性、美代はとあるお寺に向かっていた、それは親元を離れ僧侶になるために出家するからだ。

 最初は親に僧侶になるから家を出ていくと言うと猛反対されたが僧侶になりたいという熱い気持ち毎日のように語っているうちに許しを得るようになり今に至る。

 だが僧侶になるための許しを親に得て喜びの気持ちはあるがその半分、不安の気持ちもあるのだ。

美代は出家すると今までの生活とはかなり段違いの生活がこれから待っていることに不安があった。                  

 出家とは俗世「世の中」と離れ仏門に入り仏になることだ。そのため俗世を形どる、財欲、色欲、飲食欲、名誉欲、睡眠欲を断ち切るため食欲旺盛で肉が好きな美代にとってはとても辛いことであった、僧侶の食事は精進料理と言われ肉や魚は使用せずとても質素な内容の料理になっている。

 それに本当にこんな所で生活していけるのかという不安があった、だがそんな理由がありながらも美代には出家したいという気持ちがあったのだ。


 そんな気持ちを抱えながらやっとお寺に着いたのだ。

「ここかぁ」

 その声には不安や期待が入り交じっているように聞こえる。

「こんにちわ」

 元気よく挨拶をする美代の目の前には一人の尼さんがいた。

「はい、いらっしゃいましたね。それではこちらへ」

 今日はお坊さんになるための儀式、得度式を行うのだ。尼さんは美代を本堂へと案内し、儀式の準備を行い、初めに袈裟と呼ばれる衣を着せられ得度式が始まった。

 次に座布団の上に正坐で座り、その後、経文を読み上げる読経が始まる。

 無言のまま美代はただひたすらに黙って聞いていた。

得度式では出家して僧侶となる決意を問われ修行とはどういうことかを教わり社会や父母に別れの挨拶をし出家の覚悟をする。


  その後、髪の毛を剃る剃髪の儀式が行われる。

 美代は僧侶になる決意を言い剃髪の儀式を行われ徐々に髪の毛が剃り落とされていき頭の髪の毛が一切無くなった。

 そんな自分の頭の髪が無くなった美代は心の中でこう思っていた。

(意外とさっぱりするもんだな、それに結構、頭がすうすうする。 高校球児もこの感覚を体験しているのだろうな)

 こうして美代は僧となり、僧侶としての日々を過ごしていく。


 やがて日が暮れ夕食の時間になった、仏教では昼の十二時以降は食事をしないため、食事ではなく薬として解釈し「薬石」と呼ぶようになった。薬石は食事ではないという扱いのため残り物を食べる。

 食事の内容は玄米粥、沢庵、黒ごま塩の三種類だが食欲旺盛の美代にとってはこれでは物足りないようだ。

(これじゃたりないよ、そういえば出家する前にステーキ食べ放題に行けばよかった…)


 その後、夜の座禅「夜座」が行われ座禅は一本の線香が燃え尽きる時間の約四十分間、行う。

 そんな中、美代はこう思っていた。

(じっとしているのも結構辛い)

 座禅が終わると解定 「就寝」で次の日の準備が整い次第、眠りにつく。

 

 美代は就寝の前にお手洗いに行っておりそこで美代と同じ一人の女性の修行僧に会う。

「君、新人だよね」

 美代はその女性に声をかけられたのだ。

その女性は美代より少し年上に見えるのだがどこか大人びている雰囲気があった。

「はい、あなたは?」

「私はこのお寺に来てから一年目なんだ」

「へえそうなのですね。でもなぜこのお寺に修行を?」

「うーん、いろいろあったけど一番はこのお寺の住職であるお方と知り合いでね。それでここに来たんだよ。君はどうして出家したの? 何かきっかけでもあったのかな」

「高校の時に学校にお坊さんが講演会に来てくれた時にその人の話を聞いてすごく感激したんです。だから自分もいつかこんな風に人のために尽くせるようになりたいなって思って」

美代は目を輝かせながらその人に熱く語ったのだ。


「 あと親にも反対されたのですがどうしても出家したいと言って説得したら許してくれました 」

「そっか、いい両親だね。私の両親は私が高校生の時に亡くなっていて親の顔とかあんまり覚えてなくて。だけど君の両親の顔はとても優しそうだ。羨ましいな。ところで名前何だっけ?」

「あ、すみません。自己紹介がまだでしたね。私の名前は美代と言います。よろしくお願いします」

「うん、こちらこそよろしく。私は琴乃って言うの。これからよろしく。」

 それから美代は琴乃という仲間ができたのだ。

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