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フィクションズメイド  作者: 秋風
ルールブック
3/4

フィクションズメイド導入編 ~ Missing Protocol ~

──私はあなたたちの顔を知らないし会ったこともない。けど、私の一番の仲良しはあなたたち。私はそういう存在。


何の変哲もない平日の昼下がり。

空のお菓子袋や惣菜のトレイが無造作に広がるワンルーム。くしゃくしゃのシーツを被せたパイプベッドの上で寝息を立てる男、そいつは俺だ。


ある夢を見た。初恋の夢。


俺の初恋の相手、それはネット上の友達だ。チャットで知り合った、たぶん女の子。

俺はというと、どこにでもいるモブ大学生。最近は大学にすら行っていない。どうせFランだし就職先も期待はできない。

そんな悲劇のヒーローに寄り添ってくれる唯一の女神だった。


パソコンを立ち上げチャットアプリを開くと1件の通知がきていた。


「今日は何時頃に行きますか…?」


彼女はかなり控えめだ。正直話していてあまり楽しいと感じたことはないがほぼ毎日のように俺とゲームに付き合ってくれるのだから文句のつけようがない。


いつものように好きなアニメについて話していると唐突にこんな意味のわからないことを言い出した。


「世界から消えたいと思ったことってありますか…?」


このメッセージが来てから何日もメッセージが途絶えていた。

ネットの関係なんて消滅するのが早い。

特段珍しいこともないので気に止めないようにしていたが、やはり毎日、起きている間は常にチャットのやり取りやゲームを楽しんでいた仲だ。引っ掛かりはある。


それからどれ程の時が経っただろうか。久々に残されていたメッセージの中身は住所だけだった。

ユーザー名もharuka(彼女が好きだったキャラの名前)から"招待者"に変わっている。


住所をネットで調べながら目的地へ急いだ。たまたま県内だったのが救いで、1時間以内にはそこに辿り着いていた。

そして、不思議と外に出る抵抗感も無かったし、かなりのスピードで自転車を走らせていた。


そこは広場と複数の遊具とベンチがあるだけの街角にぽつんと佇む公園だった。ふとベンチに目をやると1切れの紙に書きなぐられた書置きが残されていた。


「I know the weakness of weakest people」

「I know the sadness of weakest people」

「I know desire of weakest people...」


それを読んだ瞬間、脳内のあらゆるシナプスに電撃が走り、全ての表皮から血流が吹き出すような感覚に陥った。

激しい動悸、痛み、熱い……苦しみの末、俺は喉元から大量の何かを吐き出し意識が途絶えた。


Please input any code...

Run anotherworld....

if person == helpless human

>> true

Launch isekai_transporter.exe


次に意識が目覚めた時、俺は知らない町にいた。そして姿形も変わって──。


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