表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
103/122

第95話 未来視の儀式



そうして予定通り会議から3日後、俺たちは未来視の準備が整った。



場所は以前俺とグランドマスターが戦った地下闘技場である。闘技場の床には大々的に不思議な模様の魔法陣が描かれており、ヴェスティガさんによると今回はこの魔法陣を使ってより未来視の成功確率を上げるのだという。


他にもたくさんの魔晶石や魔力回復ポーションなどが闘技場に置かれていた。想像以上に魔力を準備する俺たちもハードな役割になりそうな予感がしている。



「さて、お主たち準備は出来ておるか?」



ヴェスティガさんが魔法陣の最終調整を終えたらしく、立ち上がって俺たちに声をかけてきた。ついに作戦を実行する時がやってきたようだ。俺の心の中ではワクワクする気持ちと上手くいくだろうかという不安な気持ちが入り混じっていた。



そうして厳かな空気の中、4人がそれぞれヴェスティガさんの指定した場所に移動していった。


魔法陣の中にはイルーラさんとセレナ、そしてセラピィが。また俺やグランドマスター、それにヴェスティガさんは魔法陣の周囲を取り囲むように等間隔に待機する。



ちなみにガーディスさんは最終的に魔晶石や魔力回復ポーションを運ぶ役割を任されることとなった。何だか雑用っぽい感じではあるが役割を貰えたガーディスさんは嬉しそうに自らの役割をこなしていた。



「さあ、では始めるとするかのう」



ヴェスティガさんのその言葉を聞いて全員が無言で頷く。

そうして未来視の儀式が開始された。






「まずはセラピィよ、先ほど教えた魔法をイルーラにかけるのじゃ」


「はい!」



するとセラピィはイルーラさんに向かってとある魔法を使用した。

その結果、イルーラさんに綺麗な白色のオーラが発生し始めた。


ヴェスティガさんがセラピィに教えた魔法、それは強化魔法の上位魔法である昇華魔法というものらしい。その魔法は人族が扱うには非常に高難易度を誇る代物であるらしいのだが、精霊であるセラピィにはどうやら俺たちよりはかなり容易に扱うことが出来るらしいのだ。


それにただの精霊ではなく神化精霊であるセラピィにとっては造作もないものらしく、教えてもらってからものの数分で完全に習得してったらしい。俺も少し挑戦してみたが全くできる気配がしなかった。


なぜ精霊の方が使いやすいのかというのは詳しくは分かっていないらしい。

ヴェスティガさんがとても悔しがっていたがいつかこの人なら解明するのだろう。



そして昇華魔法というのは強化魔法のようにステータスを底上げするだけではなく、所持するスキルのレベルや効果を底上げする魔法らしい。つまりはその対象の保有するすべての能力を底上げするという破格の魔法ということなのだそうだ。


その魔法によって今回はイルーラさんの魔力、および未来視の魔眼の能力を大きく向上させるのが目的なのだ。これでさらに成功確率が上がるという。



「出来たよっ!」


「うむ、完璧じゃ。それではイルーラ、セレナ嬢、準備のほどはいいか?」



昇華魔法をかけ終えたセラピィは魔法陣の外へと出て待機する。そしてセレナとイルーラさんはヴェスティガさんの方を向いて頷くと互いに向かい合って手を握り合う。



「ではいくぞ!魔法陣、発動!!」



ヴェスティガさんの掛け声とともに地面に描かれた魔法陣がきれいな光を発し始める。するとその次の瞬間にセレナとイルーラさんが立っているところの周囲にある魔法陣の模様が回転し始めた。



「ガーディス!今じゃ魔晶石を入れろ!!」


「おっす!」



ガーディスさんがすぐに近くにある大量の魔晶石をその回転している魔法陣の部分へと投げ込んでいく。普通だったら投げ込んだ魔晶石は地面にぶつかり割れるはずなのだが、なぜか魔法陣の部分に触れた瞬間に魔法陣に呑み込まれるかの如く全て消えていった。



「これで全部だ!」


「よくやった!ではお主たち、魔力をわしと同じ量ずつ流し込むんじゃ!」



そうして俺とグランドマスターはヴェスティガさんの様子を見ながら3人とも同じペースで魔力を目の前の魔法陣へと流し込んでいく。これがなかなか大変な役割で少しでも3人の息が合わないと魔法陣が誤動作、または壊れてしまう可能性があるとのこと。責任が重大過ぎる。



「セレナ嬢、イルーラ!わしが数えるから魔眼を発動させるんじゃ!


「「はいっ!」」



するとヴェスティガさんが大きな声でカウントダウンをし始めた。

その間、セレナとイルーラさんは目を閉じて集中力を高めていた。



「5!4!3!2!1!......今じゃ!」


「「魔眼発動!!」」



カウントダウンとともにセレナとイルーラさんは自らの眼を大きく見開いて魔眼の能力を発動させた。するとセレナとイルーラさんが魔法陣から生えた光の柱に包まれる。



「よしっ!完璧に作動したぞ!あとはこのまま今の状態を維持するのじゃ!!」



俺たちは額に汗を流しながら魔力を一定量ずつ流し込みながら細かなコントロールをし続ける。非常に神経を酷使する役割なのだが、実際のところ光の柱に包まれている彼女たちの方がきつい役回りなのだろう。


そんな中、俺が音を上げるわけにはいかない。

俺はさらに集中力を研ぎ澄ませて魔力操作に意識を全力で向け続ける。









何分経っただろうか、俺には体感30分以上が経過したように感じる。

無限に続くように感じていた未来視の儀式がついに終わりを迎えた。



中心でずっとそびえたっていた光の柱が徐々に薄くなっていき、その数秒後には完全に光の柱はなくなっていた。それと同時に回転していた魔法陣も回転速度がゆっくりになっていき、最終的には完全に止まって発光もしなくなった。



「......ふぅ、これで儀式は終わりじゃ」



俺たちは魔力の注入を終わらして一息つく。全員が体力も精神力もすり減らしていたようで儀式が終わったと同時に地面に力なく崩れ落ちていった。



「お、終わった~!」


「さすがに疲れたわね」


「た、大変でした...」


「いや、こんなにきついことは久しぶりだよ」



俺もセレナ、イルーラさんやグランドマスターも疲労がかなり溜まったようだ。正直もう一回やろうと言われたら今の現状でも少し渋ってしまうぐらいには大変だった。



「お主たちお疲れ様じゃ。それでイルーラよ、視えたか?」



一方、ヴェスティガさんは全く疲れていないのか始まった時と何ら変わらぬ表情をしていた。この人、本当にすごい人なんだなと改めてSランクというのは伊達ではないと実感する。


とりあえずそれは置いておいて本題はここからだ。

イルーラさんがちゃんと未来を視ることが出来たのか、それが重要なのである。



「......ええ、あなたの言う通りだった。かなり先の未来らしき様子を視ることが出来たわ」


「おぉ!!やはりわしの理論は間違っておらんかったか!!!」



イルーラさんの言葉を聞いてヴェスティガさんは嬉しそうな表情で目を輝かせていた。もちろん俺たちも儀式がちゃんと成功したのだと分かり、嬉しさが込み上げていたがヴェスティガさんの喜びと他の4人の喜びは少し違うような気がした。


そんな中、グランドマスターは真剣な表情で本題である内容についてイルーラさんに尋ねる。



「それで教団の、例の男の行動は視えたのか?」


「ええ、おそらく話に出てきた男らしき人物が見た景色にいました。詳しくは後ほど会議室でお話しします」



どうやらついに俺たちはマモン教、ローガンスに対抗する重要な情報を手に入れることに成功したようだ。これでしっかりと対応策を考えることが出来るかもしれない!



この時、俺は心の中にあったモヤモヤとしたものが少し晴れて暗闇に一筋の光が差し込んできたように感じていた。



今回も読んでいただきありがとうございます!



「面白かった!!!」


「続きが気になる!!」


「この作品好きだ!!!」



と思ってくだされば


1.ブックマーク

2.下の☆☆☆☆☆に評価



上記の2つをぜひよろしくお願いします。

また感想やレビューも書いていただけると非常に嬉しいです!!どんな感想やご意見も全部読ませて頂きます。


皆様の応援をお待ちしております!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ