第一章 飛ぶにも一歩が必要 プロローグ
連載初投稿です。指摘、批評は大歓迎。批判は住所を添えてお願いいたします。
楽しんでいただけたら幸いの巻
きっと俺は前世で神とか仏やらに張り手をかましたに違いない。
そうでもなきゃ、こんなに不運な事があるだろうか。
そう、特に人との出会いにはとことん恵まれなかった。
人が最初に会う人ーー親ーーは重要だ。
人格形成やら何やら人生に深く関わる親だが、最初の運試し、俺は負けた。
まともな感性をしていれば、子供のそばで猿みたいに盛ったりはしない。
それほど愛欲と肉欲に溺れていたかとおもいきや、人間関係と金がらみで昼ドラも真っ青な殺し合い。
そんな毒親の元を離れ、親戚の世話になったかと思えば、少年趣味の中年の男女が二人。
直接手を出されなかっただけ幸運だろうな。
親族にまともな奴はおらんのか。かわいそうだな。そう思ったそこのあなた。
実は友人もだ。
不良、ヤンキー、万引き、カツアゲ、人格否定、いじめ。
そこまで偏差値が低いわけでもないのに、何故かそんな奴らが多かった。とはいっても並べた人種の奴らとの付き合いはなるべく回避した。
だがこんな奴らはまだあまい。
俺がいうまともでない友人は、10年来の付き合いがある唯一と言っていい友だが、そいつは歴史に名を残した。
史上最多殺人数を誇るシリアルキラーとしてな……。
いやぁ、親は選べんからなぁ...仕方ないよなとか思っていたが、友人までまともなやつでないとは、もしや自分には人を見る目が無いのではないか。
いやいや薄々勘づいてはいたさ。妙に殺人鬼に詳しかったり。刃物を見ると目を輝かせて、こいつはバッサリいけそうだなと呟いたり。最近気配消すのが癖になってんだよなとか言ったり。
そうだ。俺の見る目がないわけがない。あいつはきっとどこかでおかしくなったんだ。最初は普通だったはずだ。うむうむ……
と、そんなことを思っていたがやはり自分には人を見る目が無いらしい。
女性と付き合った回数三回。
金品、家財その他資産の一切合切を盗まれた事三度。
パーフェクトコンプリート。
俺は付き合った女性全てに全財産を盗まれて逃げられた。
もう思い返すのも嫌な記憶だ。良いのは顔と身体だけで心はドブまみれだったよ。
しっかりと自分は親の恋愛適性の無さを引き継いだらしい。
さて、俺のクソみたいな恋愛遍歴だが、一番やばいのは三人目だ。
三度目の正直と、馬鹿な思いで付き合ったこいつが一番まずかった。
資産の全てが消え途方に暮れていたら、突然黒いバンに引き摺り込まれて誘拐。
到着地点は893の拠点。その組長の御前だった。
どうやらあのクソ女はこのいかつい親父の娘らしい。そしてこのジジイは娘を溺愛してるんだと。純粋で可愛い娘を汚したやつはどうのこうのと言っておる。
いやはや。思わず乾いた笑いが出てしまった。
あなた娘さんに騙されてますよ。
もちろんそんなことは言えずに腕をとられ、拘束されて物騒な部屋に連れて行かれた。部屋というか、独房だな。
ふーむ友人から教えてもらったことのある拷問器具もあるな。
そんな走馬灯を見た。
意識が朦朧とする。
時系列もよく分からない回想だ。
なんだかあのクソ女の罵倒も聞こえる。
おーい親父さんあんたの娘全然純粋じゃないぞ。俺が言うんだから間違いないぜ。
あぁ、そろそろまずいな。クソ。
来世は人間じゃねぇといいなぁ……
そんなばかなことを思いながらーー俺は死んだ。
♦︎♦︎♦︎
《廻天世界計画図ーー特異点創生ーーより、低位種族の魔物に魂が混入し自我が芽生えた事象を確認》
《特異点ーー星の想定外と断定。
特異点対応として、システムより補助疑似人格が創生されました》
ここは……どこだ……?
俺はたしか……死んだはずだが……
なんで意識があるんだ?
くそ!暗くて何も見えん!
ここはどこだ!?
いやまて。おちつけ、おちつくんだおれ。
俺は確か……そうだ…あのクソ女のゴミ親父にとっ捕まって、拷問を受けておそらく死んだ。
目隠しはされたなかったからな。自分の出血やらなんやらで、なんとなく死ぬって分かったし。死んだはずだ。
ふむ。それを踏まえて…ここはどこだ?地獄ってやつか?
いや待て俺よ。何故いま無意識に天国という可能性を外した。
お世辞にも関わりのあった奴らが天国行きするとは思えんとしても。
俺はマシだっただろ!!
自分でも思うが、あの親元で育ったにしてはまともな人格なはずだ。
それもアニメやらラノベのヒロイン達。そして最近はVtuberのおかげでな。
彼女達がいなかったら正直自分はもっと腐ってたと思う。
俺は会ったことないけど、”良い人”ってのが世の中にはいるらしい。
次元は違えど、可愛い子達を見て応援する身として、自分までも腐っちまったら温かい気持ちで彼女らを見れない気がして。
なんとか頑張って境界線を、踏み越えないようにしてた。
っと……思考がずれてんな。
まずは現状の確認だ。
死んだはず。暗い。ここどこ。
確認終了。
結論。
なんもわからん。
んん??なんだろう、さっきまでは気づかなかったがなんだか動ける?
というか、感覚がある?
周りになにかが敷き詰められているような。
これは……土?だろうか?
相変わらず暗くて周囲の状況がわからんが、なんとか身体を動かしてみる。
とりあえず土だとしたら上方向がいいだろう。
自分の向き次第では明後日の方向に向かいそうだが。
どうにかこうにか身じろぎを繰り返していたら、光を感じた。
うむむ…ずっと暗いところにいた自分には眩しい光だ。
目が慣れるのを待った。
…目が慣れてきた。
目に飛び込んできたのは、壮大な光景だった。
自分より向かって左は果ての見えない草原。右には鬱蒼とした森林。
ちょうど自分は草原と森林の境目にいるらしい。
そして、やはり自分のいた場所は地中だったぽい。
俺は土を掻き分けて地表へと出てきたわけだ。
いやぁ、それにしてもすごい光景だな。日本から出たこともなく。それどころか都会から出たこともない俺にはこの大自然は少々眩しい。
背の高い草が見渡す限りに存在する。
森の方も、木々がこれでもかと並んで立っている。
その間隔は人の手入れが入った森林しか知らない自分には狭くうつる。
満ち満ちた生命の気配が、都会育ちながらも感じられた。
そんなことを思っていたら、後方から音が聞こえてきた。
ドドドドっっ!!!
ぐいっと振り返る。
は??
ーークソでかいダチョウがいた。
いや、よく見ると少しちがうな。ダチョウよりも嘴がデカくて尖っている。首も太くて、異様に長い。
地球のダチョウも首が長いが、頭は小さく目がでかい。
似ている。似ているが、全て違う。嘴は凶器の一言だし、首も太く長い。その首についた頭にはこれまたでっかい目がついている。
そんなダチョウもどきが二本の猛脚でこちらへと迫っている。
やばすぎぃ!!
絶対あれは俺を狙ってる!そんな感じがする!
ダチョウもどきはこちらへ近づくと首を後ろへのけぞらせ、その嘴を突き出してきた。
あ、あぶねぇ!!間一髪。
必死に体を動かして避けれたが、嘴は未だ体より3センチほどしか離れていない場所へと突き刺さっている。
ほ、ほんとに間一髪だな。やばすぎる…
くそ!だがまだ危険なことには変わりない。
どうすれば……
そんなことを考えていたがもう遅かった。ダチョウもどきは刺さった嘴を俺の体を吹き飛ばすようにして、勢いよく振りながら引き抜いた。
ぐぉっはっ!や、やべぇ森の中に吹き飛ばされた!
んん?でもなんかあんまり痛くねぇな。なんでだ?
え?今ちょっと見えたんだけど、俺の体、白くね?というか、人じゃねぇ。
これあれだわ。カブトムシとかの幼虫みたいな……
ドゴっ!ぐへ!
そんなことを考えていたら、木にぶつかった。高く放り投げられてずいぶん空を飛んでたが、木が終点だったようだ。
んー?でもやっぱりそんなに痛くねぇな。そんなに頑丈だったっけなぁ。
いやいやそれどころじゃねぇ!ダチョウもどきは!?
ダチョウもどきは猛然とこちらへと走ってきていた。
ど、どうしよう。今度こそ刺し貫かれそうだ。
死んだと思ったらなんだこの状況。
しかもさっきちらっと見えたが、おれいま人間じゃないかもしれん。
これは、ラノベ好きの誰もが一度は夢見る転生というやつでは?
いや夢見るのはイージーゲームのハーレムだよね。
断じてダチョウもどきに追われるやつじゃないよね。
うん。現実逃避終了。
すぐそこまでダチョウもどき来てるわ。
そしてどうすることもできない。
ーーおれ、死んだな。
とか思ってたら、ダチョウもどきが目の前で消えた。
はい?どゆこと?
《疑似人格の創生終了。対象へと接続。》
《こんにちは。はじめまして、マスター。この声が聞こえますでしょうか?》
えっと。うん。なにごと?
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