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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

クローズド・サークル

作者: 鳥田 エリ

一隻のクルーズ船が瀬戸内海に漂っていた。60日間、ベーリング海や北アメリカを周遊して神戸港に帰港するプレミアムの旅。

まさか、その結末にパニック映画のような事態が待ち受けていようとは、乗客の誰もが予想だにしていなかった。

悪夢なら早く覚めてほしい。冗談なら早く種明かしをしてくれ。




まさか…まさか、クルーズ船の150人の乗客以外、神戸の、日本の…いや全世界の都市の人々が新型コロナウィルスに感染してしまっているなんて!




そう、クルーズ船は帰港したくとも、どこの国にも上陸できないで彷徨っていた。

もう、燃料も水も食料も底を尽きかけている。しかし陸にあがればこの船に乗っている全員がコロナウィルスに感染するという危険にさらされる。




それでも、厨房では米国人のシェフ・カール・キャスパーが腕をふるい、限られた少ない食材で、三ツ星レストラン級の創作料理を船客に提供していた。



その料理を、日本人の新聞記者、山岡士郎と栗田ゆう子、輸入雑貨商の井之頭五郎らが、モグモグと咀嚼し、オーバーすぎるリアクションで評価している。



長期間に及ぶ緊迫感、危機的状況の中で体調を崩す船客もいたが、医者の財前と里見が白い医務室を開設して、交代で治療に当たっていた。



内科医は不足していたが、外科医は大勢いる。

怪我をしたり、パニックの末に喧嘩して負傷した船客は“失敗しない女“の大門未知子が、ガリガリゴリゴリ、切って貼って失敗せずに縫合している。



金を持っている裕福な者は、ブラック・ジャック先生に手術してもらっていた。



江戸時代からわざわざタイムスリップしてきた医者もいたが、コロナウィルスの特効薬はペニシリンのようにうまく開発できず、頭痛に苦しみ頭を抱えて甲板にうずくまっている。





この船内に閉じ込められるという、クローズド・サークルのなか、船客同士の間で、以前からそのチャンスを狙っていたのか、突発的にイラッとしてなのか、殺人事件が二件も起きてしまった。



まず一件目の事件は、気の弱そうな意外な人物が犯人だったため、船越英一郎が、断崖絶壁に見立てた船首に追いつめて自白させ、


二件目は、格闘技に長けた獰猛な男だったので、サッカー少年が、強化型のシューズで蹴ったボールを命中させて捕獲した。



二人の犯人はいま、船底の厨房に隔離され、涙を流しながら料理に使う玉ネギを延々と刻まされている。



そんな極限状態のなか船長の沖田は、対岸の陸から波をかき分けて、泳いで船に近づいてくる人間がいることに気がついた。

ゆたかに蓄えられた白い顎髭がザワと揺れる。



どうやら、クルーズ船の中の人間は全員感染していないという情報が流れ、自分が感染しているという自覚のない人々が船に乗り込めば安全だと、次々と船に向かって泳いで来る!



乗り込ませてはいけない、しかし相手は自分たちと同じ善良な一般市民だ。相手を傷つけて倒してしまうわけにもいかないと、松平健が日本刀を持ち出し、甲板に手をかけて上がってこようとする人々を峰打ちで切り海に落としていった。




クルーズ船がまだ平和に旅を続けていた頃、甲板でゾンビ映画の撮影も行われていたのだが、女プロデューサーのどんぐりはこのシーンをどうやったら再現できるかを考えていた。

いや、いまそんなん考えたらアカン!と関西弁で自分にツッコミを入れながら。




しかし、松平健が切っても切っても、陸から泳いで船によじ上ってくる人たちの数は途切れず、ますます増えてくる。



サッカー少年も腕時計型の麻酔銃で応戦する。



陸から上がってくる人々に、グッと足を掴まれたりうっかり接触してしまった船客は、医者の財前と里見が両脇をかかえて、白い医務室に連れ込み滅菌消毒をした。




クルーズ船の甲板はもはや戦場と化し、これ以上は持ちこたえられない……!

そう誰もが諦め、空を仰いだその瞬間。




石川五ェ門が斬鉄剣を抜き、クルーズ船を桟橋に繋ぎ止めていた頑丈な鉄のワイヤーを、バッサと断ち切った。

「またつまらぬ物を切ってしまった……」と、いつものセリフを言い残して。




クルーズ船は陸から離れ、どんどん沖へと流されてゆく。新型コロナウィルスの流行している南半球の先進国には入国できないし、かろうじて人口の少ない北極圏の島国までたどり着く燃料はもうない。




ついに燃料の切れた船は、潮の流れに乗って西へ西へと流されてゆく。




船長の沖田十三は舵を握り「我々がここで全滅してしまったら、ここで戦うものがいなくなってしまう。明日のために、今日の屈辱に耐えるんだ!」と目を見開き、唇を噛みしめてあの名セリフを口にしていた……!



その時、水平線の彼方に現れたのは緑の木の生い茂る、こんもりと水面から盛り上がった小さな島だった。おそらく瀬戸内の家島諸島あたりの無人島だろう。



そうか、無人島…!そこに上陸すればよい!この船に乗り合わせたメンバーならば、なんとか自給自足できるんじゃね?

と、その時、クルーズ船に乗っている船員、船客の誰もが直感的にそう感じた。



米国人記者のピーターパーカーが蜘蛛男に変身して、スルスルとマストによじ登る。手から出した蜘蛛の糸が長く延びて海を渡り、はるか遠くの無人島の中央にそびえ立つ巨大なクスノキに巻きついた。



麦わら帽子のモンキー・ルフィーも、ゴムゴムの手を伸ばしてしっかりと大木を掴み、互いに燃料の切れた船を島へと引き寄せる。




無事に上陸したクルーズ船の船員と乗客たちは、力を合わせて島で暮らし、コロナウィルスの感染を全世界で唯一まぬがれたその島は、のちに人々からこう呼ばれたという。



月々500円の会費を払えば上陸できるその島の名は……!






『Amazon primes video island !』


(アマゾン・プライムビデオ・アイランド)



♯一部有料レンタル ♯一部要専門チャンネル登録



外出できないので、Amazon prime video三昧の方、おられるんじゃないでしょうか?

かく言う自分もその一人です(^_^;)

一人一人が協力して、この危機的事態を乗り切りましょう!



※不謹慎だとコメントあれば削除します。

どうも、すみませんでしたm(_ _)m



♯コロナ♯Amazon prime video#二次創作#クローズドサークル#一部有料レンタル♯専用チャンネル♯ヒマ人♯映画好き♯懐かしのアニメ♯時代劇

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