8 魔王4
7時になった。
今部屋には僕を含めて5人いる。
補佐のゲウス、そしてウォーレン、グレン、オックスとか言うやつらが集まっている。
僕は豪奢な椅子に座り、ゲウスは僕の横に、彼らは僕の正面に立っている。
「それは、、、本当なのですか・・・?」
オックスが今さっき聞かされた事実に目を見開いている。
岩を担いで突進できるほど筋骨隆々で、見た目は粗野そのものなオックスだが、これでなかなか教養があるらしい、礼儀もしっかりわきまえている。流石に次期四将軍候補と呼ばれるだけはあるみたいだ、今さっき聞いたのだが。
「冗談では言えません。残念ですが全て事実です」
ゲウスが3人を見渡す。しかし立場はゲウスのほうが圧倒的に上なのだがこいつはなぜか敬語を使う。どうも敬語以外で話すのは苦手なようだ。こいつが敬語を使わないのはたぶん孫娘だけなんだろう。
「最悪明後日にはこの城が包囲される・・・か。これはまた絶体絶命と言っても差し支えないほどに窮地ですね」
ため息混じりに呟いたのはウォーレンだ。こいつは一見するとただの優男なのだが、兵の中でも1,2を争う俊足であるらしい。この城を落とすときにも、すばやく投石器を破壊するなど自慢の足で活躍していた。
「勝てるでしょうか?」
簡潔に疑問を口にしたのはグレン・・・そう、僕はこの面子の中でこいつが一番気になっていた。
どういう事かといえば・・・こいつはどうも人間らしい。
「グレンは人間ですが、彼の忠誠と実力は本物です。肉体的に劣りはしますが、それを補って余りあるほどの力を彼は持っています。それは私が保証します」
と、始まる前にゲウスから聞いたが、正直半信半疑だ。
「勝てるわけがないだろう、4将軍が不在・・・どころか情報が確かなら2人が死亡、残りの2人も行方不明・・・その上投降して休んでいたあちらとは違いこっちは連戦の疲れも大きい。もう駄目だな」
僕は頬杖をつきながら悲観する。
「魔王陛下、望みを絶つのはまだ早いかと。大挙して訪れようと所詮は人間。個々の強さでは話になりませぬ。たとえ四将軍が居らずとも、我等が蹴散らしてくれましょう」
「何を言っているんだいオックス。確かにただの大軍が迫っているのなら勝ち目はあるだろう、しかし相手はあの勇者だ、勇者に勝てる相手など四将軍のいない今、魔王陛下しか居らないでは無いか、君はまさか陛下を前線に出すつもりなのかい?」
オックスの言葉をウォーレンが直さに否定する。どうもこの2人には少し対抗心があるようだ。
「何を言っているは貴様だウォーレン、この私が勇者を葬ってやろうと言っているのだ」
「君は馬鹿か、出来るわけ無いだろう。相手がどんな化け物か分かっていないのか?分かって言っているのなら大馬鹿だが」
段々不穏な空気が流れ始める、オックスなど額に青筋が浮き始めている。
掴み合いの喧嘩に発展しないように釘を刺そうと思ったら、思いがけない所から仲裁の声がかかった。
「お二人とも、陛下の御前です。もう少し冷静になりましょう」
グレンだった。グレンは二人をため息交じりに見据えると、軽く二人を嗜めた。
あまりに簡単で優しい言い方だったので、収まらないと思っのたが・・・、不思議と二人は我に返ったように僕に向かって「失礼しました」と言ってきた。
(・・・分からないな、このグレンとやら。なんだか不気味な奴だ)
「グレン、君はどうしたらいいと思う?戦う?それとも・・・」
少しでもこの男を見極めようと、グレンの言葉に神経を集中させる。
グレンは軽く上を向いて考え、言う
「逃げるべきですね」
間空きすぎて設定忘れかけてきた。
一応のプロットは出来たんだけどなぁ。