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番外編

 「―――――――――――」

 何故か頭の中で奇妙な声が響いている。とても心地の良い声なのだが何故か急かされている気分になって嫌な感じだ。

 「―――――――――――」

 何を言ってるのかは理解できない。そもそもこれは意味のある言葉の羅列なのかどうか怪しいくらいだと思う。

 「――――?」

 音、いや声が途切れた。

 そこですかさず目を開ける。そりゃもう「グワッ」な擬音が聞こえてきそうな見事な目覚めだ。だから誰か褒めてくれ。

 それはともかく目を開けると周りは真っ暗だった。ナンダコリャ、俺寝ぼけてんのか?ってか酔ってんのか。昨日は随分飲んだしなぁ・・・、でも家に帰って布団に入ったのはしっかり覚えている。どれだけ酔ってても記憶を無くした事が無いのが俺の密かな自慢だ。

 それにしても見事に何も見えない。しかも不思議なことに俺は立っているようだ。足の裏の感覚が俺にそれを語りかけてくる・・・この表現はいまいちだな。

 「―――――――――――」

 また声が聞こえだした。しかしさっきとは違いどうも前のほうから聞こえているのだということが分かる。そこまで考えこれが夢であることを確信する。それ以外ないだろjk

 夢と分かれば俺は無敵だ。まずこの聞こえてくる声の主を確かめよう。どうも女の人の声のような気がする。きっと美人だ。

 前に向かって歩く。ひたすら歩く。昨日も終電を逃したため1時間ほど歩いたが、その疲れも全く残ってないようで、体は軽い。ただ単に、夢の中だからかもしれないが、疲れは全く感じない。

 3分ほど歩くいた。声はどんどん大きくなっているようで、前の方にいるという予想は正しかったみたいだ。

 と、前方に小さな光が見えた。それはそれは小さい点のような光だ。あそこにいるのかな、と思いつつ距離がとんでもない位遠いんじゃないかと不安になってきた。

 その時だった、急にあの声が大音量で響き渡り、前に見えていた小さな光がいきなり真夏の太陽のような光量を発し、辺りを白で塗りつぶした!





 そして突然視界が開け、とてつもなく広大な草原と、その上に広がる青と白の空が目に入る。広い。都会育ちの俺には想像も出来なかったような広大な大地だ。

 背の低い芝が生い茂り、さまざまな草の匂いを漂わせている。

 辺りを見回していると、傍に立っている女性に気づいた。

 「ようこそ勇者様、私はあなたを歓迎します」 

 ・・・・・・・・・・・・・・・・。

 きれいな女の人が電波な事をしゃべってる。

 いや、夢だってのは分かるんだがこれでも一応脚本家志望。あまりにありきたりな展開に俺のハートの中の赤ペン先生が猛烈に仕事をさせろと叫んでいる。

 俺は胡乱な者を見る目つきで女性に目を向ける。

 こんな良い天気だというのにフードのないレインコートみたいなものを着込んでいる。しかも黒。多分あれだ、中世のファンタジックな占い師、もしくは魔術師が着る服なんだろうが、そういうのって老婆が着るものじゃないんだろうか。

 顔は良い。そりゃもうストライクゾーンど真ん中だ。あえてゲートボールで例えると、一番ゲートを通過して、ああ強すぎたな、アウトかなとか思ってたら運良く他のボールにあたり跳ね返って二番ゲートを通過。さらに他のボールに当たり三番ゲートも通過!そんで最後はピンまでズギューン!って感じな程見事なストライクだ。俺何言ってんだろ。

 「いきなりこんなことを言われても困ってしまうのは当たり前ですよね。少し説明いたしましょう」

 俺がルール上アリだったかどうかを考えていると、彼女は俺の冷めた視線に気づいたようで微笑して語りだした。

 「この世界は現在魔王によって苦しめられています。魔王は人を物のように扱い、世界全てを我が物とすべく、われわれ人間が暮らすこの国へ攻めてまいりました。そして今、わが国はとてつもない窮地に立たされています。われ等が国王陛下もお倒れになり、敗北はすぐそこまで来ております。しかし・・・・」

 なんだか段々妙な気分になってきた。

 「私たちにはまだ希望があります。そしてその希望こそが異世界から降臨せし勇者・・・貴方なのです。われわれの信じる神の教えにこうあります。世界が黒に染まりしとき、白の世界から来た光が我らをお救うであろう・・・と」

 神妙な顔つきで話す彼女は最後に懇願するような顔を俺に向けた。

 「この世界を救えるのは貴方しかいないのです。どうか我らをお救い下さい・・・・・」

 もう限界だ。この沸き立つ思いはとめられそうもない。



 「勇者」



 いいなぁ。すごく良い。これだよこれ、俺が求めていたのはこれだったんだ!さっきはありきたりとか言ってたけどすごく良いじゃないか・・・日常にはないスリリングかつブレイブでビューティフルなストーリー・・・。

 俺が勇者だったのかぁ・・・。

 「あ、あの、お聞き頂けたでしょうか・・・?」

 妙な表情をしている俺を心配になったのか、彼女は困ったような顔をしている。

 「ハイ!そりゃもう!良いでしょう良いでしょう!この俺が世界を救って見せましょう!」

 浮かれ気分で返事をする。いやもう楽しくて仕方ない。こんな夢なら覚めなくて良い!

 「そ、そうですか。ありがとうございます・・・」

 少々浮かれすぎて彼女を引かせてしまったようだ。ちょっと反省。

 「それじゃ早速魔王とやらを倒しに行きましょうか、まぁ僕も色々予定が詰まっているのでエンディングまで一時間ほどでお願いします」

 「・・・よく分かりませんが貴方がその気なら良いでしょう。では行きましょうか」

 彼女はそう言い、ゆったりと、しかししっかりとした足取りで歩き出した。

 そして俺もそれに続いた。





  五分後。

 「あの何か緑色した液状のキモイのが沢山近付いてくるんですが」

 うぞぞぞぞとか発しながら妙な液体が25mプールを一杯にできるほどの量でにじり寄ってきた。もう気持ち悪いというか怖い。

 「あれはスライムという生き物です。本来は無害な生き物ですが、近頃の魔王進攻により戦に巻き込まれ、自衛のため凶暴化したそうです。まぁ勇者様の敵ではありませんね」

 占い師みたいな彼女はたいして驚いた様子もなく、平然と前を見ていた。うん。なんか怖くなくなってきた。

 「よしじゃあさっくりとやっつけてみるか!」

 俺はスライムの群れに飛び込んだ。





 「うあ!い、痛い!ってやめろ!口にはい・・おぼれ・・・・ブォガ・・・・・」





 「はぁ・・・何だはずれか。やたら自信満々だったから当たりかと思ったのに。お墓とかどうしようかな・・・・」

 勇者(仮)がスライムに残酷なアレコレをされてる前で、女はため息をひとつ漏らすのだった。

いやなんていうかプロットたて始めました。

なんかこう段々と書きたいことが増えていってやっぱしっかりと計画立てないと駄目になってきたなと。

でも設定だけ書いてるとと飽き始めるから、適度に形にして行こうと思います。

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