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幕間 暗躍する者達とそれぞれの思惑

二話目です

時は少し遡り、帝国が同盟に参加した頃に戻る


神界にある神々の領域


その一つで一柱の神が下界を覗き、呟く・・・少し笑いを堪えながら




「ぷっ・・くくく、相変わらず人間は面白いですわね」




一柱で感想を述べ、突如、真面目な顔になり、思案する




「(概ね予定通りですけど・・・いくつかは修正が必要ですわね)」




そして、思案し終わった顔には、優しくも妖艶な笑みを浮かべた姿があった




「ふふふ。何人かには道化師ピエロになって頂きましょう」




そう言って、与えられた役目に戻る一柱の神


去った後には、彼の者がいた痕跡は全て消えていた







神界・???


神界の何処とも知れぬ場所


今、この場に数柱の神達が呼ばれていた




「さて、声を掛けた者は集まったし、話を始めるかの」




そう言って、場を進行させるのは創世神ジェネス


集まった神々も頷き、話が始まる




「今日、この場に呼ばれた者は、わしが白と判断した者達だけだが、何に対してかは言わずともよかろう?」




ジェネスの言葉にまたも頷く神々


次に言葉を発するは戦神メナト




「ジェネス様。この場に呼んだ者達が白である理由をお聞かせ願いたい」




「ふむ、良かろう。戦神と武神じゃが彼が転生する際に、特に戦神じゃな。お主が本気で怒っておったからな。武神は彼に稽古をつけるのが好きみたいじゃから、余計な事はせんじゃろ。龍神と獣神も自らの子とも言うべき神獣を贈っておるし、龍神に至っては、スキルを隠して迄、眷属進化を与えておったわけじゃからの。獣神もそれとなく神獣を増やしておったしな」




「我々の事は理解しました。残りの者達は?」




「死神は彼に負い目があるようじゃの。それだけではない気もするが、少なくとも何かを企みはすまい。全知はそんな死神をサポートしておるし、邪神核の時も率先して事態解決に動き、彼を出来る限り援護したようだしの。わしの勘では白じゃな」




「ジェネス様が勘とは珍しい」




「リュラよ。神は全知全能とか言われておるが、実際は違う事をお主も知っておろう。だからこそ、お主らに話していない事もある」




「それは、食神が持っていた権能の事ですか?」




「なんじゃ、知っておったのか?シル」




「私も隠していることがありますので」




「相変わらず喰えぬの。話を戻すが、時空神はわしの協力者でな。当たり前だが白じゃ。で、残りが・・・」




「商業神と魔法神か。理由は?」




「アシスよ。そう急くな。魔法神は何となくわかる気がするが」




「シブリーの思ってる通りで、シブリーと同じ理由じゃの。そして、商業神も似たような理由じゃ」




「彼が生み出すもんは面白いからなぁ。出来る事なら下に降りて、彼と組んで商売したい位やから」




「と・・・こんな感じでの。彼と会ってから毎日こんな感じで、演技かとも思ったんじゃが・・・」




「あ~・・・下界での商売許可申請か。彼と商売したいってのは本気だったから疑わなくなったと」




「その通りじゃよ。あの時は、メナトにも抑えに回って貰ったからわかるじゃろ?」




呼ばれた神々は各々納得し、本題へと入る




「さて、本題じゃが、お主らに話していない事を話すのじゃが、他に情報共有したい者はおるかの?」




手を上げるのは、死神、時空神、全知神の3名


そして、最初に話すのは全知神となった




「私の話す内容ですが、食神の権能と神喰いが生きている事です」




前半の内容は創世神も知っている事だから聞き流せた


しかし、後半は聞き逃すわけにはいかない


全員が何か言葉を発する前に、シルが止め、話を続ける




「神喰いですが、神格も邪神核も持っていません。ただ、力だけは神の時と同等。後、言伝メッセージがあります。


『神共。俺は奴に復讐する。邪魔するなら容赦しねぇ。あいつについては、極力敵対しねぇようにするし、最悪は手を取り合う事も考えている。暫くは不可侵にしとけや。それと、あいつとは何処かで一度ぶつかるからな。殺しはしねぇから安心しとけ』


とまぁ、そこそこに腹ただしい事ですが、ジェネス様にご相談したく」




「今は放置が無難じゃろ。もし、あの子に何かすれば直ぐにわかるからの。その時は、塵一つ残さず消滅させてやるわ」




創世神ジェネスの言葉で神喰いの話は締めくくられ、次に創世神様を含めた三柱が話始め、ある意味とんでもない爆弾が出る事になる


その爆弾は彼の手違い死亡事件の余波であり、全く予期せぬものだった


そして、神々が出した結論は、彼グラフィエル・フィン・クロノアスが17になった時に彼に任せよう!で決定する


神達は問題を先送りにし、他力本願で解決させ苦労を背負わせるのだった


そして、話し合いは終わり、創世神が創りし異界は消え去った






ガズディア帝国・帝城地下牢


帝城の地下牢


その一つに収容されるは、元皇太子で廃嫡された、皇帝ドグラギルの長子ジルニオラ・ザズであった


彼は廃嫡され、平民へと落とされており、フィン・ガズディアを名乗れなくなっていた


そして、彼は今日も憎悪を喚き散らす


今、この場で生きていられるのは温情という事に気付かず、未だに自分を中心に世界があると思っている


そして、その考えの通りに世界が動いてしまった




「誰だ?」




コツコツと靴音を少し鳴らして、黒ずくめの人影が立っていた




「暗殺者か・・・父上は余程、俺が邪魔らしいな」




抵抗せず死ぬ気は無いが、相手はプロ


恐らく死ぬ、と考えたのだが、意外な言葉が返ってくる




「俺はあんたを救出しに来た者だ。言葉遣いは無法者だからな、許せ」




そう言って、黒づくめの男は牢の鍵を開ける


魔法ではなく、器具を使った技術で




「何故、魔法を使わない?」




不思議だったので聞いてみると、知らない事実を聞かされる




「地下牢には、魔法阻害が随所に張り巡らされている。知らなかったのか?」




勿論、知らなかった


聞けば、帝国内でも一部の者しか知らず、魔法で脱出されないようにと、2重で阻害されていた


平民に落とされ、牢に入れられ、秘密を聞かされていない


俺の中に、何かが溜まって行き、蠢く


しかし、黒づくめの男に声を掛けられて現実に戻る




「さて、早いとこ抜け出しましょうか。見張りの兵士は既に処分してるので、魔法が使える場所まで移動しましょうや」




黒づくめの男は、誰に雇われたか知らないが、俺は無事に地下牢から脱出する


そして、近い未来に必ず、皇帝の座も帝国も全てを取り戻す


父も母も弟も妹も俺に逆らうものは全て根絶やしにしてやる


そう誓い、ジルニオラ・ザズは闇夜へと姿を消した


脱走に気付いたのは翌日の朝


皇帝に知らせが届いたのは昼前で、ジルニオラ・ザズは逃亡し行方知れずに


そして、皇帝はジルニオラ・ザズを指名手配した






某国某所・???


とある国の者は、自らの作戦失敗に憤慨していた


ランシェスでのスタンビード


セフィッドでのワイバーン


ガズディア帝国でのゴーレム


この事如くがランシェス王国貴族のグラフィエル・フィン・クロノアスによって潰されていた


憤慨はしているが、まだ余裕はある


軌道修正するべく、考えると同時に声が漏れる




「切り札は、まだある。それに、もうすぐあそこも支配下に入る。本人は自らの力と思うだろうが、縛ってしまえば。問題は、あの忌々しいクソガキの力を調べねば。だが、この力があれば、最悪の場合は全て不要か」




男は独り言を止め、部屋を後にする


そこに、とある男が潜み、聞いていたことを知らずに






ランシェス王国・王家の間


ぶっちゃければ陛下と王妃達の部屋寝室である


陛下と王妃達の愛の巣と言えばより分かりやすいだろうか


まぁ、そういった事をする部屋である


だが今日は、少し雰囲気が違っていた


部屋にいるのは陛下と正妃に側妃4名


今、この部屋では、とある話が行われていた




「第1王女から第4王女の嫁ぎ先だが」




「第4王女ですが竜王国の王太子で話を進めませんか?」




「第1王女達はどうするか・・・」




「第2王女には伯爵家に想い人がいる様です。ただ貴族派閥で、派閥内でもかなりの要人みたいです。なので、引き抜きましょう」




「待て。その貴族家は法衣か?」




「領地持ちですが、家宰がかなり優秀の様ですね。領内で当主が決断しなければならない事態が起こらない限りは、全て任せられるほどの。力は十分にあります」




「ふむ。領地もクロノアス家に近く、国境にも近い。魔物の領域も小規模だがあり、経済も十分に回っている・・か。降嫁させて、陞爵で辺境伯が妥当か?」




「それで良いと思います。第1王女はフェリック皇国に嫁がせれば良いでしょう」




「見返りは、同盟への参加か。ここまでは良い。問題は・・・」




「第3王女ですわね」




「なんであんなに・・勝気な性格になってしまったのか・・・」




項垂れる陛下


思わずため息を吐く正妃


汗が止まらない第2王妃


此度の婚姻関係はグラフィエル・フィン・クロノアスに配慮して行っている


今の彼と敵対すれば、世界の半分を敵に回すのと同義


だから事は慎重に進めなければ


陛下と王妃達の苦悩は続く・・・







ランシェス王国・王城某所


王城のとある一室


いや、リリィに与えられた部屋の一つ


そこに現在、ラフィの婚約者達が勢ぞろいしていた


端から見れば綺麗な女の子や可愛い女の子の女子会だ


しかし現実は、嫁会議なるものであったが


議長ミリア、副議長リリィ、書記ティアとなっている


議題は【これから増える嫁について】




「先に聞いておこうと思うのですが、奥さんがこれ以上増えないと思っている方はいますか?」




挙手0人




「次に、嫁いできそうな方に心当たりは?」




挙手7人


次に嫁いできそうな者を一人ずつ述べていくが、答えは3つに分かれる




嫁候補1


ガズディア帝国第4王女シャルミナ・ザズ・フィン・ガズディア


嫁候補2


フェリック皇国第9王女ルテリーゼ・モンテロ・フィン・フェリック


嫁候補3


その他諸々




本人が聞いたら速攻で否定してるだろう


特に最後の嫁候補3とか怒るだろう


だが嫁~ズは、新しく誰か嫁いでくることは確定!と自信を持っていた


大本命は嫁候補1ガズディア帝国第4王女シャルミナ・ザズ・フィン・ガズディア


理由は、既に面識があるから


嫁候補2のフェリック皇国第9王女ルテリーゼ・モンテロ・フィン・フェリック


こちらは、国同士の思惑


嫁候補3はまだ見ぬ誰かと言う事だ




さて、ここまで話した議長ミリアは、次の議題に移る




「奥さんは増えると仮定して、皆で上手くやって行けるかですが」




現状の7人ならうまくやっていける自信は・・・いや、既に上手くやっている


奥の院を乱す存在は他国の王族関係しかない


しかし、結論が出る訳も無く、この議題は先送りとなる




「最後の議題ですが、皆さんは鍛錬されてますか?」




真っ先に挙手したのがリアとナユ


次いでシアとミリアだ


リリィ、ティア、ラナも遅れて手を上げたので近況を報告し合う




この議題の意図だが、危険がある場所に行く場合、冒険者でもあるリアとナユ以外、全く誘って貰えないからだ


ラフィ本人としては守り切る自信はあるが、万が一を考えると連れてはいけない


リアとナユ以外は冒険者登録をしていないのだから


冒険者ならば例え王族で何かあっても自己責任になる


だが、していないのならば国家間で大問題となる




ではどうするか?


冒険者になれば良いだけなのだが、国が許す筈も無し


ならばどうするか?




『各々に修練し、技術を磨きましょう』




と言う話になり、今に至る





リアとナユは常日頃から修練してるので大きな報告は無し


ミリアは光以外の適性属性の底上げと短剣術


シアは精霊魔法を組み合わせたオリジナル魔法


ラナは意外にも片手剣を幼少から習っており、本格的に修練し始めた


ティアは意外にも投擲術が得意で、同門では負け無しになっている


リリィは弓術と魔法を組み合わせた修練




各々が修練を積み重ね、鍛錬していることをラフィは知らない


指南役や師匠に免許皆伝を貰ったら、皆で魔物の領域狩猟旅行なんてものも計画していたりする


そんな5人を見ながら、リアとナユはウォルドにだけは伝えておこうと決めた


近い将来、ウォルドを驚かせるのだが、それは別のお話








かくして、それぞれの思惑が交錯し、暗躍する者達がいるも、今何か起こるわけでもなく、ラフィは何も知らぬまま、クランを立ち上げ、武術大会に出る事になる

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