58話 想いを伝えに 前編
本日は2話投稿です
意識が覚醒していき目を開ける
現在は早朝で、朝の6時過ぎだった
いつもより遅い起床だが気分は清々しかった
自分の心に昨日の悩みを問いかけてみる
・・・・迷いは既になかった
ベッドから出て着替えを済ませる
ルリ達は・・・部屋に居なかった
何処に行ったのかと思うと外から声が聞こえてくる
どうやら先に起きて4神獣だけで庭で運動している様だ
まだ時間は早いかとも思ったが、俺はミリアの部屋に行くことにする
自分が出した答えをきちんと伝える為に
着替えを済ませ、俺は部屋を後にしてミリアの部屋の前に行く
ドアの前で一つ深呼吸してからドアをノックする
ドアの向こうから返事があり「少し話がある」と言い「少し待っていてください」と返事が来る
数分後、「どうぞ」と言う返事を受けて俺は部屋に入る
部屋に入るとまだ寝間着のミリアが出迎えてくれた
髪を整えていたのだろうか?整え切れておらず一部寝癖が付いたままであった
指で指摘すると顔を赤くして直そうとするが直しきれず、それがまた可愛くて可笑しくて思わず微笑んでしまった
普段しっかりしてるミリアの意外な一面を見れた事で緊張もほぐれた
顔を真っ赤にしながら挨拶をするミリア
「お、おはようございます。今日は朝早くからどうされたんですか?」
寝癖を見られたせいか、少しどもりながら挨拶するのだが、いつもと違うミリアが凄く可愛かった
ミリアに許可を取って、俺はベッドに座るミリアの横に腰かける
「?」って顔をするミリアに俺は気持ちを告げる
「俺さ・・昨日リアに告白されてから色々考えた。皆との婚約も流されたままして良いのかって・・・そんな俺が幸せにできるのかって」
「ラフィ様・・それは気にしても仕方ないのでは?」
「そうかもしれない。でも、一度考えたらどうすれば良いかわからなくなった」
「では、婚約を解消されますか?」
「解消しない。ちゃんと答えは出せたし、自分の気持ちもちゃんと気付いて整理もした。だからミリアに聞きたいんだ」
「何をですか?」
「俺は・・多分この先も何人か嫁さんが増えると思う。でも、誰が一番とかじゃなく全員が大切で特別な人になる。そんな俺をミリアは軽蔑するかい?」
「いいえ」
「即答か。でも、何で軽蔑しないんだ?普通こんなこと言われたら怒るなり軽蔑したりするだろう?」
「ラフィ様は今まで女性に対して一歩引いてましたよね?でも答えを出せたと言っていましたし、私の事も皆の事も全員特別で1番と言ってくれました。私にはそう聞こえました。だから私は怒りも軽蔑も無いですよ。ラフィ様が女性に対して前向きになってくれたことの方が嬉しいです」
「ありがとう。やっぱりミリアは良い女だな・・・だから、俺は自分の気持ちをきちんと伝える。それが皆への誠意でもあると思うから」
「ラフィ様・・・」
「俺はミリアが好きだ。でも、愛しているかと言われると正直わからない。好意と愛は別物だから。だけど、他の男に渡したくないって思いもある。だから、卑怯者だろうが臆病者チキンだろうが、これだけははっきりと伝える。ミリアは誰にも渡さない!俺だけの女だと!」
俺の言葉にミリアは一言だけ「はい・・」と言い、顔を赤くする
俺はその返事にミリアを抱きしめ、キスをする・・おでこに・・・
・・・意気地無し!?仕方ないだろう!貴族のしきたりとは大変なのだ!
・・・・ああ!そうだよ!言い訳だよ!と心の中で問答していた
しかし、ミリアに押し倒されて二人でベッドに寝転がる
見つめ合う二人は自然に・・・唇を重ねた・・・・
長い様で短いキスをして、お互い唇を離す
ミリアは瞳を潤ませて悪戯っぽく
「このまましちゃいます?」
って言うもんだから、思わずOKしそうになる自分を抑えて人差し指をミリアの唇に当ててこう返す
「今はここまで。続きは式を挙げてからな」
そう言って、二人で笑い合う
自分の気持ちを伝えるのは怖くて、気恥ずかしくて、でも・・伝えて、受け止めて貰えて、とても晴れやかな気分になった
俺は起き上がり、ミリアに手を差し出す
彼女はしっかりと握ってくれて、それを嬉しく思いながらベッドから起こす
ミリアは起き上がると二つ質問をしてきた
俺はそれにきちんと答える
「ラフィ様はリアも受け入れるんですね?」
「そうだよ」
「ナユルさんはどうされるんですか?」
「気付いてたのか。俺さ、気付いていなかったんだけど、多分ナユルが初恋」
「少し嫉妬しそうですね」
「しても良いよ。それは人として当然の気持ちなんだから。でも、婚約はミリアが一番だぞ」
「リリィ辺りが嫉妬しそうですね」
「リリィとティアは多分、俺を一番初めに好きになった女の子かな」
「皆、自分の一番があるんですね」
「そうだね。だから俺は、俺が好きになった皆を特別にして1番にするさ」
「それが答えなんですね。私は賛成ですよ」
「やっぱりミリアは良い女だわ。それと、婚約発表後に全員で集まって聞いて欲しい事があるんだ」
「皆と言うと家族もですか?」
「俺の特別だけさ。これは俺なりのけじめかな。勿論、どうしても話せない事もあるから全てでは無いけど話せる事は全部話す」
「わかりました。今日はこの後も?」
「全員にきちんと伝えて回るつもり。リアにも返事しに行くよ」
「ナユルさんは私に少しお話させてくれませんか?夕方に高台へ向かうように言っておきますので」
「任せた。じゃ、着替えして朝食にしますか。ミリアの寝間着姿は刺激的すぎるし」
そう言うとミリアは顔を真っ赤にして両手で身体を抱いて隠す
やっぱミリアってギャップが激しいから余計に可愛く見えるな
俺は背を向けてドアに手をかけて一度振り返り
「下で待ってるよ」
とだけ告げて、部屋を後にする
部屋から出た後、俺は顔を真っ赤にし、羞恥に悶えた
よくもまぁあれだけ気恥ずかしい事が言えたものだ
これが後、最低5回・・・・頑張ろう・・
暫くしてミリアが降りてきた
目が合うとお互い顔を赤くして逸らしてしまう
お互いさっきは大胆だったからな
我に返ればこうなるのも仕方ない
お互い無言で朝食を取って、食べ終わる頃には会話が出来るまでにはなっていた
朝食を取り終わり、リビングに移動してお茶を飲みつつ談笑する
1時間程談笑して、俺は立ち上がり
「そろそろ行ってくる」
そう言ってリビングを後にしようとする
「いってらっしゃい。頑張って下さい」
ミリアの言葉に後押しされ、俺は王城へと向かった
足早に王城へと向かい、門の前に着く
衛兵がいるも最近は顔パスなので、挨拶してから中に入る
王族と懇意で、陛下にも私事では普通に接していて、その事が王城内で広まり、体裁を取り繕うのも面倒なので、陛下が顔パスにしたのだ
俺の事を良く思ってない者も多いが、武力ではどうにもならず、いざとなれば他国に移れる最強戦力なので表面上の敵意は無い
まぁ俺には誰がどんな感情を抱いてるか想像できるが
王城内での味方は数名の大臣と兵達と言ったところである
そんな王城内でリリィの場所へ向かっているとメイドに呼び止められる
リリィはティアとラナと一緒に中庭にいるとの事で案内してもらう
案内して貰った先にはリリィとティアとラナが談笑していた
案内してくれたメイドに
「大事な話があるから暫くは誰も近寄らせないようにしてくれ」
と頼んで3人の元へと近付く
3人もこちらに気付き手招きをする
俺は3人が囲むテーブルの空いた席に座り話を切り出す
「今日は3人に話があって来たんだ。実は・・昨日、リアに告白された」
「そうなんだ。返事はしたの?」
「これから行くんだが、その前に3人に話があってね」
「どんな話?愛の告白?」
「ティアさん。ラフィ様はそういう感じの方では無いです」
「そうですよね、ラナさん。ティアも冗談はほどほどに・・・」
「いや、ある意味ティアの言う通りなんだが・・・・」
最後の俺の言葉に目を見開く3人
俺ってそういうキャラじゃないんだ・・・男としてちょっと悲しかった
一間置いてからリリィが叫ぶ
「た、大変です!ラフィがおかしくなりました!い、医者を・・・」
「ちょっと待て!おかしくなったって流石に失礼だろ!」
「リリィさん!落ち着くのです!こういう時は頭を叩けば治ると、お父様から教わったです。お兄様が変なこと言った時はこうしたです!」
「リリィもラナも少し落ち着こうよ。でさ、ラフィ君は何があったの?」
混乱し、動揺するリリィとラナを宥め、ミリアにも話したことを話す
その言葉の3人の反応は・・・
「私はラフィと一緒にいて、皆仲良く暮らせれば良いので」
「私はそうなる予感はあったよ。ナユルさんとかわかり過ぎだし」
「ラナも同じです。ちょっと野性的なラフィ様は魅力が更に上がったのです」
一切否定は無かった
もうちょっとなんか言われるかと思ったのだが・・
そんな俺に3人は「「「今更ですしねぇ」」」と声を合わせて言った
何か俺、女の敵みたく言われた気がするんだが・・・
そこに3人が順番に話す
「そもそも、ラフィはもう少し積極的で良いと思います」
「ラフィ君の魅力に気付いて落ちない女性はいないと思います」
「私、落ちましたです!」
全く・・俺が惚れた女性は皆、良い女過ぎるだろ
そして俺は一人一人にきちんと想いを告げる
「リリィ。俺は君が好きだ。誰にも渡すつもりは無い」
「私は6年前に会った時から好きでした。だから、喜んでラフィの女になります」
「ティア。俺は君が好きだ。俺の女になって欲しい」
「私もリリィと同じで、6年間に助けられた時に好きになったわ。だから、ラフィ君の女になる」
「ラナ。俺は君が好きだ。俺の元に一生居てくれ」
「ラナはラフィ様の事が大好きです!だから、誰になんて言われてもラフィ様のお嫁さんになるです」
その言葉の後、3人の額に軽くキスする
今までそういうことをされたことも無く、されるとも思っていなかった3人の顏は真っ赤である
俺はキスをし終ると「ありがとう・・」と言って3人の手を取る
3人も優しく握り返してくれた
良い雰囲気の中、がさっ!という音がして、全員がそちらを振り返る
俺は「まさか王城に侵入者!?」と一気に警戒度を上げて・・脱力した・・・
気配感知と探索魔法を瞬時に展開して誰かわかってしまったからだ
俺は「何覗き見してるんですか?」と音のした方へ声を掛ける
出てきたのはイリュイア王妃・リアフェル王妃・ティアーヌ公爵夫人の3母親
娘3人は顔を真っ赤にして「「「お、お母様!?」」」と慌てふためいている
そりゃそうだろ
愛の告白を見られたのだ
羞恥に悶えるなと言う方が無理な話である
かく言う俺も平静を保ってはいるが、内心は羞恥に身悶えている
ある意味、黒歴史だよ・・・
そんな俺達の心情を知らず、無責任に「「「さぁさぁ続きをどうぞ」」」と、どこぞの昼ドラを見ている主婦みたいな目で見てくる
俺達の反応は当然「「「「できるかぁぁぁ(ですぅぅぅ)!!」」」」となる
俺は、三十六計逃げるが勝ち!と、言わんばかりに残りの用件を告げてその場を後にする
「あ、婚約発表後に聞いてもらいたいことがあるからまた連絡するわ」
それだけ言って退散した
この日、王城では娘3人に正座させ続けられる母親の姿が目撃されたそうだ
俺は門番に挨拶もせず、大急ぎで王城を後にし、気持ちを落ち着ける為にカフェで何杯も紅茶を飲み、昼過ぎにようやくリアの元へと向かった




