表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
63/318

56話 デートと突然の告白

翌日、朝早く起きていつもの鍛錬をする


4神獣は全員が就寝中だ


ただフェニクはミリアの部屋にいるので多分ではあるが




朝の鍛錬をこなしつつ、今日の予定をどうするか考える


修練ではなく鍛錬なのは修得ではなく鍛えるからだ


そして、何故今日の予定を考えているか?当然ぶっちするからである


正直爵位なんて今ので十分なのだ


リリィとの婚約に必要で陞爵するならばそれだけで良いのだ


よってぶっちは仕方の無い事である


・・・・・仕方ないのである


大事な事なのでもう一回言う・・・・仕方がないのだ!




自分に言い聞かせつつ、鍛錬しながら予定を考えて・・・閃いた!


今日はミリアとデートしよう!


神聖国でも外に出て何処かに行くとか無かったし良いかも


とは言え何かプランがあるわけでもなく、それなら案内デートにしようと考えて行動に移す事とした




鍛錬を終え、軽く汗を流し、身体を拭いて食堂へ行く


朝食には少し早かった様で紅茶を貰って時間を潰す


その間にミリアが4神獣と降りてきて全員で朝食にする


朝食を取りつつ今日の予定をミリアに聞くと特に何も無いそうだ


ミリアも陛下から今日の会談に参加するように言われていたのだが、ヴァルケノズさんが後はこちらに任せれば良いと言って全部引き受けたそうだ


ミリアの家族も流石にそれではと言って、家族の誰かが会談に行き、ミリア本人はお休みを貰ったそうだ


ナイスアシストだ!ヴァルケノズさん


そこで、今日は王都を案内しつつデートしようと誘うと、彼女にしては珍しく花が綻ぶように喜び、嬉しそうに手を合わせ、ニコニコしながら朝食を済ませた




1時間後、お互い着替えを済ませて屋敷を出る


基本の案内は商業区と・・・危険区域の場所だけは先に教えとこうと思い、デート前に極力近寄らないようにする場所だけ教えとく


そして、デート開始である!




ミリアは料理以外でも何かを作る事が好きらしく、鍛冶区にも行ってみたいと言うので、先ずは区域境を案内していった


馬車ではなく歩きなので、区域境に向け15分程歩き、そこから鍛冶区へ向かう


時刻は9時半過ぎになり鍛冶区の案内に入る


鍛冶区は服飾以外の物が大抵作られている地区だ


意外だが薬等もこの鍛冶区での生産が主流である


ミリアは興味津々で楽しそうに色々な質問をしてきた




「ラフィ様。この薬は神聖国ではあまり見ないのですが?」




「ん?ああ。これは回復薬なんだけど、治癒じゃなく体力のみ回復するんだ」




「何故、治癒と一緒にしないのでしょうか?」




「一つは利益かな。もう一つは技術。神聖国の方が薬の製法に関しては上だからだよ。逆にランシェスは食に関しての技術は上だと思うよ」




「国が違えば色々違うのは知っていましたが。実際に見るとこうも違うのですね」




そう言って再び歩き出し、色々と見て回る


2時間くらい見て回り、商業区に移動する




商業区は昼前と言う事もあり買い出しの者や商人で活気に溢れていた


途中、俺を知らない冒険者が絡んできたのでご退場して頂いた


勿論平和的にご退場頂きましたとも


冒険者ギルドでは高ランク冒険者は名前と顔が貼り出されている


これは指名依頼を受けやすくするためだ


指名料は高く、引き受けるかも冒険者次第な部分もあるので、確実に受けて貰えるわけではないがそれでも依頼者は多い


当然だが俺も貼り出されている


冒険者カードを見せると相手は土下座しそうな勢いで謝り去って行ったわけだ


それをクスクスと笑いながら見届けるミリア


結構良い根性してると思う




ちょっとした出来事もあったが、二人で色々と見て回る


行きつけの屋台のおっちゃんもおり




「坊主はデートか!やるねぇ!」




と串焼きを2本出して売りつけてくる




「今日くらい気前良くても良いんだぜ」




なんて言いつつ、代金を払ってミリアに1本渡すと




「嬢ちゃんも良い彼氏捕まえたねぇ」




と言っておっちゃんはお釣りを渡す


言われたミリアは意外にも照れており、ちょっと珍しいものを見れた




二人で串焼きを食べ歩きながら店を見て回ると後ろから声を掛けられる


振り返ると、そこにはウォルド達がいた


実は護衛任務の後、輝く星は解散した


ムムノとバルドの結婚を機に解散したのだ


ただ、結婚後すぐに解散したのでは無く、経済面から暫くは冒険者を続けていたが護衛任務で結構な報酬が出たので、これを機に別の仕事をするとの事で解散した




現在だが、ウォルドとナユルはフリーで色々なパーティーの助っ人をしている


ヤナは放浪の旅に出たそうだ


二人に声を掛けられたので俺も挨拶を返すと、リアーヌが店で値切り交渉している姿もあった




「今日は3人で仕事なのか?」




「いや?たまたまギルドであったから、何となく3人で来ただけだが・・」




そこへ満足の行く結果を出したリアーヌが合流


ナユルは何か言いたそうだが言い出せないでいた




「や、ラフィ。今日はミリアとデート?」




「案内も兼ねてな。リアはこれから3人で行動か?」




「う~ん・・・ちょっと色々考えててね」




そんな会話の中、ミリアはナユルに話しかけていた


ウォルドから多少距離を取って話をする二人だが、ミリアが何か言うとナユルは顔を真っ赤に口・・・ではなく動作・・主に首を動かして応対している


そんな中、突如告げられた言葉に場が一瞬で凍り付く




「ん~・・よし、決めた!ラフィ、僕とも婚約しよう!」




この子は一体何を言っとるんや!が、最初に浮かんだ言葉で、口に出す前に何とか押し込み、別の言葉をひねり出す




「お前、何言ってんの?」




言い方を変えただけで全く一緒だった


インパクトが強すぎて思考が停止していたらしい


そこへミリアが来て色々尋問・・・ゴホン、色々問いただす




「リアーヌさん、どうして婚約と言う結論になったんですか?」




「ん~・・元々ラフィの事は好きだったよ。友達としてだけど」




「なら、友達として好きのままで良かったのでは?」




「僕も初めはそう思ってたし、今でもそう思う事はあるよ。関係が壊れるのは嫌だったし」




「では、何故、今何ですか?」




「置いて行かれたくないからかな。後は前に進むため」




「・・・・そうですか。では、ラフィ様のどこが良いんですか?」




「優しいじゃん。面倒見も良いし、自分で決めた事は曲げない所も素敵かな」




「それを言うなら、隣にいるウォルド様も似たような感じだと思いますが?」




「ウォルドさんは兄貴って感じなんだよね。それにラフィは、僕が困っている時に手を差し伸べてくれた。あの時は嬉しいのと別に何かあったんだけど、今は言えるよ。あの時に好きになったって」




「ただの気の迷いでは?」




「違うって言える。ラフィがさ、オーディールで弱ってる時になんて感じたと思う?悲しくなかったんだよ。ミリアもそうじゃない?」




「否定はしませんが・・・それは別に・・」




「でしょ?僕もね、しょうがないなぁラフィは・・って感じだった。その時さ、僕が付いて無いとダメだなぁって思っちゃった。それで理解しちゃったんだよね。僕はラフィの隣に居たいって」




「いるだけなら問題ないのでは?」




「でも、いつかは離れる事になるよ。そしてそれはとても嫌で悲しくなった。死にたくなった。だから僕はラフィとずっと居たいと思った。そして好きだって・・・愛してるって自覚した」




「・・・・・・・」




「何も言わないんだね。勘違いしないで欲しいけど、別に1番になりたいとかそう言うのはどうでもいいんだ。ただずっと一緒に・・・ラフィと暮らしたい。お嫁さんが何人でも良いし、きっと沢山になると思っているから」




「強くて、真っ直ぐなんですね・・・・」




「ミリアほどじゃないよ。ミリアだって僕と似たような考えはあるでしょ?でも一緒に居たいと思った。なら、それは本気の好きじゃん」




「・・・そうですね。私も、この気持ちは偽りで無いですから」




「ならそう言う事だよ。で、ミリア的に僕は合格?」




「気付いてたんですか。私は別に何も言いませんよ。ただ、ラフィ様に害があるのなら黙っていないだけで」




その言葉を最後に二人は黙り・・・「「プッ」」と吹き出して笑い出した


最後にミリアは一言だけ




「決めるのはラフィ様。それだけは約束して下さい」




とだけ言った


リアも頷き、わかってると言った表情をした


尚、3人は置いてきぼりであり、周囲は「何だ?修羅場か?」と野次馬が集まってきていたので、とりあえず場所を変えようと提案し、その場を去る


この話は後に〝女の決闘〟と言う題名で、舞台のヒット作になるのだが、上演されるのはまだ少し先の話である




場所を移動した5人だが、未だ俺を含めた3人は呆気に取られている


そこでウォルドが何かを思い出し、俺に話しかける




「そういや、ギルマスがギルドに来てくれって言ってたぞ」




「いきなり唐突だな。で、何の用事だ?」




「詳しく聞いてないから知らねぇよ。何なら今から行くか?ってデートの途中だったな」




そう言ってミリアとリアを見るウォルド


そう・・・デートのはずだったんだが、そんな雰囲気ではなくなった


ただ、有言実行したい俺としてはこのまま続行も考えていたのだが




「ラフィ様!ギルドに行ってみたいです!」




目を輝かせながら言うミリアには勝てず、5人でギルドに向かう事とする


5人なのはミリアが「皆様で行きましょう」と言った為である


若干落ち込んだ俺にウォルドが「何か悪かったな・・」と声を掛け、ナユルには「ドンマイです」と慰められたのだった・・・




ギルドの前について扉を開けて中に入る


いつも同じ反応なのだが、何故誰か入ってくると見るんだろうな?


そして俺を見た冒険者達で、俺を知ってる者は全員が頭を下げ「お疲れ様ですッ!!」と言って来た


前世で見たらどこのヤ◯◯と思う光景だ


そして、俺を知らない奴は当然の如く絡もうとして・・・足を止める


SSSランク冒険者グラフィエルの顔写真を見ていた様だ


隣にはSランクの二人に新進気鋭のAランクである


喧嘩を売れば、ただでは済まないのは火を見るよりも明らかである




頭を下げていた冒険者に「あ~・・わかったから頭上げてくれ」と言い、そのまま受付に向かってギルマスを呼んでもらう


ミリアはギルドに興味津々であったが、何かに気付き、言いたい事がある様でこちらに目で訴えかけてくる


その訴えに俺も目線で「わかったから・・」と返す


ミリアは微笑みながら頷いた


ギルマスは心労が増えるだろうけど、俺が平穏に過ごす為の生贄となって貰おう




少し待った後、受付の女性が執務室へと案内する


ギルマスは席を立って迎え、話をする


話の内容は、A以上の認定をする際の試験官になってもらいたいとの話であった


A以上は国の評価が高い者なので、実力だけみるそうだ


現在は一つ上のランクが試験官を務めているそうだが、ちょっとした不正があり任せる訳には行かなくなったそうで、ギルマスの信用が置ける者に試験官を任せるとの事


また、A以上への昇進は本部ではなくランシェス支部が全て請け負う事も説明される




あまりにもおかしいのでもう少し深く聞くと、不正は本部といくつかの支部で起こり、不正をした者はギルドを通して裏で指名手配中らしい


円滑に捕える為、あえてランクの剥奪はしておらず、こちらが気付いてない様にしつつ、現時点で3パーティー捕えたとの事


数年前から不正があったらしく、その数は全体の40分の1程らしいが、調べて行くと冤罪もあり、捜査事態が難航している




幸いな事にランシェスとオーディールには不正者がおらず、ランシェスにはSSSがいるのでランシェス支部で一括する事になったらしい


不正をしたパーティーのいくつかは既に全滅か解散しており、引退した者は罰金の支払いだけに留めるそうだ


俺も常にいるわけではなく、返事を躊躇っていると、暇な時かギルドからの指名依頼で試験官をしてくれれば良いと言われた


俺に試験官を頼む最大の理由は、不正をしない為の抑止力と言われた




それならと了承し、報酬として毎月のギルド収益0.1%が支払われることになった


収益の0.1%って言えば金貨数枚と言われている


良いのかと聞くと、その代わり試験官は無償でと言われ、仕方ないと妥協した


王族の護衛任務に関わったA以上で実力のある者は、全員が試験官に抜擢されるとの事で、俺が試験するのは最低でもSへの昇進試験からだと言われた


現在進行形で試験官の数が足りなくて、王都に居る間に何名か受け持って欲しいと言われ了承する




さて、ここからはミリアの話だが・・・


ギルマスは汗たらたらになったとだけ言っておこう


俺もちょっと怖かったから・・・




この話の後、ギルド各所に神官とシスターが1名ずつと回復薬が常備された・・・

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ