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54話 精霊王再誕と完治

対談が終わり、席を立とうとすると呼び止められる


まだ何かあるのか?と疲れた顔をするも、重大な話と言われて気持ちを引き締める


重大な話とは神器に関してだが、精霊達ですら神器を見たことはない


しかし、神器の性質については知っているそうだ


何故知っているのか?その疑問の答えは、元創世神様の眷属で知識だけは与えられており、現在魔力回復が遅い俺の状況から伝えた方が良いと判断したらしい




現在起こっている俺の異変は神器への名付けにも関係しているらしく、名付けた翌日に神器開放してぶっ放した事が回復が遅くなっている原因の一つとの事


本来なら神器に名付けた後は神力を馴染ませる為に一定の時間が必要になる


馴染ませずに神器開放した場合は神ですら力を消失し、暫くはまともに力が行使不可能になるそうだ




今回無事だったのは10年以上共に人間界で一緒にいた為にある程度俺色に染まっていたからで、それがなければ俺は死んでいてもおかしくなかったそうだ


そこで提案されたのが、精霊界で名付けをして行っては?というものだった


申し出はありがたいが、現在の魔力を考えると不可能だ


しかし、その考えを真っ向から否定される




空間収納にしまっているのなら、少なからず俺の神力が残っているので、それを使用して名付けてしまえば良いと言うのだが、果たして可能なのだろうか?


俺は名付け終わった空間収納内の出来事を語ると、寧ろやるべきだと言われた


神力が吹き荒れたのなら間違いなく大量の力が残っていると


精霊達もサポートに入ってくれるそうで、半信半疑のまま名付けをとりあえず一つ行ってみる事にする




・・・・・結果は、見事に名付けする事が出来た


まだ余裕がありそうなので名付けを進めていくと、全部出来てしまった


いや、正確には神刀だけはしなかった


ちょっと考えがあったので名付けしなかったのだ


他の神器に関しては全て終えた


付けた名前は以下の通りだ




神銃>ルシフェル・ルシファー


神双剣>サティーヤ・ダズラ


両手神剣>ゲヴィヒト


大神剣>ヴァルキリア


神槍>ロギヌス


片手直神剣>イクリプス




以上6神器である(神銃は決戦前に付けていたけど)




名付けた後に改めて気づいたのだが、全ての武器が向上し、いくつかの効果が新しく追加されていた


どれも結構エグイ内容だった


一番効果がえぐいのは神双剣だと思う


神器開放レベルの効果とかエグ過すぎる


語る機会があればその時に語るとしよう




そしてふと気付くと、魔力がいくらか回復していた


どうやら追加された効果のおかげみたいだがそれでも50万程回復しただけだった


空間収納に残った魔力を神器達がこちらに送った様だ


調べてみると集約・魔力回復・回復向上が発動していた


集約は色々使えるっぽいし魔力回復は今までの自然回復とは別に回復してくれるみたいで、回復向上は全ての回復効率と回復量が向上するみたいだ


それでも雀の涙程というのは正直泣けてくる


今度こそ全て終わり、俺はその場を後にする


一歩踏み出すとそこは先に見た神殿のような部屋だった




扉を開け、部屋から出ると外は暗かった


今何時なのだろうか?歩いて行くと二人の妖精族と出会う


今は何時なのか聞くと、1日以上経っていた


体感的には2,3時間位と思っていたがそこまでとは


・・・・・精霊界恐るべし




二人は見張りと護衛と連絡役と俺の案内役を兼ねていて、侵入者の警戒をしつつ交代で出てくるのを待っていたそうだ


直ぐに連絡をと行きたいが現在は深夜で全員就寝中との事


仕方ないので俺も寝る(グぅ~・・)・・・・・何か食べよ


腹の虫には勝てず、食堂へ案内してもらう


当然誰もいないが、夜勤組の為に夜食が用意されているそうでそれを頂いた


その後、部屋に案内してもらい一旦寝る事にした




翌朝、目が覚めて魔力の回復状況を見る


・・・・・・現在60万ちょっと


回復速度は確かに上がっているけど、根本的解決にはやはり至ってない


部屋を出て洗面所で顔を洗い、食堂へ行くと全員起きて集まっており朝食待ちだった


代表もおり、相変わらずヴァルケノズさんとは不仲だった


挨拶をして席に座り、同じく朝食が来るのを待って皆で食べ始める


全員何があったか興味津々だったが、朝食後は先に代表と教皇と俺で話があると言って皆には我慢して貰った




朝食後3人で話をする


3人で話をする理由は信仰の事についての為だ


簡単に手っ取り早く終わらせる為、精霊を利用させてもらう事にした


二人に説明をし、教皇は納得顔で、代表は反論する


しかし、精霊から聞いた話と告げると「信じられない」と呟き、代表は肩を落とした


流石に落胆が激しいので少し補足する事にした


それを聞くと少しは元気が出たようで話の続きに入る




尚、どちらも正しくどちらも間違っていることは話している


神聖国は精霊は認めても敬う対象では無いし、神樹国は神の崇め方に問題はあるが精霊を敬う事は間違っていない


神聖国の信仰を軸として神樹国の精霊信仰を足したものが本来の信仰である


それを伝えると、両者は黙って考え込む




その後、少し時間が欲しいと代表に言われたので、ついでに広場に出来る限り国民を集めて欲しいとお願いする


代表も「神託があった」と言って了承するが、何があるのかは知らない様子だ


また気絶するだろうなぁ・・・・・と思いつつ、昼まで休憩になったのでのんびりする事にした




正午、中央広場には沢山の国民が集まっていた


代表の呼びかけに集まったのだが、国民も代表もその他誰もが何が起こるか知らない


俺は中央広場に急遽設置された神台の上に行き精霊を呼ぶ




『我、精霊王の名において。出でよ大精霊達よ!我が声!我が求めに応じ、その力と姿を顕現せよ!』




この言葉に代表はおろか国民も罵詈雑言を投げかける


しかし数秒後、静寂が訪れる


大精霊が俺の言葉に応じ姿を現したのだ




『お呼びでございますか?我らが王よ』




時の大精霊が代表して言葉を紡ぐ


精霊は見たことがある妖精族はそれなりにいる


しかし、大精霊を見た妖精族はいない


ただ、精霊達から話を聞いているので、その存在は疑っていない


そして、目の前の8精霊が大精霊である事も疑ってはいなかった


疑いを持たなかった?いや、持てなかったのだ




8精霊の威圧感に力の奔流


そして何よりも精霊達との存在感が違ったのだ


国民は誰も何も言わず1人、また1人と膝を折り祈りを捧げる


代表も膝を折って祈りを捧げ始めた


それを見た時の大精霊は言葉を紡ぐ




『我ら精霊と共に歩みし者達よ。我は時の大精霊、精霊王の代行者であり精霊を纏めし者。我らと共に歩みし者よ、今、精霊王は再誕された。我らは精霊王と共に再び歩もう。汝らに問う。我らと共に精霊王と歩むか別たれるか?意思を示せ。共に歩む者には精霊の祝福を。敵対者には滅びを。その行動を持って我らに示せ。我らが王に祝福の果実を。汝らの行動を我らは見ている』




『『『『『『『我ら大精霊は王の元に』』』』』』』




その言葉を最後に大精霊達は姿を消した


後には静寂と光の雨、遅れて大歓声が沸いた





大精霊達が姿を消した後はもう大変であった


お伽話であった精霊王の帰還


代表は会談どころではなく、全国民は目が血走しりながら祭の用意だ


食糧庫から大量の食糧が持ち出され、他の部族に伝令が走り、婚約者達は妖精族に連れられて衣装合わせ


祭の用意自体すら、最早祭りであった




俺は何か知らんが見世物になっていた


高台に椅子が設置されそこに座らされているのだ


勿論真っ先に着替えさせられましたとも


ちょっとうんざりし始めたが、こうなる事はあらかじめ予測・・・・していたよりも斜め上過ぎだなぁこれ




神樹国にとっては新たな記念日になるそうだが、もう一つ記念日が増えるらしく、今日が精霊王帰還の日で、俺の誕生日が精霊王生誕祭になるそうだ


食糧庫の貯蓄量が若干怪しいけど気合いで何とかすると言った代表は流石に止めた


そこで俺から一つ提案をしてみる事にした




同盟に参加して秋の収穫祭を1か月4国同時開催すれば良いのではと


精霊と神の信仰も世界に伝えられるし、神樹国の閉鎖的なイメージも払拭でき、更に神聖国との不仲を解決できるのではと


ゆくゆくは両国が手を取り合い、神樹聖国とかになってお互いに歩み寄れれば、もっと豊かに良い関係になるのではと


二人は考え込むと、直ぐには無理でもお互い歩み寄る事を約束した


この決定に国民は歓喜し、祭の熱は一層帯びていくのだった




わずか半日で祭りの準備を終わらせ、日が沈みかける頃に神樹国の全国民が中央広場に集まっていた


現在の俺は各部族との会談中である


神樹国は基本中央の代表が色々と決裁するが、精霊王認定や国家の重大案件には各部族を招集して決議を取るそうだ


そうなると反発必須は当たり前になるが大精霊を呼んで全員納得させた


目の前でいきなり現れては認めざるを得ない・・・というかはっちゃけた




大精霊が姿を再び消した後、彼らは


「「「「「オオオオオォォォォッッッッ」」」」」


と雄たけびを上げて一族の元へ走って行き「我が一族が神実を届けるのだ!」と一族総出で大樹へと向かって行った




神実と呼ばれる果実は精霊の力の結晶で在り、神力も過分に含んでいる


俺以外が食べれば確実に死ぬと言った果実だ


取り過ぎは身体に毒なだけの話だが、知らない人から見れば神罰と言われても仕方のない事である




大樹から収穫する際には一族の代表が競い合い、一つの果実を収穫する神事でもある


いかに速く、正確に収穫し、綺麗に持ち帰るかが競われる


綺麗にと言うのは傷などで痛むとそこから神力が減っていくからだ


光沢がそれを現すので、神事に参加する者は必死だ




今回はとりあえず3個持ち帰る事になっている


俺の魔力量を考えるとそれくらいは必要っぽかった


ちなみに、この実を食すことは俺自身も試されているわけで、精霊王なら食せて当たり前と言う訳で、当然問題はない




本来は日が出てるうちに神事は行われる


理由だが【精霊は等しく神の使わせし者】と言うイメージがあるからなのだが、勘違いしている者が大多数なので説明しておく


そもそも夜は、静寂と安寧と安らぎを司る時間で在り、それをもたらすのが光と闇と時の精霊である


つまり、騒がしく色々やるなら昼にしろ!ってだけだ


その言葉に納得した彼らは、夜に行う際はいかに静かに行うかを神事項目に追加した




神事が始まり、静かにだけど一斉に大樹へと昇り、実を取りに行く


会談に来た婚約者除く面子は、設置された椅子に座っている


婚約者達は俺より一つ下に席を用意され、豪勢な食事が用意されていた


俺が知るエルフは前世の知識なので、今見ている光景が正しい姿であり、食事は普通に何でも食べるのだが、好んで食べるのはやはり果実や野菜みたいだ


俺的には肉が良いのだが女性陣は果物の方が良い様だ




そんな感じで祭りは進んでいき、ミリアやリリィがあ~んしてきたり、ティアは出遅れた!的な顔し、ラナはルリ達4神獣に食べさせたりしながら時間は過ぎて、神事も採点が終り俺の元に神実が届けられる




神実の形は前世のリンゴそのものだった


ただ色は金と虹が混在し、食欲をそがれる色だったが、香りは食欲をそそる甘い香りだった


何というかかなりアンバランスである




周りが見ている中、一口かじる


・・・・・・・ナニコレ?メッチャウマイ!


表現しろと言われると難しい


唯一言えるのはさっぱりとした甘さがあるだ


後は無理!表現不可!喰わなきゃわからん!




無言で食べ続け、二つ目に手を伸ばす


・・・ん?さっきとまた味が微妙に違うぞ?


さっきのがさっぱりした甘さなら、今食べたのは例えるとメロンっぽい感じの甘さだ


だが、これはこれで美味い!この世界にもメロンっぽいのはあるが甘さが微妙なのだ




更に無言で食べ続け3つ目


今度は食感が違う!


今までのはリンゴみたいな食感だったが、今食べたのはスイカみたいな感じだ


甘さは少し控えめであるがそれがまた良い!


3つ目も食べ終わり一言「美味かったぁ」と、それだけしか出てこなかった


俺の言葉に一気に歓声が沸く




俺は手を振りつつステータスを確認


魔力1億/Errorと表示されていた


食べてみてわかったが1個辺り魔力1億は回復できるはずなのだ


それが3個食べて1億


貯蔵って底なしかよ


まぁそれなりに回復はできたし良しとしよう


自分で折り合いをつけ、その後は皆で祭りを楽しむことにした


変化に気付いたのは翌日であった




翌朝、気持ちよく目が覚め、日課になりつつあるステータス確認を行う




「はっ!?えっ!?・・・・どうなってるんだ!?」




ステータスの魔力を見るとError/Errorになっていた


こうして俺は見事完治した


・・・・・・腑に落ちんけど

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