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53話 七精霊と代行者

精霊の誘いにより、代表に案内されてとある場所へ着く


そこは小さな、それでいて神力が漂う神殿であった


しかし、その神殿は建物と別に建っているのではなく、会談場と同じ建物の中にある部屋だった




扉の前に着くと、嵐の精霊が再び現れて告げる




「彼以外入っちゃダメだよー。もし破ったら・・・」




そう言ってクスクスと笑いながら消える


ん~、精霊っていうよりいたずら妖精っぽいんだよな、この精霊


そんなことを考えつつ、言われた通りに部屋に入ると勝手に扉が閉まる


完全に閉まり切った直後、空間が歪んで時の流れが変わる


一気に警戒度を引き上げると、嵐の精霊が出てきて




「いらっしゃ~い!皆待ってるよ~。あ、警戒しなくても良いよー。空間を歪ませて私たちの住むところへ繋げただけだから」




そう言って服の裾を引っ張って「こっちこっち」と案内する


警戒度を下げつつ、とりあえずは言う通りに進む


少し進むと、9つの椅子とテーブルが置かれてあった


「とうちゃ~く」の声と共に7つの光が眼前に現れ、風の塊が嵐の精霊に直撃して吹っ飛ばした


警戒度を一気に上げたが次の言葉に脱力する




「おっそ~い!!待ちくたびれた~・・だから・・・お・し・お・き(きゃぴ)」




何処のギャルだよあんたは!!


心の中でツッコみつつ嵐の精霊を見ると、ふらふらして頭に星がくるくる回っているが無事なようだ


尚、比喩ではなく本当に回っているのだ


目に見えるままに


ここが違う場所だからなのか?ノリでそうしたように見せているのか?精霊は皆そうなのか?はわからないが現にそうなっているので受け止めよう




そして次は、突如始まる自己紹介


精霊って皆マイベース過ぎるだろ


端的に言えば7人?なのかはわからない(人の姿に近いので7人にしておこう)けど全員が世界に影響を及ぼす大精霊で、魔法属性になぞらえた形で現れている


緑の大精霊もかつてはいたそうだが今は世界と一つとなったそうだ


その辺を詳しく聞こうとした瞬間、とんでもない威圧感プレッシャーが辺りを覆い、一気に警戒度を最大にする




(これは・・・ヤバいな・・・・)




明らかに次元の違うプレッシャーに、戦闘態勢へと移行する


魔力が元通りなら生き残る事は容易だが、現在の魔力は2万ちょい


戦闘になった場合、魔力系に異常のある今の俺なら確実に死ぬ


この場所の推測は出来るけど確信が持てないので撤退戦は不可能


覚悟を決め、生きて帰る道を模索しながら威圧している者を見る


精霊なのはわかってはいるが明らかに異質だ




精霊はこちらを見ると微笑み、頭を下げて謝罪した


その行動に呆気に取られ、しばし呆然とすると、またもや自己紹介されて我に返り、心の中でマイペース過ぎんだろう!とまたツッコんでしまった




座って話をしようとの事で、とりあえずは椅子に座る


尚、突如謝罪した精霊は時の大精霊であった


謝罪した理由は驚かせたことである


時の大精霊は自分で意図しなくても、現れる時には何故かそうなってしまうそうで、申し訳無そうに謝るので気にしていないと言っておいた


そして、8精霊との話が始まるがその内容はと言うと・・・




「初めまして。クロノアスさん。時の大精霊で代行者です。あ、代行者と言うのは言葉通りで精霊王の代わりです」




いきなりこれですぜ


一瞬で混乱したわ


そもそも精霊王って何?


代行者の役割は?


疑問だらけなので、一から説明して貰った




精霊王とは文字通り、精霊を統べる王である


代行者と言うのは王の代わりであり、王が不在時の取り纏め役である


では、精霊王とはどんな存在なのか?という疑問に行き当たるが、精霊王とは精霊に認められたものが精霊王らしい




精霊王を認めるには絶対不変のルールが一つあり、代行者含む大精霊全てに認められることが絶対条件でそれ以外は特に無いらしい


大精霊の眷属精霊には認めない者も多いが、上が決めたんだから従えって感じの様だ


代行者に関しては、世界を安定させ存続させるように指示を出すだけで他には特に何も無いそうだ




理解したので次の話に移るが、マジですか!?としか言えない内容だった




「クロノアス家は大昔、私が手助けしたんですよ」




マジですか!?って言いたくなるだろ?


とりあえず、クロノアス家の過去を聞くことにする




今から約1千500年前、世界は今ほど安定してなく、小さな国がいくつも争いを繰り返しながら国を大きくしていたそうだ


侵略、同盟、統合などが頻繁にされており、クロノアス家も歴史を辿れば小国家の王族であったとの事だ


早くも爆弾が出て来たんですけど・・・


時の大精霊はこちらの心情を気にせず話を続ける




現ランシェス王国は1千200年ほど前に誕生したそうで、今あるいくつかの上位貴族が現王族の元に統合された結果であるとの事だが、そこで疑問が沸き上がる


今の上位貴族が元小国の王族なら、そんな簡単に統合できるものなのか?と


この疑問の答えは、世界の流れと返答された




各地で侵略が進み、いくつかの大国が誕生した


現ランシェス王国は当時、小国家同士の争いが続いており、大国に飲まれるのは時間の問題だった


そこで初代ランシェス王は同盟統合を提示する


そこに賛同したのがクロノアス国であった




賛同した理由だが、クロノアス国は当時5ヶ国に同時侵略を受けており、風前の灯火であった


打開するには同盟しか方法が無かったのだが、結果として国は亡びた


だが、この同盟により国民と王族は生き残る事に成功し、初代ランシェス王に条件付きで降った


その条件が旧クロノアス国を取り戻した場合に領地として貰う事であった


その約束は果たされ現在に至るとの事だ




クロノアスの歴史は理解したが、精霊の手助けした内容が一切出てないので聞くと、クロノアス国最後の王子に力を貸し、現クロノアス家の礎は彼が築いたそうだ


最後の王子にして初代クロノアス辺境伯は魔力が膨大で、俺を除けば過去最大数値の人間であったそうだ


だが、彼は一つも属性の適性が無かったそうだ


宝の持ち腐れである




当時は時空間属性は無く、無属性も当時は無かったそうだ


しかしこの話だが、実は無いのではなく、使える者が極少数だったのと認知されていないだけで、認知されるまでは光と闇に分類されていたとの事


そこで時の大精霊が力を貸し、時空間魔法を教え、定着させたそうだが、ここでまたも疑問が起きる




何故その歴史が残っていないのか?




理由は精霊との約束


クロノアス一族にのみ全てを受け継がせるのは良いが、それ以外には他言無用の誓約をして手助けをしたとは大精霊の言葉だ


しかし、時空間魔法を継承されやすいのがバレていることを話すと、いずれバレるのはわかっていたことだから、歴史を意図的に消すことで精霊との約束をご先祖様は守る事にしたとの事


以後、クロノアス一族に時の大精霊は姿を見せなくなったが、時空間魔法の継承については陰から力を貸していたと伝えられる




そこで新たな疑問


何故神樹国に人と精霊が出会った記述も歴史も無いのか?


その理由に俺は椅子から転げそうになった


理由はお忍びで・・・・である


そりゃあ誰にもわかりませんわ


妖精族と言うか、神樹国は精霊降臨の地とされており、精霊が降臨すればわかるそうだが、思いっきり無理してお忍びしたそうだ


まぁ、そのおかげで今の俺がいるわけだし、文句は言えないわなぁ




大精霊曰く、現在もクロノアスが時空間を受け継いでいるのは偶然が半分、血筋半分だそうだ


いくら陰から力を貸そうが限度があるらしく、300年程前から継承力が落ちてきているらしい


今代の全子孫継承は奇跡に近いらしい




クロノアス以外で時空間が使える者は、たまたま適性があったか、少なからずクロノアスの血が混じっている為とか


何でそこ迄詳しいのか聞くと、大精霊は元々創世神様の眷属で、世界創造に関わっているそうだ


しかし、創造後は役割を与えられ眷属からは外れている


意外な事実に驚き、精霊がお茶を入れてくれたので一息つき、次の話へ・・・・・まて、このお茶は一体どうやって淹れた


ツッコむと「内緒です」とはぐらかされてしまった




仕方なく次の話に移る


内容は俺の異変についてだ


魔力の回復が遅い理由だが、これは推測通りではあった


しかし、まさか推測した両方とは予想外だったが


魔力回復速度の低下は、予想通り神器開放による急激な神力使用と元食神から譲り受けた能力によるものだった




何故わかったかというと精霊は魔力の流れを普通に見る事が出来る


その中で回復した魔力の大部分が消失しているのを感じ取ったらしい


更に、初めての神器開放による副作用で、魔力回復に乱れが生じているらしく、その乱れを治せば安定した回復速度と量には戻るとの事


問題は消失している方だが、貯蓄量には上限がある筈なので、どうしても早く回復させたいならばスキルを止めるかある物を食せば良いとの事だ




そのある物とは、大樹になる果実である


流石に分けては貰えんだろう、と言葉にする前に大精霊全員から俺に渡すようにお告げを出すと言われた


それでも無理だろうとは思うが次の言葉にちょっと恐怖した


その言葉とは「望むだけ渡さなければ精霊は神樹国から消える」である


人はこれを脅迫と言う


他に案があるわけでもないので任せる事にしたのだが、次の話で任せる案を却下したいと本気で思った




却下したいと思った次の話だが、何の事はない


精霊王に認定されただけの事だ


HAHAHA・・・・ちょっと何言ってるかわかんない


そんな某芸人の言葉が頭の中に流れた




精霊王?俺が?冗談にしては笑えない


だが精霊達は冗談ではなく至って真面目である


理由を聞いても・・・・・やっぱ嫌だなぁ


理由は至極当然で、神の力を有しており上位存在であるからだ


正確には力が上位存在なだけなので、それを理由に断ろうとするが




「嵐の精霊に優しかったですし。それに、その力は精霊王と言ってもどこからも文句は出ませんし」




って返されてしまい、どうにか断りたかったが案の定無理で、否応なく精霊王になってしまいました


力がと言ってるがこれ多分気付いてるんじゃね?と思い正直に聞いてみた


結果は、気付いてました~(∀`*ゞ)テヘッ的な事をしたので軽くキレた


尚、8大精霊の(∀`*ゞ)テヘッは可愛かった




観念した俺は無事に精霊王となりました


気付かれた理由も俺が口走った神器開放であったので自業自得でもある


そもそも人間には、神器開放どころか神器すら持つ事が出来ないのだから、精霊ならそりゃ気付くわな




最後に妖精族へ精霊王再誕を知らせ、臣下の儀を皆の前で行うとの事だが、流石にそれは必要ないと思って止めたのだが却下された


これは精霊の意思であり譲れないとの事


こっちにも事情がある事を伝えると尚更した方が良いと言われた


もうやけくそだー!って感じになったので、ついでに信仰について話しても良いかと伝えると、一部話してはいけない事があるのでそれさえ話さなければ問題ないとの事で、その辺りだけ聞いて了承した




こうして精霊との対談も終わり、俺は更に色々な柵が増えた

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