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49話 身体の異変

白竜との対談を終えた後、気になっていた事があるので聞いておく




「で、どうやって皆はここまで来たんだ?」




その言葉にビクッとなる炎竜と水龍


様相はしていたがやはりこいつらの仕業か


2竜をジト目で睨むと




「ち、違うのだ!聞いてくれ主君よ!水龍の奴が迎えに行くべきだと!」




「ちょ!汚いで炎竜!先にそれ言ったんはお前や無いか!」




脅えながら責任を押し付け合う竜2体


それを見ながら苦笑いする見知った者達


そこへ双雷が戻って来る


帰って来るには早過ぎるのだが




「何をやってるお前ら。主、只今帰りました。傭兵国には配下を向かわせ、不穏な動きが無いか上空より観察し、兆候が見られないのでご報告に。我は目が良いので上空から傭兵国を見ておりました。何かあったのでしょうか?」




それで早い訳か


こちらの意図も理解して先に説明するのは流石だな


ただ、2竜が怯えてる様子は理解できなかったようなので




「ああ。何でここに皆がいるのか聞いたらこうなった」




「そうですか。差し出がましいと思いましたが、我が具申して提案しました。主の事ですから問題はないと思いましたが、帰還が遅くなれば心配されると思い報告に出向いた所、共に行くと申されまして。奥方を蔑ろにも出来ず、何故かこのような人数に。申し訳ありません」




「謝らなくても良いよ。俺を思っての事だろう?やましい事でないのなら怒る理由も無いしな」




「ありがとうございます」




「寧ろ挙動不審になるから駄目なんだ。やましいことが無いなら胸を張れば問題無いのに」




そう言ってキョドってた2竜を見ると、お互い明後日の方向を見て目を逸らしていたので、双雷に一発ずつ代わりに殴ってもらった


「主君~」、「おやぶ~ん」と、泣きそうな2竜に周りは大爆笑して和やかな雰囲気になり、俺の腹の虫が「めし~!」と叫ぶのを機に、一旦お開きとなった




再び目覚めてから更に5日経った


風牙は順調に回復しており、予想よりも早く完全回復しそうだ


俺も快方には向かっているのだが、非常にマズい状態でもある


まだベッドから起きられないのだが、快方に向かっているのは確かなので時間が解決してくれるだろう


問題は神力(魔力)の回復速度である


いつもより遅いとかの問題を遥かに超えて異常に遅いのだ




ステータス上では俺の最大魔力はErrorになっており、実際の最大数値は不明である


で、現在の俺の保有魔力は3万8千ちょいである


邪神核の破壊直前迄は1万前後あった感覚があるので、17日経った現在から計算すると1日当たりの回復量は約1600である


非常事態であり異常事態である


今の1日の回復量は普段なら一瞬で回復する


風牙は普通に回復してるそうなので喰われた影響の可能性は低い




考えられる可能性は3つだ


1つ目は神器開放の影響


2つ目は新しく追加されたスキルの影響


3つ目は身体の治癒を優先させている


しかし、怪我の割合なら風牙の方が酷いので3つ目の可能性は低いと考えている


ただ、見た目で判断しているので実際は俺の方が風牙より色々と身体が酷い可能性もある


あくまで可能性なので他の要因があるかもしれないな




そして、更なる問題も浮上する


神聖国迄片道7日、神聖国で6日、龍島で2日、竜王国への移動で4日、竜王国内で19日、合計31日が過ぎ、帰国の時期になる


ランシェス王国には竜王国の使者が風竜に乗り、事の顛末と現状を伝えに行ってるので問題はない


ただ、帰国に入らないと学院が始まってしまい、現在竜王国にいる級友達は授業に出れなくなってしまう


全員が最上位クラスだけど特別な者は限られるので非常にギリギリの日数なのだ




俺は特別生なので新学期にも事情があれば顔出しを免除されている


リリィとフェルも王族なので国務であれば俺と同じ待遇になるのでギリギリ何とか言い訳はできる


それ以外の者は絶対に出なければならない(冠婚葬祭は除く)が、ギリギリの日数しか残っていない


本来は十分間に合う日程なのだがそれは神聖国内だった場合である




神聖国から帰国なら7日で済むので半月ほど余裕がある


だが現在は、最東端の竜王国に滞在しており、予定通り移動できても片道23日かかるので本当にギリギリの日数なのだ


ただ、この日数は馬車で移動した場合である


竜に跨れば3分の1の日程で移動は出来る


しかし、竜で帰れば王都はパニックになりかねない


だから、竜で帰国する手段は本当に最終手段である




その事に気付いた俺は皆を呼んで伝えると、既に王妃が手を回したそうで問題が発生して巻き込まれ、帰国が大幅に遅れる事を王家から学院に通達し特例処置をするそうだ


更に付け加えて、王族と各国を回り見聞を広める課外授業としての側面も持たせ、高度高等学院の名に恥じぬようにすることで納得させるとの荒業である


その二つで最悪の場合、1年の2期は乗り切るそうだ




それならと少し安堵した俺は、その場を解散しようとするが待ったが入る


王族は毎年開催される秋の収穫祭だけは帰国せねばならない


その為に一度帰国しないといけないが、先の理由がある以上は全員が帰国出来ない


加えて護衛の雇用期間の問題だ


こちらは後8日で契約完了となってしまうので話し合いが必要である


雇用期間について失念していた俺は、冒険者も呼び全員集まってから話をしようと提案する




俺以外の皆が立ったままなので全員が座れるように椅子とテーブルを用意して貰う


幸いな事にこの部屋は、神竜騎士を迎えた時の為にと部屋二つ分足した広さがある


テーブルと全員分の椅子を用意して部屋に入れてもまだまだ余裕があるのだ




メイドと兵が椅子とテーブルを運び入れ、全員が集まって話を始めようとするのだが、何故に竜王国の王族がいる?


この話に竜王国は関係ないはずなのだが?


理由を聞くと大丈夫か?と思ったが納得はした




現在の竜王国国庫は率直に言って危機的状況だ


全く無いわけではないが空っぽと言っても反論できない程である


だが、自国の危機的状況に俺から首を突っ込んだとはいえ、竜王国側からすれば巻き込んで解決して貰ったわけで、俺は一時期重篤であり間接的にしろ他国を巻き込んだ状況とも言える


他国である神聖国と王国の人達は自分の意思でこちらに来たわけだが、国の威信もあるので体裁は整えたいそうだ


しかし、今は国庫から支払える余裕も無いので暫く立て替えて欲しいとの事


立て替える費用は更新時の冒険者の雇用報酬と俺への報酬である




俺としては別に要らないのだが、国としての威厳もあるので受け取って欲しいと言われたので、国が落ち着いてから受け取るとの約定を交わした


冒険者への支払いは約定通り履行しなければ信用問題になる


しかし、竜王国だけに支払わせるなど王族としての矜持と威厳に関わるので3国で折半する形を取り、竜王国分に関しては2国が一旦立て替えて支払い後、1割増しで請求する事となった




冒険者達の雇用更新についてだが、元の契約が既に破格の条件で臨時収入もあり、冒険者ギルドに延長追加依頼を3国連名で出す事で問題無いとした


ただ、身体や勘が鈍るのは避けたいので、定期的に順番で時間にあまり縛られない討伐系依頼は受けても構わない条件だけ追加された




竜達に関しても何か報酬をと言ったが竜達はそれを拒否した


白竜以外の竜達は「ただ、主の命に従った迄」と拒否し、白竜は「そもそも何もしていない」と言い切って辞退したのだ


竜王国側はそれでもと食い下がり、妥協案として一族の食糧調達に口を挟まない事を報酬とすることで渋々了承した


とりあえず竜王国側に見えている問題は傭兵国側との交渉のみとなり、一先ず全ての問題が片付いた形となった




話し合いから更に3日経ち、風牙が完全回復する


俺の方もとりあえずは起き上がって歩けるほどには回復した


若干よろめく時もあり、日常生活を送れる迄には後数日といったところか




皆は竜王国内で各々好きな事をして過ごしている


観光、食べ歩き、手合わせ、お茶会などである


俺は半日以上はベッドの中である


もう心配はないのだが痛々しい姿を見た婚約者達が時間を決めて監視しに来るのだ


軽く身体を動かしたい時は監視の下に行われる始末である


更に食事だが、初めの内は消化に良いものだったのだが、ここ数日は精のつく食事をとかなり豪勢で、太らないか不安である





再び目覚めてから13日が経過するが、俺の魔力は非常に心許ない


現在の魔力は4万5千弱


若干だが回復速度は上がるも雀の涙ほどで、俺は頭を悩ませていた


どうしたものかとベッドで上半身だけ起こしながら考えていると、不意にあの時の言葉を思い出した


シル様が言っていた言葉〝求める物は神樹国〟って言葉を




俺はある程度回復した後は神樹国に向かうと決め、それを伝えるためにリアフェル王妃の元に行く


リアフェル王妃の部屋まで赴くと、そこには各国のトップが集まっていたので、俺は丁度いいと思い、さっき決めた事を告げる


やはり理由を聞かれたので、ここは少し誤魔化しつつもそれなりに答える


理由を聞いた各国トップは予想外の言葉だったようで、かなり深刻であると理解された


神樹国行きに問題は無いがここでヴァルケノズさんが1つ頼み事をしてくる




聞いてみると神樹国と神聖国の現状況を打開する為に神樹国トップと会談予定があるらしい


この際ついでだからと、俺に同行許可を貰えるなら同行したいと言われた


そこで竜王国側からも会談したいと言われ、更にはランシェス王国も秋の収穫祭後に会談予定があり、時期は早まるがついでに会談をしてしまおうと決まり、俺の回復を待って神樹国へ向かう事となった


後、非常に不本意ではあるが、ランシェス王国で行われる秋の収穫祭に全員が参加し、婚約発表をしてしまおうと俺を除く全員が一致し、代表者の選定が始まる




神樹国への護衛を現在護衛中の冒険者達に追加依頼し承諾を得る


冒険者ギルドには3国連名の依頼として受理させた


して貰うでもなく、されたのでもなく、させたのだ




「現在複数依頼になっており受理できない」




そうギルマスに言われたと報告を受けた3国トップが動き、無理矢理させたのだ


竜王国冒険者ギルドのギルマスは涙目であったそうだ




出発は1週間後と決めた


婚約者達は反対したが竜達にも協力してもらうし無理はしないと約束して渋々だが引き下がってくれた


しかし、彼女達は気付いていなかった


そこに無茶はしないと言う言葉が入っていないことに








後日バレて思いっきり怒られました

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