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46話 事態の打破へ

4人目の婚約者が誕生した会議であったが、ぶっちゃけ手詰まり状態なのは変わっていない


最大の問題は首魁であり発生源でもある魔物がどこにいるかわからない事だ


この問題を解決しない限り事態の解決は無い


部屋で一人どうするか悩んでいると、ふと音も色も無い事に気付く




「これは一体?」




呟くと同時に光が収束し、久しぶりにあの方々と再開する




「お久しぶりですね、蒼夜君。いえ、グラフィエル君」




そこに現れるは死神シーエン様と全知神シル様だった




「お久しぶりです。シーエン様、シル様。何故ここに?」




「あの不遜な態度ではないのですね?」




「シル様も人が・・・いや、神が悪い?どっちでも良いか。まぁ流石に神様にあんな態度は取れませんよ」




「二人共、世間話はそれくらいで」




シーエン様に注意されて、シル様と俺は真面目に話を始める




「では本題に移りましょう。現在この世界の状況は良くありません。気付いているのでしょう?」




「神喰いの置き土産ですね?」




「面白い言い方をしますね。まぁ、その通りです。今回は流石に看過できないので我々から手助けです」




「何をされるので?」




「情報提供。ラフィが困っているから。」




「シーエン様?なんか喋り方が変わってません?」




「あの時は、色々あたふたしてて謝罪しなきゃとしか考えてなかったから。これが本来の私・・・」




「そうだったんですか。なんか今のシーエン様は可愛いですね」




本当にそう思ったので口に出して言ったら、シーエン様は白い肌の顔を真っ赤にさせて目深くフードを被ってしまった


シル様はそれを見て一言「別の意味でも神殺し・・」と訳の分からんことを言っていた


何のことかわからんが話を戻そう




「で、その情報とは?」




「話がそれましたね。正直に言います。我々でも所在は掴めません。神喰いの権能が邪魔をしてます。ですが手が無いわけではありません」




「一つ疑問が。権能が邪魔をすると言いましたが?」




「言葉通りです。神喰いの置き土産には強弱があり、弱ければ我々でも発見出来ますがあなたの手に負えないと言う事はないでしょう。問題は強い方です。強い方は本来の権能より弱体化しているとはいえ本質は変わりません」




「なるほど。つまり神を喰らう、神力を喰らうんですね」




「正解です。なので神力を使って見る事が出来ません」




「では、その方法とは?」




「喰らうと言っても瞬時に全てが喰らわれる訳ではないと言う事です」




「弱体化した権能だからですか?」




「その通りです」




「つまり、誰か竜を犠牲にしろと?」




「今出来る唯一の方法です」




「それは方法とは言いません。犠牲を出さずに済むなら、その道を模索するべきです」




「貴方ならそう言うと思っていました。ですから一つ、賭けの要素が強いですがそちらを取りますか?」




「その賭けの方は?」




「やる事は変わりません。違うとすれば当たりを付ける事と神竜の眷属を貴方の眷属竜とするのです。成功すれば犠牲は出ませんが失敗すれば」




「俺も死ぬわけですか」




「貴方の場合は死と同時に取り込まれるでしょうね。ある意味、死よりも苦痛でしょう。最悪の場合、自らの手で大切な者に手を下してしまいますから」




「だが、犠牲が出る方を選んでも失敗する可能性はあるか」




「成功確率の方が遥かに高いですけどね」




「賭けの方の成功確率は?」




「最悪5割を切ります。ですが最初の賭けに勝てれば7割はあると思いますよ」




「何とも分の悪い賭けだ」




「選ぶのは貴方です」




「選びませんよ。最初から答えなんて決まってる、賭けの方しか選択肢はない」




「やはりそっちを選びますか。では眷属竜の仕方を教えましょう」




「必要ないですよ。もういますから」




「ルリですか?しかしあの子は?」




「違いますよ。とびっきりの奴がいるんでね」




「そうですか。では、ラフィに任せましょう」




「ラフィ。これ・・・」




「これは?」




「神力の欠片。服用しておけば万が一、神力が無くなっても補充できる。ただ発動条件が0になったら3割補充だから気を付けて。発動前に0になるから一瞬だけ意識も飛んでしまうし」




「わかりました。2つあるし俺とあいつでだな」




「後・・・おまじない」




そう言ってシーエン様は俺に屈むように促す


13歳にして俺はシーエン様より身長が高い


で、屈んだ俺にシーエン様は・・・・額にキスした




「死神だけど・・・女神からの勝利のキス。が、頑張って」




それだけ告げ、シーエン様は光となって消える


シル様は「あの子、意外と大胆ね」と姉っぽかった




「一つ言い忘れてたわ。今回は何も気にせず神器開放を使いなさい。何の神器を開放するかは任せますが、上手く行けば浄化も出来る可能性があります」




「わかりました。自重せずぶっぱなします!」




「・・・・・・・・・少しは自重してね。世界が壊れない程度には・・・・・」




「わかりました」




「それと、近い内に神樹国に行きなさい。貴方の求める物が必ずあるわ」




「覚えておきます」




そしてシル様も光となって消え、時が動き出し喧騒が聞こえる


俺は決意と共にあいつの所へ行く


きっと期待に応えてくれる奴だから





時は夕暮れ


俺は背中を預けると決めた相棒の元へ行く


そこには夕日に照らされつつ空を飛び、王都を眺める1匹の竜がいた


そう、風牙である


俺は風牙を呼び、二人きりで話があるから空へ上がってくれと頼む


上空2000mで俺は作戦の概要を説明する




「風牙。賭けの要素が強い博打みたいな方法だが、俺に命を賭けれるか?」




「主様。我は主様の翼。主様が望むのなら何処へでも」




「今のままじゃ共には行けない。風牙は神竜の眷属を止めなければならない」




「主様」




「だから無理強いはしない。あまり時間は無いが風牙自身で決めて欲しい」




「主様は我が願いを、望みを、叶えてくれようとしておられるのです。ならば我の答えは一つ!主様と共に!」




「悔いは無いか?もう風竜族ではなくなるぞ?」




「主様の気遣い、感謝致します。ですが我はただの風牙として主様を我が主君としました。心残りはありませぬ。ただ一言、共に来い!と言っていただければ」




こいつは本当に、不器用で実直である


言葉はただ一言あれば良い


だから・・・俺は!!




「風牙よ!俺と共に来い!!救うぞ!竜王国を!!」




「主様の赴くままに!!」




そして、風牙は光に包まれる


風牙は風竜族ではなくなる


神竜の眷属から外れる


新たなる加護は俺の加護


始まりも終わりも無い風の竜・・・・否、暴風の竜


今ここに、風竜族風牙は終わりを迎え暴風竜風牙として顕現する!




「我は、主様の翼にして風!全てを飲み込む暴風にして主様の牙!我が名は暴風竜風牙!主様の眷属竜也!!」




新たに顕現した風牙は、緑の鱗ではなく深緑の鱗に翡翠の瞳、所々に黒が混じるも体格は風竜の時とは比べ物にならない程に大きい


例えるなら某RPGに出てくる竜の召喚獣とみたいな感じである


違うのは色だけと思って貰えればいい


地に降り立つとその力強い波動に全ての風竜が平伏する


風竜族は神竜の眷属であり暴風竜風牙の眷属となった




何事かと城の中にいた者達が出てくるや開口一番




「風竜族族長風牙は今ここに新たなる竜として顕現した!風牙は風竜に在らず!刮目せよ!暴風竜を!!」




その言葉に全員が片膝をつき風牙を崇める


竜王国に真なる守護竜が誕生した瞬間でもあった




宣言の後、再び会議が行われる


俺が招集させた


やる事はもう決まっているのだ


後は、もれなく情報を精査し、最高の未来へ辿り着くのみ!




情報を精査していくと、一つの情報を見落としていた事に気付く


汚染は飽和上に広がっていて元の汚染区域中心と現在の汚染区域の範囲と中心地が比例していた


それでもそれなりの広さはあるのだが間違いなく元凶は中心地にいる


後は時間との勝負だけだ




全員に明日で決着をつけると告げ、今日は英気を養うように酒などを振舞ってやってくれと言い、俺は風牙の元へ向かう


俺が来ると目を細め頭を寄せる


可愛い奴である




「主様。先ほど頂いた物は、やはり主様が両方使うべきでは?」




おもむろにそう言い放つ風牙に




「何故、風牙に声を掛けたかわかるか?お前が一番実直だからだ。お前となら二人揃って生きて帰れると確信できたからだ。それに顕現したとはいえ先に力が無くなるのはお前だ。俺はお前に乗って帰りたいからな。死なれたら困る」




と、相変わらずの傍若無人っぽく聞こえるだろうが、俺は風牙の主にして加護を与えしものだ


それらしく振るまわねばならない


最もバカやったりしないわけではないので真面目な時だけこんな感じだ




「では、主様のご厚意に甘えさせていただきます。・・・・・おや?誰か来たようですな?」




風牙の声に振り向くとそこにはラナと兄であるヨルムンがいた


二人は目を輝かせて風牙を見ているので、二人にある事を提案すると2つ返事で飛びついた


王妃も呼ぶとの事で待っていると




「主様も存外甘いですな」




と言われたので




「風牙も甘いだろ」




と返す


二人で笑っていると王妃を連れて戻ってきた・・・・王様を添えて


仕方なしに家族全員を風牙の背に乗せ夜空に向けて飛翔する


4人とも驚き、喜び、感動し、10分程の空の散歩を堪能した


まぁ、義理の両親と兄になるので家族サービスと思えば良いか




興奮冷めやらぬまま地上に降り「流石、娘の旦那だ」や「これなら安心ねぇ」等、一家団欒の声が聞こえてくる


その中で兄ヨルムンが妹に質問し、妹が答える




「なぁ妹よ。グラフィエル君のどこが好きになったんだ?」




「一目惚れ。カッコいいし、顔も良いし、話してみて優しいって思った」




「他には?」




「私の料理が美味しいって言ってくれたのは嬉しかった。竜王国の食べ物も好きだって言ってくれたし、お兄様みたく意地悪じゃない!」




「ぐふっ!だ、だがグラフィエル君より俺の方がかっこ「ラフィ様の方が万倍カッコいい」ごふっ!」




「優しいのも~、ちょっと危険な感じも~、時折見せる優しさも~、全部ラフィ様が上!」




「ひでぶ!!」




「お兄様じゃラフィ様には何一つ敵わないよ」




「。p@wklc:lwc;k」




声にならない声を上げ、兄ヨルムンは心に深い傷を負った


心無い言葉で、流石に同情はするけど放置した


めんどくさそうな人だったので




そんな感じで夜は更けて解散になり。部屋で睡眠を取って明日への英気を養う


・・・・・筈だったのだが、ラナに夜這いをされ、それが見付かって大騒動になり、結局碌に休めなかった


ラナの行動力恐るべし





尚、2回目の襲撃を避けるため、風牙の背中で寝ました・・・・・・・へくち!

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