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45話 4人目の婚約者

傭兵国軍は風牙と風竜族とラフィの参戦により、その戦線は瓦解した


総司令官以下幹部達は捕虜となり連行される


竜王国軍3千に対し傭兵国4万2千の戦いは竜王国軍の勝利で終わった


しかし、その被害は両国とも甚大である


竜王国軍死者1300人


傭兵国軍死者24000人


捕虜17000人


傭兵国軍で生き延び自国の地を踏めた者は1000人しかいなかった




彼らは口々にこう語る


「竜王国は神龍に守られた国だ」と


「再び侵略すれば傭兵国は終わる」と


また、竜王国でも生き残った兵士は口々に語る


「神竜騎士が救ってくれた」と


「我々は過ちを犯してはならない」と


色々な想いが交錯する中、王都では歓喜の声が木霊していた・・・・・一人を除いて




「やっちまった~・・・・・・」




そう声を出すのは・・・・・俺です


自重し無くなった結果がこれだった


竜王国国民の間で俺は神竜騎士と呼ばれ始めた


これ以上余計なもんは要らないんだ


だが、そんな俺の願いは届かない


何故なら今、俺がいるのは謁見の間で王族以下全員が片膝をつき頭を下げ平伏している状況なのだ


・・・・・・何故こうなった




竜王国は王と風竜の長が同列の扱いなのだが、神竜騎士はその上に立つそうだ


更に、風竜族以下4種族を従え、友ではなく主と呼ばれ、救国をなした俺は竜王国にて神竜騎士に認定されてしまった


竜王国にて唯一、王の上に立つ者、それが神竜騎士である


尚、国のトップ以上の地位を置く国は神聖国、神樹国、竜王国に加え意外にも傭兵国にも何かしらある事が判明した


4つしかないうちの2つに認定されるとか、何かおかしいだろ!?


本気で神様~ズの関与を疑いたくなってきた


神聖国は神聖騎士、竜王国は神竜騎士、神樹国は精霊王と言うらしい


傭兵国にはその制度はあるが過去に一度も誕生してないので誰も知らないとの事だ




そんな話を聞いていたのだが、落ち着かないので何処かの部屋で全員座って話をしようと提案すると「慈悲に感謝を」とか言われる始末である


そして、もう一つの懸念が王女である


もの凄く熱い視線が注がれているのは、きっと気のせいじゃないと思う


確実にフラグが立ってしまったのだろう・・・・・・・・・婚約者フラグが


疲れ切ってはいるが事態は解決してはいないので別室にて話をする




次は腐竜共と謎の魔物の討伐と汚染区域の浄化についてだ


話を聞くと腐竜に関してはどうにかなると思われたので現状維持


謎の魔物と汚染区域についてだが、とある懸念が俺の中にあった


汚染区域が広がり始めたのは今から10年前


元々、汚染区域はあったのだが竜と共に在りし国なので、実害が然程なければ共存しようと監視だけしていたそうだ




だが、突如として汚染区域が一夜で3倍になってしまった


事態を重く見た王は軍を派遣するが当時は帝国とも争っており大軍は送れなかったそうだ


それが今の汚染拡大に拍車をかけた


拡大を食い止めようと奮戦するも、徐々に広がり国力はじりじりと低下


傭兵国で傭兵を雇い入れるも国庫が一度尽き欠け雇用を断念


断念したのが2年前で1年前に傭兵国は王が代替わりした事も分かった




傭兵国は武力と知力によって王が決められる大会があるそうで、5~10年の間隔で行われる


開きがあるのは国民の総意が必要であり最短でも5年間退位する事は無いし、現国王も大会に参加できるので再度王位に就くこともある


敵総司令官は前王の息子であると言っており、調べて裏付けもとれたので事実と判断


王位簒奪の為に、国の意向を無視して派兵を決めたと吐露したそうだ


雇用できなくなった時点で目を付けられていたのだと王は自らの失態に退位すると言ったが止めた




王であれ人である


失敗は誰にでもあるので今後同じ失敗をしなければ良いだけの話だ


王はこの言葉を受け入れるも臣下に是非を問うが退位は認められなかった


そもそも竜王国現王は8年前に即位した


前王は自ら汚染区域と帝国戦との前線指揮に辺り、病に倒れた前王が存命中に現王が即位し後を継いだそうだ


それから1年後に帝国から戦争終結に向けての書状が届けられ、竜王国から奪った領土返還と賠償金を支払い、相互不可侵条約を締結して今に至る


それから今日に至るまで、汚染区域の拡大阻止と鎮静化に向けて動いていたが、何の成果も得られず未だ少しづつ拡大している




ここまで話を聞いた俺は”10年前から急激に〟と言う言葉に、ここ最近の事件を当てはめていた


スタンピードも転生して10年以上経ってから


灰色のワイバーンに神界で聞いた神喰いの力の拡散


間違いなく世界に散らばった神喰いの悪意のみの力が浸食し始めたのだろう


恐らく、謎の魔物もその一つだと何処か確信できた




しかし、ここで問題が2つある


一つはアンデット系ではあるが何の魔物かわからない事


もう一つは明らかに今までと力の使い方が違うのでどの程度の強さかだ




偵察しようにも汚染区域は侵入した途端に浸食されてしまう


地上が無理なら空は?と聞くが浸食速度は落ちるがやはり浸食され、発見前に命を落とすそうだ


既に風竜達が実行して命を落としたらしい


完全に手詰まりである


何か策を考えるべく今日は一度お開きにしようという所で王女が手を上げる


何か妙案が?と思うが次の発言で俺の感じた予感が現実となった




「妙案も出ないので、私の議題を取り上げて欲しいです」




「シャラナよ。その議題は重要かね?」




「はい、お父様。私の今後と竜王国の未来についてです」




「竜王国の未来か。で、その議題とは?」




「私と神竜騎士様の結婚です!」




静寂が辺りを包む


俺の心中は「いきなり何を言ってくれちゃってるの!?」だ


臣下達は唖然茫然し、王は口を開けたまま放心し、王妃は「あらあらまぁまぁ」と言い、王子は「素晴らしい提案だ妹よ!」と歓喜している


ある意味カオスである


だが、そんな中で王は娘に対し問う




「一つだけ確認だ。お前は国の為にそう言っているのか?それとも・・・・」




「無粋ですお父様。国の為もあるのは認めますが、一番は私が結婚したいからです。他は二の次です。国の為と言っても米粒程度。他は米粒以下です」




「ふ、ふははは!そうかそうか!米粒程度か!なら文句は言わん好きにしろ!」




そう言うと笑顔になる王女


王妃は「幸せになるのですよ」と言い、王は「今は婚約だけだぞ」と戒め、王子は「何処に惹かれたんだい?」と一家団欒になったが




「ちょぉぉぉぉっとまてぇぇぇぇぇ!!」




この声にこちらへと向き直る


窓からは俺の大声を聞いたのか「主様!どうされました!?」と風牙が血相変えてやってきたりした


王は「何か問題であるのかな?」と王ではなく父親になっており俺に新たな問題が浮上した




俺は現在超必死である


婚約者3人の瞳の光が無くなった笑顔を思い浮かべると身震いするほどだ


何が何でも潰さなければ!と画策するも全て失敗に終わる


ここからの話は事の顛末と、俺の死亡フラグ?への道だ




「何か問題でも?じゃないでしょう!どこの馬ともわからんのに!」




「どこの馬ともわからん相手に神竜騎士など認めんよ」




「うぐっ!そ、それとこれとは別問題だ!父親なら相手の素性が分からないと安心できないでしょう!?」




「君は変な所で抜けているな。グラフィエル・フィン・クロノアス君」




フルネームを言われた瞬間に一気に警戒度を最大まで引き上げる




「フルネームを名乗った覚えは無いんですが」




「そう警戒しないでくれ。風竜様方から聞いたんだよ」




「風ぅ牙ぁぁぁ・・・」




「あ、主様!我は主様に懸念を持たれぬようにと」




「はぁぁぁ・・・で、どこまで聞いたんですか?」




「神聖国教皇とランシェス王国の王族と懇意なことまでは」




「もっと具体的に!」




「婚約者が3人おり、その3人が国の重要人物だと聞いてるよ」




「・・・・・・他には?」




「どちらかの国の貴族なのも知ってるよ。ああ、国を2つ救ったのも知ってる」




「全部竜達からですか?」




「変な所で鋭いな君は。我が国にも冒険者ギルドはある。運営には口を出さないが情報はこちらにも来る」




「ほとんど知ってんじゃねぇか!」




「問い合わせたのは君が砦に行ってる時だよ」




「最悪だ・・・・。ほぼもろバレじゃねぇか。どっちの国の所属かわからないって言っておきながら既に知ってるんでしょう?」




「流石はSSと言ったところかな?それとも竜の主かな?ランシェス王国が君の国だね?」




「正解。はぁぁ・・」




「で、うちの娘は貰ってくれるんだろうね?成人して直ぐに式で構わないから」




「・・・・どこまで知っている?」




「?・・何の話だ?君は今13だろう?娘が成人する時に君は17のはずだ。何かおかしなことでもあるのかね?」




「あ~なんでもないです。どうやら本気で知らないようだし」




「で、どうなんだい?」




「・・・・・わかった!わかりました!娘さんと婚約させて頂きます!でも条件があります」




「で、その条件とは?」




「国の利益に関しては利用しようとしたら潰します。シャラナ王女に関しては「ラナって呼んで下さい」・・・・・ラナに関しては神竜騎士様って呼ばないで欲しいのと料理の腕位ですかね」




「じゃあグラフィエル様で」




「近しい者はラフィと呼ぶからそれで。後は料理の腕だけど」




「それに関しては問題ないですよ。母である私がきっちりと教えましたので。国に来て初めて食べた食事ですが、実は娘が作ったんですよ」




「はい?」




「練習がてら作らせてみました。娘は初めて会った時から恋をしてたみたいなので。お口に合ったでしょう?」




「・・・・・普通に美味かった」




「なら問題ないですね。あ、婚約発表はどうしましょう?やはり事態を収拾してから早急に」




「え~、それに関しては色々あるので神聖国へ話の出来る人が来てもらわないとどうにもなりませんね」




「では、私が赴きましょう。王は暫く動けませんしね。ついでに子供二人も連れて観光でもしましょう」




「汚染対策の話がどうしてこうなった・・・・・」




「主様、お気を確かに」




「風牙は話した側だよなぁ?後でたぁっぷりOSHIOKIしてやる!」




「あ、主様!話したのは全ての竜ですぞ!」




「部下の失敗は上司が被らないと(にっこり)」




「平に~、平にご容赦を~」




こんな感じで俺は敗北し、4人目の婚約者が誕生した


尚、風牙には当然、OSHIOKIを敢行した

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