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41話 新たなる配下

東から向かってくる竜の群れ


率いるは緑竜と呼ばれる風属性の風竜だ


数は20と多いのか少ないのかはわからないが人々にとって恐怖であるのは間違いがなかった


緊急警報の鐘が鳴るが人々は動じない


何故ならば今、神聖国には救国の神聖騎士がいるからである


人々は祈りを捧げ騎士の勝利と無事を願う


人々は逃げ惑うのではなく教会へと集まり祈りを捧げるのであった






一方その頃、祈られている事を知らない神聖騎士は未だ教会本部にいて紅茶を堪能していた


焦っても仕方ないし30分あればどうとでもなるからだ


紅茶を堪能し終えた俺は「さて、行きますか」と呟き、部屋を後にしようとするが例の如くリアフェル王妃が連れて行けと目で訴える


色々面倒になっている俺は「リアフェル王妃1人なら」と告げる


リアフェル王妃は了承するが、頬を膨らませて拗ねるリリアーヌ第5王女


勘弁してくれと思いつつヴァルケノズさんが戻って来て諦めた感じで




「どうせ来るのでしょう?でしたら時間も無いのでお早く」




と告げて王妃様方を何故か戦場へとお連れしてしまう


はぁ~・・とため息を吐いて東へと単独で俺は向かう




神都を出て少し進むと聖騎士団が3師団と何故か雷竜がいた


更に雷竜の背中には神獣4匹が乗っている


雷竜は「神龍様方に連れて行けと言われました」と答え「万が一には身命を賭してでもお守りいたします」と不退転の覚悟を見せた


まぁ、俺は戦闘にはならないだろうと何となく感じていたので雷竜に一つ頼み事をする




「悪いんだけど向こうの用件を聞いてきてくれない?」




その言葉に雷竜は歓喜に震え「お任せを!我らが主!!」と言って翼を羽ばたかせ東から来る竜の群れへと向かって行った












~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~




雷竜は歓喜した


初任務、初命令を自分が最初に貰えた事に


そして雷竜は覚悟も決めた


我らが主と敵対するならば主の手を煩わせることなく我が身命をもって悉ことごとくを屠ってやらんと


若干先走り過ぎではあるがそれも仕方ない事である




竜とは傲慢ではあるが紳士であり騎士の心も持つ


一度主と、一度友と定めたのは決して裏切る事のない高貴な種族だ


主が友が神に反逆しようものなら喜んで共に反逆するのである


その高潔たる心は人の騎士の忠誠と同等、いや、上かもしれない


怯まず、脅えず、ただ主の敵を屠る剣と化すのだ


神龍の眷属であってもそれは変わらない


神龍への反逆すら、一度主と定めれば喜んで敵対するのである


そんな雷竜が緑竜の群れの前に到着する




「我は主の使者なり!汝らの目的を告げよ!」




高らかに言い放つ雷竜に、群れの中から緑竜族の長が姿を現す




「ほう?雷竜は噂と違えぬようだ。それよりも人を主と認めたか」




その言葉に雷竜は舌打ちをする


まさか風竜本人が来ているとはと


だが!主に敵対するのであればここで死しても止めると!


その意志を感じた風竜はまたも感嘆の声を上げる


風竜は雷竜の主に更に興味を持ち、雷竜に告げる




「争いに来たわけではない。雷竜の主に興味が湧いただけの事。話が済めば帰るさ」




「その言葉、竜族の誇りにかけて誓えるか!?違えれば我ら雷竜族は風竜族と敵対する!」




「竜族の誇りにかけて誓おう。話が終れば帰る事を。但し、次はわからんがな」




「今回は違うのであればそれで良い。次の来訪が敵対と言うならば我ら雷竜族も敵対するのみ!先走った黒龍みたくならぬことを祈っている」




そう告げ、雷竜は踵を返し、主に報告へと向かう


風竜は最後に放った雷竜の言葉に耳を疑い、一人言葉を紡ぐ




「黒龍が人如きに敗れただと?奴らは竜族の中でも戦闘能力だけはずば抜けているはず。嘘か真か・・・その真意確かめてくれよう」




そう呟き相対する場所へと飛翔する




~~~~~~~~~~~~~~~~










竜の群れへと向かって行った雷竜は30分程で戻ってきた


意外と早かったのを思うに視認距離よりも近くに居ると判断出来る


雷竜の話によると、どうやら俺との対話を望んでいるとの事で、雷竜の長と同じ様に代表者選抜が必要か単独かはわからないが、今回は既に前線に出てきているので必要ならば直ぐに対応できる


今回は敵対する事はないと言っていたらしいが、騙し討ちをするようなら雷竜族は敵対すると告げてきたそうだ


とりあえず対話してみてからだな




雷竜が戻って来てから更に30分後、緑竜の群れが大地へと降り立つ


対談が目的との事なのでとりあえず一つだけ確認する




「雷竜の主は俺だが他にも呼んだ方が良いか?雷竜の長との対談時には15名ほどいたが」




「お主の好きなようにすれば良いが。ああ、国の代表が要るならばそ奴らは参加した方が良いかもな。最悪は敵対関係になるやもしれんし」




「敵対したらこっちから出向いて滅ぼしてやるからそんな心配はいらないと思うが。少し待っていてくれ。今連れてくる」




「何とも傍若無人よの。なるべく早く頼むぞ。我は待つのが嫌いだからの」




その言葉だけを交わし本陣へと向かう


事情を話し、前回より少ない人数で再び緑竜の元へと赴く


15分程位なのだが自分で言っていた通り待つのは苦手みたいでイライラした竜がそこにいた




「遅い!我を退屈死させるつもりか!」




「遅いって・・・15分位だぞ?雷竜の時は2時間くらい待っていたぞ?」




「あの、短気な雷竜が2時間だと?嘘を言うでないわ!」




緑竜が否定した俺の言葉を雷竜が肯定する




「我らが長は2時間以上待っていた。風竜よ。我が主の言葉を肯定する。それでも嘘と罵るのなら我も黙ってはいないぞ」




雷竜の言葉に風竜は驚いている




「まさか本当とは。先の発言は謝罪しよう。我は風竜の長。緑竜たちの長である。汝の名を述べよ」




「グラフィエル・フィン・クロノアスだ。さっきから随分頭ごなしだな?ちょっとイライラするわ」




「我は我の思う通りに言葉を交わすのみ。貴様こそ傲岸不遜で傍若無人では無いか」




「確かに。だが、見下してくる相手にはこれで十分だろう?」




「ははは、言いよるのぅ。雷竜が気に入るのも理解できるわ。だが、何故、友ではなく主なのかが理解できんが」




「それはルリのせいだろう。ルリ、説明宜しく」




「キュイ!」




「ルリ?・・・・・・ま、まさかその子竜は!?」




「多分正解。で、雷竜が俺を主とした理由でもある」




「なるほどのぅ。納得がいったわ。少し話をしても?」




「寧ろ話させるために連れて来てるんだが?」




「では、遠慮なく話をさせて貰おう」




「キュイ!」




風竜とルリの話し合いが始まる


風竜は時折ふんふんと頷いたり驚いたりしているが、俺にはルリが何を話しているかはわからない


念話で知る事も出来るが無粋なのでしない


一通り話し終えたのだろうか?風竜がこちらへと向き直る




「グラフィエルと言ったか?すまないがワイバーンを殲滅した魔法を見せてはくれまいか?どうしても確認したいことがある」




「確認?見せれば良いのか?危険だから竜達には飛ばない様に言ってくれよ?当たって死んでも責任取れねぇぞ?」




「飛ぶなと言うのに飛ぶ奴が悪い。事故の場合は何も言わんよ」




「それなら良いんだが。超電磁陽光砲」




空へと向けて複数の光の柱を打ち上げる


風竜は驚愕した


威力も速さも申し分なく、魔法の中に僅かな神力が混じっているのを感じ、更には魔力消費量がごく微量であったと説明され、ただただ驚くしかなかった


他の竜達では神力を感じ取る事が出来ない


幾星霜の年月を重ねた竜でなければわからないのだ


だが、放たれた光の柱が自分達を一撃の下に絶命させるのだと本能で理解する


風竜も本能で理解し、また神龍の主足りえるのも納得してしまったのだ




風竜達は長が何も言わずとも頭を垂れる


長もまた頭を垂れる


認めてしまったのだ


主に相応しきものだと


傲岸不遜、傍若無人、唯我独尊


だが、その心の内は大切な者の為なら決して引かぬという意思


理不尽に抗う者であり守護者


かつての友を彷彿とさせる意志の瞳


風竜の長は彼の者なら友との盟約を果たせると確信し




「グラフィエル・フィン・クロノアス様。我ら風竜族は貴方様と共にありたいと申し上げます。我は神龍様の事を抜きにしてでも貴方様の配下に加わりたく申し上げます。貴方様の翼となりて大空を翔けましょう。我らが忠誠をここに」




何か知らんが相手が折れた


拍子抜けであるのだが雷竜は何処か誇らしげである


断る理由も無いし、自重も止めたので




「風竜族の忠誠。しかと受け取った。今暫くはこの地にいるが何かあるか?」




「新参である身なれど一つだけ願いが。我は山脈を縄張りとしておるのですが、それは亡き友との誓いの為。主の手を煩わせてしまうのですが、一度、オーディール竜王国へと来訪しては頂けないでしょうか?主の都合の良い時で構いませぬ。時間はあまりないですが早急にと言う事のほどでもない故。どうかこの願いを聞き届けて欲しい所存であります」




「わかった。こちらも色々あるから決まり次第連絡したいが方法はあるか?」




「私は群れを管理する為に戻らねばなりませんが、ここに連れてきている者共はみな残れますので主様の足として頂ければ。人語も理解できます故、何かあった際にはお役に立てると思います」




「わかった。後、雷竜にも言ったんだが最低でもこのヴァルケノズさんが生きてる間は何かあった時は手を貸してやってくれ」




「委細承知いたしました。では守護竜として我が一族の次代風竜候補を数名残していきましょう。貴様ら!我らが主の言葉である!身命を賭して事に当たれ!しくじれば我が貴様らの命を絶つ!!」




「「「「我らが誇りにかけて!!」」」」




「此度は主と会えて感謝しかありません。竜王国にてお待ちいたしております」




「わかった。なるべく早く向かうとするよ」




「有難き幸せ。では我は巣へと戻り、お待ちしております」




「了解だ。あまり暴れるなよ?」




その言葉を最後に風竜は連れてきた半数を連れて飛び去って行った


残された風竜達は雷竜に色々聞いている様だ


こちらの方はリアフェル王妃以外が放心している


リアフェル王妃はと言うと「やはり竜は高潔である」と一人感心していた




雷竜と話を終えた風竜の一人が俺に語り掛ける




「我らが主よ。赤竜と蒼竜の対談には風竜の誰かを連れて行ってはくれまいか?我らが共に行けば蒼竜は労せず主を認めるだろう」




俺は了承し、その提案を飲む


守護を任された次期風竜候補達は外壁の外に雨風凌げる場所を作り、そこを拠点として守護すると提案してきた


食事に関しては一人が狩りに出ると言ったのだが、ヴァルケノズさんが食事に関しても手配すると告げた


ただ、慣れるまでは脅えると思うのでそこは許して欲しいと告げ、竜達は「問題ない」と答え、竜の群れ事件その2は幕を閉じた

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