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250話 建国宣言

お詫び分です。

次回からは通常投稿に戻ります。

次回投稿予定日は30日です。

 会議の結果、建国することを約束したのだが、一つだけ忘れている事があり、手早く済ませることにした。

 ゲートで屋敷に戻り、用件を済ませることにする。


「ナリア、あの二人を呼んできてくれ」


「畏まりました」


 ナリアに呼んできてもらったのは、ダグレスト――いや、旧ダグレスト王国から共に来た二人。

 スラムの元締めとその姪だ。

 姪の方は、王位継承権は無いのであるが、祖母が王族だった事から、血脈というものがある。

 一応、筋は通さねばならないので、話だけはしておく。

 彼女が望むのならば、建国は無しという話だ。

 まぁ、杞憂に終わったがな。


「え? 嫌です」


 迷いなく、直球で、拒否の言葉で返された。

 現在の彼女は、名目上はメイドとして屋敷で働いているのだが、実際は家臣で文官となった伯父の手伝いをしている。

 表立っての文官は、ランシェスでは不可能なので、裏技と言った感じだ。

 そんな彼女だが、今の生活が気に入っているらしい。

 なので、出来れば今の状態が望ましいと言われた。

 こちらとしても優秀な人材は手放したくないので、了承しておく。

 それと、近い将来に伯父の方は、この屋敷の家宰となって貰う旨も伝えておく。

 実際には、駐在大使みたいな形にはなるだろうが、上手くやってくれるだろう。

 もの凄く嫌な顔をされたが、飲み込んで欲しい。

 話しは終わり、ナリアを連れて再び旧ダグレストの野戦陣地へと戻り、事の顛末を話す。

 各王達に話す前に、ミリア達にだな。


「ふふ、私の予想通りになりました」


「くっ、まだまだ理解力が足りませんでした」


 ミリアが勝ち誇り、リーゼが悔しそうである。

 君ら、何してたんだ?


「ちょっとしたお遊びです。奥さんが増えるかどうかですね」


「私としては、増える方にしていたんですけど」


「賭け事かよ……」


 何をしているんだと、頭を抱えそうになるが、二人に言われて気付かされた。


「姪さんが継承を望んだ場合、取れる方法は二つですから」


「ラフィ様の妻になって正妻の座を奪うか、同盟軍と争うしか無いですから」


「あー、後者は無謀だし、前者だとミリアが引かないか」


「はい。私としては負けるつもりは無いですが、元から無いと思ってました」


「私はあると思ったんですよね。ラフィ様の好みに入りますよね?」


「リーゼさんや、怖いこと言わんでくれ」


 まぁ確かに、リーゼの言う通り、性格と容姿は好みだ。

 ただ、嫁にするかと言われたら、答えはNOである。

 多分お互いに、愛し合えないだろうから。

 義務的な結婚はお断りである。

 好ましい上司と部下って辺りが無難だろう。

 相手もそう望んでるような感じだしな。


「それで、宣言はいつされるのですか?」


「今から各王達に話をしに行ってから決める予定」


「私も行った方が良いですか?」


「報告だけなら、俺だけでも良いよ。宣言時はわからん。この後の話し合いだな」


「新しい国家の誕生ですか。ちょっと、ワクワクしますね。不謹慎ですけど」


「リーゼさんもですか? 実は私もです」


 いつもよりテンション高いなぁ……と思いながら、伝令に走って貰う。

 小一時間ほどのんびりしていると、用意が出来たと知らせが届いたので、会議天幕へと移動して話し合いを開始。

 その時に言われたのが、国名はどうするのかという話と、クロノアスを国名にしてはならないと言われた。

 何故ですかね?


「クロノアス家は、王名を名乗ってはいけないとなっているからな。流石に、これは破れん」


「では、どうすれば?」


「国名はダメだが、名前に入れてはならないという約束は無い。だからだな――」


「あー、グラフィエル・クロノアス・フィン・国名にするんですね? ……語呂、悪くないですか?」


「そこは家族と話し合うしか無いの。まぁ、好きにして良いという事だ。お主は、初代なのだからな」


 陛下の言葉に周りも頷いているから、本当に好きにしろという事なのだろう。

 国名に関しても、まだ時間はあるらしいので考えれば良いと言われてしまった。

 とりあえず、名前関係は後回しとなって、次の話――本題へと移る。

 今からの話し合いに各国は関係ないのだが、新たに国が立ち上がる事など早々ありはしないので、野次馬根性半分、助言半分と言った感じで参加してくれるらしい。

 有難い話ではあるが、野次馬は止めて欲しいなぁ。


「仕方あるまい。後世に残せる話でもあるしの」


「そうですか……。それで陛下、話と言うのは?」


「お主の爵位に関してだ」


「爵位ですか? 普通に返還となるのでは?」


「普通はそうだが、お主はちと事情が変わる。その理由だが、各国からの名誉爵位に付随するからだ」


 陛下が言うには、各国の名誉爵位は一代限りであり、ランシェスでの爵位とは事情が変わると言われた。

 通常ならば返還だが、そうなるとランシェスだけが何も無い状態になってしまうそうで、それは許容できないそうだ。

 では、返還後に名誉では? という話になる訳だが、風聞が悪いと言われてしまう。

 ランシェス貴族から独立して、新たな国の指導者が生まれるのは大変喜ばしいが、元の爵位から一段劣る名誉では、俺に喧嘩を売っているような物らしい。

 では解決策はあるのか? あるにあるらしいが、子供関係になるぞと言われてしまう。

 それで察してしまった。

 要は、実家と同じ状態にするという訳か。

 流石に、一存では決められないな。


「幸いな事に、時間だけはある。どうするかは後でも良い。各国とて、思惑はあるだろうしな」


「面倒なのは勘弁ですよ?」


「面倒と思うかどうかは、お主の捉え方次第であろうよ」


 そう言って、次の議題へ移る。

 まぁ、次が最後なんだけどな。

 建国宣言をどのタイミングで行うか。


「それ、大事なんですか?」


「大事であるよ。出来れば、情報が出回らない内にしておく方が好ましいの」


 皇帝の答えに対してさらに質問をすると、間違いなく荒れるらしい。

 先に言ったもの勝ちではないが、表明自体は早い方が味方も付きやすいとの事。


「ついでに言えば、各国が後ろ盾だからの。同盟盟主が独立したとなれば、独立宣言する領主は減るの」


「……算定はしていそうですね」


「しておるの。だがな、中央に近い南部の貴族達が主流かの。他は細々したものになるであろうから、一大勢力が現れたら靡くと思うの」


「……もう一つ。独立宣言した貴族家はどうするので?」


 新たに質問をすると、各国で多少意見が分かれた。

 ただ、大筋は変わらない。

 治めていた土地からの追放だ。

 問題はその追放の仕方についてが、各国で意見が分かれた。

 神聖国、神樹国、傭兵国は、爵位剥奪の上、財産の没収をしてからの国外追放。

 竜王国、皇国、ランシェスは、一親等まで縛り首で処刑の上、爵位剥奪、財産没収の上で国外追放だが、一親等の子供が10に満たない場合は恩赦をかけるとの事。

 帝国は過激で、一族郎党縛り首で処刑の上、爵位剥奪と財産没収、恩赦は無しとの事。

 参考にしたら良いと言われたが、どうしろと?


「禍根を残さねぇなら、帝国のやり方が一番だろうが、残虐性がつぇからな。見せしめ程度が無難だ」


「皇王の言う事は間違ってはいないが、悪戯に命を奪うのはどうかと」


「教皇の言い分は分かるが、責任は取らねばならぬだろう? ならば、一親等が妥当だと思うがな」


「ちょい、ちょい待ち!」


 話しがおかしな方向に向かおうとしてたので、一旦止めに入る。

 参考までに聞いた筈なのに、争わないで欲しいのだが?


「熱くなってはいかんな。参考までに答えたのだから、決めるのはクロノアス殿だ」


 ん?


「そうだな。だがな皇帝、グラフィエル殿は変に甘い所があるぞ? 明確な区分は聞いておくべきだと思うのだがな」


 んん!?

 ちょいちょいちょい、なんか呼び方が変わってるんですが!?


「ちょっ、いきなり呼び方を変えないでください。戸惑います」


 本気で止めて欲しい旨を伝えたら、暫くは元通りの名称にしてくれるようだ。

 但し、初代が確定した時点で呼び方は変えると言われた。

 建国、止めてぇ。


「ごほん! とりあえずだ、各国を参考に決めたら良いと思うがの。良い所は、取り込んでいくであろうし」


「まぁ、否定はしません」


「ならば、建国宣言を何時するかだけ決めたら良い。後は……各国の宿題として持ち帰るかの」


 陛下の言葉を否定せずに答えたら、皇帝が纏めて締めた。

 とは言えだ、タイミングとかわからんので、何時した方が良いか話し合い、二日後に建国宣言をする方向で纏まった。

 そして、出来る事なら、国名もその時に発表できると良いと言われたが、実はもう決まっていたりする。


「ほう? 決まっているのか」


「ええ。多分うちは、多種族国家になると思うんで、悩みはしませんでしたね」


「問題は、語呂の方が厄介かの?」


「あははー……。そこはミリア達と話し合いますよ」


 最後に、決めた国名を伝えて、会議は終了となった。

 国名は、多種族国家確定なので、共生をそのまま国名にした。

 新しい国の名は――。


 ――シンビオーシス公国――


 公国の公は、他国に何も恥じる事のない公の多種族共生国家という意味合いにしてある。

 それを伝えたら、なんか拍手が起こった。

 恥ずかしいので勘弁して欲しい。

 そして各自は天幕に戻る。

 ミリア達が待つ天幕に俺も戻り、会議の結果を伝える。


「おめでとうございます」


「うん、ありがとう。でもな、他人行儀なおめでとうは止めて欲しいんだが?」


「しきたりですので」


 ミリアが代表して祝辞を述べ、婚約者全員がカーテシーで祝辞を行うのだが、どうにも他人行儀な気がしてならない。

 後、蛍、恥ずかしいのか知らんが、睨むな。


「どこぞのお姫様みたいで恥ずかしいのよ!」


「だからって睨むな。後な、恥ずかしいなら辞退しろよ」


「除け者は嫌」


「えぇ……」


 礼節に基づいた祝辞を行ったミリア達を座らせ、皆で話し合うと決めていた事について議論を始める……のだが、誰も何も言わない。

 何故に?


「相談には乗れるのですが、決めるのはラフィ様なので」


「うーん……流石に、皆の名前に関わる事だからなぁ」


 独断では決めたくないと話すと、クロノアスに由来のある言葉は無いのかとリーゼに聞かれる。

 あるにはるんだが……。


「前世の記憶だと、クロノスってのがあるな。時の神らしいが、農耕神の方が起源らしい」


「どちらにしても語呂が悪いですね」


「他には無いんですか?」


 リリィの言葉で考えるが、なんかあったっけ? ゼウスとか? ……いっそ、原初(プリミティブ)とか? いや、流石に駄目だな。

 後はカイロス……あれって、チャンスとかタイミングって意味合いが強いしな。

 あと知ってるのは……。


「アイオーンとかウラノスか。カオスってのもあるけど――」


「名前通り、常にカオスになりそうな気が……」


「詩音の意見に賛成だな。なので、カオスは無しの方向で」


 完全に相談となったので、みんな一生懸命に考えてくれるが、良い名など中々浮かぶはずもなく……。


「これって、意外と難題だったりしない?」


「ヴェルグの意見で合ってる。これは大変」


「リュールの言う通りですので、ラフィ様、他に何かありませんこと?」


「そう簡単に出たら苦労しないんだが、ヴィオレ」


 前世の神話に拘るから駄目なんだろうと思い、他に何か考えてみるが、うん……アニメ系統しか出て来ねぇ。

 もう、敬愛するグラ◯ム様で良いかもしれない。

 いや、語呂が悪いの直ってねぇわ。


「ねぇ、ベゴニアなんてどうかしら?」


「どっから来た名前?」


 蛍の言葉に質問すると、前世にあった花の名前らしい。

 うーん、語呂は悪くないと思うが、花の名前って事は何かあると思うんだが?


「花言葉はあるけど、素敵な意味だと思うのよ」


「意味は?」


「幸福な日々」


 蛍の言葉に全員が考える。

 花言葉としてはとても良い。

 語呂は……グラフィエル・ベゴニア・フィン・シンビオーシスか。

 うん、悪くないと思う。

 皆の反応も悪くなさそうだ。


「悪くないですね」


「語呂も良いと思います」


「覚えやすさもあると思う」


 ミリア、リリィ、ティアの反応は上々。

 続けて、ラナ、リーゼ、ミナの反応も悪くない。


「幸福な日々、良いと思うのです!」


「国民もそう思える様に目指すという意味でも、悪くないと思えるのぅ」


「幸福な日々……うへへぇ」


「優華、よだれ垂れてるわよ」


 シア、イーファは全面肯定。

 優華は……妄想中だな。

 桜花が甲斐甲斐しくよだれ拭いてるのはどうかと思うが。


「悪くない。皆でそうなる」


「あ、リュールに先を越された!」


「後先関係ないですからね。皆でそうなるんですから」


 リュール、ヴェルグ、ナユも肯定派。

 リジア、スノラ、リアも問題無し。

 そして残るは詩音なんだが、否定派か?


「ねぇ、ベゴニアって、片思いって意味もあった気がするのだけど?」


「え、マジで?」


 片思いかぁ……それはどうなんだろうか?

 詩音の言葉を聞いた面々の反応は……あれ? 動じてない?


「片思い、ですか。あながち間違ってはいないのですが……」


 ミリアの言葉に反応して、蛍と詩音以外の婚約者が一斉に俺の方に視線を向けてきた。

 素早く反応して、サッと顔を背けるも、リアが言葉にして台無しに。


「もう少し、過保護は解除して欲しいなぁって片思い。ラフィには伝わってるはずなんだけどなぁ」


「アー! キコエナイー!」


 だが、今のやり取りで納得したのだろうか、詩音も肯定派に回った。

 これにて、ベゴニアは決定と見て良いだろう。

 そして二日後、旧ダグレスト貴族達に対して、建国宣言を行う。

 まぁ、宣言とは言うが、要は手紙などによる通達だな。

 竜達が手伝ってくれたので、各貴族家には遅くても10日で返事が届いた。

 ただ、これがまた、皇帝の言う通りの結果と言うのがシャレにならんかった。


「中央に近い南部貴族の大多数が挙兵かよ……。後は、北西東部の一部貴族か。まぁこっちは、距離があるから放置だな」


「ほんと、嫌になるね。各国の後ろ盾もあるのにね」


「オーディール王、楽しんでません?」


 斯くして、ダグレスト戦役の後は平定作業に追われるのだった。

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