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221話 ルナエラ姉の結婚式

年末年始投稿7日目です。

それと、新章突入です。

なろうとカクヨムでは、新章突入箇所が違っています。

 傭兵国の総合冒険者ギルドにてランク試験を行った後、祝儀の追加を探して散策し、2泊3日の小旅行から帰って来て数日、本日はルナエラ姉の結婚式の日だ。

 ただ、我が家も大所帯になって来たので、朝から式に向かう準備で大忙しであった。

 準備を終え、召喚者組と転生組は護衛として空間拡張馬車で一緒に移動となる訳なのだが、二人ほど別馬車で移動となっていた。

 その理由だが、1泊目の夜にやらかしたのが原因だったりする。


『何を……してらっしゃったのです?』


『待てミリア。俺は何もしてないし、なんでこんな状況になっているのかも不明なんだ』


『そうですか。皆さん、これは有罪ですよね?』


 ミリアの問いかけに、満場一致の声が上がる。

 そして、三人揃って正座の時間に。

 傭兵国で一夜明けた後、別室で寝ていたミリア達が起こしに来たのだが、何故か同じベッドで姫埼と蛍が寝ていたのだ。

 試験後の姫埼が落ち込みまくっていたので、ミリア達にきちんと話を通した後、俺と蛍で慰め、それなりに復活した姫埼と共に部屋を後にしたのを確認してから寝た筈なのだが……なんで同じベッドで寝ているのかね?


『ラフィ様の言い分は分かりました。ですが、鍵はかけたのですよね?』


『いや、かけてない。ミリア達が来るかなぁ……と、思ってたし』


 俺の言葉に、ミリアを筆頭に全員から呆れの溜息が零れた。

 ついでに、八木達からも零れた。

 なんで八木まで?


『そりゃそうでしょ。俺達だって、もう数年この世界にいるんですよ? 色んな知識は学びますって』


『桜花ちゃん、抜け駆け酷いよ……』


 八木の言葉にはピンと来なかったが、春宮の一言で思い出した。

 なんで失念していたんだ

 前世の言葉にだってある事なのに。


『男女七歳にして同衾せず。元の世界にすらある言葉なのに……』


『耳に痛い。なんで失念してたかなぁ……』


『ホントそれっすよ。そりゃ、ミリアさん達も怒るっすよ』


 普段から怒られることは多いのだが、今回ばかりはちょっとヤバい。

 下手に外に漏れたら大問題だからな。

 もし漏れたら、国を超えての嫁送り込み合戦が更に加速してしまうからだ。

 幸いにも外には漏れていないので、内々だけで処理できるのは救いなのだが、婚約者から見れば面白くない状態だ。


『さてお二方、何故、この様な事をしたのですか?』


 最早、自他共に正妻であると認めさせてるミリアが、背後から何かを出して主犯二名を尋問していく。

 その圧倒的な正妻力に畏怖していた二人だが、おずおずと姫埼が答えた。


『その……部屋に戻ったんですけど、一人になるとやっぱり不安がですね……』


『それで?』


『うっ……その、もう少し話をしたいなぁ――と、ラフィさんの部屋に戻ったら寝ていてですね……寝顔を見ていたら、いつの間にかこうなってまして』


 ミリアの圧もそうだが、婚約者全員の圧も半端ないので、プルプル震えながら答える姫埼。

 そんな彼女を一瞥した後、蛍へと向き直る婚約者一同。

 ビクッとなった蛍が、目を逸らしながら答え始める。


『そのぉ、幼馴染だし、問題無いかなぁと』


『それで?』


『聞き忘れがあって戻ったら、姫埼ちゃんがベッドに顔を預ける様に寝てたので、起こさないように横に寝かしつけました……』


 この最悪な状況を作ったのは蛍であった。

 全員から、すっごい疲れ切った溜息が漏れる。


『三人共、有罪で良いですよね?』


 ミリアの言葉に、またも満場一致の声が上がった。

 いや、俺は無実じゃね!?


『ラフィ様はわきが甘いです。きちんと式を挙げるまでは、気を付けて下さい――と、あれほど言ってましたのに』


『これは流石に想定外過ぎるんだが!? 蛍はともかくとして、姫埼がするとは思わんだろ!』


『まぁ、確かにそうかも』


 姫埼桜花と言う人物を一番良く知る春宮から声が上がると、どうやら話を聞いて一考する素振りが見られた。

 もしかすると、初めて無罪を勝ち取れる?


『桜花ちゃんって、乙女だからね。夜這いするような子じゃないんだよね。ただ、精神的に参っていたから、弱音を吐きたかったのはあるのかなって』


『うぅ……』


『ですが、同衾して良い理由にはなりませんよ?』


『桜花ちゃんに関しては、不可抗力だと思うんだよね。諸悪の根源は蛍さんだと思うよ』


『そういや、昔っからおせっかいはあったよなぁ』


『後、肉食系女子だしな』


『潤、輝明、ちょっとお口にチャックしよっか』


『蛍さん』


『はい、お口にチャックします』


 こうして、俺は無罪……にはならず、有罪判決を受けることになった。

 もっとも、わきが甘い事に関しての有罪なので、同衾に関しては責任を取ると言う形にはなったが。

 姫埼に関しては、一応有罪で情状酌量となった。

 そして、諸悪の根源である蛍に関しては有罪判決。

 結果、二人揃って罰が課されることになって今に至る。

 ただ、少しだけ蛍の方が罰は重めではあるが。


「可哀想っちゃ、可愛そうなんだけど」


「ラフィ様、罰は必須です」


「そこに関しては逆わらんけど、何時までなんだ?」


「桜花さんに関しては、今日まで。蛍さんは、もう暫くでしょうか」


「そこは任せるよ。ただ、許してはいるんだよな?」


「はい。あの後、蛍さんにはみっちりと、婚約者全員でお勉強会を開きましたから」


 実際は、勉強会と言う名の拷問に近いだろうが。

 傭兵国から帰ってきた直後、蛍を連行して行ったからな。

 一応、姫埼も再勉強って形で連行されていったな。

 そして、二人揃ってげっそりとしていたのを思い出す。

 姫埼は帰国後の当日だけだったが、蛍に関しては式の前日の夜遅くまで勉強だったから、更にげっそりとしているの見た。

 全員が、大変だな――とは思っていたが、誰も助けにはいかなかったし、同情もしていなかった。

 自業自得なのだからしょうがない――と、傍観者でいたのだ。

 そして、期間限定接近禁令が発動されているので、二人は別馬車と言う訳だ。


「そういや、俺への罰ってなんだ?」


「もう終わってますよ。強いて言うなら、そろそろはっきりして下さい」


「とは言ってもなぁ……」


 馬車には召喚者組と転生組も同情しているので、今ここで言葉にするのは躊躇ってしまう。

 ミリアがはっきりしろと言ったのは、雪代さんと春宮に関して。

 娶るのか、そうでないのか。

 1か月以上経つのだから、そろそろ答えを出したらどうだ――と言われたのだ。

 尚、姫埼と蛍に関しては、身内とはいえ同衾を目撃されてしまった以上、娶るのは確定だと、全員から強めに言われている。

 何かあるとかの問題ではなく、成人した男女が一緒に寝ていたと言うのが、もの凄く問題だからだ。

 結果、なし崩し的に嫁が増えた訳だが、更に増やすと、身体が持たない可能性が……。


「まぁ私達も、既成事実は作りましたし」


「リリィ、言い方。間違って無いけど、言い方」


 一日目夜の同衾事件の後、二日目の夜は、ベッドを繋げて全員で寝ていたりする。

 寝苦しい? では、それが罰で! と言わんばかりの剣幕だったので、何も言わなかった。

 まぁ、婚約者全員と同衾したって話だな。

 勿論、手は出してないよ。

 だからさ、生殺し状態なわけ。

 女性特有の良い匂いの中で眠るんだぜ? ……眠れるか!

 ある意味、罰っちゃあ罰だな。

 だからこそ、どうするか決めろとも言われてるわけだが。


「まぁ、この場で話す事でも無かったですね。ですがラフィ様、あまり時間は無いですよ?」


「……姉上の式が終わるまでには答えを出すから」


「そこまで性急では無いのですので、数日以内には、伝えてあげてくださいね」


「わかったよ……」


 その後は、この話題に触れず、全員で楽しくお喋りしながら父上の屋敷へと向かった。

 後で蛍と姫埼から苦情を言われたけど、ミリアが黙らせたとだけ言っておく。

 ミリアさん、マジ正妻力が跳ね上がってますわ。




「……また、増えたのか」


「まだ、増えるかも?」


 父と息子、最初の会話がこれである。


「なんで疑問形なんだ?」


「神のみぞ知るからです」


 婚約者が増えた事を話すと、何故かこうなる。

 いや、父上からすれば心配なのだろうが。


「お前の兄達も、増えるんだろうか?」


「いや知りませんよ。……増えて欲しくないのですか?」


「貴族だからな。家の事を考えると、もう何人かは――とは思う」


「父上がそれを言いますか?」


 我が父は奥さんが二人だけだ。

 本人が突っぱねたらしいのだけど、貴族としてどうなんだ? と、最初は思った。

 今? 突っぱねられた父上は凄いと思うわ。


「まぁ、なんだ。私も挨拶があるから、適当に寛いでいてくれ」


「どうせ寛げませんよ」


「まぁ、そうだな」


 苦笑した父上は、挨拶があるからと去って行った。

 そして一人になる訳だが、蟻が砂糖に群がる様に人が……寄ってこないだと?


「ボク達がいるからね」


「ヴェルグ、いたのか」


「何気に酷いよね、それ」


 軽く冗談を言うが、ヴェルグも分かっているので、それ以上は追及してこない。

 しかし、ミリア達の采配には感謝だな。


「まぁボクらは、元の立場的には平民扱いだからね」


「イーファ達は?」


「元とは言え、王族だからね。挨拶回りはいると思うよ」


「それでか」


 そんな話をしていると、ミリア達が戻って来た。

 どうやら、ルナエラ姉の式が始まるようだ。


(しっかし、相変わらず人が多いなぁ)


 とか思っていると、見知った顔を見つけた。


(来ていて当然か。ルラーナ姉の旦那だし)


 向こうもこちらの気付いた様で、軽くウィンクしてきた。

 なので、オェッて返しておく。

 ……溜息で返されてしまった。

 後で文句を言いに行こう。

 そんなこんなで、式が始まった。


「おめでとう!」


「お幸せにぃぃ」


 あちこちで祝福の言葉が投げかけられ、毎度お馴染みブーケトスの時間になった。

 この世界でも普通にあるし、兄や姉の結婚式でも普通にあった。

 何故、それに触れてこなかったのかって? それはだな……。


「今度こそ……今度こそ取って、結婚をっ」


「良いですか? 任せましたよ」


「次の幸せは、私の番よっ」


 毎度のことながら、ギラギラしてるから。

 ミリア達はあそこまでギラギラしてはいないが、やはりブーケは取りたい様で、優雅に位置取りを済ませていたりする。

 ただ、貴族以上の人間が浅ましくするのは風聞に関わるので、普通は連れて来た侍女が取ってきたりするのだが、何故か我が家にはそれが無い。

 何とも不思議である。


「それはね、全員が冒険者だから」


「ヴェルグ?」


「王侯貴族が半分、冒険者が半分。体裁は整えているって事」


「だから、誰も何も言わんのか」


「後は身内の結婚式だからじゃないかな? たまには羽目を外したいじゃん」


「……抑圧してるんかな、俺」


「ラフィは、かなり好きにさせているとは思うよ。過保護だけど」


「もっと好きにさせるべきなのか?」


 そう聞いた時、ルナエラ姉がブーケを投げた。

 そして、素早くキャッチして、こちらへ戻ってくるヴェルグ。

 うーん……知らない大多数の女性の視線って怖いなぁ。

 ちょっと……いや大分、目がギラギラしてるし。


「ブーケゲット。後ね、今くらいで良いと思うよ。一つだけ不満があるとすればね――」


「あるとすれば?」


「二人きりになる時間が少ない事。ただ、立場的に難しいのは皆も分かってるから、努力はしようね」


「まだ足りんかったか。……優秀な文官、どっかに落ちてねぇかなぁ……」


 なんて話している間に式は終わり、披露宴に突入。

 前世と違うのは、立食式で好きなように動けると言う事かな。

 勿論、最低限の慣習とマナーはあるけど。

 父上と交友関係のある方が挨拶していく中、こちらへとやってくる夫婦が一組。

 はて? 誰だろうか。


「初めまして、グラフィエル殿。新郎の父で、サントスだ。こちらは、妻のピファリと言う」


「ピファリです」


「グラフィエルです。えーと……サントス殿、その、家名は?」


「おっと、これは失礼。父上と話しがついているから、うっかり失念していた」


「いえ。自分も勉強中ですので。お手を取らせ、申し訳ない」


「構わんよ。グラフィエル殿は、貴族との交流が少ないと聞く。どの国も貴族家は多いからな。知らなくても無理はない。その後の言葉遣いで印象は変わるから、立ち居振る舞いは間違っては無いさ」


「ありがとうございます」


「おっと、家名だったな。我が家は子爵家で、パッタリオだ」


「パッタリオ子爵でしたか。文系名家として存じております。お顔を知らず、重ね重ね申し訳ない」


 再度、謝罪して、相手の出方を伺う。

 リリィとリーゼ直伝の見極め方の一つである。

 この後の言葉で、相手がどのように捉えたかを探れるらしい。

 但し、俺には分からん。

 だから遠巻きに、ミリアを始め婚約者達が見ていたりする。

 相手の仕草や言動で分かるらしいので、後でどの様な会話をしたか確かめられるのだ。

 仕草は見ているので、問題無いと言われている。


「ふむ。グラキオス殿からは、礼節に不安が――と言われておったが、そこまで問題があるようにも見えぬな。あ、これはすまない。つい癖でな」


「いえ。ですが、父上の心配性にも困った物です」


「親と言うのは、みんなそう言う物だ。私とて、息子が心配なのだよ」


「心配、ですか?」


「うむ。今や飛ぶ鳥を落とす勢いのクロノアス閥だ。当然、敵は多い」


「味方も、ですか?」


「貴族家には付きまとう問題だが、クロノアス家は陛下の覚えが良いからな。貴族派閥の大多数は敵として見ておいた方が良いだろう」


「まぁあいつらは、陛下曰く、極潰しらしいので」


「穀潰しならぬ極潰しか。陛下も気の利いた皮肉を仰るな」


 豪快に笑うサントス殿。

 そんなに面白い事なのだろうか?


「因みにうちだがな、クロノアス家とは仲が悪かったんだぞ」


「そうなのですか?」


「先々代と何やらあったらしいな。今代で修復できたのは良かったよ」


「お互い、良く決断しましたね」


 そこへ父がやって来た。

 と言う事は、俺が姉上達に挨拶するのもそろそろと言う事か。

 ならば、話を聞いてしまおう。


「サントス殿、愚息が失礼を働いてないかね?」


「問題無いな。グラキオス殿が言う程、そう酷くも無い」


「それは重畳。マナーに厳しいのを知っておりますので、失礼があったらと」


「貴族的な礼節を教えていなかったのだろう? 三男は大抵が平民落ちだからな。仕方ない部分もあるだろう」


「あの、父上?」


 二人して盛り上がっている中、どうして話を付けたのかを聞く事に。

 今後の為にも聞いておくべきだと考えたからだ。

 まぁ、先々代と不仲になった理由があまりにもしょぼかったので、アホみたいとは思ったがな。

 ただ、両当主も同じ考えだった。


「ワインの話なんだが、若い方か寝かせた方か」


「好みもあるだろうに。つまらん理由で仲違いとは」


「趣向の問題ですよね、それ」


「貴族家には良くある話――ではあるがな」


「後世の者からすれば、たまったものではない」


「どうやって仲直りしたんですか?」


「クロノアス家は武系で、パッタリオ家は文系。それでわかるか?」


「……そもそも畑が違うのだから、争うのは止めましょう、的な?」


「近からず、遠からずだな。孫に文武両道を願えばこそだ」


 血の話か? それとも教育的な話?

 いや……まさか、な。


「孫にクロノアス卿の武の才能が芽生えれば――とな」


「やっぱそっちか!」


「ついでにだな、孫はもう少し賢ければ……と」


「父上! それじゃ俺はお馬鹿って事ですか!?」


「いや、脳筋――」


「父上、母上も交えて、お話が必要ですか?」


 ちょっと黒い何かが背後から出そうになってしまう。

 それに気づいたサントス殿は、挨拶だけして、そそくさと逃げて行った。

 残るは父上のみ――と、ここで親族の挨拶の番が回って来た。

 ホッと胸を撫で下ろす父上であったが、安心するには早かった模様。

 父上の背後に立つ母上、それと、ルラーナ姉と兄上達。

 そして、来ているとは思っていたが、今日まだ顔を合わせていなかったエルーナ姉も背後に立っていた。

 父上、未だ難去らず。


「お父様、私の弟に不満でも?」


「ルナエラ、落ち着いて。義弟好き(love)なのは知ってるけどさ」


 更に、挨拶の番になっても来ない俺を心配して、ルナエラ姉と新郎も来たのだが、一早く事態を察したルナエラ姉も参戦する運びに。

 新郎さん、あたふたしながらも必死に止める。


「まぁまぁ。兄上も姉上も落ち着いて下さい。後で母上と一緒にお話しておきますから」


「いや、ラフィ――」


「そうですね。後で旦那様とはお話しですね」


「だから皆も、ここは引きなさい。それとエルーナは、もう少し気を付ける事。もう、あなた一人の身体では無いのですから」


「はい。申し訳ありません」


 どうにか収拾……収拾かね? 収拾したと思っておこう。

 父上だけは収拾していないだろうけど。

 その後は、兄姉の式と同じ様に、個人的な祝儀を渡し、一応は進行して行って幕を閉じた。

 ただ、母上はなんでエルーナ姉を叱ったのだろうか?


「ラフィ様、気付いていないのですか?」


「何が?」


「エルーナお義姉様は、子を授かってらっしゃるのですよ」


「…………え?」


「おめでたいですよね」


 確かにおめでたである。

 だが、良く気付いたな。

 体型も変わって無いのに。


「そこは、女性特有のあれと言いますか……」


「わずかな違い? 俺には全くわかんねぇわ」


 そういや、妊娠したのなら祝儀が必要なのか? いや、出産してからだっけ?


「生まれてからですよ。ラフィはもう少し、貴族的な勉強をしましょう」


「あぃ」


「返事はきちんと」


「わかったよ、リリィ」


 こうして、最後はちょっとだけハチャメチャになってしまったが、無事に終わる。

 まぁこれも、クロノアス家らしいのかねぇ。

 俺の時もこんな感じになるのかは疑問……いや、確定なのかもしれない。

 だが、そんな平穏な日々は長く続かなかった。

 ルナエラ姉の結婚式から数日後、ダグレスト王国がランシェスに侵攻し始め、同時に、世界に対して宣戦布告するのだった。

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