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213話 大人数の試験・召喚者組

来週だけ、前書きと後書きを休むかもしれません。

200万PVになってたら、きちんと書きます。

 マナ暴走から始まった、親友転生事件から約一ヶ月が経った。

 俺達は今、試験を行うために、Bランク冒険者以上がソロで稼ぎに来る領域へと来ている。

 メンバーだが、試験を受ける転生組と召喚者組に加え、神五柱、リア、ナユ、リュール、イーファ、リジアの五名に加え、護衛無しはダメと言われてしまったので、ウォルドと神喰が参加している。


(何とか間に合ったな。しかし、この一ヶ月も濃い日が多かったなぁ……)


 皆が準備をする中、一人、この一ヶ月を振り返ってみる。

 親友が転生してきて、色々な暴露があったり、想定外の()が来て、人の黒歴史を掘り返したり、恋バナに暴走したり、本気でメナトがブチ切れて、潤が追い回されたり、輝明が引き籠りそうになったり、転生組女性陣の武器が異常だったり……あ、それは今もか。

 因みにだが、人の黒歴史を掘り返した諸悪の根源は、神喰仕様の結界で、ガチお仕置きしておいた。


『うんぎゃぁぁぁぁ!!』


『ラフィ、その辺で……』


『゛あ?』


『気の済むまでどうぞ!』


 人の黒歴史を掘り返した、諸悪の根源であるエステスにお仕置きを敢行したのだ。

 ただ、お仕置き中の姿は、人様には見せられないような姿だったが……。

 白目を剥いて、口から泡を吹き、ブリッジしながら、金髪ツインテールドリルを荒ぶらせ、結界内でのたうち回ってひたすら動く。

 完全に、某ホラー映画に出てくるワンシーンだったな。

 そして、お仕置きの最中に神喰が帰宅して、エステスに攻撃を加えようとしたので、仲良く結界お仕置きの刑に処した。


『なんで俺も何だよ!』


『半分は八つ当たりだ!』


『それやめろ!』


『もう半分は、待て! だ』


『俺は犬じゃねぇ!』


 漫才みたいなやり取りもしたな。

 一応、止めた理由はちゃんと話した。


『ちょっとな、気になる事が出来たんだよ』


『納得したら、様子見はしてやる』


『色々と終わったら、メナトも交えて話すから、暫くは我慢して欲しいんだが?』


『……一つだけ答えろや。お前は、エステスが黒だと思ってないのか?』


『そこも踏まえて後日だな。ただ、神喰の言う通りなら、力は貸してやる』


『ちっ。約束を違えなきゃ、それで我慢してやるよ』


 とまぁ、一応は、止める事には成功した。

 ただ、そろそろ限界ではあるが……。


「おい」


「ん? 準備は終わったのか?」


 やっぱりと言うか、神喰が話しかけて来た。

 一ヶ月の間、全く話も無かったことに、そろそろ苛立を感じ始めたらしい。

 仕方ない……明確な日時を、そろそろ伝えるか。


「あの話は何時するんだ?」


「この試験が終わってからだな。一つの区切りとして」


「……逃がす気か?」


「今回は――だな。俺達の中じゃ、疑惑止まりだし、こっちの利益になるようなことしかしてないからな」


「ちっ。ただ、話はするんだな?」


「ああ」


 最後に肯定で告げると、神喰は大人しく引き下がった。

 こっちの意図に乗ってくれるらしい。

 となると、問題は脳筋二柱なんだよな。

 基本バカなんだが、それは考えるのが面倒なだけで、頭の回転は早いからなぁ。

 後、勘が鋭いから、メナトだけ残す事が出来るかなんだよな。

 最悪、権限でも使って返すかね?

 ……出たとこ勝負にするか。


「ラフィ」


「メナトか。準備は?」


「出来たよ。私は、6人の監査役で良いんだね?」


「それで頼む。八木達の監査役は、ウォルドに担当させるから」


「理由は?」


 メナトが不思議そうにしてたので、掻い摘んで説明していく。

 まず、不測の事態が起こった場合、地力の問題点を上げる。

 八木達も冒険者として活動はしていたから、引き際の見極めは出来るだろう。

 ただ、八木は未だに罪悪感があるらしく、何かあれば殿を希望する癖が抜けきって無い。

 そこに不安を感じたので、元冒険者のウォルドなら、上手くやれると判断したわけだ。

 メナトを転生組に着けたのは、これが初討伐だからだ。

 パニックになった場合、圧倒的力で、被害が出る前に殲滅して欲しい旨を伝える。

 パニックを諫めようとしている間に、怪我人が出ては元も子もない。

 メナトとウォルドでは、役割が違い過ぎるのだ。

 以上の事を話すと、メナトは納得して去って行った。

 ただ、本当に危険なら、セブリーとトラーシャを前に出す予定だ。


「俺達はそれで良いけどよぉ、あいつらはどうすんだ?」


「セブリーか。で、誰の事だ?」


「ラフィの婚約者だよ。エステスの見張りってわけでもないんだろ?」


「そのことか」


 婚約者の内、二人は、八木達のパーティーに臨時として入って貰うと伝える。


「誰が入るんだ?」


「ナユとリュールだな」


「……二人の理由は、臨時経験ありってか?」


「それだけじゃないけどな」


 他にもあると言うと、詳しく教えろと言われてしまった。

 神なんだから、それくらい分かれと言いたいが、良く考えたら、こいつらは基本、ソロ活動組だわな。

 思考が、自分一人でどうにでもなるだから、分かりにくいのだろう。

 継戦能力とか、考えてなさそうだし。


「その考えは、流石に酷いって言うぞ」


「じゃあ、なんで二人か言ってみろよ」


 セブリーの言葉に真っ向から反論すると、全くわからん! と言う姿勢になった。

 全く……潔い良いのか、馬鹿なのか。

 とは言え、時間も押してきてるし、答えを言ってしまうか。


「あの二人にしたのはな、前衛と後衛のバランスを揃えるのが一つの理由だな」


「他には?」


「春宮とナユは、同じタイプと言えるんだが、春宮の場合は攻撃も出来る――って言えば分かるか?」


「そう言う理由かよ。で、もう一人は?」


「八木もそうだが、姫埼も完全な前衛型じゃない。近中距離型なんだよ」


「押されたら、多少は引かざるを得ないか。よし! 理解した」


 そう言うと、セブリーは後ろへと下がって行った。

 正確には、神喰とエステスの監視だな。

 まぁ、トラーシャと一緒に、酒飲みながらなのはどうかと思うが。


(仕事をきちんとするなら、大目には見るか……)


「おーい! そろそろ出発するぞー!」


 どうやら時間の様だ。

 思考を一旦クリアにして、試験の行く末を見ないと。


「メナト様、どちらが先に行きますか?」


「ウォルドの方で頼むよ。私の方は、ほら……」


 転生組はちょっと委縮していた。

 でも、当然ではある。

 これから先は、魔物とはいえ、生き物を殺して行くのだから。

 冒険者をするならば、人殺しもしなければならない時もある。

 殺生に対しての慣れは必要だ。

 但し、殺すことに慣れすぎるのも駄目だ。

 あくまでも、生きる為、守るために、力を行使する事を教えないといけない。

 ……難しい問題だなぁ。

 色々と考えていると、八木達が領域内に入って行った。


(思考に囚われ過ぎだな……。さっさと切り替えて、映像魔法を発動しないと)


 映像魔法――要は、SFとかに出てくるモニターだ。

 それを、ノートパソコン位の置きさにして、全員の前に投影する。

 これで後ろから着いて行かなくても、状況が視れるわけだ。

 尚、この映像魔法だが、使えるのは俺とシア位である。

 精霊魔法を組み込んでいるので、使える者が圧倒的に少ないのが難点だろう。

 だから、シアにも秘匿するように伝えている。

 それと、距離の問題もある。

 シアだと、半径2キロくらいが限界だ。

 使用するには精霊魔法の適性が必須で、距離は魔力量によって変わる魔法――それが映像魔法だ。

 陛下とかには言えんな……。

 そんな事を考えている内に、八木達が魔物と接敵した。


『リュール嬢、分かっていると思うが……』


『問題無い。適度に足止めする』


『支援魔法、いっくよー!』


『なんて言うか……』


『春宮って、雰囲気壊すよな』


『そこの2人、うっさい! 黙って戦闘!』


『『はぁい』』


 春宮から怒られた八木と姫埼であったが、戦闘に不安な点は無かった。

 本来であれば、来栖と阿藤が担当するべき場所にリュールが居るのだが、一人で二役をこなしていたと、八木から報告を受けた。

 あの二人、リュールに負けるんじゃね? と思ったのは、俺だけでは無い筈だ。


『やっぱリュール嬢は強ぇなぁ」


『ウォルドさん、私はあの域に行けるでしょうか?』


『桜花嬢でも行けるだろうさ。修練は必須だけどな』


『やったね! 桜花ちゃん』


 話しながらではあるが、確実に魔物を倒しているな。

 連携も悪くない。

 なら少し、試してみるか。


「エステス」


「はいはい。でも、良いんですの?」


「危険と判断したら、中止するから」


「わかりましたわ。苦情が出ても、ワタクシは知りませんわよ」


 そう言ってから、とある魔法を行使する。

 エステスのみに与えられた魔法。

 いや、権能と言った方が正解か。

 その権能は、転生組が目覚める為に行った事。

 そう――マナ暴走である。

 今回は、疑似マナ暴走となっている。

 以前に行った、マナ暴走させた領域でも話した事なのだが、マナの操作では、エステス以上に上手く扱える神はジェネスしかいない。

 同格の神ではエステスが一番上手く扱え、尚且つ、マナに関する権限もエステスしか持たないわけだから、マナ溜まりから少しだけマナを抽出して、指定の場所にばら撒いたりするのは朝飯前と言う事だ。

 俺も出来なくはないが、やりたいとは思わないな。

 失敗したら、後が面倒だし。


「出来ましたわよ」


「おつ」


 軽く労って、状況の変化を待つ。

 今回は、意図的に暴走状態の魔物を作り出してけしかけているのだが、誘導はしてある。

 他にも冒険者とかいるからな。

 会敵しない様に、予め根回しもしていて、指定した場所には近づかない様にもしている。

 なので、必然的にこちらへ来るわけだ。

 いつもより強くなり、多くなった魔物に、どのような対処をして乗り切るのかが、八木達に与えられた試験だ。

 さて、どうなってるかな?


『ウォルドさん、これ、やばくないっすか?』


『まぁ、普通ならヤバいだろうなぁ』


『撤退っすか?』


『監査役だが、リーダーは八木だぞ? 決めなくてどうすんだ?』


 ふむ……ウォルドは口を出さないのか。

 こっちの意図しない事までやらせるつもりのようだ。

 まぁ、問題ないから黙ってみてるか。

 だが、八木が悩んでいる内に、撤退できる判断ラインを越えてしまった様だ。

 こうなると、戦うしか無いな。

 八木、減点っと。


『判断は素早く正確にしろ。じゃないと、仲間を殺すことになるぞ』


『す、すいません』


『流石に、戦わずに撤退は無理だな。八木、殲滅戦か撤退戦か選ぶしかないぞ』


『戦って、勝てますかね?』


『……今回だけ、判断基準を教えてやる。仲間の疲弊度、継戦能力、敵との差、その全てを、一瞬で判断するんだ。まぁ、リュール嬢とナユっちの強さが分からないってのがあるだろうから、姫埼と春宮の状態だけで判断すれば良い。但し、今回は――だ』


『う、うす』


『で、だ。今回の魔物なら、油断さえしなければ勝てるだろう。良いか? 確実に息の根を止めるんだぞ』


『『『はい!』』』


 ウォルド、教え方も上手いな。

 流石、一目置かれてただけはある。

 士気の上げ方も上手い。

 ……新人教育係もさせようかな?

 なんて考えてると、暴走魔物と接敵して、戦闘が開始された。

 春宮は支援攻撃に切り替えた模様。

 ナユに継戦支援を完全に任せたが、良い判断だと思う。

 次に姫埼と八木が、連携して確実に息の根を止めてるな。

 姫埼が手傷を負わせて足止めをして、八木が一撃でトドメか。

 悪くない戦法だが、数の多い時に取る戦法じゃない気がする。


(完全に、リュールに前衛を任せて、中衛を厚くしたわけか。悪くはないが、それはリュールだから出来ると、気付いているのかね?)


 気付いているなら問題無し。

 気付いていないなら、大減点。

 ただ、ウォルドが何も言ってないし、戦闘にも参加してないって事は、気付いてると判断してるのかね?

 とりあえず見守り、戦闘が終わるのを待つ。

 戦闘が終わると、ウォルドが色々と質問をしていた。


『前衛をリュール嬢だけに任せたのは何故だ?』


『止められると考えたからっす』


『リュール嬢以外だったら、どうした?』


『……その人物の力量に合わせて、戦略変更をしたっす』


 その後は、具体的な話を聞いていたウォルド。

 幾つかの例を話した八木に、頷いているだけだったが、どうやら合格らしい。


『広い視野も持っているみたいだし、指示も悪くない。春宮も、咄嗟の切り替えは見事だった。姫埼に関しても、個人の戦い方に関して言う事は無い。ただ、一点だけ言っておく』


『なんっすか?』


『八木、いざとなったら自分が――って考えは捨てろ。そんなんじゃ、いつか死ぬぞ』


『それは……』


『いざとなったら誰かを逃がすじゃなく、全員で生き残るって考えに切り替えろ。お前が死んだら、悲しむ奴がいる事を忘れるな』


『はい』


『それと、春宮と姫埼』


『『はい』』


『八木以外にも、もう少し合わせろ。特に姫埼。リュールの動きに着いて行こうとするな。着いて行けないなら、それなりの戦い方を模索しろ。中衛でもやれるなら、援護は出来た筈だ』


『す、すみません』


『春宮もだ。今回は後衛が二人いるのだから、分担しろ。途中から、支援にも手を出していたのは減点だ』


『はい……』


『そして、最大の減点は、なんで領域に入る前にお互いの確認をしなかった? していれば、もう少しやりようもあっただろう」


『『『うぅ……』』』


『とまぁ、きつくは言ったが、癖があるんだろう。多少の矯正は受ける様に。後は、ラフィの判断だな』


『『『はい』』』


『よし。んじゃ、帰るぞー』


 どうやら無事に、召喚組の試験は終わったな。

 言いたい事も言ってくれたので、俺からは特にないかも。

 クランで依頼を受けながら、軽く矯正くらいだろう。

 問題は、誰を付けるかなんだが……そういや一人、面白い冒険者がいたな。

 そいつとガルさんに応援を頼んでみても良いかもな。

 こっちからの見返りは、個人技の技術指導にすれば、飲んでくれるはずだし。

 考えを纏めながら、八木達が領域を出るのを見届けた。

 次は、転生者組か。

 メナト、頼むぞ。

カクヨムでは、この話から章が変わっています。

なろうでは、もう少し後に変える予定です。

内容は変わらないので、ちょっとした差分ですね。

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