第202話 お前らが原因か!
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年末は早目に毎日投稿出来るかも?
年末の同盟会議を終え、新年も例年通り変わらなく過ごし、少し時は流れて、雪解けの季節。
以前にジェネスから聞いた話が本当なら、そろそろ出立しないといけない時期になって来た。
……なって来たのだが、何故かその兆候が無い。
これは一体、どういうことなのだろうか?
つい先日、シルも観測を終えて神界へと帰ってしまったので、聞く事も出来ない。
さて、どうしようかと悩むこの頃である。
「ラフィ様、何を悩んでいるのですか?」
「ミリアか。いや、前に話した親友の話、覚えてるか?」
「確か、お迎えに行かないといけない――とかですよね?」
ジェネスが降りて来た時に話した〝親友達もこちらの世界へ来る〟と言う話は、新年早々に皆に話していた。
その時、誰が何人来るなどの話もしたのだが、ミリア達は露骨に『また増えるんですね』って顔をしたのも、記憶に新しい。
そんな話をしながら、毎日来る手紙の処理をしていく。
「はぁ……。しかし、良くもまぁ、諦めずに送ってくるものだ」
「それは仕方ないですよ」
手紙の内容は、お茶会――と言う名の、妹、娘、姪などの紹介&嫁にどうですか?会である。
後は、会った事も無い地方領主からの依頼関係。
但し、無償で引き受けてくれ――とかが大半なので、返事を書くのも馬鹿らしい。
たまに、ちゃんとした内容の手紙もあるから、流し読みできないってのが辛い所ではある。
そして、そんな手紙の内容の精査を、ミリア、リーゼ、リリィ、ティアが手伝ってくれているのが日常風景だったりする。
この件に関しては、今後も迷惑をかけるだろうなぁ。
負担減の為に、早く文官を揃えなければ。
「ラフィ様。この手紙の内容は、手を打った方が良いかもしれません」
「……なぁ、リーゼ。これは、俺がしないといけない内容なのか?」
リーゼから渡された手紙の内容には、魔物の領域における緊急調査依頼であった。
内容は、最近になって魔物の行動が活発化しており、集団暴走に至るかの調査を頼みたい――と言う内容だ。
あ、貴族の礼節に則って、本文はもっと長ったらしく書いてあるぞ。
要約した内容が、調査依頼って話だ。
そして、この話が本当なら、動くべきは国の方だと思うんだが……。
「ラフィ様に動いて頂きたいのは、ギルドへの依頼に同じものがあるかどうかです。この話がもし本当なら……」
「ギルドに話が来ていてもおかしくないか……。リリィ、王城にも、同じ嘆願書が来てないか確認できるかな?」
「私の名で確認してみます。来ていて放置しているなら、怠慢ですね」
「まぁ、陛下の方は俺よりも嘆願とか多いだろうからなぁ。仕方ない部分もあるだろう。それよりも、今は事実確認が最優先だ」
その言葉を聞いたリリィは、ブラガスに命じて、使用人を王城へと使いに出した。
まだ午前中なので、早ければ昼過ぎには事実確認が取れるだろう。
それと、クランの方にも事実確認をする為に、使いを出す。
冒険者関連の方は、そう時間も掛からない筈だ。
そして、情報が来るまでの間、俺達は今尚減らない手紙の処理をしていく。
約二時間後、使いの者がクラン職員とギルマスを連れて戻って来た。
話を聞くべく、応接室で対応する。
「単刀直入に言います。依頼は受理されています」
「依頼を受けた者は?」
ギルマスは依頼自体はあると告げた。
では、受けた者はいるのかって話になる。
だが、ギルマスの表情はあまり良いものでは無かった。
「いる事はいるのですが……」
「歯切れが悪いな。何かあるのか?」
どうにも言いづらそうにしているので、もう少し踏み入って聞いてみる。
同時に、クラン側で受けた冒険者がいないかも確認しておく。
だが、クランの職員も歯切れが悪かった。
どういう事だ?
「まず、この依頼に関してはC以上に設定しています。そして、依頼を受けて、完了報告も出ています」
「……完了依頼が出たのは何時頃で?」
「二週間前です。冒険者達が動き出す時期ですね。依頼自体は去年に受理しているので、冬季期間は現地にいたかと」
「偽装は?」
実は、依頼人になりすまして、勝手に依頼完了の署名をする冒険者もいたりする。
滅多にいないが、可能性は0ではないので、一応は確認しておく。
「偽装は無いですね。今回の依頼は貴族です。署名には印紋が必須ですから、偽装自体が難しいでしょう。それに、貴族の依頼で偽装なんてしたら……」
「まぁ、打ち首の可能性もあるわな」
既得権益のある貴族には、ちゃんと貴族法と言う法律がある。
そして、その中の一文に、貴族になりすました場合の罰則も、きちんと明記されているのだ。
貴族自身に対する法と、平民に対する法。
双方を兼ね備えたのが、貴族法となる。
そして、今話した偽装に関する罰則は、軽くても鉱山送りは確定で、重ければ死罪である。
これに関しては、貴族が一部裁量権を持ったりもしてるので、大抵は奴隷落ちが基本だな。
デメリットが大きすぎるので、余程の事が無い限りはしないであろう。
「そう考えると、一度は依頼完了したことになるが……。行き違いか?」
「いえ。完了後に、更に異変があった可能性も」
「クランで受けた冒険者は?」
「いません。ですが、最近になって指名依頼できました」
「指名は……俺か」
そうだろうなぁ……なんて考えていたら、職員からの返答は違った。
「いえ。こちらに来た指名には、クラマスの名ではありませんでした」
「俺じゃない?」
「はい」
どういう事だ?と考え始めると同時に、応接室の扉が叩かれる。
入室許可を出すと、王城へ使いに出した者が戻ってきたと、報告を受ける。
情報が纏まらないので、使いの者を呼んで、王城からの返事を聞く事にすると、何故か軍務卿が一緒だった。
「ファスクラ卿?」
「なんだ? 俺が出向いたのがそんなに不思議か?」
「総大将自らは想定していませんでしたね」
「俺が出向いた方が、話が早いからな。あ、飲み物はブランデー入りのやつでな」
「昼から飲酒ですか……」
「そう言うな。それに、これくらいは気付けと変わらんさ」
そう言うと、ソファーにドカッ!と座るファスクラ軍務卿。
そして、どの辺りまで話したかを簡潔に説明して、お茶が来てから話を再開させる。
「なるほどな。じゃ、こっちからの情報だ。王城にも嘆願書は届いていた。が、届いたのは昨日だ」
「時系列が滅茶苦茶だな。……いや、完了後、再度か?」
「完了したんなら、その報告内容がある筈なんだがな」
「軍務卿の言う通りですが、その辺りはどうなんで?」
「異常なしですね。若干、活発してはいるも、誤差の範囲――と言うのが、報告内容でしたね」
ギルマスの言葉に、全員が少し考え、結論を出す。
「依頼完了後、何かあったと見るべきでしょう。軍務卿、動けますか?」
「ちょっと厳しいな。とは言え、放置できる話でもない」
どうやら、この場にいる全員の考えは同じの様で、何らかの行動は必要と判断。
しかし、王国軍は先の事を考えると、今は動かしにくい状況。
そうなると、冒険者になる訳だが……。
「ギルマス殿。依頼の内容を上げる事は可能ですかな?」
「可能ですが、軍務卿は何をお考えで?」
「……ファスクラ卿。もしかして、軍部から依頼を出すつもりですか?」
「正確には、現在の依頼に上乗せって形だな。報酬も軍備から出す。代わりにだが……」
「受ける側のランクを上げるわけですか。もしかして、最悪の状況も想定してですか?」
最悪の状況。
それは、集団暴走間近の、魔物との戦闘を意味する。
そうなると、数が膨大であり、腕に自信のある冒険者か、実績のある冒険者限定になってしまう。
割と状況は悪い――と見ている様だ。
「ランクの設定は?」
「最低でもA以上。出来ればS以上にしたいが、受けられる者が限られるのは得策じゃねぇな」
「クラン連合を使うべきでは?」
「それも一つの方法だな。安全マージンは、どの程度取れるんだ?」
「質次第でしょうが、見極めが良い冒険者達を集めた方が良いでしょう」
「……その辺りの匙加減は、冒険者側に任せる。俺は、陛下に奏上しないとな」
「付き合いましょうか?」
俺の言葉に、ファスクラ卿は首を振った。
どうやら必要無いらしい。
だが、代わりに頼み事はあるようで、続けて話し始めた。
「クロノアス卿は、謂わば最終手段だ。だから、何かあれば直ぐに動けるようにしておいてくれ」
「わかりました。職員には、各国の支部から選抜させますか?」
「選抜はしておいてくれ。待機中の補填もしよう。だが、最初に動くのは、ランシェスを拠点としている冒険者にしてくれ」
「了解です。ギルマス、今直ぐ動ける高ランク冒険者に当ては?」
話を詰めて行く中、またも扉が叩かれる。
どうやら来客らしいが、今は大事な話の途中である。
別室にて待ってもらおうとしたのだが、その人物は使用人を押しのけて入って来て……俺は目を疑った。
「おい……なんで、あんたがいるんだよ?」
俺以外の誰もが、その場で硬直して動かない。
そう、俺を訪ねてきた者、それは三柱。
戦神、武神、破壊神である。
分身ではあるようだが、脳筋が二柱。
嫌な予感しかしないんだが?
「よう! ラフィ! 久しぶりだな!」
「相変わらず、声がでかいんだよ!」
大声で挨拶してきたのは、武神セブリーである。
続けて、破壊神トラーシャも挨拶をしてきた。
「本当に久しぶりだな! 色々ぶっ壊してるか!?」
「挨拶としておかしいと気づけ! なんだよ、最後の質問は!」
トラーシャに対して、全力でツッコむ。
そして、そんな二柱のお目付け役なのだろうか?
既にぐったりした戦神メナトが、最後に挨拶をした。
「元気にしてたかい? 私は、色々疲れたよ……」
「うん……。気持ちはわかる。とりあえず、休もうか」
戦神メナト、既に燃え尽きて真っ白になっていた。
一体、何があったと言うのか?
こちらの話もまだ終わってないが、一時中断して別室で話を聞く事にする。
「それで、なんで来たんだ? 基本は不介入だろうに」
「ジェネス様が、前に話していた事で私は来たんだけどね……」
メナトが疲れ切った老人みたいに話す中、セブリーとトラーシャがぶっちゃけた事を言い始める。
「俺か? 楽しそうだからだ!」
「俺は一応、役目はあるけどな。本音はセブリーと同じだ」
「……君ら一度、ガチで拳骨落として良いか?」
本音しか語らない二柱を相手に、深くため息を吐く俺とメナト。
そういや、なんでメナトがこんなに疲れ切っているのかも聞かないとな。
「それで、メナトはこの脳筋共のお守りだと思うが、なんでそんなに疲れ切ってるんだ?」
「ああ、それはだな、このバカ二柱が好き勝手に魔物狩りやら、ダンジョン攻略しようとして、必死になって止めに入ったからさ」
「……メナト」
「なんだい?」
「良く、止めてくれた。後で、出来る範囲でなら、何か労うから」
「それは嬉しいね。それと、本題だね」
バカ二柱はとりあえず置いといて……そういや、トラーシャも何か役目があったとか言ってたな。
「トラーシャ」
「役目の話だろ? メナトの話に付随するから、それが終ってからな」
そう言って、メイドが持ってきたお茶請けに舌鼓を打ち始める。
セブリー? こいつは遊びに来ただけのような気がするから、放置で良いや。
「それで? メナトの話を聞きたいんだが」
「君の友人が、こちらに来る話さ」
ふむ……どうやら、神自らが来るほどの事態と言う訳か。
厄介事の匂いしかしねぇ。
「そんなに警戒しないでくれ。特に厄介な話でもないんだ。一部を除けば――ね」
「……その一部に、トラーシャが必要なのか?」
「正解だよ。簡潔に言うとね、とある場所のマナ溜まりを、意図的に暴走状態一歩手前にしてある。そこに、君の友人達の肉体にマナを注ぎ込む」
「普通に転移体じゃダメなのか?」
わざわざ危険を冒してまでする事ではない。
一歩間違えれば、その地域のマナが乱れてしまう。
乱れるだけなら良いが、何百年も枯渇状態になる可能性だってある。
もし、枯渇したら、暫くは死の大地と遜色ない状態になってしまう。
作物は育たず、家畜は飼えず、人も住めない、不毛の大地に早変わりだ。
だが、それはメナトも分かった上で話しているのだろう。
と言う事は、何らかの処置が必要と言う事なのだろうか?
もう少し、詳しく聞いてみよう。
「色々と考えてるようだが、はっきりと言っておく。エステス対策だ。ジェネス様も承認したんだよ」
「どういう事だ?」
メナトが言うには、今回の転生転移にエステスを全く噛ませていないそうだ。
全て、ジェネス指導の下に行われているらしい。
何故、そこまで慎重に事を運んでいるのか?
それは、俺に対しての弱点にならない様にとの配慮らしい。
「君は、大事な物とそうでない物を瞬時に分ける。その中でも、大事な物に手を出した奴は、敵認定して容赦がない。だが、逆に言えば、それがラフィの弱点でもある」
「……いざと言う時に、動けなくなる可能性か」
「ああ。そして、この世界には本来存在していない程の、強力な魂縛。知ってるかい? 魂縛は魔法神にも使えないって言うのを」
いきなりの情報に、俺は目を丸くした。
リエルにも確認を取るが、リエルにも、RE・コードにも、その情報が無い。
「どういう事だ!?」
「やっぱりか。我ら十二神の情報だが、一部は意図的に隠蔽されているのさ。そして、その理由は――分かると思うけど?」
「……得意では無く、不得意。いや、弱点となりえそうな情報を隠蔽している?」
「正解だ。但し、当てはまらない神が二柱いるけど、それも分かっているよね?」
「ジェネスと……もしかしてシルか!?」
「大正解だ! 因みにだが、魂縛を使えるのは、誰だと思う?」
メナトの質問の意図が、今一つ不明……いや、魂縛を使える神と言ったな。
……おいおい、まさかと思うが……。
その考えに至ったと同時に、メナトは話を進め始めた。
「分かった所で、話を進めようか。まぁ、そう言った理由で、噛ませていない。そして、それが意味するところだが……このままでは、君の友人達は、この世界で一番非力な存在となる」
「まさか、マナの強制注入……いや、構築の際に取り込ませるつもりか!?」
「ははっ。話が早くて助かるよ」
俺は思わず頭を抱えてしまった。
神は傲慢と言うが、まさかここまでとは……。
「お前達は、この世界の理を曲げるつもりか!」
思わず、大声を出してしまう。
三柱も想定していなかったのか、驚いていた。
だが、直ぐに表情を戻し、話を続ける。
「勘違いしている様だけど、理を曲げるつもりは無いよ。もう少し詳しく言うと、本来するべきことの順序を変えただけさ」
「簡単に言うな! 失敗すれば、構成する肉体の崩壊に加えて、マナ枯渇による死の大地まで出来上がるんだぞ!」
俺の怒声が止まらない中、尚も冷静に話すメナト。
絶対に失敗しない方法でも持っているのか?
「懸念はわかっている。だからこその、トラーシャだ」
「どういう事だ?」
低い声で、脅す様に聞き返す。
神殺しの威圧を放ちながら聞き返す俺に対して、三柱は冷や汗を流す。
言外に、伝えたのだ。
――応答次第では、滅する――と。
今の俺は、原初の力を使う事を躊躇っていない。
即座に別空間に引きずり込んで、神殺しを成し得るつもりであった。
メナトは、冷や汗を流しながらも、言葉を選ばずに、淡々と方法を告げた。
「まず、マナ溜まりを暴走状態にさせたのは、そこから溢れるマナを体内に取り込ませ、循環を促すためだ。マナ溜まりに放り込めば、肉体は崩れ去るだろうからね」
「当たり前だ!」
「怒らずに聞いて欲しい。それでだ。その方法で、魂にも、この世界で生き抜くための力を与えるんだ。ラフィの場合は、素質もあったから、遠慮なく与えて、行使する方法も、制御する方法も教えたんだ」
「……それには感謝している」
「礼は受け取るよ。でだ。この世界に来る友人達には、魂に魔力を操る素質どころか、この世界の魔力に触れる素質も理も持っていない」
「半強制的に埋め込むつもりか?」
俺は一段と、低い声でメナトに聞き返す。
この先の返答次第によっては、敵として認知する。
「違う。この世界に適応させるだけだ。魂も肉体も壊れるようなやり方はしない。あくまでも、個人の総量を上回る様な力は与えない。ただ――」
「ただ――なんだ?」
「ラフィの世界って、過負荷で過ごしているような世界だからね。こちらの世界に適応するようになったら、どれくらいの力を持つか、分からないんだよ」
「それで?」
「多過ぎても、少なすぎても駄目なんだ。丁度良い状態にしないといけない。その辺りは、ラフィとは違うんだよ」
「……一つ、聞きたいことがある。俺の元居た世界とこの世界は、輪廻の輪が同じはずだ。なのに、どうして、適性値の話になる?」
今の話を聞いて、浮かんだ疑問。
俺達の世界が過負荷なのは信じるとしても、この世界から俺達の世界に生まれ変わったのならば、この世界の人間が持っていた魔力操作の根源は持ったままのはず。
辻褄が合わない。
だが、それも想定済みの質問だったらしく、直ぐに答えが返って来た。
「良いかい? 死んだ後、魂は一度、全て浄化されるのは知ってるよね?」
「ああ。だがそれは、全てを赦すためだろう?」
「もう一度言うよ? 全てを浄化するんだよ」
「…………おい、まさか?」
「その、まさか――さ」
なんてこったい。
今の話で、ようやく理解した。
そもそもの話、魂に刻まれた全てを浄化して、真っ白にするってことか。
完全に白紙の状態だから、その世界にあった状態にしてから、生まれ変わらせる。
だから、世界に適合しやすい訳か。
だが、今、俺の友人達には、その方法が使えない。
魂に刻まれた記憶は保管して戻す事が出来るが、どちらにしても、一度は白紙に戻さないといけない。
その時に何かされた場合、それを排除するのは、原初でも困難になる。
記憶と言うのは、絡み合った糸と同じだからな。
その糸を解きながら、根幹に刻まれた物を排除するのは、至難の業になる。
ならば、全てを残した状態で、浸透させていく方法を取る訳か。
ただ、輪廻の輪を通してないから、適合値は不明だし、どれくらい必要かもわからない。
確実に言えることは、友人全員が、この世界に適合出来ると言う事実のみ。
合点はいった。
そうなると、トラーシャが来た理由は……。
「暴走状態にあるマナ溜まりに関する破壊か」
「そこまで読み解いたのか……」
「何をどうするのかまでは知らん。ただ、トラーシャは破壊を司る神だからな。そして、分身で行える範囲となると、ある程度は予想が付く」
「なるほど。では、我らが訪問した理由も、察しが付くよね?」
「いざと言う時の保険……いや、抑止力か」
「何も無い事を祈るんだけど、実は初の試みでね。シルが万が一に備えて、ラフィにも協力して貰った方が良いってね」
「神でも失敗するのか?」
「なんでも万能ではないさ」
最後に言葉を交わした後、俺は威圧を解いた。
三柱も息を吐き、安堵した模様。
正直、負ける事は無いだろうが、三柱相手……特にトラーシャ相手は面倒だからな。
敵に回らないでくれて良かったと思う。
「それで、場所は何処なん……」
そう言いかけて、止める。
さっき話していた、活発化の話を思い出したからだ。
調査して、問題は無いと判断したにも関わらず、続く活発化。
メナトが話した、マナ溜まりの暴走。
――結論、お前らが原因か!――
思いっきり、深い溜息を吐く。
そして、次の行動に移る。
「メナト達はここで待機な。ちょっと、先の問題を解決してくるから」
「わかったけど、一つ良いかな?」
「なに?」
「食事、くれない?」
「……メイドに伝えておく。帰ってくるまでは、大人しくしていてくれ」
そう言って部屋を後にして、メイドに食事を運ぶように指示を出して、応接室に戻る。
大分時間が掛かってしまったが、全員が待っていてくれた模様。
感謝である。
「お待たせして申し訳ない。少々事情が変わったので、調査には自分が出向きます」
その言葉の後、何があったのかを聞かれたが、事情が変わったで押し通した。
一応、陛下には説明しに行くとだけ伝えて、渋々ではあるが納得してもらう。
だって、しょうがないじゃん。
話せねぇんだもん。
しかも、原因の一部が神で、内容が俺に関わる事だぞ?
絶対に言えるわけねぇよ!
そんなこんなで、珍客が訪問した後、話し合いは終了となった。
ただ、1つだけ問題がある。
(ミリア達に、なんて説明しようか……)
こうして、別の問題に頭を悩ませることになるのであった。
今回は物語へのあとがきで無く、作者のちょっとした愚痴と言うか悩みを。
つうか、普通に解決方法を提示してくれるとありがたい。
最近、目のかすみが凄いんです。
疲れえも酷い。
病院には行ってますが、他に民間療法を知ってる方で、個人差はあるけど効果高いよ――ってのを知っている人、いますかね?
そのせいか、最近、誤字や達治が酷くて(´;ω;`)
以上、作者の愚痴&悩みでした。
……マジでどうしようか。




