表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
208/318

第172話 ファーグレット家とのお見合い

年末年始投稿6日目。

残すところ後1日となりました。

そういや、今年の仕事始めって4日が最短何ですかね?

 4日目のお休みが終わった翌日、急遽予定を変更して、いや、予定変更を強制させられて、リリィとティアに引っ張られて王城に向かう事になった。


 道中、ヴィルノー先代も二人に拉致され、現在は4人で陛下の準備が整うのを待っている状態である。




「なんで儂まで……」




「お爺様、何か文句がおありなのですか?」




「文句と言うかな、事情は道中の説明で納得はしたが、儂が必要なのか、疑問が残るのぅ」




「大叔父様、納得していらっしゃるのなら、この後の流れも分かりますよね?」




「我が姪は、リアフェル殿に似てきたのぅ……」




 最後に余計な一言を喋ってしまった先代は、孫娘のティアに思いっきり尻を抓られていた。


 そして、思いっきり睨まれる先代。


 考え無しに出した一言の代償は、割と大きかった様だ。


 だって、涙目になってるし……。




「お待たせいたしました。応接室にご案内いたします」




 一連のやり取りがあった数分後、メイドが呼びに来て、応接室まで案内される。


 応接室のドアを叩くと、中から陛下の声が聞こえ、了承を待って部屋の中へ入る。


 部屋には陛下の他に、軍務卿、財務卿、内務卿、そして、何故かリアフェル王妃もいた。


 うん、面倒な感じしかしないな。


 全員がソファーに座り、メイドがお茶を入れ、全ての用意が出来たので話が始まる。




「さて……まだ政務も始まったばかりの時間だというのに、一体何の用事で我々を呼び出したのか聞こうではないか」




「順を追って説明しますが、その前に……」




 そう言って三大臣達に顔を向けるリリィ。


 その視線が何を言いたいのか、1つだけは俺も良くわかる。


 俺達があの領域に向かわなければ、3年前の脅威再びの可能性もあったのだから。


 尚、リリィに視線を向けられてる三大臣達は、ちょっと気圧されている。


 まぁ、あのリアフェル王妃の娘で自国の王女だし仕方ないのか?




「そう睨むな。あのことが気になるなら、そこだけ外して話せば良いだろう」




「……そうですね。で・す・が、今回話す事は軍務卿と財務卿には責任追及がある可能性も覚悟して下さい」




「どういう事だ?」




 陛下も王妃も疑問を浮かべていたが、リリィの説明により、その場の王国重鎮勢の顔色が一気に悪くなる。


 極めつけは、俺が怪我をした事だろうか?


 明らかに軍務卿の顔色が一段と青くなった気がするのだ。




「以上の事から、軍務卿にはどういうことなのか、説明を求めます」




「……はぁ、お前の言い分はわかった。叔父上が一緒なのもティア嬢がこの場に居るのも理解した……が、別に朝で無くても良いだろう」




 陛下の苦言にリリィは真っ向から反論する。


 それに頷く、ティアとヴィルノー先代。




「事は重大ですよ、お父様」




「重大のぅ……」




「これが一か所だけの見落としならば良いですが、他にも同じ様な場所があったのなら? 最悪の場合、3年前と同じになりますが?」




 リリィの言葉に暫し考えこむ陛下。


 その結論は、常識的な回答であった。


 ただ、リリィも負けずに反論する。




「また集団暴走スタンビードが起こると? 逆に聞くがな、たった3年で起こるものなのか?」




「それを調べ、起こらないようにするのが、軍務卿のお仕事では? 尤も、財務卿が出し渋りをしていたら知りませんが」




「どうなのだ? 軍務卿、財務卿」




 ここで矛先が軍務卿と財務卿へと移る。


 二人共、冷や汗を拭きながら、釈明をするのだが、リリィからしてみれば苦しい言い訳にしか聞こえなかったみたいだ。


 釈明後、すんごい論破してたからね。




「つまり財務卿の言い訳は、軍部ばかりに融通していられないと? そして、軍務卿は財務閥が出し渋るから調査が行き届いて無いと、そう言う事ですね?」




「いや、そこまで言ってる訳ではなくてですね……」




「あー、いや、その、なんだ……色々と立て込んだりもしていてな……」




「国防より、優先すべき事情があるのですか?」




 リリィの口撃が止まらない。


 両大臣の冷や汗も止まらない。


 そして、話が進まない。


 と言う訳で、当事者が介入する事にするか。




「リリィ、ストップ」




「いくらラフィでも、介入は……」




「とりあえず、話を進めないか? 陛下や大臣達も暇じゃないだろうし」




「……わかりました、わかりましたわ! とりあえず、話を進めた上で、最終判断はお父様にして頂きます」




「悪いな、リリィ」




「ラフィは少し甘いと思います」




 ちょっと拗ねてしまったリリィだが、俺の為に徹底的にしていたのだろうから、止められて拗ねてるのも可愛いよな。


 思わず、頭を撫でてしまうのだが、それを見た陛下と王妃はニヤニヤして見ていた。


 うん、そう言う感じで来るなら、リリィの頑張りを無駄にしない為に、厳しめに行くか。




「さて、話を戻しますが、財務卿は冒険者ギルドへ各領域の調査を依頼して下さい」




「国軍ではダメなのか?」




「こういった調査の場合、冒険者の方が適任ですから。少数精鋭での調査は必須ですよ」




「だが、財源が……」




「リリィ」




「はい。今から、徹底的に説明すれば良いのですね?」




「わ、わかったから! 王女をけしかけんでくれ!」




 財務卿、敗北。


 続いて、内務卿へ話をする。




「内務卿は、各領主たちに領域内の再調査を国が総力を上げて行うと、触れを出してください」




「それは構わんが、誰が行うのだ?」




「こちらも冒険者が行います。費用は王家持ちで」




「ちょっと待て!」




「待ちませんよ、陛下。多少、国庫が減っても雀の涙程でしょう? 俺だって3年前みたいなのはごめんですから」




「いや、しかしな……」




「お・と・う・さ・ま?」




「よし! 財源は任せろ!」




 内務卿、快諾。


 陛下、娘に敗北。


 陛下って、リリィに弱いよな。


 そして、最後に軍務卿。




「無理難題を言われそうだな」




「そう思うかは、軍務卿次第ですよ」




 軍務卿に出した提示は、黒龍族を数体引き連れて、間引きに向かう事。


 異変が起こっている領域であれば、変異種が居る可能性があるからだ。


 正直、国軍に被害多数では話にならんからな。


 普通の提示に、軍務卿は拍子抜けしたのは普通の事だろう。


 どんな無理難題を吹っ掛けられるのかと、内心では身構えていたはずだからな。




「ざ、財源が……。国庫が……」




「諦めろザイーブ。大事の前の小事だ」




「しかし陛下!」




「3年前、もしグラフィエルが居なければ、この王国は既に無くなっていただろう。同じ過ちを起こすのは愚の骨頂だ」




「ですが、現在行っている事業はどうされるのですか?」




「多少、国庫が目減りしても構わん。それで分かるな?」




「陛下の御心のままに」




 こうして、話し合いは終わり、大臣達は部屋を後にする。


 退出する際の財務卿の顏が疲れ切っていたのは見なかった事にしよう。


 何か言われても困るし……。




「さて……よくもやってくれたな」




「何の事でしょうか?」




 大臣達が退出した後、陛下が口調を崩してこちらを責めて来た。


 ただな、あれが被害を少なくして行う最善策だったんだよ。


 後は、ニヤニヤしてた仕返しだな。




「はぁ、まぁ良い。で、本題は?」




「……本題?」




 いや、本題も何も今話したことが全てなんだが?


 だが、陛下も王妃も話してないことがあるだろう?と引かない。


 話してない事なんてあったっけ?


 怪我の事は俺のミスだしなぁ……。




「ラフィ君、もしかしてあれの事じゃない?」




「あれ?」




「怪我の件」




「あー……それって話すようなことなのか?」




「やはり隠しとったか。はよ話せ」




 陛下の催促にティアが説明し、俺が時折捕捉する感じで説明して行く。


 全てを話し終えた時、陛下は目が点になっていて、王妃は明らかに動揺し、ヴィルノー先代は口を開けっぱなしに。




(そこまで驚く事かねぇ)




 だが、俺の考えは見抜かれていたらしく、即座に否定されて、根掘り葉掘り聞かれた。


 結局、5日目のデートは王城連行で潰れ、最終日に持ち越されることになった。





 翌日、今日はファーグレット家が俺の屋敷に訪問する日である。


 訪問するのは、ファーグレット家当主でヴィオレッタの父でもあるヴィンタージ・フィン・ファーグレットと娘であるヴィオレッタ・フィン・ファーグレット。


 裏で話しはついているのだが、建前と言う物が必要なので、王妃が斡旋したお見合いと言う形になっている。




「初めまして……では無いですね。ヴィオレッタの父、ヴィンタージです」




「グラフィエルです。この度は足を運んでいただき、ありがとうございます」




 社交辞令の挨拶を済ませ、本題へ移るのだが、やはりと言うか、貴族の慣習が問題として浮上する。


 その問題と言うのが、妻の序列に関してである。


 そして、お互い一歩も引かない話へと発展する。




「そちらの序列はわかりました。そうなると、そちらの事情も考慮すれば8位が妥当かと」




「こちらが決めた序列に口を出すと? どれだけ譲っても9位だと思いますがね」




 たった一つ、されど一つ。


 貴族の妻の序列と言うのは、貴族の間では切実な問題となっている。


 これには、先ほど言った建前も大いに関係していたりするので、ちょっと面倒な話なのだ。




 そもそもの話、貴族同士のお見合いは前世のお見合いとは全く異なる。


 前世のお見合いは、お互いが乗り気でないなら会っておしまいだが、貴族同士の場合、お見合い=婚約だったりする。


 政略結婚が普通に行われている世界だし、貴族社会は貞操観念がもの凄く高い。


 親の決めた許嫁など珍しくも無いので、恋愛結婚した貴族は物語にされるほどの始末だ。


 娯楽が少ないので、仕方ないとも言えるが……。


 そしてもう一つ、貴族のご令嬢の場合、箱入り娘も珍しくない。


 上げればキリが無いのでこの辺りにするが、色んな慣習や前例や思惑があるので、お見合い=婚約になっている状況なのだ。




 そして、今回のお見合いの話になるが、建前とは言え王妃が絡んでいるのが非常に厄介な点だ。


 現在の状況なのだが、自国、他国問わず、俺の妻にしたいと言う貴族が山ほどいる。


 それを止めているのが各国の王家や皇家だ。


 一度、陛下と王妃に『他国からも娶る気は無いか?』なんて言われたこともある。


 当然断ったが、その時の断り文句が『クロノアス家の家風に合わせられるのか?』だったらしい。


 その一言で大半の貴族達は諦めたらしいが、それでも『上に認められたら行ける!』と思っている貴族が大半な状況と聞いた。


 そんな中での王妃斡旋である。


 他貴族が色々言ったり、画策するのは仕方ないのだろう。




「建前とは言え、王妃様が斡旋しているのですから、慣習には習うべきでしょう?」




「我が家は新興貴族です。多少の型破りは仕方ないと思いますが?」




 あの手この手で応酬する、俺とファーグレット卿。


 ミリア達が決めた序列ならば俺が何か言う事は無いが、他家からの意見を聞く道理は無い。


 クロノアス家に嫁ぐのであれば、こちらのルールに従って貰わねば、他家からの干渉が酷くなってしまう。


 ファーグレット卿は人格者と聞いているので、過度な干渉はしないであろうが、絶対に無い!とは言い切れないのだから。


 それが、貴族と言う物なのだと、父や陛下から散々に言い聞かされたからな。




「しかしですな、伯爵家が子爵家より下と言うのは風聞が悪い。我が家の立場も考慮して頂けませんか?」




「仰ってる事はわかります。……ならばこうしましょうか。ファーグレット家にあれこれ言うなら、クロノアス家が表に立つと言うのはどうでしょうか?」




「それは悪手ですな。もし、クロノアス卿が表に立ってしまえば、ファーグレット家はクロノアス家の腰巾着とか何もできない無能と捉えられかねません」




「うーん……でもなぁ、俺はミリア達が決めて、納得しているのなら何も言わないが、正直、他家にあれこれ言われて当主権限を行使するのは嫌なんですよね」




 婚約者、未来の妻たちの序列。


 この点だけが一向に決まらず、暗礁に乗り上げた。




(さてどうするか……。ミリア達も巻き込んで……いや、当主として、それは駄目か)




 お互いの考えに折り合いが付かず、話が纏まらない中、部屋の扉をノックする音が。


 入室の許可を出すと、そこにはナリアと共にミリアが立っていた。


 ナリアが呼びに行ったのであろうか?


 状況的には非常に良いが、当主に確認を取らなかったのは駄目だな。


 後でノーバスに報告しておく案件かな?




「お館様、ブラガス様がミリア様を参加させてはどうかと」




 まさかのブラガスであった。




(お前、何してくれちゃってんの?)




 少し睨み気味でブラガスを問い詰めるが、ブラガスの答えは至極真っ当であった。




「ごほん、失礼ながら言わせて頂きますと、序列に関しては、お館様はミリア様たちの自主性に任せているのが、我が家の家風だとお見受けしますが、間違っているでしょうか?」




「……間違ってはいないな」




「ファーグレット卿にお聞きしますが、王妃様からは『クロノアス家の家風に合うから』と、言われておりませんか?」




「家宰殿の言う通りだな」




「でしたら、ご当主同士が話し合うよりも、ミリア様たちとヴィオレッタ様が話し合って決めるのが良いのでは? と、愚行致した結果が今の状況です」




 俺もファーグレット卿も、ぐぅの音も出なかった。


 正論で論破されてしまったからな。


 ただ、ファーグレット家には面子と言う物があるのだが、それに関してどう考えているのだろうか?


 なんとなく、ブラガスの答えは分かっているけど……。




「風聞や面子についてですが、まずはミリア様たちに決めて頂いてから、考えた方がよろしいかと。一応、色々な答えは持ち合わせておりますが」




「だ、そうですよ」




「……はぁぁぁ。とりあえず、ミリア殿たちの結果を聞いてみるとしますか。王妃様からも家風に合わせる様にと言われていますし」




 両当主の賛成を経て、ミリアはヴィオレッタを皆の所へと連れて行った。


 残される俺、ファーグレット卿、ブラガス、ナリア。


 少しの沈黙が流れ、その沈黙に絶えられなかったのか、ナリアが給仕をしに戻る。




「お三方様、お館様考案のお食事でも如何でしょうか?」




 ナリアの提案に、とりあえず頷く俺達。


 時間を見れば、昼近くになっている。


 昼食を取っても良い時間だな。


 ミリア達が戻るまでの間、三人で食事を取って談笑する。


 その談笑の中で、ふとヴィンタージ殿が思い出したかのように話を始める。




「そういえば、陛下からの言伝を忘れていました」




「……嫌な予感しかしないのですが」




「確かに。あまり良い言伝では無いですな」




 ヴィンタージ殿が陛下から承った言伝はダグレストに関する事であった。


 とは言え、何かが起こった訳では無く、陛下以下大臣達を含めた官僚たちの予測報告だった。




「恐らく、2年以内にぶつかる……と、陛下は仰っていました」




「そうですか……」




 そしてまた沈黙。


 ヴィンタージ殿の言伝は簡潔だったので、裏の意味を考えろと言っているのだろう。


 となると、多分、家の事をもっと整えろとは思っているだろう。




(そんな簡単に良い人材が見つかるわけがないと言うことは、陛下だって分かっているだろうに)




 後は家臣団の層だな。


 もう少し、家臣を増やせと。


 やれやれ、と思いながら頭を振ると同時に、扉を叩く音が。


 ナリアが扉の前に立って用件を聞き、当主である俺に開けて良いか尋ねに来たので、了承する。


 扉の前には、予想通りミリアが立っていたのだが、その傍らにはヴィオレッタと何故かリーザとヴェルグ。


 これは……一悶着あるのかな?




「ラフィ様、ファーグレット様、お時間宜しいでしょうか?」




「構わないよ。ファーグレット卿も宜しいですよね?」




「ああ。こちらも構わない」




 ファーグレット卿からも許可を貰い、話し合いがどうなったかを聞くと、お互い予想の斜め上を行く答えが出て来た。


 ファーグレット卿は頭を抱えていらっしゃるよ。




「結論から言いますと……その、決まりませんでした」




「「はい?」」




「えーとですね……ヴィオレッタさんの考えが、そのですね……」




「私から説明致しますわ。はっきり言いますと、序列なんてどうでも良い!ですわね」




「ヴィオレッタ……お前……」




「お父様と家の立場は理解してますわ。だからこそ、どうでも良いと言うのが答ですわ」




「貴族として、それはどうなんだ?」




 なんちゃって貴族の俺ですら、貴族としてどうかとツッコミを入れてしまう答えであった。


 ファーグレット卿は、さぞかし頭が痛いだろうな。




「ヴィオレッタさんに話を聞いてみたのですが、別に何位でも構わないそうで。全て任せると言われてしまいました」




「それでこちらに来たのか。ミリアが悩んでお手上げなのも珍しいな」




「ちょっと理解に時間が……」




 ミリアも上位貴族と言われる側の貴族だからな。


 なんちゃって貴族の俺ですら、理解に苦しんでいるのだから、ミリアなら余計にそうなるか。


 となると、リーゼとヴェルグがミリアの補佐に入ったのか?




「ラフィの考え通り、ボクとリーゼが間に入ったんだけど、リーゼも途中から思考放棄しちゃったからね」




 リーゼの方を見ると、何やらぶつぶつと呟いていらっしゃる。


 端から見ると怖い人や痛い人にしか見えん。




「ラフィ様の事を考えればとても素晴らしい答えですがお家の事を考えたらその答えは悪手でしょうに。ですがある意味素晴らしい考えとも取れますし。ぶつぶつ」




「なぁ、リーゼがちょっと怖いんだけど。早口で喋ってるから猶更怖いんだけど」




「私もちょっと……」




「スキル使ってなくて、地であの状態だからね。ボクもどう声を掛けて良いか悩んでる」




 そんなリーゼを尻目に、ヴィオレッタは何故か誇らしげだ。


 なんでそんなに誇らしげなのかは知らん。


 ただ一つ、ヴィオレッタって案外馬鹿なのか?




「何か良からぬことを考えていますわね? 言っておきますが、馬鹿じゃないですからね」




 考えを読まれていた。


 どうして俺は、考えた事がバレるのであろうか?




「顔に書いてあるからね」




「ラフィ様ってお顔は変わりませんが、雰囲気が微妙に変わるんですよね」




「クロノアス卿も大変みたいですな……」




「ファーグレット卿も覚えがあるのですね」




 奇妙な連帯感が生まれた瞬間であった。


 結局、序列に関しては当事者のリアを交えて話し合った結果、リアが一つ落ちる話で決着。




「こればっかりは仕方ないよ。元が騎士爵で現在は子爵。どう考えてもヴィオレッタの方を上にしないと」




「リアがそれで納得してるなら良いけど……」




「あくまで表向きだからね。裏は負けない」




「私はリアさんと喧嘩する気は無いですよ。仲良くしたいですしね」




「デートは何したい?」




「魔物狩り一択で!」




「だ、そうだよ」




「戦闘狂が増えたんかい!」




 斯くして、リア以降の序列が一つ下がり、空いた8位にヴィオレッタが入る事となり、図らずしもファーグレット卿の意見が通った形になった。


 あくまでも婚約者達が話し合って決めた事なので、ファーグレット家の意見が通った訳では無い事をヴィンテージ殿も理解はしていたが。




「こちらとしては、クロノアス家に過度に干渉する気はありませんよ。面子と風聞は守られましたし」




「こっちは陛下と王妃様に何か言われそうですがね」




「その時は、一緒に弁明しますとも」




 そう言ってから握手を交わし、お見合いは終わった。


 ヴィオレッタはこのままこちらに残り、輿入れに関してはこちらの順番を守ると言って、屋敷を後にした。




「ヴィオレッタ・フィン・ファーグレットですわ。気軽にヴィオレと呼んで下さいな」




 ヴィオレッタの挨拶も終わり、クロノアス家に新たな婚約者が一緒に住む事になった。


 これで婚約者が15人……未来の俺、身体が持つのかね?

今回、新たに婚約者が増えました。

一度、後書きで整理したのを書いた方が良いのですかね?

感想で意見が多ければ、全てで終った後に書きます。

意見が少数なら無しで行きます。


あ、冬アニメは割と楽しみなの追いから見なきゃ(笑)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ