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第171話 デート三昧!? 狩猟?組編

年末年始投稿5日目。

どうにかなろうの方はストックが間に合った。

代わりに、書くのに必死で年越しそばを食べ忘れた(´;ω;`)ブワッ

「2時の方向から、新たに来ます!」




「10時の方向からも来るよ!」




「正面は俺が抑える! ミナはリアと共に2時の敵に! リジアはラナ共に10時の敵へ! リュール、後方は任せた!」




「了解!」




「任せて下さい!」




「ん。後ろは任せて」




(なんでこんなことになったんだ? これは狩猟デートじゃねぇだろ!)




 何故、本気の戦闘態勢に移行しているのか?


 順を追って説明しよう。




 時間は待ち合わせ後に遡る。




 先日と同じく、本日のデートメンバーである皆と待ち合わせをして、全員の希望であった狩猟デートへと出掛けることになっていた俺達。


 メンバーは、ラナ、ミナ、リア、リュール、リジアに、俺を加えた6人だ。


 主目的はデートなので、ギルドで依頼を受けずに素材を卸す形にしようと話し合っていた。


 それと、鹿や猪、熊などの動物では無く、魔物の素材を卸そうとも話し合って決めていた。


 場所に関しても、当時冒険者になりたてのリアがランク上げに通っていた場所が最適だと、リア本人が提案してきたので、問題無く決まって、いざ出発となった。




「そういや、リアが良く通っていた領域ってどの程度のもんなんだ?」




「ラフィは知らなかったんだっけ? 場所は王家の直轄地にある領域なんだけど、Eランクだと厳しめでDだと物足りない感じの場所かな」




「つまり、新人に毛の生えた程度の冒険者では危険な場所か?」




「油断したら、Dランクでもポックリ逝っちゃうかも?」




「なんで疑問形なんだよ」




 リアと喋りながら、目的地へと向かう俺達。


 馬車で半日くらいの場所にある領域なので、身体強化を施してから走れば、1時間程で目的地へと着いた。


 因みに、補足情報を伝えておくと、王都郊外にある小規模領域が新人に提示される領域狩場だったりする。


 王都から出て、馬車で小1時間ほどの場所にあるので、お金の無い冒険者にも優しい領域なのだ。


 身体強化無しに歩いて向かっても、精々3時間程だしな。


 魔物の強さも最弱クラスが生息している領域なので、新兵の訓練なんかにも利用されている領域で、獲物の取り合いが稀に起こる位がデメリットかな?


 油断したらあの世行きは変わらんけど。




「リアさん、勉強不足で申し訳ないのですけど、どのような魔物が出るんですか?」




「あ、私も知っておきたい!」




「えーと、確かあそこの領域は……」




 ミナとリジアの質問にリアが答える。


 今日の目的地である魔物の領域内にいる種類は、オーク、トロル、ミノタウロスに加え、各領域限定の魔物が数種類と説明される。


 領域内限定魔物は、通常魔物より1ランク上になる筈なのだが、そんな魔物が居る領域で新人に毛の生えた程度の冒険者が活動出来るものなのだろうか?


 その辺りもリアに聞いてみることにした。




「限定魔物? 大した強さじゃないから」




「そうなのか?」




「今向かってる領域の限定魔物って、ちょっと特殊なんだ」




 リアが言うには、限定魔物にも色々いるらしい。


 例えば、過去に遭遇戦となった殻竜なども限定魔物に入るそうだ。


 まぁ、殻竜の戦闘能力は、限定魔物の中でも上位に入るらしいが。


 そして、今回向かっている領域内の限定魔物は、鳥型の魔物と言う事だが、戦闘能力はミノタウロスよりも下と言う事だった。




「限定魔物にも通称種より下がいるんだな」




「あそこはちょっと特殊になるからね。だから、微妙な実力者でも稼げるわけだけど」




「リアさんリアさん。1つ質問なんですけど、その鳥型の魔物って特殊能力持ち何ですか?」




「あれ? 今の話でラナはわかっちゃうの?」




 今の話の要素に、どうやったら特殊能力持ち何て言葉が出てくるのであろうか?さっぱりわからん。


 だが、リアとラナはこちらを放置して、二人で話し込んでいる。


 二人の話が終わるまで俺達は待つ事にしたのだが、聞き耳を立てると何となく事情を察した。


 二人が話していた内容だが、簡単に言えば竜王国にも似たような領域があるらしい。


 限定魔物で、領域の主を除外して領域内頂点に立てない話は、割と有名みたいだな。


 俺は全く知らんかったけど……。




(もう少し、勉強した方が良さそうだなぁ。リーゼにバレたら、絶対に勉強会が開催されるな)




 そんな事を考えていると、どうやら話は終わったらしく、全員を交えて話が再開される。




「ごめんね。ちょっと話し込んじゃった」




「大丈夫。ラナは納得した?」




「勿論です。ただ、やっぱり――って感じですけど」




「「「詳しい説明よろしく」」」




 どうやらリュールも何となく察しているみたいだ。


 俺、リジア、ミナは、頭に疑問符が浮かんでいる状態なので、リア達に詳しく話を聞く事に。




「どこから話したら良いんだろう?」




「初めからで良いのでは?」




「そっか。それじゃ、初めから説明するよ」




 リアが説明を始める。


 今回の限定魔物の名はハーブホークと言う鳥型魔物。


 特殊能力は、五感の一つである嗅覚に作用する能力になるそうだ。




「実を言うとね、人間に対してはそこまで強力な能力でもないんだ」




「魔物特化能力か?」




「正解。今回の領域は狼型もいるんだけど、簡単に言えば鼻の利く魔物が大多数を占めてるんだよね」




「危機回避能力に長けた能力なのか。因みに、人間が食らうとどうなるんだ?」




「食事の匂いがわからなくなるくらい? 魔物も含めて、個々によって阻害値が変わるんだよね」




 リアがもう少し詳しく説明するには、嗅覚が鋭いほど影響を受けやすいそうだ。


 逆に言えば、嗅覚を持たない魔物に対しては無力である。


 トレントなんかには、簡単に捕食されてしまうらしい。


 ただ、トレントに捕食されてしまう程に弱いのかって疑問が出るのだが、これに関してもリアが説明してくれた。




「ハーブホークって、魔法適性が無属性しか無いんだよ。戦闘能力も普通の鳥並しかないよ」




「爪と嘴か?」




「そうだよ。唯一勝ってる部分があるとすれば、大きさかな?」




 ハーブホークは全長3メートルほどの鳥らしい。


 相手よりデカいから、奇襲などで殺られる冒険者はいるらしいが、それも稀な事らしく、基本は逃げ一択の鳥との事。


 そして、次にリアが話した内容に、リュールと俺は食い付き、ハーブホークを数体は狩ろうと決めた。




「ハーブホークって名前の通りなんだけど、肉に全く臭みが無くて美味しんだ」




「なん……だと……?」




「ん。ラフィ様」




「ああ。わかってるさ、リュール」




「絶対に狩る」




「お二人共、目が血走りそうですよ」




「「おっと」」




 ミナの言葉に、俺とリュールは同時に言葉を発して、目力を解く。


 リアはやれやれといった感じだった。


 そして、リジアとラナは不敵に嗤っていた。




「空の敵に、どこまで対処できるか楽しみです」




「私は対空攻撃手段も持ってはいますが、飛距離に難があるんですよね。この機に弱点を克服しましょう」




「……なぁ」




「言わなくっても分かってるから」




「リジアさんとラナさんも楽しそうで何よりですよね」




「ミナ、ちょっと違う」




「あ、あれ?」




「ラフィ様の言う通り。あの二人は、ちょっと違う方向を向いてると思う」




 リジアとラナ。


 二人に戦闘狂の疑惑が、更に増した瞬間であった……。






 雑談しながら走り、昼前に目的地へと着く。


 時間的にも丁度良いので、昼食を取ってから領域へ入る事に決めたのだが、昼飯の用意ってしてなくね?


 最悪、非常食か……なんて考えてしまったのだが、その心配は無用だった。




「ラフィってさ、時々抜けてたり馬鹿になったりするよね?」




「リア、酷くね!?」




「そこも魅力なのでは?」




「そう言ってくれるのは有難いんだが、ミナも否定はしないんかい」




「お母様が言っていました。『夫となる人は、何処か抜けてる方が可愛いものよ』と」




「何のフォローにもなってねぇ。後、竜王国王も大変そうだな」




「うちのお母さんは、抜けてるくらいが丁度良いって言ってた。お馬鹿なのは程々が良いとも言ってた」




「あ、私のお母様も同じ事を言ってました」




「リュールもリジアも、リアの言葉を全肯定してなくね?」




 俺弄りをしながら、皆が用意してくれた昼食を美味しく頂く。


 あれ? 目から塩水が出てきて、ちょっとしょっぱいかも……。




「何? 泣くほど美味しいの?」




「うっさいわ!」




 その後は休憩を少し入れてから、本来の目的である狩猟デートへと移った。


 時刻は13時前なので、狩りに費やせる時間は3時間ほどの予定だ。


 ミリア達を心配させるわけにもいかないので、獲物を卸す時間も考えての時間にした。


 狙った獲物を捕れると良いな。




 領域内に入り、獲物を探していくが、やけに静かだ。


 まだ入り口付近なので、もう少し進めば獲物に出会えるはず。


 そう信じて進んでいくのだが、30分歩いても獲物に出会わない。


 これは……流石に可笑しくないか?


 それとも、最近はこちらまで足を運んでいる冒険者が多いのだろうか?




「リア」




「うん……ちょっと、おかしいね」




「そうなのですか?」




「ミナは初めてだったね。はっきり言っちゃうけど、30分も歩いて、全く出くわさないのはおかしいんだよ」




「リュール、どう見る?」




「ん。警戒度を引き上げた方が良い」




「やっぱりか」




 その後も更に奥へと進み、領域内に入ってから1時間経つか経たないかした所で、リジアの顔色が変わった。




「ラフィ様! もの凄い数の足音が!」




「っ! 全員、警戒度を最大限に! 蹴散らすぞ!」




 その言葉の後、姿を現す魔物たち……いや、群れと言った方が正解と思えるくらいの数がこちらへと押しかけて来た。


 種類は……オークが大半で、トロルも混じっている。




「リア!」




「わかってるよ! ただ、何か異変があったのは間違いないと思う!」




「ちっ! 前衛のみでこの数か!」




「大丈夫です!」




 ラナは叫ぶと同時に、嫁入り道具として持ってきた魔剣を鞘から抜刀して、居合抜きをする。


 距離が離れた所での居合抜き?とも思ったが、道中で話していた内容を思い出す。




『私は対空攻撃手段も持ってはいますが、飛距離に難があるんですよね。この機に弱点を克服しましょう』と。




 つまり、あの居合抜きはそう言う事なのだろう。




「魔刀術が三刃、鶺鴒セキレイ!」




 居合抜きによって、完全に魔刀を抜き放った後、声高らかに叫ぶラナ。


 それと同時に、数体のオークの首が飛ぶ。


 まさかの複数攻撃であった。


 いや、この場合は密集状態だったから、複数攻撃になったのか?


 思わず拍手しそうになったら、リアに軽く蹴られる。




「ラフィ、拍手は後!」




「だからって、蹴らんでも」




「アホな事やりそうだから止めたの! ほら! 後衛の準備して!」




「え?」




 俺の不思議そうな顔を見る間も無く、リアも前線へと飛び出して行った。


 良く見ると、ミナとリジアも戦闘に参加しているではないか。


 取り残されているのは、俺とリュールであった。




「どうするよ?」




「ん。ラフィ様は後衛で。危なくなったら、私が行く」




「リュールの見立ては?」




「ん。多分、問題無い。このまま、何も起こらなければ」




 何も起こらなければ――か。


 つまり、リュールは何か起こる可能性も見ている訳か。


 その予感は当たり、冒頭への状況になった訳だが……王国軍は何をしてるんだって話だ!


 集団暴走スタンビードが起こらない様に、魔物を間引きするのも王国軍の仕事だろうが!




「双刃・流雪!」




「魔闘拳流・散拳!」




「てぇぇぇい!」




「魔刀流二刃・紅日輪ベニヒワ!」




 全員が一撃で複数体を葬って行く。


 と言うか、そうしなければ処理が間に合わない。


 絶大な力の前では物量は無意味だが、その力が使えない場所では物量は脅威でしかない。


 現在は後者に当たるので、効率良く始末して行かなければ。




「! ラフィ様!」




「どうした!?」




「何か来る!」




 リュールの声に振り向いてしまったのが失敗だった。


 何か来ると言ったリュールの声に遅れる事、数秒。


 強烈な衝撃が俺を襲い、後方へとふっ飛ばされてしまう。




「「「「「ラフィ(様)!!」」」」」




 全員が、俺のふっ飛ばされた方向を見てしまい、戦線に僅かな隙が生じてしまう。


 魔物たちはその隙を見逃す事は無く、その凶刃を突きたてようとして……突き立てようとした全ての魔物が消滅した。




「誰の女に突き立てようとしてんだ? ゛あ゛ぁ!?」




「あ……ラフィがキレた」




「キレたけど、勝った」




「いや、危険は無くなったと思うけど、勝ったはおかしくない?」




 魔物の消滅を目の前で見た後、全員が一度、リュールの元まで引き、距離を取ったのだが、リュールとリアがのんきに話をしている様だ。


 まぁ、そっちは後で聞くとして……今はこのクソ魔物どもを駆逐しないといけない。




「人の女に手ぇ出しやがって……覚悟はできてんだろうな?」




 魔物たちは、唸り声を上げて応えた。


 その唸り声は、怒りか、畏怖か、鼓舞かは知らない。


 ただ一つの現実は、唸り声を上げた魔物たちは、俺の斬撃で絶命したという事実だけ。


 そして、俺は攻撃を食らわせて来た魔物と対峙する。




「灰色か」




「オオォォォォ!!」




 灰色のミノタウロス。


 それが、俺に攻撃を食らわせた魔物の正体。


 普通の冒険者であれば、脅威度は計り知れないであろうが、俺なら問題は無い。


 こいつの不運は、今日、この場に俺が居た事だろう。




「死ね」




 その一言を放った後、灰色のミノタウロスは一撃で首と胴が離れた。


 辺りに魔物も見当たらないので、ひと先ずは安全になっと思う。




「誰も怪我はしてないか?」




「僕はいつも通りかな」




「ん。問題無い」




「私も大丈夫です」




「私も大丈夫だけど……」




「えーとですねぇ……」




 そう言って全員が俺の左腕を見る。


 全員の視線につられて、俺も左腕を見る。


 ……左腕が腫れ上がっていた……そして、動かない。


 あ、うん、これは折れとるね……。




「……左腕、折れちった」




「「「「「軽っ!」」」」」




 現状を正しく認識できなかったのか?


 それから数秒後、ミナ、ラナ、リジアが慌て始める。




「ちちち、治療を!」




「くすりくすりくすり!」




「衛生兵! 衛生兵はいませんかぁ!」




「いや、3人共慌て過ぎだから」




 慌てる3人をよそに、リアとリュールは冷静だった。


 リュールは添え木になりそうな枝を見繕い、リア派は包帯を取り出す。


 二人が冷静に処置をして腕を固定した後、俺は回復魔法をかけて行く。


 骨が折れた場合、固定してから魔法をかけないと、骨がつながった時に歪になる事があるので、二人の処置は適切だったと言わざるを得なかった。




「領域を出る頃には完治出来そうだな」




「それは何よりだよ。ほんと、色んな意味で……」




「ん? リア、それはどういう意味だ?」




 パッと思いつかないので聞いてみるが、リア以外の4人も頷いており、何処かホッとした感じになっている。


 ……あ!ミリアが怖いのか!


 いや、ミリアはこの程度じゃ怒らんと思うのだがなぁ……。


 どうやらそう思っているのは俺だけらしく、帰ってから5人はミリアに事細かに説明していた。




 しかしあれだな……力は原初だとしても、肉体まで原初化しているわけでは無いから気を付けないといかんな。


 いくら身体強化していたとしても人の身である以上、身体強化を上回る攻撃を受けたら傷ついてしまうのだから。




 そんな思いに気付いてか気付かずかは知らないが、5人から聞き取り調査を終えたミリアは俺に説教をし、翌日の午前中はリリィとティアを連れ添って王城へ向かうという事態に……。




 と言うかさ、怪我は完治させてから帰宅してるんだから、素直に話さんでも良いと思ったのは俺だけだろうか?


 それと、絶対に狩ろうと思っていたハーブホークは狩れなかった事も言っておく。


 ハーブホーク、狩って食いたかったなぁ……。

笑ってはいけないシリーズが無くなった。

これから年末は何を楽しみしろと言うのか……。

失意の中、執筆に励んでいる作者です。

皆さんはどうお過ごしでしょうか?

作者ですか?執筆したら飯食って寝てまた執筆です。

4日はお付き合いで麻雀に行ってきます。

物語の何処かで麻雀を出したと思っている作者でした。

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