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第170話 デート三昧!? 技術大好き組編

新年明けましておめでとうございます。

今年もよろしくお願いします。

年末年始投稿4日目になります。

 デートプランを考える筈だった朝の話し合いは、脱線しまくったが一応の結論を出し、お休み3日目からデートが開始されることになった。


 2日目は何をするのかって?全員でお買い物ですよ。


 ……女性の買い物って長いんだよなぁ。


 口が裂けても言えんけど……。


 そんなことを考えながら立ち尽くす俺。


 そう、現在は服飾店の中におり、婚約者達withルラーナ姉&ルナエナ姉が俺とフェルを着せ替え人形にしていた。




「ミリアさん、流石にそれは奇抜では?」




「リーゼさん、最先端は取り入れるべきでしょう?」




「似合わなきゃ意味が無いと思うのは、ボクだけなのかなぁ……」




「機能性は大事。でも、ヴェルグの言いたいこともわかる」




「無難が一番だと、シアは提言するのです!」




 こんな感じで俺の方は着せ替え人形にされていただけなのだが、フェルの方は俺より酷いみたいだ。


 主にルラーナ姉の暴露話による精神的被害が……。




「やはり無難にこちらが……」




「姉様、殿下の服を早く選んで、私達の弟の服を選びませんと」




「いえ、ルナエラ様はご自身の夫となるべき方の服を見繕うべきでは?」




「夫の分はこの前買いましたので。今日はパスですの、王女殿下様」




「そそそ、それよりも、な、なんで私が殿下の服選びを!?」




「ナユも良い加減なれるべきじゃない?」




「むりむりむりむり!」




「はぁ……ラナ、捕獲準備」




「ラジャー!」




「リア!?」




「良い加減、慣れようね」




「ラフィ! 助けて!」




「無理だよ。ラフィ君もあっちで捕まってるから」




 最後に、ティアにトドメの言葉を聞かされて崩れ落ちるナユ。


 その後、諦めたのか渋々とフェルの服を選んでいく。


 そのどれもがフェルに似合っており、全員が脱帽するほどのセンスであった。


 本人はオドオドしっぱなしだったけどな。


 結論から言うと着せ替え人形は止まらなかったが、ナユが選んだ服をご満悦な表情で購入していった王太子殿下夫妻であった。


 まだ婚約者だけど、2か月後には夫婦だし、夫妻で構わんよな?


 フェルたちも満更でもねぇし。


 そして……ルナエラ姉の夫予定も来ていたのであったが、今回は一言も喋らなかった。


 我がクロノアス家に関わると、一度は空気にならないといけないらしい。


 だが、洗礼を受けたのだから、父上とは仲良くやっていける筈。


 まぁ、彼は婿なので側室などは取りにくいし、嫁天下は間違いないであろうが……きっと、父上が何とかする筈!


 こちらに何も来ないことを願いながら、買い物は続く。




「次は、私達の服よ!」




「「「「「おーーー!!」」」」




 そして、二日目は急遽参戦した2グループを交えて、ルラーナ姉


 号令の元、閉店時間ギリギリまで買い物は続き、疲れ切った男共が予約したレストランに入って、今日の終わりを告げた。


 尚、今日の教訓を人知れず話し合っていた三人であるが、その答えは満場一致だった。




【君子、危うきに近寄らず】




 今後、危険だと思われる買い物からは全力で逃げることで合意した、男三人であった。


 余談ではあるが、三人共この誓いは果たされることは無く、今後も買い物に付き合わされて、疲れ果てるのであった。





 そんな二日目が終わり、三日目。


 今日からは婚約者達だけとのデートである。


 ミリア達は昨日買った服を着て、デートするらしいとの情報を手に入れている。


 情報源は当然ナリアである。


 え?個人情報?この世界にそんな概念など無いのだよ、ワトソン君!……ワトソン君って誰だよ。


 そんな一人ツッコミを心の中で繰り返しながら、待ち人が来るのを待つ。


 今日のデート相手なのだが、何故、外で待ち合わせしているのか?と疑問に思った事だろう。


 実は、今日のデート相手であるミリア達のお願いだったりする。




『明日は待ち合わせにしましょう』




『ミリアさん、流石です!』




『待ち合わせですか……。いっそ、全員待ち合わせにしませんか?』




『流石リーゼじゃの! 妾に異議は無いぞ!』




 てなやり取りがあり、全員が賛成派に回ったので、こうして待ち合わせになった。


 小さい頃は除くとして、そこそこの年齢になった貴族の子供達が、外で待ち合わせして出掛けるなどは珍しいので、俺も少しワクワクしている。


 ミリア様々だな。


 昨夜の話を思い出していると、少し騒がしい。


 騒がしい方を見ると……全力で納得。


 騒がしい方向から歩いてくる人物達。


 本日のデート相手である婚約者達である。


 今日のデートの相手は、ミリア、リリィ、リーゼ、ティア、スノラ、イーファの6人だ。


 美女、美少女が6人並んで一方向から同じ方向へと歩いていたら、そら騒ぎにもなるわな。




(しかも、その内の4人が有名人だしな)




 そして、その有名な4人を含めた6人は俺の前で足を止める。


 それだけで、怨嗟の声が漏れ出していた。


 野次馬共お前ら、漏れ出すの早くね?


 まぁ、野次馬共は放って置いて、6人の方を気に掛ける。


 改めて思うが、前世のアイドル顔負けにふつくしいんですが!




(これが俺の婚約者とか、マジパネェな)




 確かにこれは、他人が見たら怨嗟の声が出るわ。


 俺だって今の光景を見たら、間違いなく爆ぜろ!とか言ってるだろうし。




「ラフィ様?」




「いや、何でもない」




 仮定の話に、これ以上時間を割いて考えるのは止めよう。


 時間の無駄だし、何よりミリア達を心配させてしまうからな。


 考えを改め直して、今日デートする6人を見る。




「ど、どうでしょうか?」




「な、なんか変な感じですね」




「初めてだからでしょうか?」




「私は、そこまでじゃないかなぁ」




「私もティアと同じですね」




「妾もさほど変わらんのぅ。強いて上げるならば、好いた殿方の為にめかし込んで、それを見せると言う高揚感と羞恥心が多少あるくら――んぐっ!!」




「ちょっと黙ろうか、イーファちゃん」




 イーファの言葉に、全員が顔を赤くさせているのだが、収拾が着かないと判断したティアがイーファの口を押えて黙れと告げる。


 デート開始の雰囲気じゃねぇな、これ。


 そう思いながら、改めて全員の服装を見てみる。


 まず、共通して言える点は、着飾らずそれでいて何処か気品がある所だろうか。


 後は、高価な物は一点か二点位で、あくまでも服に合わせるようにしてることかな。


 俺だと無理な使い方だな。


 ……今度、もう少しだけ勉強しよう。




「皆似合ってるね。個人個人の良さが出てると思う」




「ありがとうございます。ですが、誰のどの感じが良いなど、具体的な事を言われたいですね」




「ふっ。俺のべた褒めスキルを使う時が来たか……」




「そ、そんなスキルがあるのかえ!?」




 俺の嘘――半分は本当――に喰いつくイーファ。


 スキルとしては無いが、前世でバイトをしていた時に褒めまくるバイトをしていたんだよね。


 固有スキルと言っても過言ではないのだよ!




「ラフィ様、嘘は良くありませんよ」




「いや、固有スキル見たいな物なんだが……」




「では、私を褒めまくってください」




「後悔するなよ?」




 そして、公衆の面前でミリアを褒めまくる。


 褒めて褒めて、褒めちぎって、これでもか!と言う位に褒め称える。


 対するミリアは、恥ずかしさで涙目だ!他の5人はドン引き中である!




「ふっ……。どうだったかな? お嬢さん」




「わ、わかりましたから! もうそのくらいで!」




「えー! まだ褒めれるんだけど?」




「もう良いですからぁ!!」




 ミリアさん、ギブアップ宣言。


 それを受けてドン引き中の5人の方へ視線を送ると、全員が首を横に振って一歩後退った。


 ふむ……どうやらここまでらしい。


 では、改めて6人を見るのだが、やはり特筆すべきはミリアとリーゼだな。




 リーゼは婚約者達の中で一番の高身長なのだが、その身長に相まってスタイルもモデル並みだったりする。


 前世のモデルに例えるなら、間違いなくトップクラスであろう。


 道行く人達が見てしまうのは仕方ない事だった。


 次にミリアだが、特筆すべきはやはり胸だ。


 婚約者達の中で一番胸が大きいのだが、出るとこは出て引っ込む所は引っ込んでいるのに加え、身長は然程高くないので、前世で例えるならロリ巨乳グラビアと言った感じかな。


 スノラは何処か子供っぽさを残した感じに仕上げており、リリィとティアは小さい頃から見て来た淡い色系統で統一していた。


 そして、最後にイーファになるのだが、似合ってはいた。


 似合ってはいるのだが……。




「何だろう……違和感がすげぇ」




「何じゃと!? 何処に違和感があるというのじゃ!」




「似合ってはいるんだよ。ただなぁ……なんで幼女バージョンで着物?」




「妾は、少しめかし込む時は着物じゃからじゃな」




「七五三にしか見えない悲しさよ……」




「言ってるおる内容はわからんが、激しく貶されたのはわかるの」




 イーファは少し拗ねたが、似合っているのは本当なのでご機嫌取りをしておいた。


 誰よりも俺の言葉に一喜一憂する所は可愛いんだよな、イーファって。


 そんな感じで待ち合わせした後、予定通りに行動していく。


 本日のデートコースはウィンドウショッピングである。


 昨日も買い物したのにって思った奴、気持ちはわかるが言葉にしちゃいかんのだよ。


 それにな、今日のコースに服関連は入って無いから。


 小物や冒険なので使う道具などを見て回る予定なのだよ。


 そして、本日一軒目のお店へ到着。




「いらっしゃいませー」




 店員さんの元気な声を聞いてから店内を見て回る。


 一応、今日の予定では何かを買う予定は無い。


 冷やかしと思うかもしれないが、実は貴族や商人だと当たり前の行動だったりする。




 ここで一つ説明しておくと、貴族、商人、一般人では、買い物の仕方が少し変わっていたりする。


 服や貴金属などは、サイズ合わせもあるので、身分に関わらずその場で買う事が多いが、小物や家具と言った物は物色で終わる事が多い。


 特に商人などは、物色率が高い。


 一般人は半々程度。


 そして貴族だが、二種類に分けられる。


 主に散財型と物色型に分けられるのだが、時と場合によっては、物色型も散財型になったりはする。


 主にデートとかで女性に贈り物をする場合だな。


 で、分けられた内情だが、散財型は即決側買をする事によって、気前の良い貴族を演出する。


 お店からは上客であるが、時に詐欺にも合うので愚痴っていたりするのが散財型だ。


 対する物色型はその場では買わず、後で御用商人を通して買う事が多い。


 店側も貴族なのかそうでないのかは大体わかるらしく、気になっていたが買わなかった商品は、1週間前後は店の奥で保管する。


 保管された商品を買う場合は、保管料が上乗せされて若干お高くなるが、その辺りは御用商人が交渉して買ってくる。


 まぁ、大半の貴族は散財型だけどな。




 閑話休題




 さて、皆で店の中を見て回っているのだが、今日のメンバーにはとある共通点がある。


 そして、それは直ぐに露わになった。




「ミリアさん! こちら、素晴らしい出来ですよ!」




「本当ですね。とても精巧な作りです。リーゼさん、他に似たような物はありませんか?」




「見よスノラ! この狐は細部まで作り込まれておるぞ!」




「ほぇー、凄いです。あ、こっちには兎が!」




「リリィちゃん、このお店って……」




「王室御用達ですね。ラフィは知らなかったのかしら?」




「聞こえてるぞ。結論から言うと、知らんかった」




 とまぁ、技術関連大好き組だったりする。


 今も店の中で、作り込まれた小物を鑑定するかの如く凝視しながら会話をしている。


 いや、楽しいなら別に良いんだけどね……。




(ただ、ちょっと疎外感あるのがなぁ……)




 好きな事や興味がある事に没頭するのが今日のメンバーなのだが、時折置いけぼりになるんだよな。


 いや、本当に楽しそうにしているから、俺としては何よりではあるんだけど……。




「ラフィ様! これは凄いですよ!」




「お、おう」




「ラフィ様! この髪飾りは素晴らしいです!」




「へ、へぇ~…」




 ミリアとリーゼは大興奮である。


 俺を含めた5人は、ちょっと引き気味ではあるが……。


 そんな感じで、この後も何店か見て回るのだが、何と言うか……皆のツボがちょっとだけ分かった。


 ミリアとリーゼは、純粋に技術を褒める。


 作りが良いならば、そこに線引きは無い。


 イーファとスノラは、動物の置物関連の技術に食い付いた。


 亜人だから、動物関連は好きな様だ。


 ティアは食器関連が好きなようで、一点物やアンティーク品の技術や美しさを語っていた。


 そして、リリィだけは別視点で見ていたのが印象的だったな。




「こちらの展示品は、どちらの工房で?」




「そちらはバーラン工房の品になります」




「以前に買わせて頂きましたが、作りが甘くなっているのでは?  こちらの工房の強みは曲線美だったはずですが」




「えーと……少々お待ちください。店主を呼んで参りますので」




 リリィの目利きに、急ぎ店主を呼ぶ事態まで起こってしまう。


 そして、長々と話し込む――を繰り返す。


 結果、昼食の時間を大きく過ぎてしまったのは仕方ないのかな?


 本人は楽しんでいたみたいだから、文句とか言えない。


 そして、昼食時を大幅に過ぎて、間食の時間位に食事をする事に。


 腹減った……。




「大分熱くなってしまいましたね」




「リリィはこだわりが凄いからね」




「勉強にはなりますね。着眼点が違いますから」




「私とリーゼさんは、美とかでは無いですからね」




「妾とスノラも勉強になったの」




「今度、亜人達へ有志を募っても良いかも?」




「弟子入りかえ? 誰か手を上げるかのぅ」




 雑談をしながら、各々に食事を取って行く。


 皆は軽食だが、それで足りるのだろうか?


 その心配は杞憂で、遅い昼食後も昼食前と変わらない元気さで、日が暮れるまでウィンドウショッピングを堪能して、帰路に着いた。


 ただ一点、疑問に思っていることがある。




(これはウィンドウショッピングなのか? いや、そもそもの話、これはデートなのだろうか?)




 斯くして、技術大好き組とのデートは終わりを迎えた。


 あ、言っておくが、ミリア達が一番気に入った物は、後で御用商人に頼んで手に入れた後、プレゼントしたぞ。

ようやく今年はおめでとうが言えました。

2年連続の訃報で言えなかった。

もどかしかったです。


皆さんの今年の抱負は何でしょうか?

作者は完結と新作を作る事ですね。

出来れば商業作家も目指したいところです。


皆さんの目標に、この作品を読んで活力にして頂けるなら幸いです。

今年もよろしくお願い致します。

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