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第169話 お休み中の相談だったのに……

年末年始投稿3日目。

今年は笑ってはいけないシリーズが無い……。

毎年楽しみだったのに(´;ω;`)ブワッ

 学院での出来事が終わり、回避不可能な婚約話のあった後、リリィからのお小言が済んで自室に戻り、翌日からの休みをどう過ごすかを考えていた。




(ぶっちゃけ、デート一択ではあるんだが、1対1では無理だよなぁ)




 ヴィオレッタとは、まだ正式な婚約をしたわけでは無い。


 従って、今回は予定に組み込まずに行けるが、それでも今の俺には14人の婚約者が居る。


 午前と午後で交互にデートをしても、日数が1日足りない。


 となると、必然的に全員でデートになる訳だが、6日間を14人全員でどんなデートをするのか?という問題点にぶち当たる。




(この世界って、本っ当に娯楽が少ないよなぁ……)




 2、3日なら、全員でデートをしてもどうにか出来るのだが、6日となると行く場所が無くなってしまう。


 どうしようか?と考えて、学院でした話を思い出した。




(確か、各々したいことがあったんだよな? ……明日の朝に、纏めて聞いた方が早いかもしれないな)




 考えを纏めて、ベッドに横たわる俺。


 デートに関しては明日、出たとこ勝負にするとして、問題はヴィオレッタの方だ。


 貴族の慣習に則るのなら、ファーグレット家から手紙が届くはずで、そこから話が進んで婚約になる。


 では、何が問題なのかと言われると、我が家の家宰であるブラガスが現在お休み中で、一部の作業が止まっている事だ。


 ブラガスは休みに入る前に、家宰である自分が居なくても回る様に段取りはしている。


 但しあくまでも、通常業務の範囲による話だ。


 貴族家からの、特に婚姻関係の手紙などは、家宰にもある程度の話を通しておかなければならない。




(ただ、ブラガス本人がなぁ……)




 ブラガスは休みに入る前に、2日間は爆睡します!と明言しており、実際に今日1日は顔を見ていない。


 メイド達に聞いても、自室から一歩も出ていないと聞いている。


 こうなると、有言実行して、明日も自室で爆睡している可能性が濃厚であった。


 ファーグレット家からの手紙は、明日にでも届く可能性があるので、ブラガスを叩き起こすか悩む所ではある。




(ヴィオレッタには事情を話してあるし、最悪の場合、ファーグレット卿に後で頭を下げよう)




 命に関わるような案件でもないし、急がなくても良いかと考えた所で、急に睡魔が襲って来た。


 本能に逆らわずに、寝る事にしよう。




(明日からの休み……楽し、もう……)




 こうして、俺の意識は途切れた。








 翌日の朝、いつも通りのルーティーンをこなし、食堂で皆と食事を取る。


 家臣達は別室で食事中だが、用事がある場合のみ同席したりするのだが、今回はブラガスが同席して話をしていた。




「起きて来てくれて、正直助かった」




「本当は寝る予定でしたが、悪夢を視ましてね」




 非常に気になる。


 どんな悪夢だったのか聞いてみると、ちょっと同情してしまった。


 ブラガスの視た悪夢は、正夢だったのだから。


 その事をブラガスに話すと、彼は深くため息を吐いた。




「また、仕事が増えるわけですか……」




「すまんな、ブラガス。でも、休暇中は仕事の事は良いからさ」




「そうはいきませんよ。ファーグレット卿から手紙が届いたら、お館様も返事を書いてください」




「げっ! 休暇中に仕事かよ」




「ご自分が撒いた種ですので」




「俺が撒いた種では無いんだがなぁ……」




 ブラガスとのやり取りが終わり、元々早食いのブラガスは既に食べ終わっていたので、一礼して食堂を出て行く。


 どうやら、手紙が来るまでは、惰眠を貪るらしい。


 後で代替え休暇とかあげた方が良いかな?


 ……手紙の件が終わってから考えるか。


 ブラガスの件は一旦置いて、本題に移る事にしよう。




「さて、それじゃあ本題に移る訳だが」




「休暇中の話ですよね?」




「ミリア正解。学院登校組からは聞いているんだが、別行動組からは聞いていないからね」




「6日で全員? 不可能じゃない?」




「ヴェルグの言う通り、不可能だな。だから、全員で行動か興味ある者達同士で固まって行動だな」




「ラフィ個人の休みはあるの?」




「え? 普通にデートが休みだけど? なんかおかしいか、ナユ?」




「ラフィがそれで良いなら、良いんだけど……」




 ナユの言葉に、何故か婚約者全員が考え込む。


 何もそこまで考えこまんでも……とは思うが、ミリア達は俺の事に関してはほぼ妥協しない。


 一部妥協は……うん、婚約者関連だな。




(柵の部分は、どうにもならんからなぁ……)




 そんな考えをしている内に、結論が出たっぽい。


 全員が視線を合わせて頷いているので、間違いないだろう。


 そして、その結論を言うのは、勿論ミリアである。


 ミリアの正妻力は、日に日に増しているので、誰も文句が出ないのだ。




「ラフィ様、最終日はご自身がしたい事をして下さいね」




「うん? どういう意味だ?」




「私達を気にせずに、好きな事をして下さいと言っています。当然、ブラガスさんにも根回しはしておきますよ」




「好きな事ねぇ……。俺は結構、好き勝手にやっていると思うんだがなぁ……」




「婚約者の中で特定の誰かと出掛けても、誰も何も言いませんよ? 勿論、お一人で行動されても良いです。ですが……」




「ミリア?」




「歓楽街……特に娼館は絶対に駄目ですよ」




 最後の――娼館は絶対にダメって言葉の時、ミリア達の目が笑っていなかった。


 俺はミリア達にも色ボケだと思われているのだろうか?


 だとしたら悲しい……。


 だが、ミリア達の言葉は割と真面目に、想定していなかった内容を言われる。




「ラフィ様にその気が無くても、お付き合いで――なんて事態も予想出来ますので」




「あ、そう言う事ね。……時にミリアさん、歓楽街はどこまでなら許容して貰えるので?」




「ラ・フィ・イ・さ・ま?」




 ミリアの声音が変わる。


 だが、これは聞いておかなければいけないのだ。


 1年を経たずして、スペランザ商会は拡大を続けたのだが、遂に歓楽街方面の事業も手掛ける方向になってしまったのだ。


 流石にダメとは言えず、許可はしたのだが、商会からの接待がありそうなので、線引きは必須事項なのだよ。


 と言う事を、もうちょっと難しく、長めに話をして、理解をして貰おうと思ったのだが……婚約者全員から貰った答えは有罪ギルティ一択だった。




「ラフィ君、自分の立場って考えたことある?」




「法衣侯爵だろ?」




「はぁ、やっぱりわかってない。あのね、ラフィ君の今の立場は、法衣侯爵どころか普通の貴族の枠を優に超えているのよ」




「盟主の事? 別にやりたくてやってるわけじゃ……」




「そう言う事じゃないの。そうね……もしラフィ君が平民だったとするよね? 公爵家は陛下に直談判してでも、その血を取り込もうと躍起になるレベルだよ」




「はぁ!? ちょっと待て、ティア。意味が分からん」




「ティアに代わって、私が話しますね。もし、私がラフィに一目惚れせずに、婚約者にならなかった場合、王家はどうすると思いますか?」




「いや、普通に見向きもしないだろう?」




「そんなわけがないでしょう。ラフィは過去の最高峰を優に凌駕する冒険者ですよ? 陛下が強権を発動してでも、間違いなく、私以外の王女を降嫁させたでしょうね。特に第三王女辺りを……」




「うわっ! マジでいらねぇ!」




 あの第三王女を嫁にとか、どんな罰ゲームだよ。


 間違いなく、王家に対して良からぬ感情になるわ!


 とは言え、誰かが嫁には貰わないといけないんだよなぁ……。


 勝ち気で、我儘で、腹黒で、お馬鹿な貴族令嬢を体現したような王女を嫁に……俺なら死んでもごめんだ!


 政略結婚にも使えない第三王女……行かず後家になるか、稀有な貴族家が嫁に貰うか、褒賞と称して罰嫁にする位しか思いつかんな。


 あ、過去のベグヤザ辺境伯はきっと、今俺が考えた感情になって王家恨んだんだろうな。




「ラフィ、一応、私の姉なんですけど?」




「リリィの姉だけど、同じ婚約者になったのを考えてみ?」




「死んでもごめんですね。陛下とお母様に絶縁状を叩きつけに行きます」




「ほら。それが答なんだよ」




「二人共、ちょっと酷過ぎない?」




「ヴェルグさんは知らないでしょうけど、あのお方は割と有名ですから。主に悪い方で……」




「リーゼまで、そんな感じなんだ。だとすると、ボクがキレちゃいそうだから居ない方が良かったね」




「ヴェルグの一言に尽きるな」




 婚約者も満場一致の回答だったのだが、第三王女が少しだけ哀れに感じてしまうのは俺だけなのだろうか?


 その感情を表にも雰囲気にも出していないのに、察知される俺。


 ミリアから注意をされてしまった。




「ラフィ様はお優しいですので、可愛そうだからと第三王女様を娶るとか言わないでくださいね」




「あ、うん。心配しなくてもそれはないから」




 いくら哀れで可哀想とは言え、あの第三王女を嫁には無理!


 前に何度か話したことはあるが、媚を売られまくって、吐き気を催したほどだ。


 生理的に受け付けないんだよな。


 容姿や体型は良いだけに、非常に残念な王女、それが第三王女なのである!


 ……前世で見たアニメに、悪役令嬢に転生とかあったよな?まさか、今の年齢になった第三王女に憑依転生とか無いよな?


 神達の気まぐれは、ほんっとうに気まぐれなので、無いとは言い切れないから怖いが、多分無いだろう。


 もし、あったら……全力で殴りに行こう!そうしよう!




「話が脱線してない?」




「そう言えばそうですね。リアさん、ラフィ様に本題を一言」




「え、僕? 僕は歓楽街に行くこと事態、拒否する気は無いよ」




「そうなのですか?」




「この際だから、歓楽街容認派と反対派の決を取ったらどうかな?」




 リアの言葉に全員が頷き、決を採る。


 まず反対派は、ミリア、リリィ、ティア、ラナ、リーゼ、ミナ、リジアの7名。


 対する容認派は、リア、ナユ、ヴェルグ、リュール、スノラ、イーファの6名


 シアはどちらにも着かず、中立の構え。


 尚、わかり切っている事ではあるが、娼館容認派0である。


 いや、行く気は無いけどさ……。




「意外と言えば意外な結果だな。王侯貴族が全員反対で、それ以外が容認か」




「確かに。意外でしたね。容認派の皆さんはの理由を聞いても?」




 ミリアの質問に答えたのは、リア、リュール、ナユの三人であった。


 容認派の残り3人は任せるつもりらしい。




「歓楽街を全面禁止にしてしまうと、付き合いが大変になるからって言う理由が一つ目かな」




「他にもあるんですか?」




「ミリア達は知らない。歓楽街には美味しい食事を提供する店が隠れ家みたいにあることを」




「リュールが言うと、説得力あり過ぎね」




「珍しいお酒なんかもありますよ。前にウォルドが手に入れてましたし」




「ナユ様、詳しくお聞きしても?」




 ウォルドと言う名に反応したナリア。


 彼女も反対派だったみたいだ。


 そんなナリアに、ナユは慌てて弁明している。




「ナリアさん、落ち着いて下さい。ウォルドは如何わしいお店には行ってませんから! 私がまだ新米の頃に、パーティーメンバーの皆さんに、美味しいお店や珍しいお酒を扱っているお店を教えて貰っただけですから!」




「そうですか。後で旦那様に尋問……ゴホン、聞いてみます」




「ナリア、尋問は止めてやれ」




 言い直したナリアであったが、しっかりと尋問と言っちゃったので止めておく。


 しかし、ナリアは嫉妬深い面があったんだな……知らんかった。


 また話が脱線しそうになったので、本筋へと戻すことに。


 ウォルドには後で、それとなく伝えておいてやるか。


 ナリアが尋問すると言っていたと……。


 それだけ伝えたら、ウォルドなら上手くやるだろうしな。




「また脱線しかけましたが、容認派の理由はわかりました。ですが、やはりお一人で行くのは風聞が……」




「誰かが一緒に行けば良いのでは?」




「ミナさんの言う通りなのですが……婚姻前の女性が二人きりと言うのは……」




「だよねぇ。歓楽街って、待合宿もあるしね」




 リアが言葉にした待合宿に少し顔を赤らめて反応する反対派。


 因みに、待合宿とは、前世で言うラブホテルである。


 前世と同じく防音対策はきっちりとしており、魔法があるこの世界だと、前世の防音対策よりも優秀かもしれない。


 尚、各部屋に風呂とトイレも完備してある、非常にお高い宿だったりする。


 そんな高いのに需要があるのか?と問われたら、ありまくりとしか言えない。


 大半の使用用途は、外に妾を作ったお貴族様が利用したりする。


 勿論、お忍びで。


 俺が使う予定は、悲しい事に今の所ないがな。


 使ったら、婚約者達からお仕置きされてしまうのもあるけど。




(でも、きちんと夫婦になったら、そういうのもありかもしれないな)




 おっといかん!変な考えは読まれてしまうから、思考を通常に戻さないと。


 だが、その行動は一足遅かったみたいで、ミリア達の笑顔が待っていた。




「何を、お考えになっていたのですか?」




「詳しく話してね、ラフィ」




「隠し事は駄目ですね」




 詰め寄る表の妻序列上位三名。


 助けを求めようにも、全員が「早よ吐けや!」って視線で訴えて……いや、ヴェルグだけは違うな。


 多分、わかっていて放置して楽しんでやがる。




『ヴェルグ、助けて!』




『自業自得じゃない?』




 念話で助けを求めるも、ヴェルグは助けに入る気は無いらしい。


 いや、マジで助けて欲しいんだが……。




『助けたら、何してくれる?』




 くっ!まさか交換条件を提示してくるとは……。


 いや待て。


 ヴェルグは容認派だったよな。


 つまりは、何か目的がある筈。


 頭をフル回転させ、導き出した答えを自信を持って答える俺。




『歓楽街に行きたいんだな!? 目的は美味い食事か?』




『話が早くて助かるねぇ。それで?』




『一つ質問だ。二人きりじゃなくてもと良いんだな?』




『出来るなら二人で行きたいけど、今のラフィの立場じゃ無理だから、少人数までなら妥協するよ』




『その話、乗ったぁぁぁ』




 ヴェルグとの取引が終了し、念話を終わらせる。


 それと同時に、ヴェルグがミリア達を止めに入る。


 そして、俺が考えてた事を説明してくれたのだが、ある意味羞恥プレイだった。


 めっちゃ恥ずかしかったわ!




「はい、皆ストーップ! ラフィはね、別にやましい事を考えてた訳じゃ無いよ」




「そうなのですか? ヴェルグさんは、ラフィ様の考えが分かっていると?」




「リーゼの言う通りだね。と言うかさ、考えてみてよ。ラフィってボクらが大好きでしょ」




「まぁ、そうですわね」




「そんなラフィが考える事だよ? ボクら込みの話とは思わない?」




「言われてみれば確かに」




「ミリアも落ち着いたみたいだね。じゃ、暴露するよー」




「え? おまっ! ちょっと待て!」




 ヴェルグの暴露宣言に、慌てて止めに入るも間に合わず、考えていたことを暴露される。


 それを聞いたミリア達は、嬉しいやら、恥ずかしいやら、怒りは何処かへと消え去り、顔を赤くしていた。


 そして俺は、恥ずかしさの余り、頭を抱えている訳だ。




「こほん、ラフィ様のお考えはわかりました。きちんと夫婦になった後の事を考えていたようですし、不問にしましょう」




「それは良かったよ。……俺の威厳は0になったがな!」




「仕方ないよ、ラフィ。あれが一番、楽に治める方法だったんだから」




「暴露した本人がそれを言うかぁ!?」




「てへぺろ☆」




「可愛くして、許しを請うな!」




 どうしてこうなったんだろうか?


 お休み中のデートプランを皆で考えるはずが、何故か歓楽街や娼館の話になり、俺への精神的ダメージが蓄積されるという……。


 あれか?婚約者が多いと、こうなる事が多いとか?


 今度、陛下や父上、ヴィルノー先代やドバイクス卿に聞いてみた方が良いのかね?


 いや、大臣達に聞いてみるのも手かもしれない。


 忙しい人たちではあるが、談笑と交流はしておくべきだろうしな。




 そして、本題のお休み中デート関連の話は、当初の予定通りで行くことになった。


 なったのだが……一日はファーグレット家関連で潰れる事になるのだが、それはお休み最終日1日前の話。


 結果、お休みは7日では無く、6日で終了する事になった。




 やはり世界は、俺に休みを与えたくないらしい……。

笑ってはいけないシリーズ、15年の節目で休止。

これから大晦日は執筆三昧に代わりそう(笑)

皆さんは大晦日にはこれが楽しみだったのに!って物はありますか?


さて、この物語ももうすぐ2年を迎えます。

まぁ、まだ1か月ありますけどね(笑)

この物語を楽しみにして読んで下さってる読者様、今年もありがとうございました。

そして、来年もよろしくお願い致します。

一応、予定では来年夏までには完結させる予定です。

予定なので、早まったり伸びたりするかもしれませんが……。

作者あざらしの作品をこれからも宜しくお願い致します。


読者の皆様、良いお年を迎えて下さい。

来年こそはコロナが収まると良いですね。

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