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第165話 輿入れ報告会……と、愚痴大会

長いお話をいつも読んで頂きありがとうございます。

来週はちょっとしたお知らせがあります。

 同盟会議は、一応の成功と終わりを迎え、現在のクロノアス家では夜のお茶会が開かれていた。


 勿論、ミリア達主導で……。


 輿入れの準備で色々あったらしいので、とりあえず話を聞く事になったのだ。


 婚約者達のストレス解消もしないと、立派な婚約者とは言えんからな。


 ただ、明日ではダメなのかと言う疑問は残っているけど、口には出さない。


 言っとくが、怖いからとかではないからな!


 仲良く準備に勤しむ皆に対して、場の空気が悪くなるようなことを言わないだけだからな!本当だぞ!




「ラフィ様?」




「何でもない」




 ミリアが心配そうにこちらを見て来た。


 うん……まぁ、百面相していたら心配にはなるわな。


 ポーカーフェイスってどうやったら出来るのか知りたいもんだ。




「ラフィの百面相はいつもの事だと思うよ? ミリアは心配し過ぎだと思うなぁ」




「ラフィ様に何かあっては大変ですから。ヴェルグさんだって、ラフィ様に何かあったら嫌でしょう?」




「まぁ、それはそうだけど……」




「心配して、何も無ければ良かったで済みますし、怪我や体調不良でしたら、私とナユさんで治療しないといけませんから」




 ミリアからちょっとだけ注意されたヴェルグは、素直に謝ってミリア達の手伝いに加わりに行った。


 あれだな……原初の使徒だろうが神喰だろうが、正妻力には勝てない事が証明されたな。


 その後は、お茶会の準備を進め、何故か俺の部屋に集まって話をすることになった。


 食堂や応接室とかじゃダメなんかね?




「今、変な事を考えていなかった?」




「変な事ってなんだよ、リア」




「何故、ラフィの部屋なのか? とか、食堂や別の部屋じゃダメなのか? とか?」




「……」




「あら、これは図星の顏ですね」




「ノーコメントで」




 リアの勘が鋭くて困る。


 更に、最近のリーゼは理解力と言うのが半端なく上がっていたし、どういう訳か数名の能力が上がっているんだよな。


 輿入れ準備の時に何があったのやら……。


 少し気になったので楽しみになって来たな。


 そして舞台は、俺の私室へと移り、報告会と愚痴大会が始まった。






「皆さんにお茶も行き渡りましたので、報告会を始めましょう」




 ミリアの一言により、報告会と言う名のお茶会が開催された。




(誰が一番手で話すのかね? やっぱりミリアか?)




 その考えは大きく外れ、一番手はまさかのナユであった。


 ナユが一番手……かなり面倒な内容か、未だに解決してない可能性があるのかね?


 結論から言うと前者だったが、まさかリリィまで関与しているとは思わんかった。


 全容と結末を聞き、その後の話を聞いていたのだが、ここで何故か変な話に切り替わった。




「ナユのお兄さんも捕まったのか……」




「一応、雇用主が領主様だったのと、本人は良かれと思って行動したと言っていました」




「小さな親切、大きなお世話……だったわけか。それで、現在のナユの家族の立場は? と言うか、なんで犯罪者に仕立てられてんの?」




「えーと……」




 ナユ自身も分かっていないことがあるみたいで、この先は同国で立場的な関係から、ミリアが話を引き継いで説明してくれた。




「ナユさんのご家族は今まで通りですね。多少、領主から謝罪として何かはあったとは思いますが……」




「とりあえず、家族にお咎めは無いと?」




「正確には、長男の方には少々ありますね。とは言っても、罪状が無いに等しいので、ご家族の意向を汲み取った形にはなりますが」




「因みに、どんな形に収まったんだ?」




 聞けば、一応は昇進になっていた。


 聖騎士団に正式な所属となったので、昇進ではあるのだが、問題は配属先だった。




「聖騎士団の中でも、訓練も通常業務も一番厳しい部署に所属ですね。性格に問題有と判断したので、矯正するそうです」




「それ、決めたのって……」




「教皇様の一声です」




 ヴァルケノズさん、地味に怒っていたらしい。


 嫡男は強制廃嫡で教会――この場合は施設か?――送りになり、当主は次男に家督を譲って強制引退させられて、中央で監視されているそうだ。


 ミリア曰く、静かに怒っていて怖かったとの事。


 ミリアの方も、神子関連でかなり大変だったそうだ。


 そんな中、リリィからの連絡でナユの事件が発覚。


 神子関連で忙しかった枢機卿以下、本部勤めのお歴々を敵に回したみたいだな。


 ナユの話に合わせて、ミリアの話も始まり、ちょっとした愚痴が始まる。




「私達も半分以上が貴族以上ですが、本当に面倒です」




「私も少し痛感したかも?」




「ナユさんはまだマシですよ。私の方なんて、ラフィ様の事を認めないとか言う貴族が多くて……」




「あー……、ラフィが提言した信仰の事?」




「ええ。古い大貴族程、反発が酷くて困りましたし、どうにかして娘や妹を神子にしたい貴族達が裏で画策したりしている中、ナユさんの事件ですからね」




「えーと、ごめんなさい?」




「いえいえ。ナユさんのおかげで、一部の貴族達はこちらについたので、助かった部分もありますから、お気になさらず」




 ミリアは相当に苦労したみたいだな。


 普段は絶対に言わない様な内容を言っているし、相当に大変だったみたいだ。


 こうなると、他の皆も大変だったのでは?


 その考えの元、他の皆に話を聞いて行く。




「私の方はそうでもないですよ。あ、ラフィ様に見て頂きたい物があります」




 次にラナが話始め、一振りの刀を手渡してきた。


 それを鑑定してみると、結構な業物だったのだが、ラナは輿入れ準備中に何をやっていたんだ?




「私は、竜王国に伝わる古流術の会得ですね。完璧ではありませんが、基礎は全て会得しました」




「うん、輿入れってそう言うのじゃないと思うんだ」




「そうですか? あ、今度お手合わせして下さいね」




 ラナは何時の間にか戦闘ジャンキーになっていた。


 まぁ、ストレスが無いなら良いか。


 思考停止して、深く考えない事にする。


 多分、考え始めたら沼にハマりそうだし……。


 そして、今度はリーゼの話に移るのだが、話を聞く限りリーゼも結構大変だった。


 と言うか、皇王よ……自分の娘に頼るなよ。


 リーゼから話を聞く限り、それは皇国全体の領分だろう……。




「まぁ、私としては叔父や従妹を救えたのは良かったですね。ですが、お父様にも困ったものです」




「リーゼが嫁いだら、皇国の頭脳が居なくなるんじゃね?」




「優秀な方は沢山居るのですよ。問題は、お父様の雰囲気でしょうか?」




「他国で、お忍びの姿で初見だと、完全にマフィアだもんなぁ」




「強面で、あの喋り方に加え、怒声が多いですからね。新しく入った文官が初顔合わせで泣いた――なんて話もありますから」




「真実は?」




「どうなのでしょう? 私も噂で聞いただけですから」




 真実は闇の中……いや、もしかしたら、リーゼは真実を知っているのかもしれない。


 まぁ、自分の父親の悪い噂は言いたくないわな。


 これ以上、追及するのは止めておこうか。




 次の話題はミナだったが、ミナに関しては当たり障りのない話だった。


 うーん……、何か言いにくい事でもあるのかね?




「ミナ、実家で何かあったのか?」




「そう言う訳ではないのですが……。強いて上げるなら、お父様の悪巧みでしょうか」




「聞かなきゃ良かった……」




「そう言うと思ったので、実際に実行されそうになるまでは黙っていますね。最悪は私がお父様を止めますから」




「無茶はしない様にな」




「大丈夫ですよ。それよりも、ラフィ様に一つお願いがあるんです」




 ミナのお願いを聞くと、婚約者全員でお茶会をする時に、仲の良かった姉を一度は呼びたいとの事であった。


 なるほど……送迎業を頼みたいのね。




「予定が決まったら、教えてくれ。迎えに行くから」




「ありがとうございます」




 ミナのお願いを了承して、次はランシェス組の話になるが、話を聞くとリリィの愚痴が盛大に炸裂した。


 他の3人は苦笑いしている。




「聞いてくださいラフィ!」




「おおう!? どうした?」




「私の輿入れ準備ですが、凄く大変だったのです!」




 リリィが言うには、アホ貴族共の妨害が凄かったらしい。


 特に貴族派閥が酷かったらしく、中立派閥の一部も便乗してきたとか。


 ただ、あまりに酷かった貴族家に関しては、陛下がブチ切れたらしい。


 ああ、どっかの貴族家が降爵されたり、改易されてたのは、それが原因だったのか。


 陛下、強権使ってそうだなぁ……。




「聞いてますか、ラフィ!?」




「聞いてるよ。陛下って強権使った?」




「改易された貴族家は見せしめですから、使ってませんよ。理由もありましたからね。それに……」




「それに?」




「改易された貴族家は騎士爵家と準男爵家だけですから」




「零細貴族に容赦ないなぁ……」




「問題が無いわけではないのですよ」




 聞くと、男爵家への罰が非常に面倒だったらしい。


 貴族は男爵位から本物の貴族とされているのだが、男爵は本物の貴族の中では、基本最下層になる。


 法衣だと、8割が零細貴族だったりするのだが、本物の貴族なので改易しにくかったりする。


 降爵も同じ理由で、男爵から準男爵や騎士爵へ落とすのも躊躇われるらしい。


 子爵や伯爵を罰するなら、降爵と言う手を使って、男爵にまで落とせるが、男爵の場合は、余程の事情が無いと使えないと言う欠点があった。


 リリィはその点を説明してから、男爵家の罰を話し始めた。


 愚痴と共に……。




「仕事も出来ず、跡継ぎも出来が悪いのが多い。その癖に、プライドは一人前。人の邪魔をする前に、自身を高めなさいと言いたいです」




「ふと思ったんだが、ランシェス貴族って、そんなに出来が悪いのが多いのか?」




「法衣は出来の悪いのが多いですね。ただ、あくまでも嫡男は――と言う条件は付きますが」




「次男以降はまともなのか……」




「男爵家までは――になりますけどね。子爵以上になると、次男も出来の悪いのはいますよ」




「貴族家特有の事情か。三男以降はどうなんだ?」




「どの貴族家でも、三男以降は常識的な者が多いですね。成人後は平民落ちが濃厚ですし、威張っていられませんから」




「世知辛いなぁ……」




 リリィの話を聞くと、領主の子供達は比較的まともらしい。


 まぁ、一定以上バカはいるらしいが……。


 その一定以上のバカの親は、通称で中央もどきと言われている貴族家になる。


 代官に領地を任せて、自分達は王都で優雅に過ごす。


 内情は割と火の車らしいが……。


 まぁ、そう言った貴族家も邪魔をしてきている連中で、大部分が中立派閥の貴族派寄りらしい。


 そう言えば、リアの実家は三階級陞爵したと聞いたが、もしかして……。




「なぁ、リアの実家の陞爵って……」




「あー……、それはね、王妃様がね……」




「何となく察した。リアフェル王妃を怒らせた貴族が居た訳ね」




「正確に言うとね、階位の交代が行われたの」




「ティアさんや……リアフェル王妃は、そこまで怒ってたのかね?」




「私も、叔母さまがそこまで怒っているとは思わなかったわ。ただ、この話には続きがあってね」




 ティアの話によると、ドバイクス卿に嫌がらせしていたのも同じ貴族家だったらしい。


 子爵家が侯爵家に嫌がらせ……バカじゃねぇの?




「お父様、凄く怒っていたのです」




「そりゃあなぁ……。侯爵家の面子もあるだろうし」




「そこはどうでも良いと言っていたのです。怒っていた理由は、『シアの将来を台無しにする気か!』って言っていたのです」




「ドバイクス卿の気持ちは、良くわかる。俺も同じ事をされたら間違いなくキレるし、ぐぅの音も出ない程に潰しに掛かるな」




「ラフィ様、怖いのです」




「シアには、この気持ちはまだわかんないか」




「私はわかりますけどね」




「僕も」




「私も」




 リリィ、リア、ティアの三人が手を挙げて答える。


 そこは主張するべきところなのかねぇ。


 その後も、リリィ達の苦労話を聞き、キリの良い所でリュールの話に移る。




「リュールはどうだった?」




「ん。じじいがうざかった」




「うん。その一言で何となくわかった」




 顔合わせの時から、認めん!、って言ってたからなぁ。


 俺が帰った後も、同じ展開が繰り広げられてた訳か。


 ……今後、やばくね?




「リュール、お祖父さんは納得したのかな?」




「ん。大丈夫」




 どの様に納得させたかはわからないが、円満解決には至ったようであった。


 ただ、リュールの方も厄介事はあったらしい。




「爵位の話が出た」




「受けたのか?」




「断った」




「なんで?」




「面倒」




「面倒で断れるリュールが羨ましい」




 思わず本音が出てしまった。


 皆が苦笑いしている中、リュールが傍に来て、頭を撫でてくれた。


 ちょっと恥ずかしいな……。


 だが、ミリア達はそれどころではない模様だ。




「リュールさん、抜け駆けは良くないです」




「抜け駆けじゃない。私の話でラフィが落ち込んだから、私が慰めた」




「リュール、それでも抜け駆けには違いないと思うよ」




「ヴェルグも、撫でたいなら撫でると良い」




「じゃ、お言葉に甘えて」




 そして、婚約者の皆に頭を撫でられてしまう。


 恥ずかしいが、平等にしないと輪を乱すからな。


 誰も見ていないし、させたいようにさせるか。


 そして、一通り撫でられた後、リュールの問題がどうやって解決したかを聞く事になったが、流石としか言えなかった。




「爵位の件は、大臣達の暴走に近かったから、簡単だった。じじいの方は、将来的な話で解決」




「どんな話をしたんだ?」




「ん。認めなきゃ、孫に会わせないと脅した」




「えげつな」




「ん。だけど、これが効果的面だった」




 もし説得に失敗していたらと聞くと、息の根を止めるとか、家族全員でシメるとか出てきたが、最後に一番恐ろしい刑を言って来たリュール。




「ん。最悪の場合は、クッキー刑をするところだった」




「な、なんて恐ろしい事を……」




「ん。じじいの罪は、それだけ重かった」




「執行されなくて、本当に良かったと思うわ」




「ん。私もそう思う」




 総合ギルドマスターであるクッキーさんの刑。


 受けた者は、絶対に更生すると言われる刑罰。


 その内容は、今も闇の中なので詳細不明だが、絶対に執行されてはいけない刑だと思う。


 直感的に感じてしまったので、間違いなく色々終りそうな刑だろう。


 だって、リアやラナも話を聞いて鳥肌を立てていたから。


 これ以上は何となくヤバいと感じたので、話題を変える事にした。




「それで、落し所は?」




「ん。子供に会わせる事」




「色々と介入しそうだなぁ」




「ん。先手は打った。問題無い」




「マジか……。流石と言うか、何と言うか」




 その後、リュールは、皆に小物を渡して行った。


 ヴェルグのだけは二つあって、そのうちの一つはネタプレゼントだったらしく、二人でじゃれ合っていたのが印象的だったな。


 リーゼが姉的立場なら、リュールは親友と言った所か。


 ヴェルグも楽しそうで何よりである。


 そして、最後にイーファ達の話になるのだが、どうにも落ち着きが無いし、話しにくそうにしている。


 これは、厄介事かな?




「イーファ達はどうだった?」




「えーと、ですね……」




 リジアがもの凄く言いづらそうにしていた。


 そして、スノラとイーファに視線を向ける。


 スノラはあたふたし、イーファは視線を合わせようとしない。


 うん、確実に何かあったよね?




「スノラ、何があったのかな?」




「あのそのえーと……」




 スノラは大変テンパっていた。


 何となく、目がぐるぐる回っているようにも見える。


 スノラは無理だと判断し、イーファへと視線を向ける。


 そして、にっこりと笑いかける。


 早よ話せ、と圧力をかけ、観念したイーファが話始めた。




「旦那様よ、とても言いにくいのじゃがな……」




「怒らないから言ってみ」




「そのじゃな……、妾の過去にまつわる話にもなるのじゃが」




 イーファが話始めた内容に、思わず頭を抱えそうになってしまう。


 イーファが話した内容、それは、イーファが作成した守護器の事であった。




「そのじゃな、妾の作った守護器なのじゃが、破壊されておるのか、紛失になっておるのかわからん状況でな……」




「一つ気になるんだが、感知できないのか?」




「破壊されておった場合、感知は不可能じゃ。力自体が喪失しておるからの」




「紛失の場合は?」




「問題はそこなのじゃが、どうやら封印がなされておっての。封印された物が紛失しておるみたいなのじゃ」




「で、現在はスノラとリジアが持っている物が見つかって、大慌てしていると?」




「厳密に言えば、封印されておる守護器に関して、懸念事項があるからなのじゃ」




 そう言ったイーファは、輿入れ準備中に起こった出来事を話し始めた。


 一部始終を聞いた後、本気で頭が痛くなってきた。


 と言うか、ちょっとだけ怒っていたりする。




「あのなぁ、そう言う危険な状態の時は、ちゃんと連絡しないと駄目だろうが!」




「す、すまぬのじゃ! じゃがの、妾達でどうにかできると思ったのじゃ」




「報連相! これ大事!」




「ご、ごめんなさいなのじゃぁーーーー!!」




 珍しく、本気で怒った。


 ミリア達も珍しい物を見たといった顔だ。


 珍しく怒った俺を見たミリアは、イーファ達を慰めながら、軽く注意と、何故か俺を嗜めて来た。


 え、俺が悪いの?




「ラフィ様が怒る理由も分かりますが、過保護過ぎなのもどうかと思いますよ」




「普通はそこまで言わないさ。だけどな、今回は状況がちょっと違う」




「詳しく聞いても良いですか?」




 ミリアが代表で聞いて来たが、全員が興味津々なのと、情報共有はしておきたいらしいので、開示しても良いと言うまでは内緒にすると言う条件付きで説明をする。


 説明を聞いたミリアを筆頭に皆が思案顔をする。


 そして、全員で頷き合った後、代表してミリアが質問をしてきた。




「事情は分かりましたが、イーファさん達は知らなかったのでは?」




「スノラとリジアはそうだろうな。だが、イーファは気づいた筈だ」




「うっ! た、確かに気付いておったが……」




「一つ間違えば、神樹国は滅びてたかもしれないんだぞ?」




「妾の力でどうにか対処できると確信があったからで……」




「それでも、万が一に備えて連絡はするべきだ」




 いつもはミリア達に負ける俺だが、今回だけは負けずに言い合いになっている。


 とここで、ミリアが両手を合わせて、音を鳴らす。


 その音にハッ!となり、少しだけ冷静さを取り戻した。


 どうやら熱くなっていたようだ。




「すまない。少し冷静さを欠いていた」




「いえ。それだけ心配したのでしょう?」




「まぁ……な」




「ラフィ様の仰りたい事はわかりました。さて、イーファさん」




「うむ」




「失敗は誰にでもあります。今後、同じような事があった場合、事後報告でも良いですから、直ぐに連絡しましょうね」




「わかったのじゃ。すまなかったのじゃ」




「いや。俺も熱くなり過ぎた。すまない」




「では、これで仲直りですね」




「「いや、喧嘩していたわけじゃないんだが(の)……」」




 最後にイーファと俺が同時に声を出し、皆が笑って幕を閉じた。


 それにしても、守護器か……。


 また面倒なのが出てきたが、こればかりは面倒とは言ってられないな。


 言ったら、イーファ達が申し訳無そうな顔をするだろうし、ちょっとだけ気合いを入れて情報を洗い出すとするか。




 後日、リエルにRE・コードを使って情報を探し出させ、現存していた守護器を確保した。


 現存していたのは、たった二つだけで、残りは破壊されていたがな。


 こうして、報告会と愚痴大会は最後は笑って幕を閉じた。
























 深夜、ミリアの自室




「本当に、ラフィ様とイーファさんは、似ていますね。変に責任感のある所とか。私が二人の気を紛らわせた方が良さそうですね」




 皆が寝静まった後、一人で奮起するミリアであった。

ヒロイン幕間の総集みたいな形にしたのですが、どうだったでしょうか?

出来る限り、後日談として書いたつもりです。


それと来週、ちょっとしたご報告があります。

まぁ、楽しみにされている方には申し訳ない報告ですね。

詳細は来週の投稿でご報告させて頂きます。

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