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128話 同盟会議

3話目です

ちょっと長いかもしれません

 各国首脳陣+αを交えた会議。


 その内容は帝国からの支援要請。


 反乱の鎮圧に軍の派遣要請をしに来たのだが、各国の反応はあまり良い物ではなかった。


 それは何故かと言うと……。




「派遣要請か。君達は、同盟で決められた派遣の定義は聞いているのかな?」




 ヴァルケノズさんの言葉にロギウスが答える。




「侵略戦争をする場合には敵に回る。自国防衛の場合には支援をして貰えると聞いております」




 ロギウスの言葉に全員が頷く。


 次にオーディール王がロギウスに答える。




「その通りだ。そうなると、自国内での争いについて、我々は手出しが出来ない」




「何故ですか? これは侵略なのでは?」




「我々が動けるのは、他国からの侵略の場合のみだ。何故このような形にしたかは、分かるかね?」




 黙るロギウス。


 ランシェス王が答えようとした所で、シャルミナ皇女が先に答える。




「自国内での争いに関与してしまえば、内政干渉を引き起こしかねないからですか?」




 この言葉に、各国の首脳陣は驚いた。


 末の皇女殿下の話は結構有名で、現皇帝が目に入れても痛くないほど溺愛しており、政務や軍事とは無関係と噂されていたからだ。


 と言うか、ロギウスも驚いているな。




(これって、皇女殿下に話させた方が良くね?)




 各国首脳陣も俺と同様の考えの様で、こちらに視線を向けた後、俺の頷きで全てを察した。




「失礼。皇女殿下殿は、内政に疎いと聞いていたのですが?」




「兄様には敵わないので、事実です。勿論、軍事面ではロギウス兄様には敵いません」




「ですが、今の状況では内政が必要になると思います。皇女殿下が代表して話していただけませんか?」




 その言葉を聞いて、皇女殿下はロギウスを見る。


 ロギウスも頷き、肯定の意を伝える。




「わかりました。ですが、軍事ではロギウス兄様の裁可も仰ぎたいのですが、宜しいでしょうか?」




 皇女殿下の申し出に、全員が頷く。


 仕切り直して、会議が再開される。


 しかし、各国首脳陣の反応はあまり良くない。




「国が荒れれば、犯罪率も増える。こちらも派遣する以上、治安維持も含まれるのでは?」




「それは…状況次第ではないでしょうか? 軍や兵への被害が少なければ、治安維持は出来るでしょうし」




「行軍中の補給やその他費用もありますな。その辺りは、どうお考えで?」




「あくまで私の考えですが、一時立て替えを申し入れると思います。飛空船の貸与金を何年か無しにする方向でもお話は出来ると思うのですが?」




「派遣した兵達に万が一、死亡者が出た場合には?」




「こちらからも、出来る限りの見舞金を出します。ただ、全て借りる事にはなると思いますが」




「その全ての借金を飛空船の貸与金で賄うと?」




「費用無しで利益を取れるなら、その方が賢明ではありませんか?」




 無難に受け答えしていく皇女殿下。


 ただ、質問されるたびにビクッ!ってなるんだよなぁ。


 能力は決して低くないのに、その挙動が噂通りと物語っていた


 白に近い髪に小動物の様な感じ。


 まるで、雪兎みたいだな。




 そして、この質疑応答の間、レラフォード代表は一言も発していない。


 まだ思う所があるのだろう。


 心の問題は分かるが、政治としてはどうなのであろうか?


 少し疑問に思う所ではある。




 尚、俺も一言も発していない。


 何故かって?俺が提案とか意見したら、概ね通ってしまうからだ。


 それはあまり良くない。


 特に神聖国と竜王国は、ほぼ支持してくる。


 なので、今はだんまりなのだ。




 周りを見渡しながらそう考えていると、レラフォード代表が口を開いた。


 何を言うつもりなのかであろうか?




「一つだけ確認します。もし、反乱軍が勝利した場合、我らが結んだ条約はどうなりますか?」




 レラフォード代表の一言に静けさが漂う。


 皇女殿下は、またもビクッ!とした後、少し考えてから前置きをして話す。




「これは確定情報ではありません。私が、兄ジルニオラと言う人物を見てきた上での回答になりますが、よろしいですか?」




「構いません」




「ミナ、本当に良いのか?」




「仕方ないと思います。だからこそお父様は、私をランシェスへと逃がしたと推測してるのですが。ロギウス兄様は反対ですか?」




「……思う所はある。だが、内政関係はマイナスな俺では話にならんしな。責任は俺が持つから、ミナの思う通りにやれば良い」




「ありがとうございます、ロギウス兄様」




 兄妹でのやり取りを見守った後、皇女殿下は一息吐いてから、レラフォード代表の質問に答えた。




「恐らく、神樹国との条約は破棄されるでしょう。それも一方的に。更には、飛空船での急襲なども行われるでしょう。確実に同盟は抜けます。お父様の下した決を翻す筈ですから。そして、自分をこんな目に合わせた人物への復讐もされるでしょう」




「そうですか……」




 この言葉の後、沈黙が訪れる。


 そこに空気を読まずに声を出す人物が一人。


 そう、ゼロである。


 この唯我独尊は、またもやらかしたのだ。




「そんな深刻になる事か? こっちには、世界最強格が揃ってるんだぞ?」




「ちょ! ゼロ、お前!」




「こんのアホ……少し黙りなさい!」




 ツクヨさんの手がゼロの顔を鷲掴みにする。


 所謂アイアンクローである。


 ミシミシとゼロの顔から音が聞こえる。


 ツクヨさん…そのままピチュンしそうな勢いだな。


 あ、ゼロがタップし始めた。


 しかし、ツクヨさんは無視して締め上げる。


 ゼロの抵抗が名前通り0になり、プラーンと宙づりなってしまった。


 各国の首脳陣はガクブルだ。




 ゼロがツクヨさんの手によって気絶させられ、そのゼロを離したツクヨさんは「おほほ、お気になさらずに」と、話の続きを提案してきた。


 こんなの見せられて、話の続きもあった物ではない。


 とは言え、ゼロを簡単に黙らせる女傑である。


 各国首脳陣の心は一つ。




(((((怒らせるな!話を続けるぞ!)))))であった。




 ただ一人、違う目でツクヨさんを見る目があったのだが、それは正しく羨望と言う目であった。


 その目をしていたのは、シャルミナ皇女殿下。


 何故彼女は、そんな目で見ていたのだろうか?


 それは直ぐに判明した。




「ツクヨ様はお強いのですね。私にも、もっと力があれば……」




 その言葉に対するツクヨさんの言葉は意外といえば意外だったが、同時にツクヨさんらしいとも言えた。




「強さなんて、人それぞれですよ。私には、皇女殿下様の様な強さはありませんから」




「私が強いのですか?」




「強いですよ。各国首脳陣に引けを取らず回答してますし、何よりも家族を…国を救いたいと思い、何気に参戦しやすいように仕向けていますよね?」




「いえ、私は……」




「無意識化なのか意識的かは知りませんが、少なくともこの場で言葉を交わせる皇女殿下は、強い人物だと思いますよ」




 とここで、ツクヨさんが俺を見る。


 え?ここで俺に振るの?


 あ、皇女殿下も俺の方を見ている。


 てか、周りも俺の言葉に興味津々じゃねぇか!


 こうなったら、何か言わないと収まらないので、一息吐いてから自分の考えを言う。


 クッソ!ゼロと地味にやり口が似てやがる。


 この似たもの夫婦め!




「大体はツクヨさんが言った通りかな。ただ付け加えるなら、俺には一切、助けを求め無かったよね? それはなんでかな? とは思ったけど、皇女殿下様の矜持だと今ならわかるかな?」




「うん? 矜持とな?」




「ええ。ランシェス陛下がどうお考えかは分かりかねますが、皇女殿下様は初めから、俺に助けを求める気は無かったと言う事です。以前にやらかした兄の不始末を、恩情を賜っておきながら不手際を起こした帝国の尻拭いなど、彼女の矜持が許さなかったのでしょう」




「……なるほどな。しかし、それだと矛盾せんか?」




「ですから、帝国が下手に出て、借金塗れの状況下を意図的に作り出そうとしたのですよ。そうすることで、各国は介入しやすくなるし、友好を保つための飛空船の長期間無料貸与も可能としたわけです。そうすれば、被害は出ますが俺の参戦は見送れますしね」




「あくまでも、同盟盟主の参戦ではなく、同盟国の参戦を狙っていたわけか。なるほどなるほど。存外、噂とはあてにならぬものよな」




「皆様を騙していた事、大変申し訳ありません」




 皇女殿下が席を立ち、頭を下げて謝る。


 兄であるロギウスもともに頭を下げた。


 こうして会議は、一度休憩を挟み、30分後に再開されることになったのだが、まさか凶報が舞い込むとは、この時は誰も予想できなかった。






 30分後、再び会議が再開されるのだが、突如扉を叩く音が響き、全員がそちらを見る。


 ランシェス陛下が許しを出し、一人の兵士が陛下に耳打ちをする。


 その報告を聞いた陛下は、頭を抱えた。




「最悪の報告だ。反乱軍が挙兵したと報告があった。まだそれだけならば良いが、北方で集団暴走スタンピードの発生も確認したそうだ」




「そんな……」




「こうなると、各国の参戦は厳しくなる。被害が図り知れんからな」




 皇女殿下を絶望が襲う。


 帝国の滅亡、そして家族の命が風前の灯火となったのだから。


 だが、ここに居る者達は、違う考えをしていた。




 こんな都合よく起こるものなのか?…と。




 当然、俺もそう考えていた。


 なので、リエルからの~……RE・コード使用!




『はいは~い! リエルちゃんにおっまかせ~!』




 何とも軽いリエルであった。


 僅か数十秒で精査を完了させたリエルからの報告。




『間違いなく、意図的ですね。考えられる方法は3つ。一つはツクヨ様に確認をすれば良いと思いますが、古代遺物の中に意図的に集団暴走スタンピードを起こさせる魔道具があります。二つ目は、神喰の関与。3つ目は、ゴーレムやランシェスでの集団暴走スタンピードなどに関与した者のどれかです』




『他の要因は?』




『無い事もないのですが、する理由が無いかと。一応4つ目は、神側です』




『なるほど……念のためだな』




 リエルとの会話を打ち切り、ツクヨさんに確認をする。




「ツクヨさん。古代文明期の魔道具で、意図的に起こせる魔道具ってあります?」




「あるわね。ただ、その手の魔道具って数が少なかったし、使い捨てだったはずよ。現存しているとは思えないわね」




「ゼロは何か知ってるか?」




「いつつ。クッソ、まだ痛ぇ。……確か、俺が粗方潰したはずだが、無いとは言い切れねぇなぁ」




「何の話だ?」




 フェリック皇王が聞いてきたので、いくつか誤魔化しながら要点を説明する。


 説明を聞いた各国の反応は様々だが、やはりと言うか何と言うか、ツクヨさんに対する質問が酷かった。




「で、彼女は何者なんだ?」




「まさか……ゼロ殿と同じ?」




「どういうことだ?」




「わしらにも分かるように言え」




「精霊様をお呼びした方が良いのでは?」




 ある意味カオスである。


 シャルミナ皇女殿下とロギウスはついて来れてない。


 う~ん、誤魔化すのが面倒になって来た。


 真実と嘘を交えて暴露しちゃおうか?


 ツクヨさんを見ると、オロオロ。


 ゼロを見ると、我関せず。




 ブチ!




 ゼロの態度にイラっとしたので、ぶちまけることにしました。


 勿論、一つの事実は伏せるけどな。




「え~と、まずツクヨさんに関してですが、簡単に言うとゼロの嫁です」




「「「「「な、なにぃーーーーーー!!」」」」」




「で、ツクヨさんは古代文明期の人間です。色々あってゼロが彼女を助けるために封印していたんですけど、俺の力で助けられると分かったので助けました」




「「「「「な、なんだってーーーーー!!」」」」」




「で、ツクヨさんはゼロと俺の剣技の師匠も兼ねてます」




「「「「「素晴らしい!!」」」」」




「おい、待て。何で素晴らしいんだよ!?」




「皆さんの気持ちは良くわかります。ゼロの暴走を彼女が止めてくれますからね」




「「「「「その通り!!!」」」」」




「てめぇら……」




「で、彼女は古代文明期の事をそれなりには知っているので、話に参加しても良いですよね?」




「「「「「勿論だとも(ですとも)!!」」」」」




 各国一致の回答であった。


 尚、隠した事実とは、彼女の肉体を再構築したこと。


 これがバレると、物凄く面倒になると確信している。


 因みに嘘は言っていない。


 極大解釈すれば、間違ってはいないからな。


 俺もお貴族様らしくなったものだ。


 因みにゼロは、さっきからジト目でこちらを睨んでいる。


 だが、俺の説明に含まれた嘘をバラすつもりはない様だ。


 ツクヨさんも改めて挨拶をしていた。




 話が脱線したが、何とか収まり、元に戻す。


 さて、今の状況を確認してみよう。




 1、各国の参戦を容認するか否か


 2、帝国内乱の状況は最悪


 3、古代文明期の魔道具が他にもあるのか


 4、同盟盟主参戦の有無




 大まかに分けて、この4点。


 そのどれもが決まっていない。


 とここで、皇女殿下から質問される。




「あの、クロノアス卿は参戦されるのでしょうか?」




 4つ目の議題である。


 これについての答えはいくつかある。


 なので、一番無難な答えにした。




「状況次第でしょうか。ただ、もしかしたら参戦する理由が出来るかもしれません。なので今は保留としてください」




「わかりました」




 そして、各国の答えだが……。




「参戦せざるを得んだろうなぁ。少なくとも、魔物を放置していては、次は我が国に来るやもしれんしの」




「神聖国も同じですな。皇国も同じでしょう?」




「そうだな。ただ、ダグレストに警戒せねばならぬところが……な」




「竜王国は立地上、後方支援になりそうですな。問題は物資の輸送ですが」




「神樹国は武力など皆無なので、とある者を紹介させて頂きたく」




 各々に意見を述べる中、ミリアが俺の傍に寄ってきて、小声で話し始めた。




「(ラフィ様【神託】が発動しました。この内乱に神喰が関与しているそうです)」




「(【神託】での報告? どういうことだ? メナト辺りなら、こっちに来そうなんだが。それに、レーネスもいてるのに)」




「(私にはわかりません。あ、今新たに降りました。え~とですね……ゼロ様に会いたくないそうです)」




「(それが理由かい! ……神界に乗り込んでやろうかな)」




「(あははは……)」




 などと小声で話していたら、全員がこちらを見ていた。


 と同時に、世界が白と黒に変わり、時間が止まる。


 止まった時間の中に現れたのは、メナトだった。




「呼ばれたから来たよ。神託で十分だと思ったのに」




「いや、そう言う重要な話は、ちゃんと言えよ」




「ラフィの言う通りだな」




「あら? ゼロがまともだわ」




「腐っても原初なんだね」




「あ、あの! 何故私達だけ動けるんですか!?」




 その言葉に全員が振り向くと、シャルミナ皇女殿下の姿が。


 え?何で動けんの?てか、時間停止してるよね?


 困惑する俺達をよそに、メナトが説明してくれた。




「へぇ、かなりのレアスキルだね。【雪零涙】か。まだ無意識化での発動しか出来ないみたいだけど」




「なにそれ?」




 俺の言葉に全員がメナトを見る。


 あれ?ゼロも知らないスキルなのか?


 そんな俺達にメナトは説明を続ける。




「彼女って先祖返りなんだろ。それも、クロノアスの血筋のね。本来であれば、時空間魔法が出てくるはずなんだが、彼女の場合は、二つ名のせいで魔法ではなく、スキルで顕現したみたいだね」




「なにそれ? それって、チートじゃね?」




「公式バグが何を言っているんだか。因みに、彼女の二つ名は【雪の雫】【雪の妖精】など雪に纏わる二つ名がいくつかあるね」




「一番影響を及ぼしてるのはなんなんだ?」




「ゼロ様でも、理解できないって感じだね。一番はスキルにもなっている【雪の涙】と【雪の雫】になるっぽいね。何故そうなるのかは、ラフィならわかるんじゃないのかい?」




「どうなんだ?」




「もしかして…絶対零度の概念が、時間にも適用された?」




「正解。かなりレアな現象だね。いや、反則に近いかな? 因みに彼女は、万能型だから」




「「「「はぁ!?」」」」




 全員が揃えて驚きの声を上げる。


 え?シャルミナ皇女殿下って、神に近しい実力者なわけ?


 それってつまり、俺達と対等にやり合えると言う事で……。


 久々に理解が追い付かなかった。


 それを聞いていたシャルミナ皇女殿下はと言うと。




「え~と、私は人並みに戦闘は出来ますが、器用貧乏と言いますか……」




「謙遜しなくて良いよ。君は伸びしろがあるけど、一番の原因は弱腰な部分と自信の無さだね。……ふむ。事が終われば、私が直々に鍛えても……」




「ストーップ! メナトの修練は人を選ぶから! ツクヨさん、皇女殿下の修練を見て上げて!」




「え? あ、はい」




「そんなに全力で断らなくても……」




「だぁ! この話はこれでおしまい! 本題に戻すぞ!」




 強制的に話を戻し、本題に入る。


 メナト曰く、集団暴走スタンピードは神喰と魔道具の両方だと言う事。


 反乱軍とは別で動いていると言う事。


 そして……。




「あの反乱軍の首謀者だっけ? あれ、神喰の欠片を使っているから」




「どうしてそう言う事をもっと早くに……」




「最近気付いたんだよ。上手く隠してたみたいだし」




「ジルニオラの動向は見てたのか?」




「見ては無いけど、欠片持ちだからね。当然だが洗い直したさ。でだ、ダグレストは要注意になったね」




「どういうことだ?」




「詳しくは、まだ言えない。神とて全てを理解しているわけでは無いんだ。調査中ってところだよ。ただ一点だけ。こちらに望ましくない事が起こる可能性が高い」




 メナトの言い方は、確実ではないから伝えない。


 でも、ほぼ黒と言う事みたいだ。


 最悪の場合は、神の力の行使すら思案しているほどだと言う。




「とにかく、今は目の前の事を片付けなよ。それと、そちらの彼女とは後で話をしておくように。神託で彼女にも伝えておくからさ」




「あー、何となく理解した」




「柔軟な思考の持ち主は助かるよ。それじゃ」




 メナトが消え、時間が動き出す。


 と同時に、先程の回答を迫られるわけだが、まぁもう決まっている事だし、隠す必要性はないか。


 嘘も言ってないしな。




「ミリアに先程、神託が降りたそうです」




「おお! それでなんと!?」




 珍しくヴァルケノズさんのテンションが高い気がする。


 もしかして、実際に見るのは初めてとか?


 まぁそれは置いておいて、決定事項を伝えよう。




「今回の内乱に、俺が参加する理由が出来ました。ヴァルケノズさんと陛下なら、多少はお分かりになると思います。それと、竜王国と皇国も無関係では無いですね」




「どういうことだ?」




「無関係でないとな?」




「ええ。竜王国の方は、腐竜の後始末と思って下さい。皇国の方は、あの大規模ダンジョンの黒幕ですかね」




 この言葉に、ある程度は納得した両国。


 こうなると、答えは必然的に決まる。




「では、ランシェス、セフィッド、オーディール、フェリックは皇女殿下の要請に従い、軍を派遣で宜しいですかな?」




「レラフォードはどうするのですかな?」




「代表殿、どうされますかな?」




 陛下の言葉に異議を唱えず、ヴァルケノズさんとオーディール王が是非を問う。


 そんな中、レラフォード代表は一つの提案をしてきた。




「先程も申し上げた通り、会って戴きたい者がいます。答えは、その者の話を聞いた上、各国の反応を見て、お答えしたい」




 この言葉に各国は怪訝な顔をするが、皇女殿下と俺の一言で考えが変わる。




「会って話を聞いてからでも良いでしょう。クロノアス様も、そうお考えですよね?」




「そうですね。それに、情報があるのなら得たいですし」




 あれ?皇女殿下が俺の呼び方を変えてないか?


 なんかイヤな予感が……いや、多分気のせいだな。


 各して、同盟会議はまだ続く。


 一応の判断は出たとしても……。

意外と修正が大変だ。

あ、ルビミスあったらすいません。

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