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125話 世界は俺を休ませない(泣)

来週投稿分から新章に入ります

ツクヨさんから修練を受け始めて、1週間が経過した


この1週間はかなり過酷であった


耐えられたのは、神々とゼロの地獄の修練を受けていたからだろう


尤も、地獄難度で言えば、ツクヨさんの方が軽くはあったが


では、1週間の地獄を少し話そう




ツクヨさんが師匠になった翌日、早速修練が開始される


とは言え、常に実戦形式での修練であった


ゼロと俺が交互にツクヨさんと対戦していくのだが、ゼロは必ずと言って良いほど、宙を舞った




対する俺もボコボコにされるのだが、宙を舞う事はなかった


多分、俺とゼロでは修練内容が異なっていたせいだと思う


半日ほど打ち合い、今後の方針を告げられた




「グラフィエル君は、技量の底上げね。伸びしろはあるから、頑張って行きましょう。それと、スキルの運用を意識的に最適化しなさい。命のやり取りになったら、無意識化でスキルの運用が出来ているけど、意識的に出来ないのは駄目ね」




とまぁ、こんな感じだ


ツクヨさん曰く、俺が勝てない理由は戦闘経験値の差が圧倒的過ぎる為だと言う


その差を埋めるには、今でも差が開いてる技量の底上げは必須で、スキルの運用にも気を付けて、初めて差が縮まるらしい




ゼロに至っては、技量面の修練をサボっていたのが原因らしい


明らかに成長してないと言われていた


どうやら、ゼロには手加減無しで修練を行っている模様


その為、毎日宙を舞っていた




こんな感じで修練を続けて3日


5回に1回は引き分けに持って行けるようになった


但しその日以降、段階的に強さを引き上げての修練になって行ったのは言うまでもない


結果、底上げには成功したが、技量が上がるにつれて、ツクヨさんの強さを再確認させられた




「技量は徐々に良くなっているけど、スキルの運用はまだまだね」




「あはは…面目ない」




当然だが、ダメ出しは貰っている状態だ


どういう訳か、スキルの意識的運用が全く上手くならなかったのだ


とは言え、無意識的運用は向上しているので、これはもう癖みたいなものだと思う


今後の課題だな……




尚、ゼロも技量の向上はしている


俺とは出発点が違うので、毎日宙を舞うのは無くならなかった





そんなこんなで1週間が過ぎ、そろそろ帰還しようと言う話になっていた


想定外に時間が掛かった為、帰りはゲートを使おうとしたのだが




「駄目よ。旅にはその町や地方の食事を楽しんでいくものよ」




「俺らのレベルなら、全力で走ればそんなに掛からねぇだろ。帰りはいろんな場所に立ち寄ってくぞ」




ゼロとツクヨさんからのダメだしを食らう


この二人、こういう所は似たもの夫婦であった


仲が良いのは素晴らしい事だが、こちらの事情も考えて欲しい


しかし、俺の願いは届かなかった……


結局、二人に付き添って帰ることになった




ここからは簡単に話そうと思う




帰らずの森から抜けた俺達は、レベルに任せて全力で走る


本来なら、馬車で1日掛かる距離を4時間で走破


比較的大きな町で宿泊していった




同じランシェス国内でも、地域によって食生活は地味に変わる


ゼロとツクヨさんはその変化を楽しんでいた


初日の町は、蛇料理が有名だった


二人は物珍しさもあって食していたが、俺は普通の食事を頼んでいる


正直、食欲が湧かなかったのだ


二人はどんな味かと楽しんでいたようだが、良く食べられるものだと感心した




二日目、次の宿泊地の名物は、カエル料理


当然、俺は辞退


二人は仲睦まじく、手を繋いで食堂へと入って行った


初日も二日目もそれなりに当たりだと言っていた




三日目、名物は蜘蛛料理


勿論辞退なのだが、二人は嬉々として食べに行く


この二人、ゲテモノ料理が大好物なのでは?と言う疑惑が、俺の中に生まれた


尚、蜘蛛料理は好みが分かれた模様


ゼロは問題無かったらしいが、ツクヨさんには合わなかったらしい


子蜘蛛の素揚げなる物が出て来たらしいが、味以前に見た目で駄目だったらしい


この辺りは、やはり女性なのだと再確認した




その後もサソリ料理に蟻料理など、ゲテモノ系が続いていた


正直、ゲンナリである


ゲテモノ大好き夫婦には、俺の言葉は届かなかったので、食事時は別行動になったのは言うまでもない




そして、不帰ずの森を出発して1週間後


明日には王都に到着と言う場所まで戻って来た


王都に近づくほど、ゲテモノ料理はなりを潜めて行った


本日は無難にジビエ料理である




鹿肉と猪肉のシチューなどがメインである


後はパンとかサラダだな


久々に3人で食事を取った気がする




食事を取りながら、今までの食事を振り返った話になる


そこでツクヨさんが意外な言葉を発した




「う~ん…基本は美味しかったんだけど、私が生きていた頃の料理が無いのは何故かしら?」




「あん?何の料理だ?」




「俺も少し気になるかも」




「出汁料理ね。鰹節や昆布などから出汁を取って使う料理なんだけど、全く出てこなかったわね」




「あれ?昔はあったのか?」




「そういやあったな。なんで無いんだ?」




3人して考える


とそこでリエルが姿を現す


そして、爆弾を投下する


その話を聞いたツクヨさんは、背後に般若さんが出現していた




「リエルちゃん、参上!皆の疑問にお答えするよ!」




「ん?リエルは知ってるのか?」




「RE・コードで調べてきました!そして、答えを先に言うと劣化原初のせいです」




「どういうことかしら?」




「この馬鹿ちんが暴れたせいで、食文化が著しく衰退しました。今でこそマスターのおかげで、養鶏が軌道に乗りましたが、それまでは畜産業は壊滅的でした。出汁文化も同様で、一部地域を除き、ほとんどが使われておりません。現在は、魔物の骨や野生動物の骨などで取った物が主流です」




「へぇ…ねぇ、ゼロ。どういうことか、説明してもらえるかしら?」




「いや…俺も知らねぇんだけど」




「うふふ、後で詳しくお話ね?」




「はい……」




ゼロの死亡フラグが新たに立った瞬間だった


尚、リエルが言ったのはコンソメやフォンドボーとかになるのかな?


最近ではオーディールからの輸入があるので、調味料系は以前より豊富にはなっている


特に醤油と味噌は人気であった


目下の目標はみりんの製作である


後でツクヨさんにでも聞いてみよう


尚、食事が終わって宿に戻った後、ゼロはツクヨさんからの尋問を受け、その後お説教に移行した




翌日、夕方前に王都へと帰還する


出立して約半月、ようやく帰って来た


門兵に身分の証となるステータスを見せ、中に入る


俺が代表して見せたので、ゼロとツクヨさんは同行者として問題無く入れた




「ここがグラフィエル君の住んでる街なのね」




「久しぶりで懐かしな。そういや、ギルドにも顔出さねぇとなぁ」




「明日にでも行ってみるか?今からでも行くなら付き合うけど?」




「明日で良いんじゃねぇか?ツクヨ、お前はどうする?」




「そうねぇ…登録だけはしとこうかしら?」




「問題はランクだが、どうするんだ?」




「俺がギルマスに話をするわ。そういや、所属はどうする?」




「何の話だ?」




そう言えば、クラン制度が出来たのはゼロが姿を見せなくなってからだったな


クランについて簡単に要所を纏めて二人に説明する


二人の反応はと言うと




「ラフィがクランマスターねぇ…まぁ、当然と言えば当然か」




「グラフィエル君って、結構濃い経験してるのね。少し驚いちゃったわ」




「まぁ、成り行きもあるけどね。で、どうする?」




「俺は、ラフィのクランで良いぜ。自分で立ち上げろとか言われても面倒くせぇ」




「私もお世話になろうかしら。知らない人より、知っている人の方が安全だしね」




「んじゃ、明日に向かうで良いか?」




「それで良いぜ」




「異論は無いわ」




と言う訳で、明日は冒険者ギルドに向かう事になった


道中も辺りを見ながら歩く二人


そんな感じで30分ほど歩き、屋敷に到着する


門番が俺に気付き、挨拶をして門を開く


玄関まで行き、扉を開けると、ナリアが控えていた




「おかえりなさいませ、お館様。ゼロ様もお変わりない様で」




「ただいま、ナリア」




「久しぶりだな。と言うか、前より強くなってね?」




「え~と、二人とも付き合いは長いのかしら?」




「失礼しました、お客様。クロノアス家の侍女長を務めているナリアと申します」




「ツクヨ=カシマです。ゼロとグラフィエル君の剣技の師匠で、一応ゼロの妻です」




「一応とか酷くね?」




「そうでしたか。今後ともよろしくお願いいたします」




その後はナリアの案内で、リビングへ移る


リビングでは、シア、リリィ、ティア、リアを除く4人がいた


こちらに気付くと、笑顔で応えてくれた




「おかえりなさいませ、ラフィ様。ゼロ様もお久しぶりです」




「ただいま、ミリア」




「ミリア嬢ちゃんか。大きくなったな」




「おかえり~。で、その女性はなにかな?何処で拾ってきたのかな?ボクと言うものがありながら」




「人聞きの悪いこと言うな!要らん誤解を与えるようなこと言うなよ、ヴェルグ」




「おかえりなさいませ。ですが、ヴェルグさんの言う事も一理あるかと」




「リーゼまで…ちゃんと説明するから」




「ラフィ様がもてるのは仕方ない事だと思いますが」




「ラナ、その疑いの目は止めようか?」




「前科があるから仕方ないのでは?」




「ナユまで…俺、泣いて良いか?」




「お前も苦労してんだなぁ…」




「ゼロに言われたくはない!」




「とりあえず、説明しましょうか」




ツクヨさんが締めて、4人へ説明がなされる


説明を聞いた4人は納得したが、ミリアが珍しく毒を吐いた




「ツクヨさんもご苦労なされているのですね」




「ミリアちゃんは分かってくれるのね」




「ゼロ様は、何と言うか自由人ですし」




「ミリア嬢ちゃん、酷くね?」




「ミリアの言う通りだと思うが?」




「それにしても、この人が原初ねぇ…大したことなくない?」




「あ?神喰もどきが、喧嘩売ってんのか?」




「二人とも、止めろ。リーゼ、ヴェルグを抑えてくれ」




「はい。さ、ヴェルグさんは矛を収めましょうねぇ」




「リーゼって、ラフィの言う事には絶対だよね?」




「間違っていたら止めますよ?今回は、間違っていないので」




「それよりも、ツクヨさんの強さの方に引くんですが」




「ですよねぇ。私も話を聞いて、ナユさんと同じ気持ちですし」




「ナユ、ラナ、ほどほどにな」




とまぁ、ツクヨさんは問題無く受け入れられた


そういや、原初継承の話はどうしようか?


ゼロを見ると頷いて返事をする


ただ全員がいないので、話は揃ってからだな




お茶を飲んで皆で談笑していると、ドアが叩かれる


ナリアが対応してドアを開け、ブラガスとノーバスが入って来た


二人は帰還の挨拶をしてから、本題を話し始める




「まずは自分から話を。いくつかの貴族家から、遊園会の招待状が届いております。期限が間に合わないものに関しては、当主不在と前置きしたうえで、私が返事を出しておきましたが、宜しかったでしょうか?」




そう言ってからブラガスは、手紙と返事を出した貴族家のリストを手渡してくる


一通り目を通すが、問題無い内容ばかりなので、了承する


次に間に合いそうな手紙に関してだが、2通ほど早急な返事が必要であった


帰って来たばかりなので、この2通に関してもブラガスに任せることにする


次にノーバスの話だが




「2日前に王城からの手紙を預かっております。ご帰還されたら、早急に連絡して欲しいとの旨でございます」




「今度は何だ?また厄介事か?」




そう言うが、ノーバスは答えない


仕方なく手紙を拝見するが、そこに書かれていた内容は以下の通りだ




『帰還次第、連絡を寄こすように。出来る限り早急な対応を求む』




ただこれだけであった


そして同時に思った事




(絶対、面倒事だよな)




そう思わざるを得ない文面であった


ノーバスに明日以降の予定を確認する


面会などもなかったので、明日の午後に顔を出す旨を王城の方に伝えてもらう事にした


おっと、忘れてはいけないな


同行者を2名連れて行く事も付け足しておく


ノーバスは俺の言葉を聞き、家人に命じて王城へと走らせる


今日はもうすぐ夜の帳が降りる


どちらにしても、明日以降の面談にはなるはずだ




次にブラガスは、先月の決裁資料を渡してくる


資料を吟味していくが、1ヶ所だけおかしい部分を見つける




「ここの収支報告だが、他と比べて差があり過ぎるんだが?」




「ここの支出ですが、以前発案されていた店舗の開店資金に回しております。ですが、確かに多いですね」




「担当は誰だ?」




「ネス殿ですね。何かあったのでしょうか?」




「ネスか…今から呼び出せるか?」




「少々お待ちください」




そう言ってブラガスも家人に命じて確認に走る


その様子を見ていたゼロとツクヨさんだったが




「なんか凄いわね」




「あのラフィが仕事してるのか」




なんか失礼な事を言ってる気がする


ジト目で二人を睨むと、サッと顔を逸らす


俺の認識についてどう思ってるのか話合うべきか?


とまぁ、こんな感じで時間は過ぎて行った




尚、ネスの支出についてだが、ただの計算違いだったことが発覚した


部下に任せていたらしいが、資料を見る限り、単純な計算ミスだった模様


余剰金を回収させることで解決。


帰ってきたら即仕事


明日も地味に仕事


その前は修練と休む暇がない




誰か俺にまともな休みを下さい




そんな願いも虚しく、俺はまた面倒事に巻き込まれていくのだった


俺の休みが無いのは世界単位の陰謀ではないのかと、心底疑いたくなるわ

この話で、成人・ゼロ編は終了です

来週からは、帝国内乱・神喰決戦編に入ります

次回登校日は20日になります

もしかしたら投稿頻度を上げるかもしれませんが、現在は未定です


コピペでやるのでルビミスはあると思いますが、完結後に修正しますのでご容赦ください

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