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14-5

・2021年8月26日付

細部調整


・2023年6月2日付

細部調整

 他の人物たちが動き出している中で、SNSのタイムラインなどを検索していた舞風まいかぜは――。ARバトルロイヤルのマッチポンプを行っている疑惑を持つ事になった。自宅でライブ映像を見る限り、特に大きな編集が行われた形跡もないので――気のせいだとは思いたい。


(マッチポンプをやったとして、得をするのは――?)


 運営が乗っ取られてしまった事も一時は考えたが、それ以上に別の何かが介入した可能性も考える。様々な炎上案件に関わったとされる広告会社の存在だ。過去に超有名アイドル商法を巡る一件では、真っ先に疑われていた事もある。ヴァーチャルレインボーファンタジーの一件で関与していたのはまとめサイトであり、広告会社ではないのはガーディアンも証明した。それなのに、今になって新たな敵の存在をネットで拡散、SNS上を混乱させてガーディアンは得をするのだろうか?


「この考え方、何かに似ている――」


 パソコンの画面に表示されているサイト、それは以前にマルスが見ていた小説サイトでもある。そこにあったWEB小説の一つ、それが唐突にピックアップされていた事に驚きはあるのだが――。


(広告会社によるマッチポンプ――そうだとすれば、まさか!?)


 舞風はSNSの闇が全ての元凶と思っていたのに、ここにきて予想外の介入があった事に――頭を抱えた。彼らは金もうけが出来れば、何だっていいのだ。SNSでのバズに便乗し、利益を上げられれば――。それこそ、ブラック企業以前にやっている事は全ての元凶その物だろう。


 マルス、その他の鍵の所有者、瀬川せがわプロデューサーとの出会いも全ては広告会社が都合よく作り上げたシナリオだった――とでも言うのか?


「ソレは絶対にないと言える。そうでなければ、この出会いで――あの計画を思い浮かばなかったのだから」


 しばらくして舞風は何かを思い出したかのように、ある人物に電話連絡を試みる。実際に出るかどうかは別にしても、伝えなくてはいけない事があるのだから。



 この説を考えていた人物は舞風だけではなかった。実は、これを真っ先に疑ったのはビスマルクである。瀬川プロデューサーでは対応すらできず、介入させる事も許さないような立ち位置の存在――逆算すれば、そうなるだろう。


「令和に入って間もない頃、SNS上でとある漫画が広告会社による大規模PRと言う事で炎上した事がある」


 ビスマルクは、一時的にゲーセンを後にしようとも考えたが、マルスのいる都合上、さすがにそれをやると無責任だ。それを踏まえ、彼女はマルスに試すという意味でも自分の考えをぶつける事にする。何故、ここまで面倒を見てしまうのか。それは、彼女にも分からない。二度と同じ事を繰り返したくない思いはあるのだが――。


「証拠になるような物はない。別のアイドルグループを注目させる為、他のコンテンツを盛り上げる為に邪魔だった――という事も議論された」


 ビスマルクとマルスのいる場所、それは小休憩用のベンチである。用途としては、リズムゲームで疲れたプレイヤーが落ち着く為だろうか。


「結局、これらもまとめサイトや広告会社が組んで展開したマッチポンプと言う疑いもあるだろう」


 ビスマルクの発言は続く。マルスは、真剣な目つきでベンチに座っているビスマルクを見るが――。


「こうした話題でさえ、彼らはどういう風に否定したと思う?」


「全て作り話、真実ではない――と」


 ビスマルクの問いに対し、マルスは自分の言葉で返した。今までは他人の発言とも取られるような切り返しだったが、今度は――自分の思いをぶつけて。


「作り話と言う単語で返していたら、あの規模で炎上はしない。もみ消されて終わりだ」


「では、どういう言葉を?」


「それは、普通のユーザーが聞けば明らかに信じないような言葉だが――」


 マルスの言葉に対してビスマルクは返そうとも考えたが、ふと歓声にも似たような声を聞く。その方角を二人が振り向くと、そこはセンターモニター設置エリアだったのである。映しだれたのは、ARバトルロイヤルのライブ映像のようだ。


「行ってみよう」


 その一言を放ったビスマルクは立ち上がり、マルスと共に数メートル程度の距離を歩きだす。モニターに表示されている人物を見ると、明らかに知っている人物だったのは言うまでもない。


(あいね・シルフィード? それに、対戦相手は――)


 マルスはあいね・シルフィードがバトルをしている事に気付く。そして、その相手は――明らかに見覚えのあるデザインの鎧だった為か、ビスマルクも何となく気付き始める。


「蒼流の騎士? またしても、同じ事を繰り返すのか」


 彼女は、目の前にいる蒼流の騎士の正体が誰だとしても許す事は出来なかった。過去に自分が味わったSNS炎上の悲劇――それと同じ事を起こそうとしている目の前の人物を。

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