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・2021年8月22日付
細部調整
・2023年5月27日付
細部調整
一連のまとめサイト騒動はガーディアンが動き、更には草加市も被害調査を行った結果、摘発されていくサイトが増えた。これによって、六月末頃までには草加市で活動していた全体の九割がサイト閉鎖に追い込まれる。
彼らも様々な事情や理由を重ねて罪を逃れようとも考えたが、草加市がブランドイメージを損なうとしてまとめサイト根絶を宣言した事で風向きは変わった。まとめサイト自体、アフィリエイト広告の収入も存在するので――ある意味でも犯罪収益と言えなくないような事もあり、コラ画像や捏造記事等の悪意ある二次創作を含めて根絶されていく。
【やはり、こうなったか】
【まとめサイトのやっている事自体、二次創作で利益を得ている様な行為と解釈される事も多い】
【世界全体が本格的に動くような気配もあったが、まさか日本の――市町村単位で動く事になるとは】
【転売屋のような案件もある以上、そう言う事なのかもしれない】
【これで日本では一次創作以外は、犯罪行為の助長になるのか?】
【そう言う解釈をして炎上させようと言うサイトは存在する。まとめサイト駆逐も、そう言う事だろう】
SNS上では様々な反応がある。しかし、これらが全て正しい意見なのかも不明だし、捏造もあり得るだろう。草加市が動いているのは事実であっても、そこから二次創作的に話を歪めたようなまとめサイトのニュースと言う事例もある。真実を語っているのはどこなのか――マスコミさえも混乱する状態になっていたのは間違いない。
草加市内のARゲーセン前、六月末日となると楽曲の入れ替えが行われるリズムゲームが存在したり――ゲーセンに様々なプレイヤーが集まる。そうした環境は情報を集めるにも都合がよく、ある意味でも――ココを狙って調査を行う私服ガーディアンの目撃情報もあった。
実際、蒼流の騎士が目撃されたのもゲームのバージョンアップが行われる末日だったらしいソースがあり、それがガーディアンに見つかった結果――かもしれない。
(まとめサイトでさえ、実在人物と同じようにやりたい放題に歪め、遂には――と言う事か)
一連の動向を見て、次の動きをどうするか考えていたのは意外にもビスマルクだったのだ。スマホでまとめサイトではなく、SNSのタイムラインをチェックしており、それらがガーディアンに先手を打たれる前に何とかしようと言う意図もあるだろうか?
普通であれば、こうした調査はガーディアンの専売特許と言えなくもない。しかし、ガーディアンは別勢力の動向調査等でまとめサイト摘発は後手に回っている――とまとめサイトには記載されていた。その証拠に九割のサイトを閉鎖に追い込んだ辺りでサイト摘発情報が途絶えている。全てを摘発するのであれば、何故に一割を残しておく必要性があるのか?
残りの様子を見て、更なる対策を行うのであれば大分前から準備して全てを摘発する位の事はするはず。何故、ここにきて残すような流れになったのか? そこまではサイト等でも憶測情報しかないので、正確な物は存在しない。
(有名勢とはよく言った物だ。これが創作上の世界だけで起こっている事であれば――?)
ビスマルクは過去にチェックしていたWEB小説でもSNS炎上やコンテンツ流通に関する題材を用いた一次創作小説を見てきた。中には世界が異世界と言う物でもSNSを使っていれば――SNS炎上がどのような経緯で起こるのかを研究していた位のレベルでチェックしている。
ゲーセン入口の自動ドアが開くと、そこから見えたのは――ガーディアンの私服調査隊だった。数人単位ではなく、女性一人だけ――何を狙っているのかは分からないが、まとめサイト以外の情報がメインだろう。そして、覚悟を決めてビスマルクはその女性に接近し、事実を確かめようとする。
「貴方、ガーディアンの私服でしょ?」
目の前の女性はビスマルクの一言に対しておびえるような様子がない。向こうも敵とは認識していない様子だが――。
「まさか、あなたが動いているとは――ビスマルク?」
女性の方はビスマルクを知らないが、ある人物から情報をもらっていたので知っていたような雰囲気である。その証拠に、喋り方が想定した人物とは違う人物が接触して来たような物で、いわゆるマニュアル対応だ。
「答えてもらおう。七人の鍵の所持者、その正体と出現パターンを」
「直球な事を聞いてくるのね。目的は?」
「それをガーディアンに教える義理はない。こちらも独自で集めた情報はあるが、それが事実か知りたいだけだ」
「そこまで知っている人物に、教えるとでも?」
ガーディアンの言う事も一理あるのだが、それ以上にビスマルクにはある事情があって話せない事があった。他のまとめサイト勢力が大物と接触した事をスクープとして取り上げないはずがない。そうした事情を考えての事である。




