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ヴァーチャルレインボーファンタジー【小説家になろう版】  作者: 桜崎あかり


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9-3

・2021年8月22日

細部更新


・2023年5月27日付

細部調整

 草加駅近辺に出現したアルストロメリアは、明らかにここが『草加市』である事を把握していた。それもそのはずだろう。彼女の登場しているWEB小説の舞台が草加市なのだから。


 私服に関しては、さすがに首位とセンスが異なるように見えるだろう。しかし、草加駅にはコスプレイヤーもいるので、そこは問題じゃない。顔は隠していないので、周囲にも二枚目なのが即バレだ。黒髪のショートヘアにブルーライト対策のサングラスをしている。体格に関しては、周囲と比べてしまうとどうしても目立つ要素――ぽっちゃり気味である事だろう。


(なるほど。ここもさほど、変化はないようね)


 周囲を見て自分のいた世界と変化がない事にも驚いたが、それ以上に自分達の世界にはなかったようなARゲームがある事にも――少し関心を持っている。ARゲームがメイン題材なので、なければ思いつかないだろう――という認識の様だった。


(それに、ARゲームがヒットしている光景を見る限りでは――)


 周囲を見回した際、目に入った物がある。それは、あるARゲームのPVと言うべきか。そこには、様々なヒーローやヒロインが映し出されている。デザインは自分達の世界とは大きく異なるが、意匠としては似たような物かもしれない。


 ゲームジャンルとしては対戦アクションと言うべきか? 自分のいた世界ではジャンルとして盛り上がった物とは少し違う。画面やアクション、マップ周りを踏まえると――自分の世界におけるFPSやTPSと言ったカテゴリーかもしれない。


 類似ジャンルはあるかもしれないが、自分達のいた世界のゲームがそのままある一方で、そっくりとも考えにくいだろうか。その辺りは元ゲームの許諾が得られているかなどの細かな大人の事情も――否定できない。


「まっ、何とかなるでしょ?」


 アルストロメリアは、考えたって無駄だと悟って近場のARゲームフィールドへと向かう。草加駅からはわずか徒歩三分位の距離で発見出来たのも大きい。設置されているゲームは、入口を見る限りでは自分達の所と変わりなかった。


(設置されているジャンルの傾向は、さすがに違うか。流行のジャンルは変化していないとおかしいし)


 アルストロメリアは入店してから数歩ほどの場所に置かれたセンターモニターをチェックし、そこで自分のガジェットが使えるか試す。その方法とは、自分の上着ポケットに入っていたARガジェットをモニターの中央下にあるタッチスペースにスキャン――。


 数秒が経過し、画面には『ゲームデータが入っていません』と表示された。ゲームに使えなければ、エラーメッセージが出るだろう。つまり、ガジェットはそのまま使える事の証明だった。ゲームデータが入っていないが、自分のガジェットには別ゲームで使用したアバターパーツ等がある。そちらの方に関しても、失われている様な気配がなく――そのままあった事には驚きを隠せない。


(もしかして――使えるのかな)


 おっかなびっくりではあるものの、スキャンしてそのまま表示されている以上、不正ツール扱いにはなっていないのだろう。データを読み込めたのも何かの縁と判断し、アルストロメリアは自分の世界にもあったゲームに似た『ヴァーチャルレインボーファンタジー』をプレイする事にする。



 数分後、ゲーセンには何処から聞きつけたのか、様々なプレイヤーが集まり始めていた。入場制限を賭けるほどの数が殺到した訳でもなく――それなのに、SNS上で情報が拡散された訳でもない。


 これこそ、ARゲームの神髄と言うべきか。アルストロメリアも周囲の反応を見て、デジャブを感じる。


「あのプレイヤー、なかなかの実力だぞ」


「既に七人抜き、本当にプレイを始めたばかりなのか?」


「三人抜きした辺りで慣れて来たような感じだな。最初は動作も鈍いようだったし」


「アレで最初は苦戦したと言うのか? まるで、反応速度がプロゲーマー並だ」


「反応が異世界人と言う様なレベルだぞ。まるでアニメだな」


 ギャラリーの方も、観戦をしていて驚く者があった。今までのプレイヤーとは比べ物にならない新人ゲーマーが現れた、と感じる人物もいるほど。他のプレイヤーもセンターモニターでプレイを見ていたのだが、反応速度は先ほどまでのゲーマーとは比較不能という声もある。


(まさか、武装もそのまま使ってチート判定すらないとは)


 私服からARスーツを装着し、更には使用している武器類も向こうから持ち込んだ部類が多い。タイプは遠距離メインで、ビームライフルやホーミングミサイル、バルカンファランクス等と言った物を使っていた。


 それらの武器は周囲も見覚えがあり、自分の世界特有ではないとアルストロメリアは判断する。その上で、この武器類で勝ち星を増やしているのだ。


 アーマーデザインはミリタリー要素がありそうだが、ギリギリでSFテイストが比重としては多い。その一方で、ARメットは被っていないので――素顔があっさりと見えるような展開なのだが。


「次は誰が来るのかな? こちらも様子見はしているのだけど――」


 挑発と言う訳ではないが、この発言には周囲のゲーマーも乱入はしたがらない様子。このままCPU戦に突入するような状況だった中で、女子高生のような外見の人物が乱入してきた。彼女がガジェットをスキャンすると、そこに表示されたプレイヤーネームは――。


(魔法少女――? このゲームは何でもアリと言う事か)


 アルストロメリアのガジェットに表示されたジョブは魔法少女である事に対し、少しは驚いた。それでも最初にプレイした時のような大きなリアクションはない。乱入してきた以上は、全力で挑むのみである。


「あいね・シルフィード、この私がバトルを終わらせる!」


 アルストロメリアの相手、それはあいね・シルフィード、七つの鍵の持ち主だった。彼女の魔法少女としてのコスチュームを見て、ようやくアルストロメリアは自分が何処に転移したのかを把握する。


(これは退屈せずにすみそうかな)


 蒼流の騎士が何を言おうとしていたのかは分からないが、自分が退屈をするような場所ではない事は確かだった。そして、この世界ではARゲームが人気ジャンルであり、リアルのデスゲームが存在しない世界でもある事に。

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