第9話:SNS炎上阻止と、もう一つの可能性と
・2021年8月22日付
細部調整
・2023年5月26日付
細部調整
瀬川プロデューサーたちが、情報交換をしている一方で、蒼流の騎士こと団長は新たな鍵の所有者を呼びだしていた。実際に出現したのは草加駅近辺であり、想定していた場所とは異なる場所である。これには、さすがの団長も困惑していた。
「これはどうするべきか」
団長のいる場所、それは草加駅からも離れている県内某所――。合流するにも徒歩で十分位の時間はかかるだろう。私服姿で様子を見ている以上、下手に蒼流の騎士として動くのも他の勢力に動きを警戒される危険性があった。その為の私服姿で所有者を呼びだしたのだが、思わぬ所で失敗したという気配もする。
(やはり、ARアーマーを装備した状態ではないと機能しないのか)
ARアーマー特有の特殊能力やスキルの類は、やはりアーマーを装備しないと発揮されない。ガーディアンが回収した試作型もそうだが、この辺りは開発中と言うのもあるのだろうか? それとも、本当の意味で――。
「仕方がない、ショートメッセージを送るか」
アドレスを知らないのにメッセージを送れるのか――と最初は考えたのだが、ARガジェットには最初からメール機能は存在する。それを踏まえれば、団長が取ろうとしている行動も間違いではない。それでも実際にメールが送れるかどうかは別の話だ。向こうのガジェットがこちらの世界のARガジェットと機能が共通でないと――という条件は付く。
【君はアルストロメリアか?】
直球すぎる短文メッセージだが送信は出来た。団長もWEB小説原作で言及されているアドレスが使える、とは思っていなかっただろう。
【そうだ。確かにアルストロメリアだ】
メッセージは二分もたたない内に返事が来る。これには早すぎるとも思ったが、逆に合流場所を指定するにも――。
草加駅へ移動しようとした団長の目の前、信号機の近くにいたのは――案の定という勢力だった。
「こちらとしても、お前達にかまっている暇はない。むしろ、まとめサイト禁止条例を日本で適用した方が早い話だ――」
団長の一言、更に右手の指を鳴らしたと同時に道路のARゲーム用ガジェットハッチが開き、そこから出現したのは――無数のプレートである。しかも、そのプレートが瞬時に変形したと思った矢先――数十人以上いたと思われるモブ管理人は、あっという間に気絶に追い込まれた。
向こうが何かを言おうとしていたのだが、それを団長は蒼流の騎士の能力で一掃――これによって敵対勢力は全て片付けた事になる。彼らには何かされたのか気付かないようなスピードで、団長は蒼流の騎士の力を使用したのだ。
(残るはガーディアンか、それとも――秋葉原からの刺客か)
団長としては、これ以上の話の腰を折るような勢力が介入する事は避けたい。草加市もまとめサイト管理人を摘発していくスピードが上がっており、既に東京都を初めとしてまとめサイト管理人やアフィリエイト系サイトの管理人をスピード摘発している。
悲劇の連鎖となるようなSNS炎上は、これ以上避けるべきなのだ。やはり、SNSを使いこなす為のマナーを小学校ではなく幼稚園等の段階で行うべきだろう。そうした議論は――今回の事件に一切関係ない。だからこそ、団長は速攻でそうした勢力を片付けたのである。
「まさか、あの特撮作品をチェックしたのが正解だったという事か」
団長も蒼流の騎士の能力を把握した上で、今回の技を実験したと言えるだろう。蒼流の騎士は原作で能力を与えるだけではなく、自身も能力を発動できるのだ。しかも、見て知ったような技で再現可能な範囲の技を発動可能。さすがに記憶操作や洗脳等のような物騒な部類は使えないが、これらは草加市のARゲーム条例に引っ掛かる。
団長が再現した技はレッドカイザーとは別の等身大特撮シリーズ、それも劇中の中盤で登場する中間フォームで使用する技。
実際には無数のナノマシンが相手に取りつき、アーマー等を溶かしていくような技らしいのだが――。グロ演出になると、草加市だけでなく他もうるさくなるのに加え、他作品ベースの技と言う事もあってマニア等が指摘して炎上もあり得る。そう言った事もあり、そこは『ファンタジー』の力技で演出を省略した。これも蒼流の騎士の技の応用と言えるだろう。




