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ヴァーチャルレインボーファンタジー【小説家になろう版】  作者: 桜崎あかり


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55/112

8-6

・2021年8月21日付

細部調整


・2023年5月26日付

細部調整

 瀬川せがわプロデューサーの呼んだ人物、それはマルスと舞風まいかぜだった。舞風の方も、ナイトブレイカーの顔を見て驚きの表情を見せる。マルスの方は反応が薄く、むしろ彼が鍵の持ち主だった事を把握しているようでもあった。


 開発室では狭くなってきた為か、他のメンバーが揃った段階で瀬川は規模の大きな会議室エリアへと移動する。他の規模が大きい場所は使用中になっていた為、あいている場所を探した結果が会議室だっただけの話だが――。


 会議室に入って早々、瀬川は他のメンバーを設置されている椅子に座らせ、自分は備え付けの冷蔵庫からペットボトル飲料を取り出す。そのほとんどはスポーツドリンクだったが、冷えているのがそれしかなかった。仕方がないのでペットボトルの蓋をあけ、テーブルに用意したコップに注ぐ。


「やはり、おおよそは分かっていたのか」


 瀬川はマルス達の正体に関しても大体把握していた。舞風も既に分かっているし、それを踏まえて以前の提案をしたはずだったのである。おそらく、この場で鍵の正体とマルス達の正体を把握していないのは、マルス本人だけだろう。ドッキリの類ではなく、本当に周囲を見回してもマルスには何の事なのか――。


「鍵の性質を分かった上で呼びだされた可能性が高い黒のシュヴァリエ、ガングートは一番分かっていると思う――」


 舞風は鍵の正体をSNS上で知る事になったのだが、それを知った上で呼びだされたガングートと黒のシュヴァリエはこの場にいない。


「鍵に『願いをかなえる』というファンタジー自体がなかった。鍵の能力に関しては本物だがな」


 ナイトブレイカーの発言、それはマルスにとっては目的の否定にもつながる物だったが、当人は気付いていない。マルスだけが第一の蒼流の騎士に呼び出された人物であり、他のメンバーは団長が呼びだした人物だ。


(そんな、事が――?)


 叫びたい気持ちがありつつも、マルスは感情を押し殺して話を聞き続ける。瀬川もマルスの気持ちは察するのだが、ナイトブレイカーがこの場にいる理由は別にあった。


「鍵の能力は基本的に何でも出来るように見えるが、実際は違う。何にでも種と仕掛けはある物――」


 ナイトブレイカーが取りだしたのは、蒼流の騎士こと団長が所持しているガジェットと同じ鍵、カード型の物である。この鍵は変形させる事でセキュリティを解除、特定ガジェットでスキャンする事でARアバターに変身する事が出来るものだ。


「以前、舞風がバーチャルアイドル計画を持ちこんできた時を思い出して、他メーカーが新作を準備しているか検索した結果――」


 瀬川が用意したタブレット端末、そこに表示されていたのは一般ユーザーがARスーツを装着し、バトルを展開するARサバゲ―と呼ばれる物のロケテスト映像である。つまり、マルス達の正体はバーチャルアイドルと同じような存在だった。これには、ハヤト・ナグモは無言で頷く一方で――。


「中の人などいない!」


 マルスは何かを否定したいかのように叫ぶ。自分達にはスーツアクターや俳優、声優が中に入っている訳ではない。自分達も同じ人間であるのだ――と言いたそうでもある。しかし、その意見に否定的だったのは舞風本人だろう。


「私だって、それは否定したいけど――この世界でファンタジーはあり得ないの。全ては、種も仕掛けもある――」


「鍵を集めれば、あの浮遊大陸への扉が開かれる――そう信じていたのに、ここにきて全てを否定されるのか」


 初代蒼流の騎士の発言を鵜呑みにした結果、マルスは皮肉にもSNS炎上勢力と同じような存在になっていた。本当に信用出来るようなソースを否定し、まとめサイトや同調圧力、それこそSNS炎上をしようという人物の発言しか信じられない――。舞風も全てを話さなかった責任はあるのだが、それ以上にマルスの反応があまりにも――過去の自分と被る箇所があって、声をかける事も出来なくなっていた。



 沈黙から数分後、それを破ったのは意外な事にレッドカイザーだった。


『私は既にヒーローとして呼ばれたが、あくまでも呼ばれたのは――私だけだ』


 レッドカイザーは元々が変身ヒーローであり、変身者の青年も一緒に呼ばれていると他のメンバーは考えていた。しかし、実体化した際にもレッドカイザーのみであり、ARガジェット経由で実体化している事を踏まえると――彼に関しては電子生命体的な存在かもしれない。


「確かに、それは自分も思っていたわ。本来のマルスはマイアも一緒に――」


 マルスの方を振り向き、舞風は発言するのだが――その表情は落ち込んでいる様な顔だった。その為なのか、全てを言う事はなく舞風は途中で発言を止める。今のマルスに言ったとしても、聞き入れられるかは分からない。


「ある程度の設定改変はあるだろうが、基本はそのまま。その証拠が、僕のヌァザな訳ですし」


 ハヤトはヌァザの事を引き合いに出し、ある程度の設定は変わっているかもしれないが、基本は変わっていない事を説明する。しかし、それでもマルスの表情は――。

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