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第8話:その名はアルストロメリア

・2021年8月21日付

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・2023年5月26日付

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 この日はあいにくの小雨が降る空、時期も六月上旬である。あいね・シルフィードの一件は、様々なサイトで取り上げられるようになっていた。その証拠に動画サイトのニュースでも二、三日の感覚で新しいニュースが出ていた位だからである。それがゴールデンウィークから五月末日まで続いていた。


 一部に関しては炎上目的の釣り記事やフェイク記事、中にはバズる事を目的とした内容がコピペレベルや文字数の少ないような物まで散見される。


「あの一件から、ここまで規模が大きくなるとは――」


 蒼流の騎士こと団長、彼はガーディアンを離脱、独立勢力としてガーディアンに抵抗していた。ガーディアンが蒼流の騎士を指名手配した訳ではない。コレには別の理由があるようだが、公表はしていなかった。彼は私服姿でテーブルに置かれたノートパソコンの前におり、そのパソコンにはあるサイトに関係したニュースが載っている。


 ニュースの内容は一連のまとめサイト運営で莫大な利益を稼いでいたという人物が脱税で逮捕――と言う何と言う事のないニュースだ。しかし、団長はこのニュースを見て何かを察していたのである。


(こちらに対して、何かのメッセージを伝えようとしているのか? もしくは――)


 こちらが使用出来る手駒も少なくなっており、アバターは呼び出せても最低一人が限界だろう。それ位にサーバー負荷と言う意味でも、今回の事件は想像以上だった。まとめサイト管理人は、ARゲームで使用されるサーバーと言う存在に目を付けたのかもしれない。


 ARゲームで使用されるタイプは、一般的に使用される物とは違って耐久力が高いものだ。ARゲームと言う大規模データを扱うゲームには、このレベルのサーバーが必須なのだ。一般人がパソコンで使う様なハードディスクレベルでは、アバター一人を動かすのがやっとのレベル。明らかに容量不足と言えるだろう。


(笑い話だな。草加市で展開する異世界ファンタジー、それが蓋を開ければSFチックなシステムを使うとは――だれが思っただろうな)


 団長は改めて自分のやろうとしている事に対して笑うしかなかった。ガーディアンの女性からもブーメランと言われているのだが――。そして、彼は覚悟を決める事にする。WEB小説サイトを検索し始め、それにふさわしい一人を見つけ出す事が必要だったのである。


(そう言えば、ビスマルクが言っていたな――)


 少し前、団長はビスマルクに遭遇していた。この時はコンビニで弁当を下位に行こうとも考えていた所で、偶然会ったとも言えるだろう。ビスマルクの方は気になるアニメ作品のグッズキャンペーンをコンビニでやっていたので、そちら目当てかもしれないが。


『草加市で起こった事件は、全てWEB小説にも記載されている。それを予言と思って、炎上させるような連中もいる』


 ビスマルクの実体験なのかは分からないが、深くは詮索しない。この発言の後、ビスマルクは目当てのグッズを手にしてコンビニを後にしたからだ。何を手にしていたのかはちらりとしか見ていないものの、クリアファイルに見えたのは間違いない。



 時間は六月一日までさかのぼる。五月の敗戦から、黒のシュヴァリエはARバトルからは若干離れた位置にいた。ARゲームの情報やニュースは、センターモニター上の話題のみしかチェックしない。まとめサイトを見ても、同じ事になると断言できたから。


 あいね・シルフィードの発言を聞いて――気力を失った訳でもないのだが、それでもバトルに積極的な参戦をしようとも思わない。現在のシュヴァリエは何時ものパーカー姿からは離れ、お値段以上な洋服店でいくつか服を購入し、それを着こなしていた。


 ただし、服のセンスは――お察しである。単純にゲーム中で着ている服とは別のカラーにしただけかもしれないが。お金に関しては、シュヴァリエのガジェットにチャージされていた電子マネーが使えた。ARフィールドでも電子マネーが使えたのは偶然だろうか?


 七つの鍵の力が消えている事もあり、鍵の力ではないと分かるだけだ。それ以上を考えるのが無駄なのだろう。


(やはり、力は消えている。なのに――どうしてだ?)


 あいねに敗北し、そこでゲームオーバーになるとシュヴァリエは思っていたのである。あいねの両手は震え、立ちつくしていた――その場面で、シュヴァリエはログアウトし、そのままARフィールドを後にした。


(だが、これは逆に――)


 今回の一件を好都合とは考えていない。むしろ、鍵を失ったのに消滅しないのには理由がある。それこそ、鍵を失って次に負ければ完全消滅――とも。実際に消滅するかどうかも蒼流の騎士は語らなかったからだ。


 実際にどうなるかは不明だが、あいね戦での敗戦は間違いなく彼にとって心に傷が出来たのは言うまでもない。

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