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ヴァーチャルレインボーファンタジー【小説家になろう版】  作者: 桜崎あかり


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35/112

5-7

・2021年8月20日付

細部調整


・2023年5月23日付

細部調整

 ガングートと遭遇した四人とレッドカイザー、まさか目の前に姿を見せた人物が七つの鍵の英雄とは予想しなかっただろう。そして、彼女は四人を見て何かを言いたそうだったが――しばらくして周囲の様子を見た後、ある言葉を残す。


「蒼流の騎士を信用するな。あいつの目的は、そこまで大層なものじゃない。さすがに、まとめサイトと同じかと言われると――疑わしいが」


 彼女は蒼流そうりゅうの騎士を信用している様子がなかった。そして、瀬川せがわプロデューサー達に警告をしたのである。敵意がないのは把握しているつもりのようだが、発言からはあまり読みとれそうにない。


(明らかに、彼女は――)


 腕が未だに震えているのは、舞風まいかぜである。彼女は、いまだにガングートが目の前に現れた現実が受け入れられない。実際にガングートも蒼流の騎士によって現実化したというのであれば、自分も被害者なのではないか――と。



 瀬川は様々なデータを踏まえ、ある決断をする事になった。ゴールデンウィークが過ぎた五月一〇日の出来事である。


「バーチャルレインボーファンタジーを我々で何とか出来ないか、運営側に説得を行う」


 ゲームメーカーの会議室における瀬川の発言、周囲にいたスタッフからも反論が出ると思われたのだが――。


「潰すと言いだすと思いましたよ」


「ライバルゲーム作品に勝つ事は重要でしょうが――」


「利益至上主義では、他社のやっている事と変わりない。それでこそ瀬川さんですよ」


「しかし、運営サイドに問い合わせるにしても問題があるのでは?」


「あれがARゲームなのかも問題があります。まずは、そこを調べるべきでは?」


 瀬川の性格的に他社ライバル作品を『潰す』事はしないだろう。それを踏まえると、この反応になるのは当然だった。まとめサイト勢力とは対応の差が大きすぎると言うべきか。


「しかし、メーカーがどこなのか調べても知らない名前が出てくる。大手メーカーではないのは確かだが」


 瀬川は調べたサイトのデータをスタッフたちにも見せると、そこから男性スタッフの一人が思い出したかのように――。


「それって、同人サークル名では? 確かに即売会で見かける大手ではないようですが」


 そのスタッフは、ヴァーチャルレインボーファンタジーが実は同人作品である事を指摘する。そして、そのゲームが実際に販売された実績もない事も言及した。つまり、このゲーム自体は表向きにはサービスすらしていないゲームと言う事になるだろう。



 その日の午後、メーカーの緊急会議も終わり、他のスタッフはそれぞれのゲームの部署へと戻る。瀬川の方は、別のスタッフにハヤト・ナグモのように問い合わせようと考えた。


「そういえば、あのガングートって、何者なの?」


 会議室にはいなかったハヤトの一言も正論だ。瀬川はあの時にガングートの名前も上げていたのである。しかし、その時は異世界転移物ではないと言う事で却下、候補からは外されていた。


「ガングートはあのドールを操っているプレイヤーの名前だ。彼女を中心に、SNS炎上を企むまとめサイト勢力を――?」


 瀬川が説明しようとした矢先、突如として瀬川のスマートフォンが鳴りだした。普通の着信音なので、通知されていない人物だろうか。そして、その着信を取ると――予想外の人物からの連絡だった。


『先ほど、君宛にメッセージが届いていた。映像によるもので、どう考えても動画サイトのURLにも見えなくないが――』


 電話主は会社のスタッフで、メールを検索していた際に瀬川宛の物を発見したらしい。一種のスパムメールであれば中身を見ることなく削除しようとも考えたが、内容が内容だけに相談が必要と判断したようである。



 その内容は明らかに一方通行系の動画だったのだが、そこに映されている人物は何と――。


『初めましてと言うべきかな。瀬川プロデューサー』


 動画に表示されていた人物、それは明らかに蒼流の騎士だ。外見は小説版をベースにした方なので、報告例がある便乗犯とは違うようだが。


『手短に用件だけ話しておこう。草加市に浮かぶ七つの浮遊大陸、あれはARで表示されている物だ』


『そして、おおよそは予想できているだろうが――あれはヴァーチャルレインボーファンタジーに登場する大陸と言える』


『しかし、ヴァーチャルレインボーファンタジーは君たちが考えるような作品とは全く違う』


『企業主導型のタイプではなく、どちらかと言うとユーザー主導型。草加市で行われている一部ARゲームともシステムが類似する』


『それでも、この作品が他の作品と決定的に違うのは、本来の作られた目的だろう』


 次のメッセージが最後のメッセージであるのだが、それと同時に瀬川が予想もしないような発言でもあった。


『あれは企業が出そうとしていた企画書案、それをベースに同人サークルが作りだした――二次創作だ』


 このワードが出てきた事に対し、瀬川はますます詳細が分からなくなってきた。二次創作であれば、メーカーが下手に動けば彼らの活動を縮小させてしまう危険性だってある。最初から一次創作で活動すれば――という声もあるかもしれないが、この辺りは複雑な事情もあるだろう。


「引っかかる物があったが、そう言う事だったのか――」


 動画サイトで様々な考察動画がアップされている状況を見て、その中のコメントで散見されていたワードこそが二次創作だった。つまり、これは最初からある特定の英雄だけをセレクトして呼び出し、一次創作よりも二次創作が――と言う様な状況を生み出す為の舞台ではないか、と。

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