表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
106/112

第16話:可能性を信じて

・2021年8月26日付

細部調整


・2023年6月3日付

細部調整

 浮遊大陸の正体、更に言えばこの世界の正体を話したアイオワと言う人物、彼女が何者かはどうでもいい。マルスの正体が二次創作メアリー・スーというSNSの闇と言うよりも、一次創作にとっては逆の存在だった事も驚きである。


 ネット喫茶を出る三人に対し、アイオワは敢えて呼びとめる事はしないのも――。一応、少し話を聞いてから、舞風まいかぜ、団長、マルスの三人は元のフィールドに戻ってきた。


 戻ってきて早々、遭遇したのはレッドカイザーである。これには別の意味でも驚きなのだが――それ以上に、彼の発言が衝撃を呼ぶ。


『襲撃しているのは違う勢力――おそらくは、勢力とすら呼べない存在だろう』


「えっ? それって、どういう――」


 舞風は目が点になりそうな表情で、レッドカイザーの発言を流そうとする。


「勢力とすら呼べない。何となく読めてきた」


 一方の団長は、アイオワの話を理解するのには困難を極める所もあったのだが、これはあっさりと状況を飲みこむ。この辺りはガーディアンとしての勘と言うべきか。


(おそらく――目的は自分か)


 マルスの方は何となく自分がターゲットである事を察する。正体に関して向こうも知っている以上、マルスに対するアンチ勢力や作品批判目的の人物が手を組み、マルスを再び炎上させようと言うのだろう。これでは同じ事の繰り返しで、やっている事は――。


(結局、深層WEBを説得しても同じだったか)


 深層WEBの正体がアイオワだったのかは分からないが、向こうとは介入しない事で決着はしている。しかし、彼女は――。


『これだけは言っておくよ。自分は不干渉に変えたとしても、他の深層WEB全てが同調するとは思えない。彼らとて、物語の登場人物だ』


『それぞれの作者の主張やテーマ、その他題材の事情もある以上、損得勘定で動くかもしれないし、別の目的で動くかもしれない』


『全ての物語が同じような題材を使っていても、作者がどう書くかで物語は異なる。それだけは忘れるな』


 アイオワは何を言いたかったのかは分からない。一方で、その発言を聞いた舞風は安心したような表情をしていた。



 ARフィールドスペース周辺、そこには数人のSNS炎上勢力が迫っている。もはや猶予はないという感じだ。しかし、その炎上勢力もビスマルクが一蹴するが、所詮は炎上勢力と言っても裏バイトで雇ったバズり目的の一般人に過ぎない。もはや彼らの戦力は低下の一途をたどっていると言っても過言ではないだろう。


 その上で挑む相手が悪すぎた。SNS上の拡散している情報を鵜呑みにして、炎上に加担しているバズり目的のユーザーを思わせる。これに関しては、バトルをしている他の鍵の持ち主やビスマルクも把握しているはずだろう。


「あのゲーマーも偽者、これも偽者――何を信じればいい?」


 黒のシュヴァリエが乱入してくるプレイヤーを次々と撃破していくが、大した実力がない事に違和感を覚えた。物量戦をやるのであれば、それなりの実力者等をそろえるはずなのに――それすらしていない。炎上勢力とは名ばかりの別勢力と言う可能性も否定できない状況になっている。


「信じる物――それはバズった記事に同調してくれるユーザーに決まっているだろう」


 対戦相手のプレイヤーが黒のシュヴァリエの疑問に答えるが、それは答えにもなっていない。ベタな回答と言うよりは、炎上させる為のつぶやき狙いの挑発だろう。民度の低い話に同調するほど、彼は甘くはなかった。


 かつて、それが原因で自分が行うべき目的を見失い、最終的にはあいね・シルフィードに敗北して鍵を失う。それでも鍵の力を失いつつも具現化が続いているという事は、鍵その物にそうした力がないという証拠だ。つまり、鍵と言う存在自体はSNS炎上をさせる為にまとめサイト勢力が用意した物――そう考えると矛盾はない。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ