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能力ガチャを引いたら、武器ガチャが出ました(笑)  作者: 通りすがりの医師
第三章 異世界人と交流を深めろ
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#86 魔王と帝国とエルフ

 リールとエバーグリーンは終始真剣な顔で話し、しばらく――十五分くらい経った頃、終わったみたいだ。


「聞きたいことは大体聞けた。私は王国へ戻るとする。君はどうする?」


 先に俺の方へ来たのはエバーグリーン。話し終わったら即帰宅かよ、ストイックな。

 『どうする?』ってのはまぁ、俺を見つめてるリールについてのことだと思うが、


「あの子と少し話すさ。だがその前にエバーグリーン、俺はエルフとの仲を取り持ってやったよな。()()()だけでも教えてくれねぇか、今の話をよ」


「君はやはり面白い奴だな。ジャイロの件を水に流して、こっちの話で恩着せがましくするとは――」


 本来貸し作って恩に着せるなんて、やりたくない派の人間だ。でも魔王とかの関係の話は、俺にとっては珍しくめちゃくちゃ興味が出てくるようになった。知りてぇんだよ。

 あと『帝国』ってのも、まだ何かよくわかってねぇしな。



「そんなに知りたいのか? 関わらない方が幸せだ、とは忠告しておいたのだ。覚悟しておけ――――魔王が復活したのではないか、という話だ」



 この話は聞き覚えがある。そうだ、ルークがレストランで話してた内容だな。

 聞きたいのはもっと深い部分で、


「それと帝国ってのにどんな関係が?」


「帝国とは『ムーンスメル帝国』のこと――サンライト王国の敵対国だ。魔王が封印される前、帝国は魔王と同盟を結び、領地拡大・物資奪取のために我が王国を滅ぼそうとしたのだ」


「敵対国、ね」


 魔王と同盟を結んだだと……マジか。なんてエグいことしやがるんだよ、その敵対国はよぉ。


「そう。そして――ここ最近魔物の数が増えている他、三週間と少し前に突如『最強の魔物』ドラゴンが国を襲いに来たりと不穏な事件が頻発している」


「その辺はちょこちょこ聞くな、俺も」


 魔物が増えてる話は、これもレストランでのルーク情報。ドラゴンの話はレオンとアーノルド情報だな。

 俺ってば軽く受け流してたが、重要な話ばかりだったんじゃねぇか。


「私が魔王を倒した後、封印した場所――それはムーンスメル帝国の地下なのだ。まさか復活するとは思わず、加えて当時は考える暇も無かったが――復活したら、帝国の王が再び魔王と同盟を組もうとするのは容易に想像できる」


 だからドラゴンも魔王=帝国の王が仕掛けたんじゃねぇかって話なんだな。これで色んなことが繋がったぜ。


 俺が転移してきた最初の日、レオンはかなり俺を遠ざけようとしてたんだよな。「帝国の者か!」とか言って。次の日もウェンディに殺されかけたがあの時も帝国の話が出てた。

 こりゃあ直前にドラゴンが王国を襲おうとした――つまり帝国が吹っ掛けてきたばかりだったから、警戒レベルを上げてたんだ。


 俺、タイミング悪すぎねぇか?


「おっと、『さわり』だけということだったのに話しすぎてしまったかな……」


「じゃあその勢いのまま言っちまってくれよ、なんでエルフに魔王復活のことを聞きたかったのかを」


 真っ赤な髭を整えながら切り上げようとするエバーグリーンに対し、俺はさらに畳み掛ける。ここを逃しちゃあ疑問が募るばかりだぜ。


「ふ、まぁ簡単な話。ムーンスメル帝国の近くにも、別のエルフの村があるのだ。エルフにはエルフの情報網があるだろう。それだけだ」


「なんだ。本当に簡単だったな」


「しかし何故、魔王が復活できたのかまでは判然とせんな。さらにもう一つ問題なのは……」


 何か思うところがあるのか急にエバーグリーンが口ごもる。が、直後にもごもごと話を始める。



「リール殿によれば……空が、闇に……これは十年前よりも強く……いや、いやいや何でもない。何でもないぞ! さっきのは嘘で問題など無い!」


「はぁ?」



 もごもごし過ぎて全然何言ってっかわかんねぇ!? なんか一番重要そうだった気がしなくもないんだが……

 リールの話を聞いたエバーグリーンは、なんとなく『魔王が復活』した事実を確信したように見える。魔王が悪い存在ってんなら、またこいつは戦うつもりなのかな?


「はぁ、はは。話し過ぎた。すまないマコト君、巻き込むつもりはなかったんだ。今の話は口外しないでくれ。そして、忘れてくれ」


 誰にも言うつもりはねぇけども、忘れるってのは正直言って無理な話だ。だってこんな超重要事項、どうしたって忘れられねぇし。


「私は王国へ戻る。案内助かったぞ。君は急ぐ必要はないのだ、好きにするといい」


「おう」


 背を向けて森の出口へ向かっていくエバーグリーンを見届け、俺のことをずっと見ていたリールと視線を合わせる。


「じゃ、ちょっと話すか」


 結果的に彼女をずっと放置しちまっててバツが悪かったんだが、リールは全く気にしてないようにニッコリ笑ってた。


「……ええ!」

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