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能力ガチャを引いたら、武器ガチャが出ました(笑)  作者: 通りすがりの医師
第三章 異世界人と交流を深めろ
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#80 門番コンビとの再会

 ……俺、行く先々でいつもドギツい目にあってねぇか? それとも気のせいか?

 頭の中を愚痴がぐるぐると巡る、そんな中俺はサンライト王国の門に到着。もう空が茜色だぜ、やっと帰ってこれたよ。

 門の両サイドにはいつも通り、二人の騎士。


 しかし右側にいる、坊主頭で恰幅のいい四十歳くらいの騎士。そいつが俺を見るやいなや、


「あっ、お前」


 なんて言ってきやがる。誰だこいつ、と思いつつ無言でポケットに手を突っ込んで国民証を探るが、


「マコト・エイロネイアーだろ。入っていいぞ」


「は? 俺のこと知ってんのか?」


「知ってるも何も……この俺がお前の顔を忘れるわけがない」


 何言ってんだこいつ。俺はこんな男に見覚えはなくとも……その覇気のない声は、聞き覚えがあるような……?


「俺も、あんたの肘打ちは鮮明に覚えてます」


 今度は左側にいる、シュッとしてて元気そうな若い騎士が口を開いた。肘打ちって何の話だ。俺、騎士に肘なんか入れたこと――あっ。


「お前らレオンとアーノルドだな!?」


「気づくの遅ぇよ!」

「気づくの遅くないっすか!?」


「いやこれ無理ゲーだろ!」


 今日この二人は頭に装備を付けずに警備してるが、顔が見えようが見えまいが判別できねぇよ。見たことねぇんだから。



▽▼▼▽



 要するにこいつらは、転移してきた初日に門の前で戦った二人の騎士だ。


 俺を抱えて森に捨てようとしたアーノルドには、確かに肘打ちしたな。

 「帝国がどうのこうの!」って言いながら俺を斬り殺そうとしたレオンには、胴に二度ほど蹴りを入れたような。


 んで、二日目だっけか。ウェンディと一緒にゴブリン討伐に向かう時の門番も偶然こいつらだった。この時わかったポイントは、声、だな。

 兜を付けてた二人だが、声は前の日に聞いたばかりだったからすぐ判別できたってワケだ。


「んー、今回は随分と久しぶりだからな。声すら忘れてたぜ」


「相変わらず失礼な奴だ……」


 並んで歩きながら、呆れたようにため息をつくレオン。ちょうど門番を交代する時間だったらしいレオンとアーノルドとしばらく喋りながら城へ向かうことになったんだ。

 なんで城かっつーと、エルフの村の揉め事を終わらせてきたって報告しなきゃいけないからだ。


「にしても、不審者でしかなかったお前が――まさか王様や団長なんかと話すくらいまで大きな存在に」


「そいつらとは『話した』というより『揉めた』だな」


「王様と揉めるなんてことも、民間人じゃありえんだろうが……」


 また呆れたようなため息。なんかため息ばっかりだし、目の下にクマとかできてるし、レオンはストレス過多の苦労人っぽい雰囲気がする。理由は知らんが。


「でもマコトさん"ジョーイ"を倒しただとか、Bランク冒険者のブラッドを子分につけてるとか、色んな話を聞きますよ! 『英雄』とも呼ばれたそうで。かっこいいっす!」


「ああ、そんな時期もあったな。今はあんまり呼ばれねぇけど」


「しかしあの時ルーク氏が来なかったらと思うと……運命っていうのは存在するんですね!」


 アーノルドは心なしか目をキラキラさせてるように見える……見えるが、なんか仕草やセリフに無理があるような? 言葉を絞り出してんのか?


「あー、お前ら……あの時は迷惑かけたな。蹴ったり殴ったりな」


「そりゃお互い様だろ。俺達もお前の格好が珍しいからってやり過ぎたよ」


「レオン先輩の言う通りです。それに忘れませんけど、気にはしてませんよ」


 よかった、二人ともそこまで後を引くタイプの人間じゃなさそうだな。もしかしてこの世界で後引くのって俺くらいか?


「ところでマコト、お前今いくつだ?」


「四十ってことにしとくぜ」


「なんだそりゃ。だとすると俺と同い年だな」


「同い年……そうか同じ歳って他にいねぇな」


 最近どっかで触れたような気がするが、俺の周りには若者ばっかりだ。だがレオンが四十歳なら、割と気が合ったりすんのかな。


「それが俺もなんだよマコト。見ての通りアーノルドは十八、ジャイ坊は十九だ。一応団長も五十一で、歳も立場も俺より上。同期も戦死してたり騎士団辞めてたりで、半端なベテランだと気軽に話せる奴がいねぇんだ」


「難しいポジションだな、なんか」


 ちょうど中間にいるのって大変だよな。てかジャイ坊ってジャイロか? さすがは騎士団長の息子。そんなあだ名付けられて、可愛がられてんだな。


 だが別の疑問が。ベテランのレオンが、なんでアーノルドみたいな若くて新人っぽいのといつも一緒にいるんだ?

 と、そのまんまレオンに聞いてみたところ、


「それは……まぁ、ちょっとした事情がな」


 なんで答えねぇんだ? と思ってレオンの方をよく見てみると、首になんか傷っぽいのが見える。傷跡はまだ下まで続いてそうだが、鎧が邪魔で見えねぇな。その傷が理由に関係あんのかな。


「そろそろお城に着きますよ」


 そんな報告をするアーノルドは、今の話にあんまり興味なさそうだ。まぁ城が近づいてるってのは本当だが。



▽▼▼▽



 三人で城の前までやって来たが、門の前にはなぜか魔術師団長マゼンタが立っている。


「うふふ、おかえりなさい。今日中に帰ってくると思ってたわ」


「ずっと待ってたのかよ……とにかくエルフの件はもう大丈夫。少なくとも、向こうに戦争するって意思はねぇようだし」


「じゃ、その旨を王に報告しとくわね――それからエバーグリーンさんがあなたを呼んでたわ」


 は? 王様に呼ばれて、その件をやっと片付けたところだってのに、今度は騎士団長に呼ばれんのかよ。参ったな。


「『あの男がもし無事に帰ってきたなら、私の所に来させろ』ってね――あら、ちょうど騎士さんがいるのね。お友達?」


「まぁちょっとした知り合いってとこだな」


「お初にお目にかかりますマゼンタ・スウィーティ様、騎士団所属のレオンと申します」

「……? あっそうか……アーノルドです。どうも」


 膝をつくレオン。喋り方は気が強そうな感じだが、なんかルークにもかなりペコペコしてたっけ。

 ってかアーノルドもレオンに続いたが、お前それ……大丈夫なのか?


「レオンさん……聞き覚えがあるわ、確かドラゴンに――」


「ええ、そんな事もありました」


 レオンは苦笑しつつ掌を向けてマゼンタの言葉を遮る。彼女は一瞬驚いたようだが、すぐにいつもの微笑み顔に戻った。

 ドラゴンってあのドラゴンか。この世界でも見た目とか同じだよなたぶん。傷とかも関係あるかもしれんし、レオンはドラゴンにトラウマでもあんのかな。


「それじゃあレオンさんアーノルドさん。マコトさんを騎士団の領地まで連れて行ってあげて。お願いね♡」


「「はっ」」


 エバーグリーンとは険悪な雰囲気のまま終わっちまったからな……いったい何されるんだろう。

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