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能力ガチャを引いたら、武器ガチャが出ました(笑)  作者: 通りすがりの医師
第三章 異世界人と交流を深めろ
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#67 オーク事件鎮圧

マコト「チョコが貰えない? はっ、くだらないね! この駄文でも読んで気分を落ち着かせろ!」

プラム「強引すぎない!?」

「キャーッ!」

「うわあああ!」


 おおう……体中痛ぇ。オーク何体いたんだよこの部屋……

 やべぇな。今の悲鳴を聞くに、出ていったオークどもはもう客と鉢合わせてるらしい。


「〈アイス・ウォール〉!!」


 今のはルークの声か? とにかく俺も戻らねぇと、あいつら逃がしたら街が大パニックになるぞ。

 なんとか立ち上がって廊下を走り抜け、ルーク達の元へ到着。


「うお、氷の壁か」


 到着しようと思ったが、ルークの作り出した壁がオーク(と俺)を通せんぼするようにそびえていた。

 だがまずいな……大量のオークに攻撃されて亀裂が入り始めてるような。


「なんですか、この数は……マコトさんそちらにいますか!?」


「いるぞ!」


 かかってきた一体のオークを殴り飛ばしつつ答える。


「お客さんの避難は完了しましたよ!」


「わかった、じゃあ壁で止まってるうちに俺がこいつらを」


 ガシャン――!


 モタモタしてたら壁が壊れた。ダメだ、このイノシシ野郎どもルークやジャイロを押しのけてだいぶ店の外に出て行きやがった。

 クソ。店内じゃ戦いにくいから、表出たほうが結果オーライなのか? 俺も行かねぇと。


「あ、マコト傷だらけ……大丈夫?」


「お!? おぉ、プラムか」


 プラムは今まで座っていた席に身を丸くして隠れていた。俺を心配する気はありがてぇけど、


「そういうのは後な。じっとしてろよ」



▽▼▼▽



 慌てて店の外に出たが、すぐそばにルークが立ってる。彼が杖を振ると、向かってくるオークが地面から生えてきた氷のトゲで串刺しにされた。


「さっさと全滅させねぇとマズイよな」


「ええ。民間人に被害を出す事だけは避けませんと」


 と言って、もう住民を襲おうと追いかけてるオークも散見できるぞ。俺も動かねぇと、と思い武器ガチャ発動。


「これは……ジャパニーズ手裏剣だな」


 左手に十枚セットの手裏剣が生み出された。頭に流れ込んでくるイメージのままに、それを右手でスライドさせて飛ばしていく。


「フギッ!」

「ゴォ!」


 オークが相手じゃ殺傷力はねぇに等しいが、刺さるとダメージはあるし、足なんかに当たるとスッ転ぶな。

 で、転んだオークにルークが風の刃でトドメ。


「……しゅりけん、ですか。見たことないけど僕も使いたいですね」


 俺の出した武器は俺の手から離れると消えちまうから、人に使わせることはできねぇ。ルークには悪いが……


「こんな感じですかね」


「えっ!?」


 断る・断らないの問題じゃねぇなこれは。ルークは空中に氷の手裏剣を何十枚か作り出し、杖の一振りで全て発射。


「フギャアァ!」

「ギィ!」

「ギャア!」


 勢いに風の魔法を足してるっぽく、威力は凄まじい。それに命中率も神がかってる……ルークって俺の上位互換じゃないよな?


「あっ」


 今の手裏剣騒ぎでかなりオークが減ったけど、まだまだ元気のいいヤツが結構いる。

 俺が目にしたのは、か弱い母娘を追いかけて路地へ入ろうとするオークだ。助けに行かねぇと、と走り出すも、


「安心してください。()が先回りしてますから」


「彼って……」


 異常なくらい落ち着いてるルークだが、その答えは聞くまでもなく、


「うおらぁ!」


「フゴ」


 ジャイロが路地の中から飛び出し、オークにショルダータックルをかました。あいつ今日は剣持ってねぇけど、やっぱそもそもの身体能力が高そうだ。

 仰向けに倒れたオークに向かって飛び上がり、炎の拳で頭部をぶっ潰す。


「どんどん行くぞこの野郎どもがァ!」


 叫びながら駆け出したジャイロは向かってくるオークに突進、その体を抱えて持ち上げつつ近くの壁まで走り、叩きつける。

 そのオークをさらに後ろに投げて地面に引き倒し、回転しながらのかかと落としでフィニッシュ。


「キャー! ジャイロ様お助けを!」


 今度は若い女が追われてるな。

 その声に反応したジャイロと、他のと戦ってたら偶然近くにいた俺が、追いかけてるオークに迫っていく。振り向くオーク、


「「はぁッ!」」


 俺は飛び上がって顔を、ジャイロは燃える足で腹を同時に蹴り飛ばし、一発、いや二発KO?

 着地した直後、相棒と一瞬顔を見合わせるも言葉は無かった。


「今ので全滅ですかね」


 後ろからそう言ってきたのはルーク。あいつはまだ『ロデオ』の入り口付近にいるが――


「ルークおい! 後ろだ!!」


 店の中から、つまりルークの背後から静かにオークが迫る。が、


「マコト、あいつの心配なんかしなくていんじゃね?」


 走り出す俺が緊張感の無いジャイロをさすがに怒ろうかと思ったその時、


「ふっ……!」


 ルークが滑らかな動きで身を回し、すぐ後ろのオークの首の辺りに強烈な蹴りを入れる。ゴキッと痛ましい音が鳴ると、オークは泡を吹いてその場にぶっ倒れた。

 まさかの『ヒョロ青髪』は杖の先端に氷を張り、槍のような形状にしてオークの頭部に突き刺した。

 これでたぶん終わりだな。


「おいおい、近接もいけんのかよ」


「まぁ多少は」


 確かに心配はいらなかったらしい。

 そんな俺を見てジャイロが『ほらな』と言わんばかりに手を腰に当てて肩をすくめる。


「店内のプラムは無事みたいです」


「そりゃよかった。オークの死体処理は近くにいた騎士にオレが伝えといたぜ」


「なら残った問題は……ロディだよな」


 店の中にオークがこんな数いるなんて異常だ。ロディが関わってないわけがねぇ。



▽▼▼▽



 三人で店内に戻るとプラムが駆け寄ってきて、ルークの指示で外へ退避。厨房からはロディが出てきて、


「す、すみません。調理中で気づかなかったんですが、何が起きたんですかね?」


「とぼけんなよ料理長」


 今となっちゃ白々しい態度のロディに俺が返答。


「あのオークは、なんだ。どういうことなんだよ」


「……チッ、バレたんならしょうがねぇ」


 一気に悪人面へ豹変したロディは、熱々のフライパンらしき物をチラ見する。

 ガスコンロとか、ましてやIHなんかこの世界にはねぇから『火の魔石』とやらで熱してるとか言ってたが……あのフライパン手に取ったら普通に凶器じゃねぇか。


「てめぇ何する気だ!」


 俺と同じことを予感したのか、ジャイロが拳を振りかぶりながら飛び込む。だがその一撃は躱され、


「どうっ……」


 逆にロディの重そうなパンチが腹に突き刺さる。ジャイロは吹き飛ばされ、客席に突っ込んだ。


「まさか脳筋くんが……思ったより厄介そうで」


 未だに冷静ながらルークも戦闘態勢。ロディもさっきのフライパンを握り、迷わず突進を始める。氷のトゲが床から生えてきてロディの足を狙うが、


「ふん!」


「うわっ……」


 フライパンで迫るトゲを壊しちまって、そのまま突っ込んでルークを窓の外へ吹き飛ばす。もちろんガラスを破ってな。


 ……ちょっと待て、こんな強いの?


 二人とも致命傷ってほど痛めつけられてはねぇが、化け物みたいに強いあの二人を吹き飛ばすだけでも異常だろ。

 とりあえず、こいつは戦闘不能にしないといけねぇし……俺もやるんだよな。


「じゃあいくぞ!」


「ぬぅお……」


 振り向くロディの顔にパンチを一発、二発と入れ、最後に腹をキック。ヤツはのけぞって後ろの壁にぶつかる。


「……このヤロ!」


「ぶはっ」


 だが『割とイケる?』と油断した俺はぶん殴られた。うつ伏せに倒れ……そうになるが、両手をつき、すぐに立ち上がる。

 自分が優勢だからと余裕の表情をするロディは、そのデカい体で俺を見下ろす。


「オーク肉は美味かったか? デザートはいるか?」


「いいや、精算の時間だ」


 まだまだここからだがな。

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