#65 魔物の背中産キノコ?
例のレストランが見えてきた。ロディは今日もバタバタしてんだろうなぁ……食事する気はないが。
「そうだマコト。この店の名前知ってる?」
「知らん」
「じゃあアレ読んでみてよ、腕試しで」
店の前にある看板を指差して、話しかけてきたのはプラム。
――実は俺は、密かにプラムからこの世界の文字を教えてもらってんだ。
だがギルドの依頼文とかも未だに全部は読めねぇから、その辺は受付で読んでもらったりと適当に済ましてるレベルだな。
言われた通り、店名が書いてあるんだろう看板に目を凝らす。
「ろ……ろど……で、か。ろで……お。『ロデオ』だろ」
「おっ、当たりー!」
ロデオって牛に乗ったりするアレか。
いや、この場合はロディの名前をもじっただけだろうか。
▽▼▼▽
店に入ると早速ロディが「いらっしゃ……」と出てきた。
全部言い切らなかったのはたぶん、ルークとジャイロの顔と、俺が抱えてる巨大な袋を見たからだ。
「思ったより大きいですね……」
ちょっとばかし引いてる感じのロディに連れられて店の奥、厨房的な所へ入る。
「ロディさん、ご相談があるんですが……このキノコ、マシュフロッギーって魔物の背中から生えてたんです」
「キノコがそれ以外見つからなくてこうなっちまったんだが、どうだ? そんなキノコ食えるのか?」
ルークから話題に入り、ジャイロが直球な質問。
変な質問を真正面から浴びちまったロディだが、彼はほとんど考えずに笑顔で、
「あーそんなの全然大丈夫ですよ! 食えます食えます!」
ちょっと待て、そんなに即答するか。本当にそういう類いに詳しいのかよ?
「えっと……わかるんですか? 検査とか味見とかすらしないで大丈夫だと」
「そういうのは後でしておきますから。とりあえず引き渡してくれて問題ないですとも」
「そうですか……」
やっぱりルークは疑ったが、このまま終わっちまうようだ。いやまぁ、別に問題がないんなら文句は言わねぇけどよ……
てか、「大丈夫です」って言ったのに「検査とか後でします」ってなんかおかしいような……詳しくなさそうだ。
「んじゃそれはいいとしてロディ、随分と大変そうだがオレ手伝おうか?」
「いえいえいえいえ、いいですよそんなことしてくれなくて〜ははは」
なんか暇らしいジャイロがそんな提案をするが、ロディは手をブンブン振って拒んだ。な〜んか、変な雰囲気だな。
「皆さん、今日はありがとうございました! もうそろそろ暗くなってきますしね、気をつけてお帰りくださいね〜!」
――そうやって満面の笑顔すぎるロディに送られ、四人揃って店を出た。
まぁ大丈夫と言ってるんだし、気にしてもしょうがないだろう。
というわけでまた明日、店の様子を見るついでにここで食事しようという話になった。もちろん四人でな。




