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能力ガチャを引いたら、武器ガチャが出ました(笑)  作者: 通りすがりの医師
第三章 異世界人と交流を深めろ
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#61 誇り

 泡を吹いて気絶するオオカミ。それを見た後に俺を見て、開いた口が塞がってないエルフの男達。

 とりあえず今はなんとかなったものの、あいつら弓矢を構えっぱなしだ。やっぱり崖っぷちだな。


「きっ、貴様!!」


 先頭に立つリーダーだろう男が弓を持つ手に力を込めたように見えた。それに続くように他のヤツらも。

 ちなみにジャイロは完全に俺に任せて、目を閉じて瞑想みたいなことをやってる。「魔力を集中させる」とか言ってたが無防備過ぎやしねぇか?


「射て!!」


 リーダーが叫んだ。クソったれ、ジャイロと自分を守らねぇと。

 そう思い俺が生み出したのは、日本の警察やら機動隊がよく装備してる盾――ライオットシールドとか言うやつ。


 小さく除き穴がある金属製の盾に何本もの矢がぶつかり、弾かれていく。目を閉じたジャイロも俺の後ろに隠れてるから無事だ。


「なに!? そんなものどこから出した!?」


「俺に聞かれても困るなぁ……」


 実際この武器どこから出てきてるんだろう。四次元ポ○ット的なアレだと思ってるが。

 直後、一人の若い女が村の奥から走ってきた。


「ちょっと。ドレイク、ルール、これは何の騒ぎ?」


「お姉ちゃん!」


 お姉ちゃん……? ルールのお姉ちゃんってことは『リール』だよな。顔を見たらやっぱり見覚えがあった。


「よぉ。覚えてるか? 俺はあの時の『天使様』だが」


「はい?」


 巨大カエルの腹の中で出会った美少女だった。



▽▼▼▽



「えっと……あなたは? 天使様ってなんの話?」


「あんな衝撃的な出会い方忘れたのかよ!」


「意味がわからない……」


 確かにあの時のリールは、特徴である尖った耳も見えないくらい胃液にまみれて、随分と弱ってた。

 が、普通忘れるか?


「なんだかちょっと頭が痛いのよね……それ以外は寝たら治ったんだけど」


「もー、心配したんだからね!」


 痛そうに後頭部を擦るリール、彼女の手を握る妹ルール。仲良さそうな姉妹だ。


「おい、リール」


 そこに低い声で割り込んだのはリーダー。さっきドレイクと呼ばれてたか。


「人間の言葉など、意味を理解する必要がない。聞く耳さえ持たなくていい……お前はあの男に暴力を振るわれた、そうだろう?」


「え、そうなの――」


「そうだろう!!!」


 おいおいなんだよ、そのやり取りは。ドレイクの野郎、それは脅迫とか洗脳と同じだろ。

 様子を見るに、どうやらリールは強く頭を打ったようで記憶が飛んでるみてぇだ。腹から脱出した時……だろうな、それで俺の顔も覚えてねぇのか。


「百年前――領土の奪い合いで人間とエルフは戦争をし、人間は卑怯な手ばかりを使い、エルフは敗けた」


「ええ……」


「罠に毒を塗りじわじわと殺す、一人一人捕らえて痛めつける、エルフの領土に忍び込み戦争に関係ない民家に火をつけて回る――戦争とはいえ、奴らはなんだってする種族だと確定した!」


「ええ……」


「エルフはこの過去を忘れてはならない。お前にも毎晩教えてやってるだろう」


「ッ……………はい」


 最後だけリールが赤面してたのはなんでだ?



「……マジか」



 後ろのジャイロは何かに驚いた様子だ。


 百年前の戦争、それで仲が悪いのか。百年前なんて絶対ドレイクやリールも、ジャイロも生まれてねぇし、俺だって生まれてねぇよ。

 そんな過去を語り継いでずっと引きずってるのか。


「リール、お前があの人間に洗脳されていてはまずい。だから証明してみせろ」


 ドレイクはナイフを取り出し、リールに手渡す。彼女は静かにそれを受け取った。


「奴を殺し、エルフの誇りを失っていないと」


「……はい」

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