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能力ガチャを引いたら、武器ガチャが出ました(笑)  作者: 通りすがりの医師
第三章 異世界人と交流を深めろ
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#58 北の森での採集④

 マシュフロッギーをルークが倒し、その背中にびっしりと群生するキノコを四人で引っこ抜いてる最中。


「ゲコ」


 後ろから聞き覚えのあるカエルの声が。嘘だろ、カエルなら既に一匹デケぇのが転がってるってのに?

 振り返ってみれば予想通りもう一体のマシュフロッギーが現れやがった。キノコなら足りてるぞ、と俺もプラムもルークも呆れる中、


「よぅ〜し、今度はオレの番だろ」


 ジャイロが肩を回して勝手に張り切ってやがる。そりゃそうだ、ライバルであるルークがカッコよく決めたばっかりなんだからな。

 だがこのカエルまで倒す必要あるんだか無いんだか。()るんだったら大荷物になるのは避けられそうにねぇな。


「ゲコッ、ゲェコオオオ」


 お? カエルが急に叫んだが、なんだ? なんの意味があって――


「うげっ」


「マコト!?」


 ヤツは長い舌をまっすぐに伸ばしてきて、それは俺の腰辺りに絡みついて来やがった。叫んだプラムには「心配ご無用」と言ってあげたいが、全然ヤバイこれ。もっと心配してくれ。

 だって巻き付いた舌がカエルの口へ巻き戻っていくんだからな。


「あああああぁぁぁ――」


 かなりの速度でカエルの口の中へ引っ張り込まれちまった。そして開いてた口がすぐさま閉じる。なんだこれ、表現方法がわからねぇけどとにかく臭くてベタベタするぞオイ。

 そのまま生温かいベロの上を転がって、喉を転がり、たぶん腹の中まで滑り落ちた。そこにはなんか、水が張ってある……


 ちょっと待て急展開にも程があるってもんだぞ!? 俺、気づいたら胃の中に放り込まれてるじゃねぇか! これ胃液だ!


 まさか生き物に丸のみされる日が来るとは。

 異世界ならではの体験だね、うふふ。とか言ってる場合じゃねぇ!



「……ん? あ、あなたは……天使様?」


「は?」



 どういうことだ。胃の中に先客がいるんだが。


 若い女だ。年齢としては十八かそこらか。胃液にまみれてはいるが、薄い緑色の髪に透き通るような白い肌。シュッとした顔の美人さんだ。


「はぁ……はぁ……違うの? もうすぐ、溶かされそう……」


 座り込んでる女は疲れ切った様子。どれぐらいここにいたのか知らねぇが、このままでは俺もこいつも死んじまう。

 外で何が起きてるか知らねぇが、カエル野郎がジャイロと戦闘を始める前に……


「出させてもらうぜ」


 女を脇に抱え、稼働するチェーンソーを()()()()()へ向ける。



▽▼▼▽



 絶叫する巨大カエル、同じく絶叫するジャイロ達。なぜ叫ぶかって? カエルは痛いからだろう。ジャイロとプラムは……


「「ぎゃあああああ!?」」


 たぶん、カエルの腹から丸みのある刃と血が噴き出したからだ。要するに俺はチェーンソーでカエルの内側から腹を開いたのさ。

 縦一直線にぶった切ると、内蔵や胃液と一緒に俺と女がぶちまけられ地面に転がる。これぞカエルの解剖ってヤツだ。カエルも地面に倒れて絶命。


「お、おっさんか!? 嘘だろ何したんだオイ!」


「マコト大丈夫!?」


 耳とかも血でグッチャグチャだ。戦闘態勢に入ってたっぽいジャイロともっと後ろから心配するプラムの声も、うっすらと聞こえるだけ。


「死んでねぇみたいだが、返事しろよ! その女は!?」


 意外にも、誰より先にジャイロが駆け寄ってくる。返事はしてぇが……顔面に血が張りついてて口を開けづらい。


 その時。

 駆け寄ってくる赤髪の男でも、その後ろから走り出す二人でもない、別の声が。俺には確かに聞こえた。



「もう、お姉ちゃんってばドジなんだから」



 声の直後――俺と隣の女、目の前のジャイロも……紫がかった謎の煙に包まれる。

 あれ? 気のせいかな、だんだん眠く……なって……………






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