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能力ガチャを引いたら、武器ガチャが出ました(笑)  作者: 通りすがりの医師
第三章 異世界人と交流を深めろ
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#56 北の森での採集②

 キノコが……目的のキノコが全然見つからねぇよ。

 ロディは『大量に手に入るって噂が』とか言ってたが、キノコが高いからって誰かがふざけて流したガセネタじゃねぇのか?


「はぁ〜。もう一時間はこうやって、森を歩いては草を掻き分けてってやってるぜ。しんどくなってきたから誰かタメになる話してくれねぇか」


「じゃあ私が問題出したげる!」


「……お前がぁ?」


「私がぁ!」


 俺の問いかけに即座に手を挙げて反応したのはプラムだった。

 こいつ、まともな問題出せんのかよ。聞かせてもらおうか。


「問題です。魔術師のマゼンタ団長が持つ適性は、何属性でしょ〜か!」


「んん? 絶対一つじゃねぇよな……」


 属性って言やぁさっき話したばかりのあれだな。

 火・水・風・土・光・闇だっけ。ルークが一番団長に近いと思うが、あいつでさえ水と風だけって話だよな……う〜んだが団長なんだしやっぱり……


「全部だろ」


 我ながら面白みが皆無なアンサー。


「ぶー! 火・水・風・土・光だけー! 闇は使えないって言ってたよ」


 マゼンタ団長は五属性も使えるのか。まぁ思ってたよりは、そこそこタメになったかな。


 ――それより、闇属性ってかなり特殊っぽいな。


 ブラッドとのいざこざで見たのもかなり異質だった記憶はある。

 門を開かなくさせる、魔物を召喚する、武器に闇を纏わせて衝撃を強くさせる……なんつーか変わったのだらけだ。『呪い』に近い感じって表現もしたような。


「あ、ちなみにミーナの適性はどうなんだよ」


「それただのメイド!」


 素早いな。プラムはもうツッコミ役で決定なのかよ。いつからそうだったっけ、最初からか?


「ぶははっ、何だ今のおもしれー!」


「え……そんなに笑えます……?」


 今のやり取りにジャイロがなぜか噴き出し、それにルークがドン引き。

 いや俺もルークに賛成だよ。笑わせる気ねぇしどこが面白かったんだ。



▽▼▼▽



「――ん?」


 相変わらず北の森を練り歩く四人。その中で、急に言葉を発したのは赤髪の男だ。

 よくわからんが遠い所を見つめてる仕草からして、なんか見つけたっぽいぞ。「どうした」と聞いてみれば、


「いや、今な……なんかすげぇ量のキノコを背負った生き物がいた気がしたんだ。木々の間を縫って動いてる感じでよ」


「お前それ……ちょっと信用できねぇな」


「マジだって、おっさん! マジ!」


 ジャイロ本人の口調は真面目だが、キノコ探しという単純作業のやりすぎで幻覚が見えたようにしか聞こえねぇ発言だ。

 背中に大量のキノコがあるだなんて、さっぱり意味がわからんし都合が良すぎる。ジャイロのやつ大丈夫かよ。


「――あっ」


 今度はなんだ。言ったのはプラムだが、どうしたのかと思ってジャイロの方からそっちへ振り返る。

 すると、一体のオークが鹿の肉を貪っている最中だった。魔物は普通の動物も食っちまうのか。つくづく迷惑な奴ら。


「わ、私が!」


 こちらに気づいたオークに対し、プラムが小さな杖を構える。杖の先からこれまた小さな火球が生まれた。

 だが、あのサイズでこの前スケルトンを蹴散らしてたはず。オークだって余裕だろ――


「フギッ!! ……フゴ、フゴ」


 火球が一直線に飛んでいくが、オークは腕をクロスさせてガード。火傷を負ったろうし、たぶん効いてるが……一発じゃダメなのか。


「魔物も種類ごとに強さは違いますからね……例えばマコトさんが知ってそうなものだと、ゴブリンとスケルトンが同じくらい。オークはそれよりも強くて、リザードマンは更に強いといった具合でしょうか」


「へぇー」


 ルークは俺の心読めてんのかよ、気が利くな。つまりスケルトンよりオークの方が強いから今の状況か。


「ていっ、やあ!」


「フギャアッ――」


 プラムは火球をもう一発当てて、次に球というより『槍』って感じの炎を作り出して発射。それがオークの喉を抉り、戦闘が終わった。


「最後のはけっこう良かったと思うよ」


「ほんとー!?」


 笑顔で褒めるルークの態度に、素直に喜ぶ少女。その後も何やら話しているがそこに俺が立ち入ることはない。

 まぁ魔法についての話だろうってのもあるが、時にはあいつらだけでコミュニケーション取るべきだ。師弟であり、兄妹のようでもある二人だから。


「オレも火を飛ばすヤツ、やりてーな」


 俺の隣でぼそっと呟いたジャイロに納得、火属性の適性はあるが弱いって言ってたな。纏えるだけで発射まではできないんだっけ。こいつのことだから特訓はしてると思うが。


「――!! おっさん伏せろッ!」


「うお!?」


 後ろからジャイロに押され強制的に地面へ倒された。意味がわからなかったが上を見ると、デカくて……緑色の何かが右から左へ通過してる。

 その生物は俺達を飛び越えただけらしく、すぐ左に着地。もう一度跳ねて木々の中へ消えていった。


 着地した瞬間、あれが何だったのかハッキリと見た。


「背中から大量のキノコが生えた、バカでかい()()()……だよな……?」


「ほら見ろオレの言った通りだ!」


 まさか、ジャイロの言葉が現実になるとは。あれが今回の依頼の目的ってことで……いいのか?

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