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能力ガチャを引いたら、武器ガチャが出ました(笑)  作者: 通りすがりの医師
第三章 異世界人と交流を深めろ
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#55 北の森での採集①

採集と言っても採集しないですねこれ…

(まぁこの4人集まるのが珍しいので、それがメインということで)


「今日はお前ら全員暇だったのか? 偶然にも?」


「うん」

「そうですね」

「そうなるな」


 プラムは置いといて、男どもは仮にも魔術師団の二番手、騎士団の指導役だってのに。ちゃんと仕事してるのかよこいつら。


 俺達四人はキノコを求め、北の森に到着した。相変わらず鬱蒼とした森だ。

 前も懐かしんだが、ここでプラムと出会い、ウェンディとゴブリン討伐をこなしたんだよな。


 ガサッ――


 ん? いきなり葉音が……なんだ? まさか魔物が


「シャアアッ!」


「うぅお!」


 ガキンッ――!


 高速で飛び出してきた人型の魔物に、反応できなかった俺の前に立つのは、 


「リザードマンごとき……すぐ反応しろよおっさん」


「すまん」


 ジャイロだ。飛び出してきたのはトカゲ人間って感じの魔物で、そいつが振った短剣を受け止めてくれた。そのまま鍔迫り合いに。

 とにかく盾かなんか生み出せば防げたのに。俺のバカ野郎。


 初めて見るがリザードマンってこの魔物のことか。緑色のトカゲそのものって体表なのに、人型。軽く武装してる。短剣持ってるし器用みたいだな。


「ん〜、たくさん来ますね」


 ルークがそう呟くのとほぼ同時に、ジャイロとリザードマンが飛び退いてそれぞれ後方へ。

 今のリザードマンの後ろの木々の間から、さらに一体、二体……どんどん現れて十体くらいに。全員が武器を持ってるわけじゃなく素手の個体もまぁまぁいる。


「さーて、やるか! おいヒョロ、どっちが多く狩れるか勝負といこうぜ。怖いならいいけどな」


「怖いわけないです。望むところ――」


 おっとっと。盛り上がってる二人には悪いが、



「いいや、こいつらは俺が片付けてやる」


「「え?」」



 誰がなんと言おうと、俺がやる。ジャイロに助けてもらっちまって、このまま戦闘まであいつら任せじゃ暴れ足りねぇんだ。

 見せてやるよ。俺の制圧力を。


 右手に握るは木製バット……いや、ただのバットじゃない。先の方に二十本くらい釘が刺さったいわゆる、


「釘バットか」


 まずはさっき俺を襲ったあいつからだ! リザードマンは短剣を振り下ろしてくるも、バットを横からぶつけ軌道を逸らして空振りさせる。直後、下から上に振り上げると、


「シャガァッ!」


 リザードマンの下顎が砕けた。胴を蹴って吹っ飛ばし、そいつの後ろにいたリザードマンを怯ませてから振り向くと、別のヤツが大口を開け俺の頭にかぶりつこうとしてやがった。ので、


「ふっ」


 開いた口をバットの先端で突いてやった。釘に口内を抉られ、リザードマンは大声で鳴き、苦しむ。だが容赦無しにヤツの頭頂部に釘バットの鉄槌。頭蓋を砕いた。


 んで、さっき怯ませたリザードマンが跳躍して突っ込んでくる。後ろからだが、集中してる&予想がついてたから察知できた。くるっと回って、その勢いで釘バットを大きく横振り。

 リザードマンの顔に命中、ホームランのごとく飛んでいき、木にぶつかってダウン。


 さらに二体同時に迫ってきた。俺は両腕を大きく広げ、突っ込んで行く。そのまま二体の首を捉えるダブルラリアット。どうやらどちらも今の一撃で泡吹いてノックアウトらしい。

 さらにもう一体来るが、


「シャアアウゥ」


「よっと」


 そいつの横振りの攻撃を、進みつつしゃがんで躱す。懐に入り込んで膝蹴りを腹にぶち込む。

 苦しむリザードマンの脇腹に追加の釘バット、回転して逆の脇腹にもう一発、また回転して今度は頭部。血まみれのトカゲが地面に倒れる。


 今度は二体が俺を挟むように左右から迫る。まず右のヤツの腹をバットの先端で突き、左のヤツが掴みかかってきたので振り向きつつ右拳でフック。よほど当たりどころが良かったのか小気味のいい音とともに頭部が爆散。

 突かれた方のリザードマンは悶えてるが、無慈悲にも釘バットを叩き込む。頭部に一回振り下ろして地面に倒させ、もう二回ぶっ叩くと脳みそと血が飛び散ってトカゲは絶命した。


 どうやらちょうど十体だったようで、残りあと二体。

 一体が突進してくる。釘のところを上手く使って短剣の攻撃を受け流し、膝を打って破壊した。バランスが崩れて前のめりになる顔面をさらに打てばトカゲは絶命。

 同時に、ついにバットが壊れる。それを捨てて最後の一体には小型のナイフを生み出して投げつける。


「シャゥ――」


 目にピンポイントで刺さった勢いで頭部が後ろへ持ってかれて、リザードマンは仰向けに倒れた。


 たぶんルークやジャイロは俺の戦闘シーンを見るのは初めてだろうと思いドヤ顔で振り向くと、


「マジで十対一で勝ちやがった……やるじゃねぇか、闘技場ではよくわかんなかったけど」


 ジャイロは純粋に動揺してる。まぁ闘技場では色んな条件やら同情やら乱入やら色々あって、まともに戦えなかったからな。


「やはり、さすがですね」


 ルークは反応薄いな。だが戦闘中あいつがしっかり俺を見てるのはこっちからも見えてたし、適当に済ませたワケじゃねぇだろう。


「まーた変な魔法使ってる……マコトに適性が無いならアレは何なの、ルーク?」


 プラムの質問、確かにこれが魔法なら、『適性無し』という部分と矛盾する。ルークは答えに困ってる様子。

 お前は正しいぜ安心しろルーク、これは『魔法』でなくて『能力』だ。

 ……と説明してあげたいが、そうすると話が転移とか女神様とかまで遡っちまって面倒だから嫌だ。


「ま、まぁとにかくここは安全ではないし、早めにキノコを採って戻りましょう」


「なんだビビってんのか? ん?」


「あなたが怖がってると思って気を使ってるんですよ」


「いらねぇよそんな気遣い!」


 とりあえずジャイロの無神経さのおかげで変な流れから脱却できた、感謝してやる。

 それにしても、この赤青コンビは喧嘩が絶えねぇな。元気を持て余してるぜ。次になんか出てきたら若者達に任せるか。

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