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能力ガチャを引いたら、武器ガチャが出ました(笑)  作者: 通りすがりの医師
第三章 異世界人と交流を深めろ
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#48 イタズラ好き

 心地よい朝日に瞼を刺激され、俺はゆっくりと目を覚ました。

 ここは二段ベッドの下の段。隣のベッドの上の段には、いつものように少女が眠っている。


「喉渇いたな。水は切れてるんだっけか……食堂行かねぇと」


 飲料水の蓄えが無くなると、いちいち食堂まで足を運ばにゃならん。面倒だ。もっと計画的に買い物しよう。

 廊下に出るためドアへ近づく。いつものように開ける――


「ぶわッ」


 開けると、上から桶みたいな物が降ってきて、頭に覆いかぶさってきた。それだけじゃねぇ。中には水が満タンに入ってやがったようで服も床もびしょ濡れだ。


 絶対に飲むための代物ではないと思うが、口の周りの水を舐め取ってひとまず喉を潤す。

 そしてこんなイタズラをするようなヤツは一人しかいない。


「――またやったなお前!?」


 頭を桶から脱出させてから、その人物と視線を合わす。二段ベッドの上の段から最高にニヤついてきてるクソガキ、プラムだ。


「だって反応が面白いんだもん」


 よく考えればあのドアは開きかけだった。

 昨夜はしっかり閉めた記憶があるから、俺が起きてくる前に起床して罠を準備したんだろうよ。


「まったく、服が濡れちまったよ。ああそうだ、そんなことよりお前に渡す物がある。降りてこいプラム」


「えっ、なになに?」


 興味津々のプラムが梯子を使ってベッドの下の段へ降りる。俺はポケットを探るフリをしながら近づいて、


「かかったな。くらえ」


「ひゃっ!? あっは、ちょ、やめ、あはははっ、や、やばい息できなっ、はは、あはは!」


 プレゼントなんか無い。下らないイタズラには下らないイタズラ、脇へのくすぐり攻撃を返してやった。



▽▼▼▽



「はー……はー……しぬかと思った……」


 一瞬だけ休憩はさんだりしながらも、五分ぐらいはくすぐってたか。

 正直言うと俺はかなり楽しめたが、逆にこのイタズラ好きの同居人はキツそうな顔をしてる。


「マコト……くすぐるの……上手だね」


「そうか? お前が弱すぎるだけじゃねぇのか」


「よ、弱くないもん……」


 ジャイロと決闘したあの日からもう一週間が経つ。早いもんだ。

 ただ簡単な依頼をこなしたりするだけ、特に何も無い一週間だった。主に接触したのはプラムとルークかな。


 変化したことと言えば一つ。


 未だに魔術師団の寮で居候生活しているこの俺の存在が、マゼンタ団長により団員達に明かされた。

 まだ『英雄』という(俺的には微妙な)肩書きが健在だったんで団員達からは歓迎され、すれ違えば挨拶するって感じになった。

 プラムと共同生活してるってことも知ってるくせに、そこだけは誰も触れてこない。変な関係じゃねぇよ?


「そろそろ朝食か」


「お腹すいた〜」


 まぁ少しは堂々と歩いて良くなった、ってことらしい。

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